第6話 セイウス探索
ウスカンさんの屋敷を出た俺は最初にエバツ市場に行くことにした。セイウスは中心に住宅街、西側は畑しかないが東側に住宅街を囲うようにエバツ市場があり、最東端に冒険者ギルドがありそれを塀が囲っている。
《ミハマ、楽しみであるな》
0の悪魔、おまえあの化け物姿でこんなまちなかに出るつもりか!?やめとけ、やめとけ。
《我はミハマの相棒であるぞ!ミハマの5感全ては我のものであるようなものだ。どんどんいろいろなものを食べてくれ》
マジか。これは相棒というよりかは寄生されてるようなもんだな……まあだが俺は軍資金としてウスカンさんから1000ヘルタをもらっている。俺はまだ相場がわからないからなんとも言えないがウスカンさんはそれだけあれば多分足りると言っていた。本当にウスカン王子様様だ!
《おい、ミハマ!リープラビットの肉だ。あれはうまいぞ!!ジュルリ》
《このカゼルの実のジュースはのどごしさっぱりで逸品だ》
《これも買いだ》《これも……》《コレ……》《全部買いだ》
エバツ市場についた途端0の悪魔がこんな調子になって一瞬で1000ヘルタが40,50ヘルタになってしまった。市場を回ってみてわかったのは0の悪魔が相当な食いしん坊だということとだいたいこの世界で普通の人の一食は100ヘルタくらいであるということ。あとは昨日から思っていたことだがこの世界の食べ物の味と量じょ水準は相当高いと思う。
最後に【0の悪魔】の新しい使い方と真の名前がわかったことだ。これは240ヘルタ分くらい食べたところだっただろうか。
「もう無理だ!これ以上は食べ切れない」
《むう、まだ3軒目ではないか!せめてあそこのお店のあの肉だけでも……》
「なんと言おうとだめだ」
《………………!そうだ、お主が我にこう念じてくれればよいのだ『我が胃に盟友の力を!』と、簡単だろうミハマ》
「嫌だよ。だっておまえ悪魔だろう?その言葉を言ったらおまえにこの体を乗っ取られたりとかするんだろ? 」
《まったくミハマは分かっていないな。これは付与魔法みたいなものだ。我の力をミハマの力に足すことができる。天使もこういうことをやっているぞ。まあやってみろ》
仕方がない。やってやろう。これで乗っ取られたら運が悪かったと思おう。
「我が胃に盟友の力を! 」
「えっ!? 」
胃が急に空っぽになったかのように軽くなった。代わりに体が重くなった。おい、0の悪魔!これはどういうことだ。
《ああ、我が調整を誤ってしまったようだ。すまぬ!だがただのMP不足だ。ふむ……あそこのイガウの実を食すといい。MP回復の効果があるはずだ》
「ふう、やっと体が軽くなった。おい!どういうことだ?説明しろ」
《そう怒るな。数百年ぶりなのだからな。だがすまなかった。先程も言ったが、この術は盟友となった天使や悪魔の力を一時的にかりるというか纏うことができるというものなのだがそのときに我らが外界に降りるための交通料金としてMPを吸ってしまうのだ。強い力を借りようとすればするほど奪ってしまうMP量が増えるから少し力を弱めて降りたのだがその調整を間違えてしまったのだ。だがそれさえ間違えなければ武器にもなるぞ》
「なるほどな、悪意がなかったのはわかった。それに俺はこの世界でお前の力を借りなければ生きていけないしな。これからもよろしく頼む、0の悪魔」
《我はティポタだ。よろしく頼むぞミハマ》
《それじゃあ続きの店を回るか、ティポタ》
調子に乗って食べまくって金欠になった俺たちはティポタ強さを確かめるためにエバツ市場を抜けて冒険者ギルドに行って依頼を受けることにした。
冒険者ギルドは木の建物で安心感のあるところだった。中に入ると横並びのカウンターがあったのでそこで冒険者登録をすることにした。
「こんにちは〜!ご用件は何でしょう? 」
「すいません、冒険者ギルドは初めてで。どうしたら冒険者登録できますか? 」
「冒険者登録ですか?それでしたらこの紙に必要事項をお書きのうえ鑑定を受けてもらい登録費用35ヘルタをお支払いいただけましたら完了です」
そこで俺は紙を受け取ってウスカンさんと決めてきた設定をかき、紙を提出した。
「すいません、鑑定の話ですが少し前にしてもらった結果があるのですが……」
「はい、それでしたら構いませんよ。では最後に登録費用をお支払いください」
35ヘルタか……危なかったな。ぎりぎり足りて助かった。軽くなったお財布からお金を渡すと受付嬢がカウンターの奥で忙しく動き回って数分後。
「イザク様!登録完了いたしました。それでは最後に冒険者ギルドのしくみやルールをご説明いたします。冒険者には階級が存在しましてイザク様は駆け出し冒険者です。この階級は神話級冒険者まで6段階あります。この階級が上がると対象の店舗での特別な割引が受けられるようになったり受けられるクエストが増えます。この階級をあげるためには多くのクエストをクリアしてください。クエストを受けるときは受付に起こしくだされば可能です。そして、冒険者ギルドにおけるルールですがまず冒険者同士の争いごとや不正は禁止となっています。これが発覚した時点で冒険者登録を無効となります。また依頼クエストの期限が守れなかった場合違約金が発生することがあります。以上です」
「わかりました。早速クエストを受けたいのですが」
「それでしたら、おすすめなのはここらへんでしょうか」
そうして見せられたクエストは
『イガウの実 採集:イガウの実を採れるだけとってきてください。
報酬は実の数×10ヘルタ 50個以上なら×15ヘルタ
期限はなし 』
『カプロミボア 討伐:カプロミボアを1体討伐してください。
報酬は70ヘルタ
期限なし
カプロミボアは自由に持って帰って構わない 』
これならカプロミボア討伐だな。いいか、ティポタ?
《ああ、構わん!だがやつは肉がまずいのだ》
「カプロミボア討伐でお願いします」
「わかりました。カプロミボアは西側の門を出たあたりのナチュールの森に多く存在します。カプロミボアは突撃が厄介な魔物ですがイザク様のステータスであれば問題なく避けられると思いますがお気をつけください」
「いろいろありがとうございます」
さあ行くか
《ミハマ、イガウの実は持ってるか? 》
「ああ、準備は万端だ」