第4話 悪魔招来
セイウスは思っていたよりはちゃんとした村だった。
正直なところウスカンさんの言いっぷりからどれだけ何もないんだろうと思っていたが普通に良い村のようだった。だが、俺たちは村の人々からは歓迎されなかった。王都のような反応は求めていなかったが罵声すら聞こえていた。
「これは!流石にひどいな」
「すいません、ミハマ。私の責任です。私が領民の支持すら取れていないせいで勇者様にまでこんな罵声を聞かせることになってしまうとは情けないです」
「大丈夫ですよ。俺は気にしてませんから」
「ぁりがとぅござぃます」
「到着です。こちらが私の屋敷です。勇者様はこの中でも大きいお部屋にご案内しますので自分の家と思ってくつろいでください」
そういって俺は部屋へと招待された。ウスカンさんは小さい屋敷ですがと言っていたがまあまあでかい。豪華絢爛というほどでもないが相当大きいアパートのような感じだ。俺が招待された部屋は12メートル×10メートルくらいの大きさでベッドもふかふかで勉強もできそうな机もあり快適な空間だった。そこで長時間の馬車旅での疲れを回復するために昼寝をすることにした。
「ふぅ」
俺は軽く30分ほど寝てから起きた。俺は夢みがちなほうでほぼ毎回夢を見るが今日は夢というか頭を闇が覆ってしまっているかのような真っ黒な映像が流れてきた。何なのだろうか
「ミハマ様、失礼いたします。王子がお呼びです」
そういって強そうな執事の人が部屋へやってきた。呼び出しか……なんだろうか。偽の勇者を立てるために俺は闇にでも葬り去られてしまうんだろうか、だがそれならさっきみたいに俺が寝ている間にやればいいし……とりあえずウスカンさんのことは信用して何もせずに向かおう、まあおれはなにかするって言っても計算くらいしかできないし。
「ミハマ、嫌だったらいいのですがスキルの話をしませんか? 」
「いいですよ、俺も気になっていることが一つあるんです」
「……む、なるほどそれでは街のハズレの訓練上に行きましょう。もしかすると街に被害が及ぶかもしれませんから」
俺が0=1が成立することがある特殊な事例があることを説明するとこんなふうに言われた。
「「「王子!!いつ帰ってきたんですか?伝えてくださったらお出迎えに行きましたのに」」」
「すぐ先ほどだ。ミハマ、この3人は私の親衛隊だ」
「ウスカン王子親衛隊のラルだ。よろしく頼む」
「私はイグザよ!よろしく」
「私はカイという。お見知りおきを」
「俺は三浜彪斗。よろしく」
ラルはスラッとしてイケメンな西洋剣の似合う剣士、カイは天才オーラが溢れ出ている魔術師のようだ。イグザは……何も持っていなくてよくわからなかった。あとからウスカンさんに聞いたところ斥候つまりくノ一なんだそう。全員親衛隊というだけあって強そうだ。
「それでミハマ、さきほど言っていた話はどういうことだ」
そう、この訓練上につれてきてもらった理由は1つ。俺が0=1が解けるかもしれないという話をしたからだ。その話を聞いたウスカンさんはすぐに試しましょうと言ってくれたのだが、悪魔という言葉が気になり大丈夫かと聞いたら
『この世界では悪魔は一度だけ歴史上に名を残している。その悪魔はこの世界のいたる所に移動し人間に甚大な被害をもたらし、結局それは俺たちの前の前の勇者が撃退した。』
というふうに伝えらているそうだが勇者の強さを象徴する物語ではないかという噂もあるらしい。そんな悪魔を呼び出しそうなスキルを使っていいのかと思ったが、その話はあくまで物語だし、その悪魔は現実にいたとしても人間に使役できるようなものではないからスキルで呼び出せるレベルなら大丈夫だという結論に至った。
そして今俺は羊皮紙の前に羽ペンを持って立っている。
「じゃあ、これから証明しますよ」
『 0で割ることを許可する
x=0として
x+1=1
(x^2)-1=x-1
(x^2)=x
x=1
x=0なので
0=1 (Q.E.D)』
Q.E.Dと書き終わった瞬間、世界が黒に埋め尽くされた。
本日3話目です。
後半少し数式が出てきました。分からなくても物語は楽しめるように書くつもりですがわかっていたほうが楽しめる部分もあると思うので上の式をできるだけ細かく砕いて説明するものを次話で投稿します。もし全くわからーんという方がいましたらそちらをご覧ください。
あとxの2乗をx^2と表しています