第14話 真相
ウスカンさんの館の周りの住宅街に帰ってきた人々は荷物だけとって他の街へ移り住むのかと思ったが帰っていくような気配は全く無く、家の周りの掃除をしだす人などもいた。そんな光景に唖然としていた5人を見つけた住民は以前の敵対的な態度は何もなかったかのように好意的な態度で話しかけてきた。
「「「「ウスカン王子と本当の勇者様だ!」」」」
「俺達なにかできることはないですか? 」
俺達は恐ろしいほどの態度急変に思わず避難しているあいだに何があったのだろうか?と顔を見合わせてしまった。
「ウスカン様、今までの我々の態度本当に申し訳ありませんでした」
「お前ら虫が良すぎるんじゃないのか?ウスカンさんがそういう態度でどれくらい傷ついたと思っているんだ」
ウスカンさんは黙って話を聞いているのにそういう住民の長っぽい人の発言に俺が口を出すようなところではないというのに俺は自分のいらつきのまま、ついこう口走ってしまった。
「虫がいいのはわかっています。ですがあんな態度だったのは理由があるのです。我々はウスカン王子がここセイウスの街に来る前から住んでいましたがその頃のこの街を治めていた人は重税に次ぐ加税で貧乏な我らは苦しい生活を強いられていました。ですがウスカン王子がセイウスを治めるようになってからだいぶ生活は余裕になりましたがそれでも生活が苦しいと思っていた我々にあるときとある者、いえ隠してもしょうがないですね国王様の側近からウスカン王子に対して冷たい反応をしたらお金を支給してくれるという申し出をされ、それを受けた我々はウスカン王子にあのような態度をとってしまっていたんです。しかし先日の国王軍の襲撃のとき我々逃げた先で生きていくことも考えましたが、ウスカン王子のセイウスとは比べ物にもならず、国王様は次男のジポトル王子を次の王にさせたいようですが、我々はウスカン王子こそがウガルス王国の次の王子になるべきだと思い今までの我々の悪行を謝罪しようとセイウスに帰ってきたのです」
この手のひらをひっくり返すこいつらにも虫唾が走るが国王に対してはもはや蔑み以外の思いが浮かんでこないくらいであった。まさかすべて国王が行っていたことだったのか。今回のセイウス襲撃も確実にウスカンさんのことを狙ったものだったのだろう。初めてあったときからひどすぎる親だと思ったがほんとにどうしようもない親だ。
「そうだったんですね。私は気にしませんよ。それよりもセイウスに帰ってきてくれてありがとうございます。西側と南側の壁と砦はミハマがやってくれています。あなた達は住宅街とエバツ市場の修復を手伝ってください。ラル、カイ細かな指示は頼みます」
「「はい」」
ウスカン王子は彼らの発言に対して笑顔で対応していたがラルとカイに説明を任せて館にひとり戻ってしまった。俺はウスカンさんのことを追いかけて館に入り、ウスカンさんに
「大丈夫ですか?俺と少し話しますか? 」
「すみませんミハマ。少しひとりにさせてください」
「そうですか。それではまた夜御飯のときに。 」
俺達は外壁修理と砦の作成はなんとあと少しで終了するというところまでしごとをすすめたところで、今日の仕事を切り上げることにした。昨日の倒壊具合を見て俺は少なくとも5日はかかるだろうと踏んでいたのだが3万人というのを少し舐めていたかもしれない。更に館に帰る途中にチラッと見えたエバツ市場も半日でやったとは思えないほど復旧が進んでいた。
館に帰るともう俺以外は全員着いておりいつもより豪勢な食事が机に並べられていた。
「すいませんお待たせしました」
「勇者様、遅いよ。豪勢な料理が冷めちゃう。早く食べよ」
「おい、全然待ってないだろ!ちょうど並び終わったばかりだろ」
「そうだっけ?おいしそうすぎて全部忘れちゃってた! 」
「まあ、ミハマ。セイウスの街に人々が帰ってきた祝いです。まだまだ温かいですから食べましょう。お疲れでしょう」
豪勢な食事に興奮しまくっているイグザは置いといて、ウスカンさんは少し無理はしているようだがいちおういつもどおり柔らかく笑って食卓についていた。豪華な夕飯は俺はいつもどおり美味しいなという感想だったがティポタは俺がひとくち何かを食べるたびに大騒ぎしていた。なにやら希少な魔物の肉が多いらしい。親衛隊の3人も豪勢な食事を楽しんでいた。
楽しい食事会も終わりそれぞれ各自の部屋で自由にしているとき、俺はどうにもさっきのウスカンさんの様子が気になった。
《ミハマ、行くのか? 》
ああ!うすうす感づいていたとしても親に裏切られたという傷は簡単に癒えるものではないが、1人じゃ立ち直ることができないかもしれないからな。それにウスカンさんはああいう性格だから自分から誰かに相談するとも考えにくいからな。
《そうであるな》
俺がウスカンさんの部屋の前に着くとすすり泣くような声が部屋の中から聞こえてきた。




