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18 急変

事態が急変した。


セアラが与えた菓子を食べて、ジェミニが嘔吐した。


ジュリアンも同じものを食べ、気分が悪いと言っていると聞いて、ファリティナの顔色が変わった。


「ジュリアンを吐かせて。吐いた後に水をたくさん飲ませて何度か吐かせて。」


ジェミニの口に手を入れ、吐瀉物にまみれながらファリティナは言った。

その鬼気迫る表情に、セリオンも感じ取った。


セアラはガタガタと震えている。


「お、お母様に、ジェミニにあげなさいって。私たちは食べちゃダメって言われたけど、ジュリアンが食べちゃって。」


嗚咽でむせながら、セアラはごめんなさいと繰り返した。


ファリティナはセアラが持っていた菓子を口に含む。


「ミュゲじゃない。」


ファリティナの歯が噛み合わず、震えた。

「ミュゲじゃないわ。どうしよう。なんなの。どうしたらいいの。ああ、ジェミニ。」


ファリティナはジェミニを抱きしめて泣いた。




セリオンが部屋に入ると、暗い天蓋のベッドの中で、ファリティナはジェミニを抱きしめていた。


泣き腫らした顔は真っ赤に腫れ、髪は幽鬼のように乱れていた。


腕に抱かれたジェミニはぐったりと動かない。


セリオンはそっとベッドに乗り、ファリティナの頬に張り付いた髪を指で払った。


「…生きてるわ。ジェミニは、生きてる。」


毒を盛られたあの恐慌状態の日から、丸2日が過ぎた。


ジェミニはわずかに薄い胸を動かして呼吸している。あたりには失禁の跡があり、異臭が酷い。

ファリティナの衣服にも、ジェミニが粗相した汚物の跡があった。


「姉様。ファリティナ。」

セリオンの低い声が薄暗い部屋に響いた。


「生きてるの。死なせはしない。」

独り言のように呟くと、ファリティナの目からまた涙が溢れた。


ファリティナはジェミニに無理矢理水を飲ませ、下痢と嘔吐を繰り返すジェミニを抱きしめ続けた。高熱と解熱を繰り返すジェミニはあの日から意識が朦朧としたまま。

何の毒かわからず、意識が戻らないジェミニには水分しか与えられず、ファリティナは衰弱していく体を抱きしめることしかできなかった。


ジュリアンは何度か無理矢理嘔吐させたおかげか、一度の下痢をして症状が治まったが、ショックから不安症の症状になり、セアラがずっと付き添っている。そのセアラも自分が渡した菓子のせいで、このような状態になったことをかなり悔いて、不安定だった。


「ジェミニは生きてます。ちゃんと、呼吸してる。強い子だ。」


セリオンはジェミニの頭を撫でた。むき出しの小さな足は蝋人形のように血の気がない。


「姉様、人を呼びます。あなたも着替えて、休んでください。」

ファリティナはあの日からジェミニの側を離れない。飲まず食わず、眠ってもいないかもしれない。それほど酷い有り様だ。


「代わりに私が見ています。少し休んで、セアラとジュリアンに顔を見せてあげてください。あなたに会いたがってる。」


自分ではダメなのだ。とセリオンは思う。セアラもジュリアンも、ファリティナでなければ。

ファリティナが部屋から出ない間、セリオンが見ていたが、ずっとファリティナとジェミニの様子を気にかけていた。


不意にファリティナが嗚咽を漏らして、ジェミニを抱きしめた。


セリオンはファリティナの頭をそっと撫でた。


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― 新着の感想 ―
[一言] どっちが母親かわかったもんじゃねえな
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