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07



 強敵である父親から推し身請けの許可と資金調達の準備が出来た私は、早速部屋に戻り急いでクー様の受け入れ態勢を整えることを始める。

 


 まずはクー様に休んでもらう部屋を用意しないとね。

 私専用の従者になるから、隣の部屋にしちゃだめかしら。さすがに侯爵令嬢の隣室はいろいろな意味で怒られちゃうかも。

 でもクー様をいつでも見られる環境を作れるチャンスをこんな事で逃してたまるものか。ずっとはダメでも屋敷になれるまではずっと傍にいてあげたいわ。


「――――様」


 あっ、そのまま連れてきてボロボロな姿を他の人に見られたら陰で何言われるかわかんないわ。

 すぐにお風呂に入れる準備をして……って服も買ってこないと!

 着る服なくてどうやって過ごせばいいのよ私のバカバカ!

 ……でも推しの脱いだ姿を見ることができるって、眼福よね。

 私、今八歳だから一緒に入っても問題ないよね。お風呂のお世話とかしてあげたいもの!従者の世話は私がするってさっき言ったばかりだし。



「――嬢様」




 今頃つらい思いをしてるわよね。多分お腹も空かせてる。

 奴隷だから満足に食事も用意してもらえてないに違いないもの。

 お腹いっぱい食べてもらいたいけどいきなり思いきり食べると胃がびっくりしちゃうかもしれないから、シェフに頼んで胃にやさしいご飯を準備してもらいましょう。

 ……この世界に米があったら私、お粥作って食べさせてあげるのに。

 はい、あーんとかしちゃうのに!はぁ、早く行きた





「お嬢様!!」





 突然耳が痛くなるほど大きな声が聞こえて、慌てて耳を塞ぐ。いつの間にか私の横にはセレナがいてじっとこちらを見ていた。



「もう、突然大きな声出して驚くじゃないセレナ」

「突然ではございませんよ。先程から何度もお嬢様と呼んでるのにずっとにやにやと笑ったり、くるくると回りだして……何事かと思いましたよ」



 おっと、推しに逢える嬉しさから無意識に体が動いていたみたいだ。でも仕方ない、だって嬉しいんだもの!



「それで、何かあったのですか? 朝食から帰ってこられなくて心配していたのですけど」

「セレナ、今日買い物にいくことにしたの。セレナも一緒に連れて行くから準備して頂戴」

「まぁ、それはそれは。ではお嬢様もお出かけの準備なさいませんと。本日はどちらのお店に行かれるのですか?」



 セレナは笑顔で聞いてくれて、私は満面の笑みで答えを返した。



「奴隷商のところよ!」



 あまりに衝撃だったのか、セレナは笑顔のまま固まってしまったのだった。




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