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03


 あれからセレナに呼ばれた侍医が部屋を訪れて、ベッドに寝かされている私の身体を診た。

 

 どうやら私は庭にある木に登って足を滑らせて落下、頭を打ち一晩意識がなかったらしい。

 たんこぶは出来ていたけどそれ以外に怪我はなく、その後セレナからは何度も何度も大人しくなさってください!と雷を落とされた。



「私がリリアンヌで、リリアンヌが私」

 


 夜、誰もいない暗くなった部屋で一人呟く。

 

 あれから今日一日は休んでくださいとセレナに言われたから大人しくベッドに横になり一日を過ごした。

 もしかしてこれは壮大な夢なのでは!と意気揚々と昼寝をしたけど、起きても私はまだリリアンヌだった。

 


(頬つねっても痛かったもんね。流石に夢オチではなかったか……。あとこの状況で思いつくのは転生、かな)



 私はゲーム以外にも小説や漫画も嗜むオタク女子である。

 そんなオタク女子な私が今まで嗜んだ作品には乙女ゲームの世界に転生するものも含まれていた。寧ろ大好きなジャンルでした。

 


 そしてたくさん考えた末に、私は一つの結論にたどり着く。



「私、死んじゃったんだ……」



 きっと入浴した辺りで私の身に何かが起きて命を落とした。

 木から落ちて意識がない時に見ていたのは、前世の私の走馬灯のようなものだったのだろう。


 前世の両親や近所の人にはとても迷惑をかけてしまったに違いない。申し訳なさで涙が止まらない。

 だけどずっとめそめそ泣いてるわけにもいかないのだ。



「リリアンヌに生まれかわったけど、このままだとまた不幸な未来にしかならないわ!」



――そう、悪役令嬢の運命は常に死と隣り合わせなのだから。




 改めて現在の自分の状況を整理してみる。

 一度眠ると脳が整理されたのか、前世の私と今世のリリアンヌの記憶が両方とも私のものとなったからだ。

 



 現在の私は既に攻略対象である第二王子、エドガルド・シンパティーアと婚約をした後らしい。

 それはセレナからのとっても耳が痛くなるお説教でも、繰り返し言われたことだった。



「そして今の私の年齢は八歳。卒業式は学園最後の年の十八歳に行われるから……断罪まであと十年か」



 十年。

 言葉にすると長く感じるけど、きっとあっという間に過ぎる。


 その間に私は何とかして断罪される未来から逃れなければいけないのだ。

 

 

 

 だけど、今後の人生を考えていると何か大切なことを忘れてるような気がしてきた。

 

 幼い時のリリアンヌの情報は、ゲーム内ではそこまで出ていなかったはずなのに、何かが胸の中でずっともやもやし続けているのだ。

 



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