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アケルナルの終わり
「ジゼル様、本当によろしいのですか?」
「ララ、これは、あなたの望みでもあるでしょう?」
「最初は確かにそうでした。でも、ジゼル様、このままでは、あなただけが辛い思いをすることになる。」
明日は謁見だというのに、ララは往生際悪く、そう告げた。
あんなに怒っていたのに、そう笑うと、ララはばつの悪そうな顔をした。
ララは、人馬宮に、ジゼルを連れ出していた。
ラサルに会えるのも、これが最後だといわれてしまうと、ジゼルの足は自然と人馬宮に向かってしまった。
「だから、」
ラサルがいる草原に、会いたくて、会いたくないその人が立っている。
「だから、話をしたほうがいい。」
「……ひどいわ、ララ。」
小さなつぶやきは、誰にも届かなかったはずなのに、エマニュエルが振り返った。
「姫……」
最後まで、エマニュエルは、ジゼルを名前で呼ぼうとしない。わかっていたことなのに、胸がひどく痛くなった。




