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後ろ盾あれど1

 1521年10月村上氏の当主義清は朝廷より従四位下昇叙に伴い左衛門佐に転任。

家臣「殿。おめでとうございます。」

村上義清「うむ。父が亡くなり1年。建武以来続く中央との関係に問題はない。ただ……。」

家臣「ただ……?」

村上義清「幕府との関係が朝廷のようにならなかったのは残念でならない。」

家臣「はい。直臣になる夢は叶わぬままにございます。」

村上義清「まぁよい。もはや幕府の顔色を伺う必要もあるまい。自らの手で家を守っていかねばならぬ。」

家臣「……とは言え手当たり次第にぶつかっていますね……。」

村上義清「北は井上に高梨。東の海野に大井。更には長年辛酸を舐めさせられている小笠原と……。」

家臣「その小笠原の言うことを聞かなかったことが幕府との……。」

村上義清「守護大名の傘下にはなりとうない!!」

家臣「直臣になりたかったのでありましょう。そのお気持ち。重々承知しております。承知おりまするが殿。」

村上義清「なんじゃ。」

家臣「その小笠原が我が家に害を為そうとしたことは一度としてありましたか?」

村上義清「我ら信濃の国人の要求に応じなかったとき奴は武器を手に取ったのではないか。」

家臣「確かに。ただそれは小笠原を守護として認めないと言う無理難題であったからでありましょう。小笠原が信濃に来てかなりの年月が経ちまする。その間、我らを含め信濃国人の権益を脅かしたことはありましたか?」

村上義清「……無いな……。」

家臣「ですよね。」

村上義清「そうなるとなんだ。お前の言いたいことはこうか?小笠原に頭を下げよと……。」

家臣「いえ。そこまでへりくだる必要はありませぬ。小笠原は今。家の中で分裂しておりまする。」

村上義清「……と言うことは分裂している小笠原の中の1人との関係を強化すればよい。」

家臣「左様に御座いまする。」

村上義清「誰か目星はついておるのか?」

家臣「林城の(小笠原)長棟殿は如何かと……。」

村上義清「我らが今目指しているのは信濃北部の掌握。小笠原の居る中南部に手を拡げる気は無いから中部の林城に居る長棟殿と喧嘩する理由は無い。」

家臣「加えて小笠原殿の目は信濃の中南部であります故、林城の長棟殿にとっても背後の安全を確保したい。その背後にいるのが……。」

村上義清「我が村上家であると。」

家臣「左様に御座いまする。」

村上義清「……ただこれまでがこれまでであるからな……。」

家臣「昔は昔。今は今でありまするぞ。」

村上義清「わかった。長棟殿との関係を深めることと致そう。ところで……。」

家臣「何でござりましょうか?」

村上義清「あとの段取りは頼んだぞ。」

家臣「(……え!?)はっ!!!(……丸投げかよ……。)」


こうして長年村上家が一方的に抗争を続けて来た小笠原との関係は修復へと向かい、村上義清は小笠原長棟の娘を正室に迎えるのでありました。

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