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大将首は自分で守れ  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
プロローグ~……と言えども~
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下剋上の世と言えども

 応仁の乱により都での影響力を低下させた守護家とその一門を蔑ろにする動きが全国各地で展開されることになりました。『実力が全てを支配する世の中』と言われているこの時代でありましても全てが全てと言う事にはなっていなかったようでありまして……、東三河の事例を時系列で拾っていきますと


〇元々この地を治めていたのは関東公方の家臣一色時家。

〇1438年。時家の主君である関東公方と幕府が対立(永享の乱)。関東公方の家臣である時家を三河守護職一色義貫が匿っていると6代将軍足利義教から追討された義貫は自害。三河守護職は阿波国守護、細川持常が兼務。以後国内は一色派と細川派に分かれ対立することになりました。

〇1467年から始まった応仁の乱に際し、細川宗家と一色宗家が京で東と西に分かれたことにより三河においても代理戦争が勃発。11年にも及ぶ戦闘の結果、8代将軍義政により、一色家が三河支配を放棄することを条件に和睦。細川家による三河守護職が確認されることにより三河での応仁の乱は終わるのでありました。


 一色家による三河守護職放棄に伴い影響力を低下させた一族の一色時家をその家臣。波多野全慶が殺害。この動きは波多野全慶が単独で行ったわけでは必ずしもなく、一色時家は関東公方の家臣。一色宗家は応仁の乱での立ち位置は西軍。その応仁の乱の結果、三河の守護職を手に入れたのは東軍の細川家。その細川が管領を務める室町幕府は関東公方と対立をしている。その関東は未だ戦闘状態で関を越えて三河にまで影響力を及ぼすことは出来ない。この流れの中、細川家が波多野全慶を刺激し、関東公方の家臣である一色時家の殺害をそそのかしても不思議なことでは無い。波多野全慶にしても『管領である細川家の後ろ盾があるのなら』と野心を抱くことになってもこれまた不思議なことでは無い。1477年東三河は波多野全慶を中心に動くことになるのでありました。

 これにより波多野全慶による下剋上が成立したのでありましたが……。


〇1483年9代将軍足利義尚と関東公方が和睦。


 これにより波多野全慶と将軍家との繋がりを失ったわけではありませんが、将軍家との関係が修復されることになりました関東公方の家臣を殺した元部下と言う汚名が徐々に東三河地域を覆うことになるのであります。

 それから10年後。京で再び政変が勃発するのであります。


〇1493年明応の政変。


 1489年。9代将軍義尚に8代義政が相次いで死去。これを受け10代将軍に推挙されたのが足利義材。父・義視の後ろ盾のもと就任した義材でありましたが1491年義視が死去。以後独自路線を歩むことになるのでありましたが、そこで8代将軍の妻である日野富子並びに管領・細川政元と対立。彼らは将軍・義材が河内に遠征し、京を空けた隙を狙いクーデター。先の幕府と関東公方との対立の際、伊豆に下向させていた堀越公方の子・足利義澄を11代将軍に擁立。義材は越中へ落ちていくのでありました。以後、義澄が病死し、義材が12代将軍に復帰するまで。20年以上対立が続くことになるのでありました。

 その時、三河守護は管領細川の一族。三河は元々一色家の領域。当然、一色に思いを致す家臣も多い。その一色家を亡き者にし、東三河を領するのは元一色家臣であった波多野全慶。今は細川家の手前。静かにしているけれども錦の御旗があれば……。そんな中、足利家が2つに分かれた。細川と対立軸にある足利義材が細川家の領域を脅かそうとするのは自然な流れ。各所にスカウトが派遣され、立ち上がったのが牧野古白。互いに後ろ盾あるも、元は皆一色の家臣。裏切り者の波多野全慶は孤立を深め、同年古白は波多野全慶を破り、全慶は敗死。2年後、牧野古白は足利義材の旗頭に任命されるのでありました。


……と力のあるものが勝つ社会。下剋上の世と言えども

○○会社に勤めている誰それ。の○○会社が無くなりましたり、

何それ公認の。と言うのが無くなりましたりなんぞするのと同様に

その立場は即危ういものとなってしまうのでありました。

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