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信長様は神様がお好き

 架空の安土城での濃姫、織田信忠、森蘭丸、最後に織田信長も加わる会話で、最近の信長研究を私なりにまとめたものです。大体10話程度で完結させる予定です。

「失礼いたします。」

 森蘭丸が、お濃の方と織田信忠が待つ部屋に入ってきた。

「殿は、お客様様とのお話が長引いておりまして、申し訳ないが少し待ってもらいたい、とのことでございます。」

 蘭丸は、頭をさげ2人に言った。

「わざわざ、そなたを遣わせてと、我らに詫びるとは、相変わらず、殿は律儀よな。蘭丸殿、面をあげよ。」

 お濃の方は、笑いながら言った。蘭丸が頭を上げ、

「何の、お濃の方様はご正室、中将様は既に織田家のご当主。殿のご配慮は当然のことでございましょう。」

 美しい通る声で応えた。

「時に、今日のお客様はどなたじゃ?」

「本願寺の顕如様のお使いと鈴木孫市様です。はじめは、お使いの方からの蓮如様の教えを熱心にお聞きになり、その後は孫市様と鉄砲談義が進んでおります。」

「殿はそういうことが、お好きだからのう。先月は、関東の浄土真宗の老師がおいでなったということで、わざわざ丁重に、招かれて、そのお話をお聞きになったそうな。法華経や五山の方々もお招きになられ講義をお受けになったとか。神道の先生の、話もお聴きになられたとか。しかも、呼びつけるのではなく、近くに寄られたおりに丁重にお招きになる。」 

 お濃の方がほとほと感心されたということ顔をした。蘭丸がにこりとして

「顕如殿の前のご使者が、知識が不足で殿がご不満そうでしたので、孫市殿が顕如殿に助言され、今回知識第一の方をお送りになられたのでしょう。」

「顕如殿も、殿との関係をよくしたいのであろうな。もっと前に、そういう心構えをすればよかったものを。」

 お濃の方は満足そうに笑った。すると、

「母上。顕如殿も、使いの方が戻り、今日の殿とのやり取りをお聞きになれば、殿の高いご見識を知り、今まで誤解をしていたことをお分かりになるでしょう。ところで。」

 子供のないお濃の方は、信忠を養子とした。もちろん、信長の正室お濃の方への配慮であり、思いやりである。信忠も彼女を母として常に尊重していた。彼は、蘭丸の方を見た。

「南蛮のバテレンの話も、殿はお聴きになられているとか?」

 蘭丸は信忠の方に少し向き直り、

「度々、バテレンどもは来ております。殿も、彼らの話を聞かれるのが、お楽しみのようです。ただ。」

「ただ?」

 お濃が尋ねた。

「自分達の考えを押しつけようとする、他宗との争いを起こしたがっているのが困ったものだ、と嘆かれています。」 

「全く、海を越えても、そういう争いの無益さが分からぬのかの?殿は寛大だが、そういう争いを起こす、加担するのは許さぬのに。調子にのると叡山のようになるのだが。」

 彼女は、呆れ果てたという顔で嘆いた。


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