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第七話 解放

ガスティアの魔法と彩乃の魔法は互角。

互いの魔法はぶつかると同時に威力を相殺され瞬時に消滅する。

しかし、彩乃には余裕がなく、少しでも気を抜けば被弾して、一瞬にして、HPを削りきられるだろう。

対するガスティアは、あくまで本気だが、限界というわけではないことがその顔から見て取れる。

このままではこちらが先に折れてしまうだろう。

しかし、こちらは一人ではない。

彩乃に向かって放たれた魔法のいくつかが彩乃のもとにたどり着く前に消える。

蒼のジャッジメントだ。光の障壁に阻まれ、消滅する魔法。それはどれも火に関する魔法だった。


「蒼、そろそろ、、いい?」


彩乃は喋るのにも精一杯という状況。悲痛の声を上げる。


「多分大丈夫!それじゃあ行きます!」


蒼が目を閉じ集中する。長いようで短い間を瞑想に使用した蒼は眼を見開き大きく声を張り上げた。


「ジャッジメントタイム!」


蒼からガスティアに向け、大量の火属性魔法が一斉に放たれる。


「くっ、、。」


さすがというべきか、直撃しそうな魔法のみを選別し瞬時に相殺する。

しかし、少しはかすったのか、苦悶の表情を浮かべる。

だが、ガスティアもただ攻撃を防ぐだけではなかった。

相殺用にはなったものとは別に数発がこちらに向けてはなたれてきた。


「させません」


瞬時にエリシアが俺の前に立ちスキルにより防ぐ。

スキルにより強化された彼女のステータスは片手間に放たれた魔法では傷一つつけることすらかなわなかった。

より一層苛烈になる魔法合戦。

この空間には魔法しか存在しないのではないかと錯覚するほどの魔法の量だ。

さすがにこれほど派手にやればさすがにみんな気づくと思ったのだが、どうやらこの空間には闇魔法による認識阻害の結界があるようで、今この戦闘にかかわる者以外の気配がまるでしない。ただ一人を除いて。


「で、いつまでそこで隠れてるつもりだ?光」


先ほどから柱の陰でこちらをうかがっている光に声をかける。

瞬間物陰から一瞬肩が飛び出た。そこからばつが悪そうな光が姿を現した。


「いつからばれてた?」


「俺が倒れる直前お前の姿が見えた」


その言葉に光はやってしまったというような顔をして。


「その調子ならガスティアたちにもばれてたな」


「どういうこと?」


聞いたところによるとエリシアとガスティアがこそこそと移動していたので興味本位でついていったところ、何やら物騒な話し合いがなされていたのでそのままここで隠れていたということらしい。


「それなら十中八九ばれてるな」


まあ最初から聞いていたなら話は早い。そう思い協力してくれと頼んだのだが。


「俺も手伝いたいのはやまやまなんだが、手伝おうと考えるとその時点で体が動かなくなるんだ」


どういうことかわからなかったので観察。すると精神系の状態異常にかかっていることが分かった。


「とりあえず、光は戦力になりそうにないな。」


正常な状態ではないものを戦力として数えるのは難しい。


「そんなことない!って言いたいところだが、、、確かに無理そうだな」


光自身も自分の状況を理解しているようだ。

ここまででかなりのんきに話しているが、現状後ろでは魔術戦真っただ中である。

今も自分に向かって魔法が飛んできている。

しかし俺は今MPが切れているため何もできない。

守られる側はよほどのことがない限り、余計な事はしないほうがいい。

だが、MPもそろそろたまってきた。そろそろ潮時だろう。

闇属性の魔法を使い、自分の位置を誤認させるためのダミーを作る。

そのまま自分自身も姿を消しガスティアに対し接近を試みる。

が、こちらが見えているようにガスティアはこちらに魔法を飛ばしてきた。

瞬時に瞬発力と筋力を強化離脱を試みるも攻撃の余波に巻き込まれダメージを負う。

その時負った傷がたちまち回復していった。

俺は蒼を一瞥した。その片手がこちらに向いている。

正直わかっていた。自分が一番の不安因子だと。

それでも頑張っているつもりだった。エリシアから戦い方を教わり、MPを使って体を強化することも覚えて。

素振りだってしていた。基本を忘れないために。

ほかにも、、、、


『その思考はいま必要か?』


思考が強制的にシャットアウトされる。


『いま必要なのはなんだ?』


そんなの決まっている現状を打開する方法だ。


『わかっているなら無駄なことを考えるな』


そうだいま必要なのはどう打開するかだ。自分のことを考えることじゃない。

二度も俺の隠密が破られた。

一度目は俺たちがここにいるのがわかっているからだと思っていたが。

二度も見破られたということは別にからくりがあるはずだ。しかしそれがわからない今どうしようもない。

どうすればいいか。考えろ。考えろ。非凡なその頭を使え。

一か八か。全力でガスティアへ突撃を仕掛けるか。

サタンにしたのと同じように。

正直今の俺にはこのくらいしか思いつかない。

だが、さすがにそれでは二の舞になるだけだ。


『仕方ない。今回だけ特別だ』


先ほどから聞こえる謎の声。その声とともに世界が動きを忘れていく。

完全に世界が止まっているわけではないが思考だけが鮮明とし、時が止まったかのような錯覚にも陥る。

自分の体も遅い。これならできる。今まで考えていたができなかったことが。

ステータスを強化。遅い世界で自分だけがいつものスピードで動く。

跳躍して一気にガスティアに詰める。

あまりのスピードにガスティアも反応が遅れた。

ガスティアに一線。以前ルシファーにしたのと同じようなでたらめな攻撃ではなく、しっかりと狙った一撃。

しかし、ガスティアが間一髪魔法を展開、防がれてしまう。

魔法にいなされる形で俺はそのままガスティアを通り過ぎ壁に着地。

見た目のスピードはいつも通りでも、実際はもっと早いらしい。

それでも反応できるのは突然遅くなった世界のおかげか。

壁を蹴りまた跳躍。今度は彼でも反応できなかったようで腹部に浅い傷が入る。

少しの傷。しかし今はその小さな傷だけでよかった。

魔法が彼の喉元まで迫る。今の彼にその魔法を対処する余裕はない。

そのはずだった。確実に彼をとらえたと思われた魔法は、そこにあった彼のローブを吹き飛ばした。

しかし、彼の姿がそこにない。代わりに俺の目の前に見知らぬ男性の顔が大きく映る。

後ろに跳躍。しかし間に合わず突き出されたこぶしが撃ち込まれた。

跳躍の勢いも相まって、音を置き去りに雲をその場に起こして吹き飛ぶ。

地面に落ちることなく柱の1柱に激突。そのまま2柱3柱と柱を突き破り、壁に激突して勢いは止まった。

柱を失い天井が崩れる。彩乃が俺を中心にドーム状に土魔法を発動。即席の壁が崩落から彼を守る。

崩落は一部で止まり、すぐに終わった。ドームが消えた瞬間即座に回復の風に包まれる。

それとほぼ同時に俺の前にまた彼があらわれた。


☆――


何が起こったかわからない。

そういうほかなかなかった。

彼はどこから現れた?なぜ傀儡は吹っ飛んだ?

私にはまったくわからなかった。

とにかく、崩落しそうな天井から傀儡を守るため土魔法でドームを形成して守る。

崩落が終わり魔法にMPを送るのをやめる。

ドームが消え、傀儡が見える。相当ボロボロで、死んでいてもおかしくない。

すかさず蒼が回復させる。傷がみるみる治っていくところをみると、死んではいないのだろう。

安心したのもつかの間、傀儡の前にまたしても彼があらわれた。

そのままこぶしを叩き込もうとしていた。


「させない!」


しかし、突き出されたこぶしは光の壁に阻まれ、傀儡に到達する前に止まる。


「っ!待って、あなたの目的は?」


蒼が彼に質問する。


「目的?あんの忌々しい呪いを解くことだが?」


「呪い?」


「ああそうだよ!あの服の、、、、服?」


そういうと彼は少しの間黙り込んだあと、自分の姿を確認。

そして彼が口を開くとばつが悪そうに、


「あーーーーー。すまねえな。」


そういった。


☆――


その言葉を理解するのに少々時間を要した。

すまない。つまり敵意はないと。

つまり、俺たちの作戦は成功したと。


「あのへんな服のせいだ、、、つっても信じてもらえるかどうか。」


そもそも人が変わったことも異常だが、それ以上に彼の余りの強さに考える余裕はなく、

必然的にこの場から消滅したガスティアと同一人物だと思った。

あくまで俺の場合だが。


「そもそもあなたは誰ですか?」


そう蒼が問う。


「あ?ついさっきまで戦ってただろ?ガスティアだよ。まあ便宜上だがな」


そう名乗った彼の容姿は若く、背も低く、髪色も金色でガスティアとは全くかけ離れていた。


「そうか、あの服が無くなったから容姿も変わったのか。まあ説明するのもめんどくせえ。

全部服のせいってことにしといてくれ。」


全員が困惑している。

俺が事前に服に何かあるといっていなければ、信じる者はいなかっただろう。


「全然見た目違うわね」


「戦い好きじゃん」


「姿まで違うのは私も知りませんでした。」


まさに三者三葉、それぞれの感想が出てくる。


「言いたい放題言ってくれるな、お前ら。」


少しだけ和やかな空気が流れたが、そこにさらなる悪意が押し寄せた。


「皆さんお久しぶりですね」


「サタン!?」


「名前も覚えていただけいるとは。光栄ですね」


少し声色を上気させさも喜んでいるかのように見せるサタン。

しかしその顔に浮かぶ笑みは、能面のような感情のない表情だった。

おもむろにサタンが口を開く。


「ガスティア、いや、アスティア。あなたにはここで消えてもらう必要がある」


まるでガスティアがエリシアにしたように、今度はガスティアに光の矢が迫る。


「同じことなんてさせない!」


蒼が障壁を貼り、受け止めようとするが光の矢が衝突した瞬間障壁がきしみ、そのまま破れた。


「くっ!」


蒼が苦痛の声を漏らす。

しかし、一瞬勢いが殺されたことに変わりはなかった。

その一瞬で彼はその場から一瞬で後ろまで下がった。


「今まで言うこと聞いてたのに今更寝返るのか?」


「そもそもあなたの言うことを聞いていたのはそういうシナリオだったからです。」


もう一度光の矢が放たれる。

一瞬で到達するほどのスピードを持った矢は、一瞬で移動するガスティアの跡地に着弾する。


「全部自分の掌の上ってか?じゃあさっさと俺を殺してみるんだな!」


「別に私のシナリオではないのですが、まあいでしょう。あ、ちなみに外してるのは私の慈悲です。」


「負け惜しみかぁ?」


それぞれ無駄口をたたく程度には余裕を見せつつ一進一退の攻防を見せている。

ちなみに俺たちは傍観者になっている。

前のように動けないのではなく、単純に目の前の戦いに割って入るのが無理そうだからだ。一人を除いて。


「今はさすがにあなたたちと相手してる時間はありません」


そういうとサタンは彩乃のほうへ手のひらを向ける。

障壁を張る蒼。向けられた彼の手から障壁へ到達した光はやはり障壁を破り突き進む。


「‼」


それに対して彩乃は今サタンへと放とうと準備していた魔法を打ち出した。

またしても殺される光の威力。それでもなお光は止まらない。


「せいっ!」


そこにエリシアが割って入り光を受け止める。

いくら強いといえど、三度勢いを殺された光はさすがにそこで止まり、消滅する。


「はあ。やはりあなた方の相手をするのは骨が折れる。どうでしょう?ここはお互い痛み分けということで」


「はぁ?言い出した奴が一番に退場か。いいご身分だな!」


そういうが早いかガスティアはサタンに迫りその拳をふるう。

しかしすでにそこにサタンの姿はなかった。


「休戦した方がいい状況だと言っているのです。理解してください脳筋」


「ああ、時間か。わかった。それなら休戦だ」


何やら二人は示し合わせたようにやりあうのをやめる。


「計画は第一段階を終え第二段階に入りました。もう十分データは取れた。私は帰ります」


そういってサタンは消えた。


「てなわけでまずは自己紹介、ってわけには行けないらしいな」


そういってガスティアが向いた先にはダニエルがいた。


「な、、、なぜ、、、。」


逆に今まで人が来なかったのが不思議なくらいなのでおそらくサタンが何かしていたんだろうが、

サタンが消えた今、その何かが無くなって人が来たってところか。

ボロボロの場内集まってボロボロになってる俺たち、それだけであれば別に不審者を退治したといっても信じられるだろう。

だが、ガスティアの服が燃えて残り当の本人はいない。これがまずかった。


「自らの手で御父上を?まさかそのための召喚だったのですか!謀反を起こすための!」


かなり焦っているのか完全に俺たちがガスティアを殺したと決めてかかっているのだろう。

ガスティア自信と俺以外はまだダニエルがうろたえてる理由がわかってないようだ。


「よし、お前ら。多分これはどう頑張っても『変えられない』。逃げるぞ!」


「城内の起きているものはすぐ城門周辺に集まれ!休息をしているものもすぐにしたくせよ!」


何があっても逃がしてくれなさそうなダニエル。完全に入り口をふさぐらしい。


「ほ、惚けてる場合じゃない。王よ、緊急避難用の入り口で、、、」


「間に合わん。そもそもあれは城の一番奥。ここは入口。むしろ逃げれなくなるだろ」


エリシアの提案に対しガスティアはそう一蹴する。


「それに、目の前に出口があるんだ。正面突破が一番早いだろ。」


「そうか、傀儡の、、」


「そういうことだ。というわけで傀儡!俺たちを消してくれ!できるだろ?

 あ、俺たちってその柱の裏にいるあいつもな!」


巻き添えを食らう形で光がメンバーにカウントされた。


「なんで俺まで!?」


「仕方ないだろ?ここにいたのが悪い」


「そんな!?」


「というわけで傀儡たのんだぜ!」


まあそうなるだろう。瞬時に全員に闇魔法をかける。


「な!?ど、どこに行った!」


ダニエルが驚愕する。自分の能力を過信していたのだろう。

見失うと思っていなかったようだ。


「ダニエル様、全員到着しました。」


衛兵たちが展開しつつ、隊長格であろう人物が報告している。


「まだ遠くへ入ってないはずだ探せ!門も閉じるのだ!」


「だとよ。ほら、さっさと行くぞ!」


こうして俺たちは城から脱出した。

はい。すみませんでした。

すんごい遅くなりました。

正直、全然かけなくて逃げてやろうかと思ってましたが、何とか頑張りました。

本当にすみませんでした。

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