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第十話 フィリア・サリネ

いいことをしたら天国に行ける。

そんな話をどこかで聞いたんだ。

だからとは言わないけど人助けをした。

そのせいで自分は死んじゃったけど。

案外あっけない最後だったな―。

そう思いながら二度と開くことない目を閉じた。はずだった。

けれども、いくら待てども意識が消える気配がない。

目を開けると、見たこともない『いつもの』部屋で、ゆりかごに揺られてる。

あたりを見回すと、知らない母親がこちらに微笑みかけていた。

まるで分らない。

頭が混乱してきた。

今まで私は中学生で、友達が橋から落ちそうになっていて、それを助けようとしたら一緒に落ちてしまって。

気づいたら知らない場所で知らない母親に私が育てられている。

知らないはずなのに、母親だとわかるし、自分の家だともわかる。

まったくもって理解不能。夢なわけないし。

よし!決めた!わかんないなら考えても無駄!

流れに任せれば何かわかるかもしれないしね。

まあ、子供の体で何をできるでもないしね~。

って思ってたけど、待てど暮らせど何も起こらない。

そのまま平和に暮らしていくうちに第二の人生なんじゃないかとか思ってきたわ。

で、気づけば私は17歳。

どんな人生かはあまり聞かないで。

聞かれたら本気で人を殺す自信があるの。

まあ、オブラートに包んで控え目に説明すると、十歳の時自分が勇者であると発覚して、旅に行ってこいと村を放り出されまして。

てか半ば連行だったな、あれ。

村の人たちとか守ってくれてたんだけどねーどうにも国のお偉いさん方からやーさん的な脅し方されたらしくて、

仕方なくって感じ。両親は最後まで反抗してたけど、殺されちゃった。

ここ地雷ポイント1ね、覚えておいて。

さて、勇者とか言うならここで怒りに任せて覚醒!

なんてこともなく。抵抗むなしく私、連行されていくのでした。

そのあとさすがにただの子供を旅に出すのはまずいと思ったのか、訓練を受けることになりまして。

それがただの雇われ冒険者で、教えるのが下手なくせに厳しいのなんの。

子供を守る法律どころか人を守る法律すらなさそうなこの場所で、人権保護なんて概念ありません。

てな具合にかなり痛めつけられてねー。全身あざだらけ。

でも勇者の力なのか次の日には元通り。

そのせいで余計厳しくされた気がする。

てか2,3回死にかけたっけ?まあ、いきなりただの町娘がそんな劣悪環境で生きていけるはずもなく。

どうにか逃げ出そうとしたけど、さすがに子供一人じゃあ逃げられなかったの。

やっぱつかまっちゃうよねー。多分あの時が一番死ねたと思う。

ていうか多分あの冒険者女殴る趣味あるでしょ。

私のこと殴るときやけに嬉しそうだったし。てか、きもすぎて目そらしてたけど、あれ立ってたわ。

もう本当に嫌だった。だけどある日、突然あいつがあたしのことをほめだしたのよ。

すっごい満面の笑みでご褒美上げるとか言ってきて。

いやな予感しかしなかった。

訓練が終わった後あいつに連れられて城の一室に入ったわ。

完全に拷問部屋だったわね。器具とかいろいろそろってた。

あとはお察しの通りよ。やっぱ女殴るのが趣味よあいつ。

俺にされていやなわけないだろ!とかいいながらもうそれはそれは壮絶。

むかつくことに顔はイケメンだったから多分そういう女がすり寄ってきてたんでしょうね。

勘違いやろうってやつ。ガチでムカついてきた。

思えばあれもターニングポイントね。

え?内容?年齢制限かかるからだーめ。

というわけで何も起きないはずもない夜を超えた。

ここ地雷ポイント2ね。1よりももちろん威力高いから気を付けてねー。

あ、ちなみにその男の行動は問題にならなかったわ。

私が誘いましたって言わされたから。

いやー、痴漢で抵抗できない人の気持ち初めて理解できたわ。

自分は大丈夫ってやっぱどこかで思っちゃうものなのね。

そしてここから私は変わった。手段を選ばなくなったの。

あいつのせいで色欲魔に仕立て上げられた私はそれを利用したハニートラップで城を脱出。

ガチで男って頭蒸発するのね。

外に出てからは、超スペクタクル。

ここでもあいつに教えてもらったことが大活躍。

むかつく奴だったけどあいつのおかげでここまでやってこれたわね。

嫌いなのは変わらないけど。てか一種のトラウマね。

で、まず何したかっていうと冒険者ギルドに入った。でもそのままだと勇者だってバレる。

だから、ちょ~と汚い手を使ってだまっていてもらったわ。

汚いやり方ならあいつにいくらでも教えられてた。

ガチで引っかかりすぎて怖かったわ。

んで働きまくった。働きが認められたらおそらくギルマスも不正をもみ消すでしょう。

と、思ったんだけど、どうもバレるのが私の想定よりちょっと早かったみたい。

ギルマスに呼び出されて問い詰められて。

私は情報戦をしようとしたわ。

職員にしたことの噂を聞いた男どもがいろんな情報を私に流してくれたからね。

情報だけはあったから。

流石にただ働きさせすぎてそろそろ爆発しそうだったけど。

それで、自己PR。

こんな人材なかなかいないよ~?とかいろいろ。

まあ失敗しちゃったけどね~。

ほかにもいろいろしようとしたけど点でダメ。

流石、マスターって感じだったわね。堅物だった。

唯一の救いは、ちょっとは自己PRが認められてた点

ギルドの犬になることを条件に勇者だってのは隠してもらえた。

もちろんギルドを追い出されることもね。

まだ十歳ちょいの子供の頭っで大人に勝とうなんて無理があったってことね。

現実そう甘くはない。ってね。

ちなみに犬になってからの仕事は辺境村の救出だったわ。

魔物に脅かされてピンチになった村の救出。

私の能力が転移系だからってこき使いすぎじゃないかしら?

んで、村を守ったはいいものの、余裕がなくてピリピリしてるのか、飛んでくるのは感謝じゃなくて罵声や石。

誰のためにやったと思ってんだ!って激おこぷんぷん丸だったわ。

ここ地雷3ね。今までのより断然軽いけど。ちゃんと感謝はしましょうね?

で、そこから四年間ずっとこんな感じ。

この間ず―――っとあるやつのことを考えていた。

そう。あたしが助けたあの女。

友達じゃない。女よ。あんな奴赤の他人。

あいつが橋から落ちそうにならなきゃこんなことにならなかったのよ。

あいつが死んだかどうかは知らないけどもし生きてたらいっぺんぶっ殺したいわね。比喩じゃないわよ。

でも多分無理よねー。だって生きてる世界が違うもの文字通りね。

以上昔話終わり!

で、今はなぜか目の前に傀儡がいるんだけど。

あたしの、前世?のほうの小学生の時の幼馴染なんだけど、、。

何でこんなとこにいるか聞きたくても、今は話せるような空気じゃないし、終わるの待とうかと思たけど時間もない。


「傀儡ちょっとごめんねーMP半分くらいかして!」


☆——


MPを貸して。そんな言葉に豆鉄砲くらったような顔になってしまった。


「MPって貸し借りできたっけ?」


「普通はできないけど私の能力ならいけるの。ささ、じゃあ半分借りるねー」


「ちょっ、、ま、、」

俺の静止の声もむなしく吸われていくMP。

一秒くらい吸われた時点で千佳が違和感に叫ぶ。


「ちょっと待って!?あなたどんだけMPあるの?もう1000も吸ってるわよ!?」


「だから待てって言ったのに。あと四千はあるぞ。」


「うそでしょ!?」


五秒後、気分の悪そうな千佳が目の前にいた。


「さっさとこのMP使い切らないと体がもたない、、、!!」


そう言って彼女はこの場を去ろうとした。


「ちょっと待て、どこに行くつもり?」


「あいつをさっさと倒すのよ。見たらわかるでしょ?」


「そんな調子でか?」


「いいから黙ってみてればいいの」


そういうと彼女は立ち止まりピクリとも動かなくなった。


「さっきはよくもやってくれたわね、、、!!」


そういうや否や彼女は衝撃波と雲を引き連れ一瞬でドラゴンのところまで飛んで行った。


数秒後、ドラゴンの巨体が力なく倒れ、その方面から彼女が返ってきた。


「ね、言ったでしょ。大丈夫だって」


今の光景を目の当たりにして、俺は目を疑うことしかできなかった。


「それと、あたし時間無いからこれで行くね。ばいばーい!」


「あ、ちょっ、、」


また、声をかける暇もなくいってしまった。

まるで夢でも見ているようだったが、アスティアが返ってきて今のは何だ!?と問いただしてきたので、

かろうじて夢ではなかったのかと認識できた。

何が起きたか理解できていなかったアスティアに今までのことを説明する。


「助けたお礼もなしってか?せっかちな奴だな。」


まったくだと言おうとしたとき服の中に何かあることに気づいて取り出してみた。

それは小さな袋で、中に紙と少しの白金貨が入っていた。


「私の今の名前はフィリア・サリネ。もう一人の人にもよろしくね!あと、村の人は全員避難してるから安心して。」


「せっかちなのは否定しない」


「なるほど。金と紙で感謝の意をね。口頭で伝えろってんだ」


「多分またすぐ会えるよ」


「なんでだ?」


「なんとなくそんな気がするんだ」


同時に厄介ごとも起こりそうな気もしていた。


☆——


おいてかれてたみんなも追いついて、ひと段落ついた。


「で、もしかしてこれは休めない感じね」


彩乃が肩を落としながらあたりを見回す。


「別に休めないことはないでしょう。ここはちょうど開けてます」


「もう国境は越えているからな。多分もう追ってこないし大丈夫だろ」


二人は野営する気満々のようだが、


「すみません、、。私が、、持ちそうにありません。」


「ですから、休憩を、、、。」


「多分ここで休憩しても、わたしの疲労は取れないと思うんです」


閉じ込められていたこと、ステータスが激しい動きに適しないこと、

突然の状況を考えると、とっくに限界が来ていてもおかしくはない。


「先生、回復魔法を、、、」



「ありがとうございます。蒼さんの回復魔法には精神疲労を回復する効果もあるんですね。

少し楽になりました」


幾分かましになったが、それでもつらそうな顔をする先生。


「俺が背負いましょうか?」


光の提案に先生は苦笑いしながら


「大丈夫です」


といった。

先生は固くなに背負われることを拒否していた。


「もし立場とか、そういうの気にしてるなら、、」


そこまで言っていた光の肩をたたく。

振り向く光に首を振って見せた。


「やっぱ何でもないです。でも、なんかあったら言ってください!何でもしますから」


その言葉に先生はそっと微笑んだ。


「しかし、そうなるとどうするかだな」


「仕方ありません。次の町までどうにかするしかありません。もう少しだけ頑張れますか?」


「行けるとこまで行ってみます。こんなとこで立ち往生なんて、ほんとに死んじゃいますからね」


「じゃあ、もういっちょ頑張りますか!」


アスティアの気合の入った掛け声に全員呼応するように気を引き締めなおした。

ちょっとした書き溜めがあったためこのスピードで出せましたが次はいつになるかわかりません。

できれば待ってくれると嬉しいです。

それでは。

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