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寵愛昂じて  作者: 初雁
4/4

四編

よう。

続きだろ?

分かってるよ、話すって。




夫を喪った彼女だったが、棲み家も継いで、

毎日を過ごしていった。


そしてそのうち、まあ勿論なんだが、新しい命が産まれたんだ。

ドラゴンとひとの合の子、いわば竜人、ってとこか。

あのひとと同じ、男の子だったらしい。

彼女は我が子の温もりを、肉親として喜んだが、

同時に夫も思い出されて、少しばかし淋しくもなった。

でも彼女は、かつての夫と同じように、愛情を籠めて育ててやった。

ドラゴンを、といっても竜人だがな、育てたのは始めてじゃあなかったからな。


幻竜類の血を引く子だから、大きくなるのも速かった。

すくすくと育って、小さかった角も立派になっていったんだ。

幻竜類は元々賢いドラゴンだし、ひとの子でもあるから、

言葉も喋れるように育ったそうだ。

時には彼女が、父親のドラゴンについて語り聞かせたりした。


だがな、異種間の子だ、そううまくはいかないよな。

子どもは生まれつき体が弱かったんだと。

しょっちゅう咳き込んだし、大きくなると、

咳で血を吐くようになっちゃった、と聞く。

覚えた言葉もろくに喋れないほどの咳さ。

ドラゴンってのは強い生き物だ、そう簡単には死にはしない。

子どもも例外じゃあなかったから、意識を失うとか、そんなことは

一度もなかったらしい。

しかしそれが母親にはかえって辛そうに見えるんだ。

大きくなって咳が酷くなって、呼吸も大変だからな。

そんな我が子を看病する内に、薬草を集めるのも上手くなった。

皮肉なことさ。


そんな苦しそうな子どもを見てると、彼女は時々、

「自分は間違ってるんじゃないか」

と、そう思うようになっていった。

私がドラゴンを愛していなければ。

私がドラゴンを見つけたりしなければ。

そうすれば、自分の目の前でもがくこの子は、こんなに

苦しい思いをしなくて済んだんじゃないか。

そうして彼女も、ドラゴンとひととの愛を、疑い始めてしまったんだ。


そんなある日。

彼女は、子どもに違和感を覚えた。

そう、何故かその日は、子どもが少しも咳き込まなかった。

代わりに、何時もよりもずっと長く眠っていたんだ。

でも寝息は聞こえたし、鼓動も感じられた。

不思議に思ったが、深く疑うことはせず、そのままにしておいた。

そうして彼女も眠ってしまった。


夕方。

彼女は目を覚ました。

そしてすぐ、目の前に立つ人物に驚いた。

我が子だったんだよ。

咳で立つこともままならなかったのに。

やっぱり今日のあなたはおかしい。

そう言おうとした瞬間、遮られるようにして、

彼、ドラゴンとひととの子どもは、話し始めたんだ。




「母さん。今から僕が話すことはとても信じがたいかも知れないけど、しっかりと聞いていて欲しいんだ。


僕はこれから死んでしまうだろう。

息絶えて、もう二度と目覚めはやってこないだろう。

嵐の前の静けさ、ってやつだよ。

今だけは、母さんと話していられるんだ。

だから。最期に、伝えたいことがある。

話させてください。


母さんはどうやら僕を産んだことを、そして、

ドラゴンを愛したことを、悔やんでいる。

そうでしょう?

でも僕は、そんなに思い悩まないで欲しいんだ。

確かに僕は産まれてずっと辛かった。大変だった。

でも僕は、母さんの子どもに、母さんと父さんの間に産まれて、

とても良かったと思うよ。

とっても嬉しい。

だって、母さんと父さんは、ドラゴンとひと、

違うものたちの間で、愛し合ったんでしょう?

そんなの、素晴らしいことに決まっているじゃないか。

そんな尊い愛、他にはないと僕は思うよ。

そして、そんな二人の間に産まれてこられた僕は、

どんなに幸せな子どもなんだろう。

ずっと、そう思って生きてきたんだ。

だから。

母さんには、父さんや僕が居なくなっても、

ずっとドラゴンとの愛を大切にして、その胸に、

強く誇っていて欲しい。

そうしたら、いつかきっと。

母さん達のように、思い悩むひとは、

きっとこの世界には居なくなるから。

誰もが、自由な愛を、誇っていられる世界になるから。

こんな簡単なことで悩むひとは、僕達で最後であってほしい。

それだけだよ。


母さん、僕は行くよ。

父さんに会えるといいな。」




こうして子どもは天に昇った。



君に話せるのはここまで。

続き?一応ない。

でもあっても悪くないかもな。

それは君の自由だよ。

だって、もう世界は自由だもの。


冗長で唐突でかなり拙かったかもしれませんが。

有難う御座いました。

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