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第5話 決闘

しかし、俺はそこで肩を掴まれた。



「おい! お前リーカス様にどう取り入ったかは知らんがダークウルフだぁ? しかも、ルドラ様にも会って調子に乗るんじゃねえ!」




 はあ。て言うか、絡まれることは無いんじゃないのかよ? まあ、典型的な噛ませ犬だな。


 俺がそんな事を考えていると、コソコソと話し声が聞こえてきた。


「おい。あれ、Cランクのアンドレアじゃねえか?」


「あの女、死んだな。あいつ自分でも勝てないダークウルフを持ってきたからイラついてるんだろ」


 へー。こいつ、Cランク冒険者なのか。だがダークウルフとやらに勝てないことから見ると、雑魚なのでは無いか?



 いや、断言しよう! 雑魚だ。何せ、俺はダークウルフなんて狩った記憶も無いくらい弱かった。




「おい、女! 俺と決闘をしろ。降参するか気絶した方が負けだ。負けた方は相手の言うことを絶対に1つ聞く。それでいいな?」



 アンドレアがそう言うと彼の仲間のような奴らが円を作った。その円に沢山のギャラリーが集まる。



 どうやら冒険者ギルドのど真ん中で戦うようだ。


 俺は「血の気が多いって怖いね〜」と呟く。


 そして、アンドレアの申し出に答える。


「何だっていい。それで、ワンワン吠えるのはいいがもう始めてもいいのか?」



 少し挑発すると、



「女がいきがってんじゃねぇ!!」



 などと言ってきた。全く女だからって侮るなんて人間としてどうなんだ? 男女差別とは戴けない。少し癪に触ったので本気で倒す。


 俺が「ぶっ倒す」と呟くと、レアは「ふぇえ、ライリーさまも血の気が多いの」と言って来た。


 何も言い返せない。


 まあ、そんな事よりレアを安全な場所に連れてくのが先だ。


 俺は、ニヤニヤとしながら出てきたルドラにレアを預ける。


 そして、俺達は対峙する。アンドレアは鋭い目付きで俺を睨んでいる。怒りで興奮しているようだ。


 ただ、俺を殺す気は無いようだ。拳と拳での戦いをするつもりだ。



「お前は今からそのいきがってるやつに負けるんだよ!」



 その言葉を我慢出来なかったのか、











 アンドレアは俺に殴りかかってきた。馬鹿なやつだ。近接戦闘は俺の得意分野だ。





 遅いっ! アンドレアの右ストレートが空を切る。 俺はアンドレアの頭に蹴りを入れる。だが、



「かかったなぁ!【身体強化】!!」



 アンドレアの動きが急に早くなった!



 くっ! 足を掴まれた! そしてアンドレアの【身体強化】が乗った蹴りが俺の頭に当たる。


やばいっ! 意識が飛びそうだ。だが、これで諦めると思ったか!



「【肉体増強】! 喰らいやがれ!」



足を掴まれた? ならばそれを利用すればいい話だ!



俺は掴まれた足を軸にしてかかと落としをする。



「ぐはぁ、お前やるな……」



 アンドレアは俺の足を離してしまう。だが戦意は高い!



「「きめてやる!」」



 俺たちは殴りあった。しかし、お互い倒れない。



 俺はアンドレアの足を蹴り飛ばす。



 アンドレアも俺に蹴りを入れる。



 アンドレアの怒りの鋭い目付きは何時しか純粋に戦いを楽しむような、小さい子供が新しいおもちゃを見つけたような目付きに変わっていった。



殴られては殴り返し、蹴られては蹴り返す。



 俺達はお互いにボロボロになっていた。しかし、 実際は違う。俺はゴーレムの肉体の為、物理攻撃が残る事はないのだ。



 つまり、俺は一瞬で意識を刈り取られない限り負けない。



 しかしタフなやつだ! ボロボロになってもまだ倒れる気配がない!




 近接戦闘はこいつも得意分野らしい!だが、そこで俺は1つ策を思い付いた。



「【身体強化】!!」



「……お前なんで俺の技を」



「企業秘密ってやつだ!」



【肉体増強】に【身体強化】を掛け合わせた俺にアンドレアは追いつけない。



「これで終わりだぁ!」



俺は【肉体増強】と【身体強化】を乗せた拳でアンドレアを殴り飛ばした。



「や、 やるなぁ。俺の負けだ……」



 そう言ってアンドレアは倒れた。だが、その表情はどこか満足気だ。









「ライリーさま、すごいのー!」



 目をキラキラさせながらレアが言ってきた。



「ありがとな」



 しかし、雑魚だと思って戦ったが割と強かったな。ちょっと調子に乗って「断言しよう! 雑魚だ」とか言ってた気がするが……うん! 気のせいだ!



 すると、最初に円を作ったアンドレアの仲間は、




「おいおいアンドレアに勝っちまったよ……」



「なんだよあの勝負……」



 そう言って周りは唖然していた。また絡まれたら迷惑だからここで少し釘を刺しとくか。



「お前ら! 裏で散々言っていた様だが、まだ言うなら決闘を受けてやるよ!」



 俺はそう言い放った。まあ俺が少しニヤニヤしているのはご愛嬌だ。なにせ裏でグチグチいってたやつだ。気にはしてなかったが少しはイラついてた。



 そして、冒険者達はみるみる青くなっていく。その様子はまるで毒を飲んでしまった姿の様だ。






「ライリー、久しぶりにみたら随分とやらかしてるな」



 ん?誰だ? そう思って後ろをむくとそこにリーカスが居た。



「ああ、リーカスか。ただ俺は降りかかった火の粉を払っただけだよ」



「正直、君にこんな力があるとは思わなかったよ。アンドレアは近接戦闘ではBランクレベルだよ? それにルドラとルーから聞いたけどいきなりC+ランク冒険者だって? そんなこと人生で始めて聞いたよ」



「「「「はぁ!?」」」」



 ギャラリー達の声が重なった。こいつら芸人にでもなれるじゃないか?



「ちょっと待てよ! こんなちっこい女の子がC+?」



「え? 間違いだろ? いや、間違いと言ってくれ!」



「君達は狼狽えてるようだけど事実だよ。それに、この子達は学園で特待生として入学するらしいよ」




「おいおい特待生って……まじかよ」



 まあこれで絡んで来るやつは居なくなったかな。ラッキーだ。



「所でライリー学園は明日からなんだろう? ここに居ていいのか?」



 ん? どういう事だ? もしかして……



「ちょっと聞いていいか? 冒険者学園って、どこだ?」



「やっぱり君は常識知らずだな」



 そう言いながらリーカスは苦笑いしていた。



 だから神だから仕方ないんだって!



 ただの言い訳だって? ちょっと黙ろうか。



 俺がそんなことを考えながらむすっとしてることに気がついたのか、



「あー、ごめんな。別に責めてるわけじゃないぞ? ただ珍しいと思っただけだ」



 と言ってフォローしてくれた。


 うん。これはフォローだ。うん。リーカスなりのフォローなんだ。決してバカにしてる訳では無い。



「別に気にしてないよ。それで、どこなんだ?」




「王都って場所なんだか、ライリーは王都って知ってるか?」



 流石に俺もそんくらいは知ってる。確か王様がいる所だ! 全くバカにするのもいい加減にしてくれ。勿論、場所は知らないが。



「ライリー王都はなここから3時間はかかるぞ? 今から急いで行っても着くのは夜中だ。それに、始めて王都に入るのには行列に並ばないといけないぞ?」



 しまった……冒険に夢中ですっかり忘れていた。




「リ、リーカスは行き方を知ってるか?」



 俺は慌てながら聞いた。初日から遅れるのはひじょーにまずい。



「んー、そうだな。俺も王都に用がある。付いてくるか?」



 おお! なんと! いやーリーカスは本当にイケメンだな。俺が心まで女だったら惚れてるかもしれないな。




「リーカス、本当にありがとう!!」



 もうこれからリーカスのファンになっていいかもしれない。(そのつもりが全く無いのは内緒だ)



「いいってことよ。じゃあ行くか?」



「お、おい! ちょっと待ってくれ! いや、待って下さい!」



 アンドレアが急に起き上がって引き止めてきた。急過ぎてアンドレアは看病してくれていた人に頭突きをブチかました。



「俺はお前に負けた。そして何でもすると言った。今お前が死ねと言ったら死のう。だから、決闘して情けをかけるようなことはしないでくれないか?」



 アンドレアはやっと落ち着いて俺にそう話しかけて来た。


「あと、女だからと侮ったのは許してくれ! 虫がいいのは承知だが、気が昂って思ってもいないことを言ってしまった! 本当に申し訳ない!」


 アンドレアはそう言って、今度は地面に頭突きをかました。


こいつは割と良い奴なのかもな。いい意味でも悪い意味でも真っ直ぐだ。 あっ! いい事思い付いた!



「分かった。謝罪も受け取る。まあ、死なれても困るし命は要らない。ただ、俺に一生忠誠を誓え。お前は俺の部下だ」



「そんな事でいいのか?」



俺はこいつを気に入った。それに面白いし。



「ああ。いいぞ」



「私の忠誠を生涯貴方に誓います! この命尽きるまで!」



「ああ。アンドレアお前の忠誠を受け取ろう」



 てな感じで、また配下が増えてしまった。まあ、国を建国するらしい。人は多い方が良いだろう。しかし……




「「「「俺達の忠誠をお受け取り下さい!!!」」」」



 とアンドレアの仲間の奴らが言ってきた。ボスのボスには忠誠を誓わなければなどとよく分からないことを言っていた。



「ああ。受け取ろう。しかし、半端な態度は許さないからな?」



「「「「「ははぁー!」」」」」



 合計20人はいるだろうか。そんなつもりは無かったのに行きがけに急に配下が増えてしまった。


 しかし、こいつら全員を王都に連れて行く訳にはいかない。決してむさ苦しいのが嫌という訳ではないと言っておこう。



「お前らに始めての仕事を与える。俺はこれからやろうとしている事にかなり人手がいる。なので、お前らは俺の配下を増やせ。


 力自慢の者も良いが、頭脳派も必ず必要だ。先ずはこれをこなして自分の有用性を示せ」



「「「「ははぁー!」」」」



「レアは先輩なのだ! みんなよろしくなのだ!!」



「「「「はい! レアちゃん!」」」」




「アンドレアお前には選択権を与えよう。俺と一緒に王都に行くかここに残りコイツらを指揮するかだ」



 まあ俺としてはどちらでもいい。一緒に行ったら面白そうだし、パシリが居たら楽だなーと思ったから誘ってみた。



「ライリー。いや、今はもう俺のご主人様だからライリー様か。私はここに残りこの野郎共を指揮したいと思います。理由はどうせコイツらに任せてもろくなことにならないと思うからです!」



 アンドレアには振られてしまったか。確かこいつ等だけじゃ不安だしな。今も「ボスぅ〜そりゃー無いっすよ〜」とか言ってるし。



「分かった。ならお前にはこのムーンの街を任せよう。次、俺が来た時ガッカリさせないでくれよ?」



「勿論でございます! 必ずや期待に応えます!」












「リーカス、済まない。少し待たせたか?」



 俺はリーカスを待たせてることを思い出した。



「いや、ちょうどこっちも準備が終わった所だ」



 本当にイケメンだな。所でどうやって行くのだろう?



「リーカス、そう言えばどうやって行くんだ?」



「俺の【空間魔法】を使う。これで王都の前に一気に行くぞ。そう言えば荷物は無いのか?」



【空間魔法】か……使ってみたいな。



「俺は荷物は無いな。レアはあるか?」



「レアも無いの!」



「そうか。なら行こうと思う。手を繋いでくれ」



「【空間魔法】転移」










目の前には俺の知らない世界が広がっていた。真っ白な世界だ。



「すまん。そこ壁だ」



ここで序章は終わりです!

次からは王都でのお話です!

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