ありし日
年末なのでさささーっと書いちゃいました
『暇ななぁ......』
ここは、ありし日の神界。ライリーとご主人様の日常。
「あら、貴女が喋るなんて珍しいわね。いつもは寝ているのに。今日はどうして起きているのかしら?」
『あ、おはようアンヌ様。どうしてって言われても、目が覚めたからとしか。でも、起きてもする事ないんだよなぁ。ふわぁああ、また寝ようかなぁ?』
「ふふふ。全くもう、どうしようもない子なんだから。起きてもする事が無いのは、ライリーが人型にならないからよ?」
『だって、練習するのめんどくさいんだもん』
「あらあら。全く、困った子だわ。随分とお寝坊さんだし」
『あれ? ボクそんなに寝たかなぁ? アンヌ様、ボクどのくらい寝てた? 100年くらいじゃないの?』
「きっちり計ってた訳じゃないから正確じゃないわよ? でも、ざっと300年は寝てたわよ。ライリー」
『わぁ、ボク随分と寝てたみたいだね』
「あと、ライリー」
『んー? どうしたのアンヌ様ぁ?』
「ライリーが人型にならない理由。練習するのが面倒臭いからじゃ無いの私、知ってるわよ? というか、ライリー人型にはなれるでしょ」
『ありり、ボク秘密にしてたんだけどバレてた?』
「ライリーの事で私が分からない事なんて無いのよ」
『流石はボクのご主人様だね、アンヌ様』
「うふふ、そうかしら。所で人型にならない理由、私に教えてくれないかしら?」
『あり? 知ってるんじゃないの? アンヌ様』
「なんとなくは分かるけど......きちんとライリーの口から聞きたいわ。もしかしたら私の勘違いかもしれないし、もし悩みがあるならお手伝いしてあげたいし、ね。でも、お悩みとかではないでしょう?」
『アンヌ様、よくお分かりで。ボクが人型にならない理由は単純明快! 髪の毛とか、服とか、肌の管理? とかよく分かんないし、全部面倒臭い!』
「あらあら。そんな所だろうと思ったわ。ライリー、私がやってあげるから人型になってはくれないかしら? 私、ライリーの可愛い姿が見たいわ。それに、ずっと話しやすくなるし。それって素敵だと思わない?」
『うっ、確かに。いちいち【念話】を使うのも意外と面倒臭いし......全部やってくれるのは魅力的。むむむ』
「それに、人型になれたらライリーの頭を撫でてあげる事も、ハグだって出来ちゃうわ!」
『......ゴクリ。よーし、仕方がない』
『我、ライリーが命じる。理の書【人間形態】』
「どお、かな?」
「......はえっ? あらあらあらあらあら! ライリー、貴女ったらとっても可愛いじゃない! もうっ! なんで今まで人型にならなかったのかしら! もったいないわよ!」
「えへへ、そーかなぁ? ぅーえいっ!」
「はわわわわわわわわわわ。可愛い。可愛いすぎるわぁ。もうっ、胸に飛び込んでくるなんて、ずるいわよ! 可愛すぎるわ!」
「んーふわぁあ。アンヌ様の匂いだぁ」
「もうっ、ライリー。匂いなんて恥ずかしいわ」
「んー? でも、いい匂いだよ? なんか、安心する匂いがするっ!」
「そ、そうかしら。ライリーの髪の毛もサラサラで絹みたいよ?」
「ふわぁあ。頭撫でられるのって、こんなにいいものだとは。至福。アンヌ様、もっとやって。でも、髪の毛の事はよくわかんないや」
「ふはーっ! 満足。満足。あっ、ねぇねぇ。アンヌ様そう言えば、ボクたちの人間界はどんな感じになってる?』
「うふふ。ちゃんと人間界のことを気にしてくれるのは嬉しいわ。貴方も成長したのね」
「......べ、別に。まぁ、これがボク達の唯一の責務だからね。って、そんなことより、アンヌ様。人間界はどうなったのさ!」
「じゃあ、一緒に見てみるのはどうかしら。素敵だわぁ。すぐに準備するわ」
「我、アリアンヌが命じる。理の書【世界の水晶】」
「ふぉぉぉぉ。すごい! きれい! ......ってわぁ! なんか写ってる! 見てみて、凄いよ! なんか写ってる!」
「これは【世界の水晶】と言って、私の権能の1つよ。私達が創り上げた人間界をこの水晶で映すことができるの」
「凄い......ボクが寝てる間に結構発展してるね。ねぇ、アンヌ様。このおっきいのなに?」
「これはお城ね。人間の偉い人がここに住んでるの。王様って言うらしいわよ」
「ふーん。その人間、強いー? 前に威張ってたヤツは人間の中では強かった気がする!」
「強さで偉さが決まる訳じゃないのよ。でも、ライリーの言う前に威張ってたやつの子孫が代々王様をやってるから、人間の中では強いと思うわよ」
「ほへぇ〜そうなんだぁ。にしてもすごい豪華なお家。こんな家、広過ぎてどこに何があるか分からなくなりそうだなぁ。ボクはこんな所住んだら落ち着かなそうだし。あっ、またおっきいのがあった! これは何ー?」
「あらあら、これは貴族の御屋敷ね。王様の次に偉い人達がそれぞれ住んでるのよ」
「王様より偉くないから、あのでっかいのよりは小さいのか」
「うふふ、概ねその認識で合ってるわ」
「〜ふぅ! 面白かった。ふわぁああ、なんかねむくなっちゃった」
「ふふふ、じゃあライリー。一緒に寝る? 人間形態だったら、一緒に寝る事も出来るでしょう?」
「......!!! うん!」
「おやすみなさいライリー。いい夢見るのよ」
「ふわぁああ、頭撫でられるのすきー」
「ふふふ、少し経ったら起こしてあげるからね。安心して寝なさい」
「ふぇぁ? わかったぁー。すみぃ......」
「ッ! ......可愛いわぁ。この子、人型になる前も十分に可愛かったけど、人型になってより可愛くなったわ。ホントに目に入れても痛くないとはこの事だわ」
「すぅー、すぅー、すぅー、ふわぁあもっとなでてー。すぅー、すぅ」
「頭撫でられることがそんなに気に入ったのね。可愛い子なんだから」