閑話 バレンタイン記念ss
バレンタイン11日前に投稿するアホ
ここは冒険者ギルドのある一角。依頼を成功させ、酒という刹那の快楽に溺れる者共が集まる場所だ。そんな場所に似合わない集団が何か話していた。ライリー達である。
見てくれは可愛い彼女は、むさくるしい男どもが飲んだくれているこの場所では余りにも浮いていた。連れているメンバーもメンバーである。幼女に、若い娘が二人だ。浮くに決まっている。
彼女たちがここにいるのにはとある理由があった。
「バレンタインなのー!!」
「ばれんたいん? レア、それって何のことだ?」
「ライリーさまはしらないなの?」
「うん。これっぽちも」
ライリーはぽけーとした顔で首をかしげる。対照的に、レアの顔は太陽のように明るい。そんな様子の二人を見かねてマチルダはライリーに耳打ちする。
「ライリー。バレンタインはお菓子をプレゼント。そういう日」
「待って、つまりレアは俺からお菓子を貰えることを期待してるとか、そういう感じ?」
「……? 準備してないの?」
「いや、バレンタイン自体が初耳なんだけど」
マチルダは信じられない、といった目でライリーのことを見た。バレンタインほど有名な行事を知らないとは思はなかったのだ。というか、知らないなんて言っているのは冗談だと思っていた。
しかし、ライリーの目を見ると。うん。分かりやすいほどに動揺し、あわあわしている。
そんなライリーの様子を、そして期待の目をこちらに向けてくるレアを見てマチルダは天を仰いだ。「マジで、どしよう」と。
「ライリー。いまなんかもってない?」
「ちょっと待って。確認する……あ」
「何があった!」
「えっと、なになに……来年はちゃんと用意しなさいよbyケイリー」
こうして、ことしライリーはバレンタインという難を逃れたのであった。
めでたしめでたし。