ご主人様を探していたらいつの間にか犯罪者になってました
お待たせしましたああああ
「なぁ、リアム先生よ」
「あぁ? なんだぁ急に改まりやがって」
俺は、おもむろに箱から剣やら盾やら人形やらを取りだし始めたリアム大先生に、ふと思った事を聞こうと話しかける。
リアムは、箱から物を取り出す作業を続けながらこちらを鋭い眼光で見据えてきた。
うん、なんでこういちいち怖いのかな?この人は。
あと、その箱ツッコンでいいのかな?? 明らかに箱以上に大きいモノ出てきてるんだけど??
「あのさ、俺どうしてここに連れ去られた訳?」
俺がそう聞くと、ものすごく「今更?」と言いたげな目で見られた。
「......お前、今更?」
あ、口にもだされました。そんなに褒めなくても〜てへへ。
あ、ごめんなさい。あの真顔で剣を振らないで下さいものすごく怖いです。俺が悪かったです。ふざけてごめんなさい。ゆるひてええええ!!
「チッ、まあいい。馬鹿なお前でも分かるように説明してやる」
「息をするように罵倒された」
「始まりはな、リーカスの野郎がテメェを連れて王都に入ってきた事だ」
「え、待ってガンスルー?」
「るっせえ!!! テメェは黙って説明聞けねぇのかアァ!? ふざけないと死ぬ病気なのかそうなのか!? ......はぁ」
あ、本当にごめんなさい。あの、僕の場を和ませようっていう心遣いなんだよ?本当だよ?
俺が心の中で必死に弁明していると、リアムは、頭をガシガシとかいて大きなため息をついた。
うん。もうしません。真面目に聞きます。
「世界ひろしといえど、魔王リアムにここまで溜息をつかせたのは俺が初めてなのでは......って、あ」
反省したそばから思いっきり声に出てましたね。
あんなに怖かったリアムも諦めの目、いやむしろ哀れみの目で「あぁ......こいつはダメな子なのか......」とか呟いてる。
リアムは、ゴホンっと咳をして説明を続けた。
「もう、簡単に説明するぞ。テメェらブレークハーツはこの国から実質的な指名手配された。捕まったら即、首チョンパなアレだ。俺達、学院はそのドアホ共を匿うために地下に押し込んだ。俺は牢屋にぶち込んどけばいいと主張したんだがな......。そしてドアホ共が自力で逃げられるように鍛えようとしているんだ。まぁ、俺の憂さ晴らしも含めてボッコボコにしてやるから覚悟しとけよ。......これで理解したか?」
うん。どう考えたら理解するのでしょうね?
いや、待て待て待て待てーい。
まず、まずだよ? どうして俺ら指名手配されてんだよ!しかも捕まったら即、首チョンパなあれってなんだよ!ギロチンだね、知ってるよ!見たことあるよ!グロかったよ!てか、いちいち物騒なんだよ!
あ、なんで見たことあるかって?この王都よくやってんだよ!元引きこもりの俺としては物騒すぎる文化に驚きだよ!
あれ待てよ、ギロチンって基本的に魔族と結託とかそういう類の容疑の時に使われるんだよな......?
わあああああおお! やっべ、心当たりしかないのだが!?
レアってそもそもゴブリンだから魔族だし!? なんか俺、絶賛魔王のお使い(?)のために迷宮行こうとしてるし!? やっべぇよ......知らないうちに死刑モンの犯罪者になってるじゃんかよ......。
「まぁ、流石に俺だってテメェが魔王なんかと関わりがあるとは思ってねぇ。基本的に魔族との結託の罪で死刑っつーのは他国に言えねぇような罪を犯したような貴族や都合の悪ぃ平民を粛清するための方便みてぇなもんだ。何知ったかは知らんし聞きたくもねぇがテメェらは後者だな。ま、だからギロチンなんつー甘い殺し方なんだがよ」
ごめんなさいね、リアムさん。これ、本当にの意味のほうだと思うんだわ。
俺ってめちゃくちゃ魔王の関係者だし、なんならゴブリン配下に居るから魔族だ!!って言われてもあんま否定出来ないんだわ。
てか、まずくね!?
ライリーは、ここに来てようやく自分がかなり危機的な状況に居ることに気付くのだった......。