第24話ギドナ組討伐 ケイリーvsアウター 前編
キィーン
折れた剣の刃が飛ぶ。
「ズスッ」という音を立てて刃は地面に突き刺さる。
俺の魔剣は…
傷1つない
ウィンピアは状況が理解出来ないのか、折れた細剣をブンブン振り回す。
「ウィンピア、降参しろ。そしたら、お前の命は取らないし、王国にも差し出さない。ただ、俺の配下になれ」
そう言って、俺は魔剣をウィンピアの首筋に添える。
「あ、あたいの仲間はどうなるんだい! フッドも!」
「言っておくがフッドは洗脳なんてして無いからな? それにお前の仲間だって俺の配下にしようとしてるだけだからな?」
そう言うとウィンピアは唐突にお小遣いを貰った子供の様に驚き、顔をほころばせている。
「そ、それは本当かい! 嘘じゃ無いだろうね!」
しかし、それは警戒心で直ぐに威嚇的な顔に変わってしまった。
「ああ、それにフッドは傷1つ付いてなかっただろ?」
俺がそう言うと
「ああ、確かにそうだったね」
そして、ついには……
「良かったよぉぉ、あたいは不安だったんだ。あいつらは、あたいの弟みてぇな奴らだったからぁぁ……」
そう言うウィンピアの頬には涙が零れる。
確かに不安だったのだろう。自分が殺される不安、仲間も殺される不安。
フッドが言っていたが、ウィンピアはギドナ組の連中から姉御と呼ばれて慕われ、ウィンピアもギドナ組の連中を実の弟のように愛していていたそうだ。
実の弟が殺されるのは姉として許せなかったのだろう。
「人間の命は重いんだ。そう簡単に奪って良いものじゃ無い。それは人の人生だって同じ事だ。お前らは多くの人の人生を奪って来た。それは覆りようの無い事実だ」
ウィンピアは後に続く言葉が気になっているのか生唾を飲んだ様に見える。
「だがな、そんな事どうだっていいんだよ。罪? そんなの知らん。そんな物その辺に捨てとけ」
俺がそう言い切ると、ウィンピアは驚いたのか目を見開いて、ポカーンと口を開けている。
「過去の事なんて振り返るな。今から出来る事を考えるんだ」
そう言うとウィンピアは5秒位脳をフリーズさせて、そして内容を理解したのか忙しなく聞いてくる。
「あ、あたいに出来る事はあるのかい?」
「取り敢えずお前らの仲間の所に連れてってくれるか? 説明は纏めての方が楽だ」
決してめんどくさかった訳では無い。それに、レア達の戦いも気になるし。
「承知だよ! でもな、多分仲間が転移した先は結界で外からは介入出来ないかもしれないが良いか?」
まぁ、元々レア達の戦いに介入するつもりは無かったから別にいい。
ピンチだったらその結界とやらをぶち壊すけど。
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そこは、暗い倉庫のような場所だった。しかし、ただの倉庫では無い。
高く、そして厚い壁。地面に書かれた魔法陣。1番に鉄格子がその場所の異様さを物語っている。
そして、その異様な場所には二人の人影があった。
ケイリーと槍使いのアウターだ。
2人は直ぐに武器を取り、睨み合った。
緊張感が高まり、静けさが訪れる。
そして、アウターが静寂を破る。
「君はケイリーだったかな。君程度がおいと刃を交えれるとでも思ったか? 君はおいの槍の錆となるだけだ。」
「私、口だけの男は嫌いよ。そんな安い挑発をする位ならその槍で語りなさいよ。お里が知れるわ。」
その一言に、何も入らなそうな堪忍袋に緒が切れたのか顔を真っ赤にし、捨て台詞を吐く。
しかし、ケイリーもこう挑発したが、ケイリーからは一筋の汗が流れていた。
理由は簡単だ。
相手が圧倒的な格上で、倒せる確証も無ければ、むしろほぼ確実に負ける相手だからだ。
態度には表さないが、体は正直に緊張を表しているようだ。
「ああ、そんなに死にたいなら、ちゃーんと殺してる! ズッタズタにしてなぁ!」
ケイリーはアウターのその言葉にゴクリと唾を飲む。
そして、アウターは槍で刺突を繰り返す。
ケイリーは距離を取るが、逃げた先にあるのは壁だ。
しかし、槍から放たれる刺突攻撃にケイリーは近づけずに居た。
どんどんと追い込まれていく。もはや、ケイリーには巻き返しが付かないようになってくる。
「ふん! 口ほどにも無いやつだな! その刀は飾りかぁ?」
「ええ、そうよ」
「……は? 今、『そうよ』って言った?」
「結構私ピンチねぇ。もしかしたら、皆の応援で変わるかもね。
応援はブックマーク、評価、感想、レビューなんでもいいけど1つでもしてくれると嬉しいわ。
感想は本当に一言でも良いのよ。例えば『レアは天子』とかでもね。
ブックマークは面白いとおもったら、評価は下にスクロールしたら出来るわ。
じゃあ私を応援してくれると嬉しいわ、またねー」