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第18話 ライリーvsフッド 後編

反撃開始だ!!



今度こそ正々堂々戦って勝ってやる!!



 俺は〝全身〟を確認する。俺は付喪神だ。あらゆる物に付く神なのだ。自分の体には拘りはないのだ。



 その事をよく分からない声のお陰で思い出した。俺は今、後方の警戒の為に残しておいたゴーレムに【憑依】している。



 ゴーレムを倒れさせた理由は警戒を解くためだ。



 しかし、今は後悔してる。





 だって地面汚いんだもん!!





 ここが裏路地だって事を忘れていた。薄暗い道だけらまだいい。でもここはホコリまみれだし、ネズミもいる。



 え?ネズミとチュウチュウすればいい?マウストゥーマウスで?やかましいわ!!



 まぁ、そんな事は置いといて、俺は今からの戦いの為に1つ【魔法書】から魔法を用意する。使うタイミングが無いことを願うがな。



全身の闘気を拳に纏わせる。





ドカーン!!



パラパラパラ…




 俺の闘気とフッドの炎の剣の魔力がぶつかり合い、衝撃波が起こる。




 クソッ、フッドの死角を狙ったが防がれた!



 え?正々堂々はどこに行ったかだって?



 はぁ、分かってないな。



 全力で倒そうとすればそれは正々堂々って言うんだよ!つまり、不意打ちも何しても正々堂々なのだ!!



「お前、誰だ?ライリーつうクソ女のゴーレムじゃねえのか?」



「俺か?俺はな…」



 どうしよう?まぁ、なんだっていいか!



「ゴーレムDだ!!」



「は?アホなのか?」



 全く、酷いやつだ。これだから裏組織は嫌だ。ゴーレムDという名前には深ーい意味があるのに。きっと。俺が指導しなくてはいけないかもしれないな。



 ん?今凄くいい事を思い付いたぞ。こいつら確か、ボスも一緒にいるとか言ってた気がする。



 ボスに勝ったら俺が裏組織のボスになれるのではないか?王様も面白そうと思ったが裏組織の王様も楽しそうだ。



 そうと決まったら全力で倒さないとな。



「【魔法書】起動。【空間魔法】転移」



 俺はフッドのみを連れて転移した。これで黒髪に邪魔されずに一対一で戦うことができる。


 本当ならさっき逃げるのに使いたかったが、この魔法は準備に時間がかかり、魔力を練ってる間に斬られただろう。



 場所はリーカスといつも使っている豪魔地帯の草原だ。まぁ、転移すると言って思い付いた場所がここかカナディアンの森しか無かっただけなんだがな。



 卒業したら色んな国を周ってみたいな。獣王の国に賭博の国に龍王国に鍛冶の国に……色んな事をしてみたい。



「なんでここに居るのかは置いといて、だ。お前、剣も持たずに俺に勝てると思ってるのか?」


「え?」


 ちょっと待て?えええええええ!無い、無いよぉ!


 俺は今、猛烈に慌ててる。何回腰を触っても無い。剣が無い。それはもう、リアムの座学に筆箱を忘れた時並に慌ててる。


 あれ?たかが筆箱なのに剣忘れたのと同じって…嫌、俺は何も考えてない。



《…はぁ、心配した私がバカみたい。せっかく力も借りてクリアにやり取りが出来るようにしたのに。


 まぁいいわ。【創造】魔剣!!あ、ちょっと力使い過ぎたかも…


 後はライリーが…えーブッタだかフルーツだか…忘れたけど勝った後に…伝えるわ。》



 なんか謎の声に剣をもらった。よく分からないけどこれで戦えるな。



 ちなみに、こんな事を考えながら俺はフッドと捕まったら死亡の楽しい楽しい鬼ごっこをしていた。


 剣が無いとわかった途端に迫ってきたフッドから逃げるために闘気を足に集中させて、逃亡していたのだ。



 全力の逃亡も楽しかったが戦うか。



「やっと止まった。っておい!お前、何時から剣を持ってるんだよ。」



「うーん気づいたら?」



「疑問系で来られてもこっちの方が困るんだが。」


 ごもっともだな。まぁこれ以上の会話は不毛だ。



 剣での会話と洒落込むか。



 そう言えば剣もモノだ。【憑依】できるのか?



《可能です。また、【憑依】に込める魔力分だけ武器の耐久力が高まります。しかし、武器が破壊された時マスターは深いダメージを負うことが予想されます。》



 できるのか。なら、やってみるか!壊されなきゃいい話だしな。


「【憑依】」


 魔剣だからか魔力に馴染むのが早いな。



 フッドの胸に向けて剣を走らせる。



 しかし、それは炎の剣によって阻まれる。



 それは、まるで阻まれると決まっていたかのように。



「ライリーのやつもそうだったがお前は、何故か身体能力が高い。

 

 ただ、圧倒的に足りないものがある。技術だ。相手の剣が来る方向を読む技術、悟られない様にする技術、魔力を滑らかに使う技術他にもあるが何もかもが足りない。


 俺が人攫いなんてしてるのは、戦いが好きだからなんだよ。勿論人間と、な。」



 なるほどな。幾ら斬り込んでも斬れるビジョンが見えないのはこれが理由か。確かに俺は今能力のゴリ押しで戦ってる節がある。



 だが、戦っていたら掴むものもあるかも知れないしな。今では前のように一方的に倒されるだけではない。



 斬り込む。防がれ、カウンターが来る。カウンターを防ぎ、また斬り込む…





 どれだけ続いただろうか。1分かもしれないし、10分かも知れないし、1時間たったかもしれない。



 無限のように感じた時間に変化が訪れる。



「へっ、とんだ幕切れだぜ…俺の命を取るのは構わねぇが…俺の部下だけは勘弁して欲しい…」



 こいつがボスだったのか。今更だが驚いた。それに誰がこいつを殺すか。こいつは俺の剣術指導に内定してるんだ。



 フッドの剣の炎がどんどんと弱々しくなっていく。


 そして、炎が消えたと同時にフッドはピンと張っていた糸が急に切られたようにパタッと倒れた。



「魔力切れ…か。」


 俺は拳を握りしめる。


 悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい!!


 自分の手で倒したかった。こんなのズルしたようなもんだ。俺が神だから魔力が多くて勝っただけなんだ!



「もっと強くなりたいな…」



 もし、レアがここに居たら守れた自信が無い。


 俺は世界を平和に、とか大層な事は考えられない。神としては駄目なのかもしれない。だが、俺は大切な人を守る、それだけでいい。


 だが、それには大きな力が必要だ。俺は神でも魔王でもレアを守るためなら殺す覚悟はある。後は実力を付けるだけだ。




「らぁぁぁいぃぃぃぃりぃぃぃさぁぁぁまぁぁぁ!!」



 変な声が聞こえると思った時にはレアが俺に抱きついていた。



あ、ヤバい。



 俺はレアが飛びついてきた衝撃で倒れた。戦いのダメージが残っていたのだが、レアに一気にKOされたのだ。



 今回の俺とフッドの戦いの勝者はどうやらレアのようだ。


 




「ふっふっふー!そこの読んでくれた君!面白いと思ったらぶっくまーくをするの!!


 え?もうしてる?それなら下にすくろーるをしてひょうかってのをするの!!


 えへへーこれでぶっくまーくとひょうかが増えたらライリーさまに頭なでなでしてもらえるの〜


 今から楽しみなの!」



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