第9話手紙
「何だよこの手紙……」
俺の手紙入れに溢れるほどの手紙が入っていた。
えーっとラブレターかな? 俺はワクワクしながら手紙を開けてみた。
同性から貰ったラブレターでも面白いから嬉しいしな! あとご主人様を褒められた気分になるし!
その手紙に書いてあったのは……
《果たし状》ライリーに告ぐ! 私と決闘しろ!
シャルル
そう殴り書きしてあった。
随分とユニークなラブレターだな! うん! 情熱的で好戦的なラブレターだ!
予想と真逆の内容で、ただでさえ大量の手紙に驚いていたのにさらに驚いた。
それはもう現実逃避をしてしまう位。
言葉を失い、また固まってしまった。
そして内心で文句を言う。
おい! ラブレターじゃなかったのは置いといて何でシャルルなんだよ! 一応教師だろ? 生徒に決闘を申し込むとか何を考えてるんだよ!
そう言えばルドラが君は明日から学園に行くから絡まれることは無いみたいな事を言ってたのはどうせ学園で決闘を挑まれるからか……
そもそも、この学校には《決闘》というシステムがある。何でもアリの勝負で勝った方が相手の言うことに従うというものだ。
だがこれは2年生からだった筈だ。一年前から予約とか超人気じゃん。勿論、全然嬉しくないが……
しかも、相手は教師だ。そもそもの問題として、生徒vs教師ってルール的にありなのか? まぁ、アリだから挑んでるのだろうがな。
1年生は校内でのあらゆる戦闘行為が禁止されている。1年に禁止されている理由は単純に対人戦をするには技量が足りないからだ。
俺は1年間絶対に負けないように努力をするか。 先生だろうと負けるのは絶対に嫌だ。勝つためならなんだってするぞ!
だがそれにはまずは戦闘法の確立が必要不可欠だ。 俺は何で戦いたいのだろう? 〝拳〟か? 〝剣〟か? それとも〝魔法〟か? 他にも色々ある〝鞭〟〝槍〟 〝弓〟 〝棍棒〟などだ。
確実に〝魔法〟は使いたい。
その為にもリーカスに教えて貰いに行ったんだ。 後は……〝剣〟かな? よし決めた! 俺は〝剣〟と〝魔法〟を使った戦闘法にする。
俺がそんな事を考えていると、
「ライリーさま、どうしたの?」
とレアが上目遣いで聞いてきた。可愛いなぁレアは本当に俺の心のオアシスだ。
レアを撫でると、気持ちよさそうに口元を緩めている。
その後、決闘の事を話した。するとケイリーとマチルダはリーカスに会った驚きから帰ってきたのか、
「と言うか《決闘》なんて始めて知ったわよ」
などと言ってきた。まぁ、まだ説明されてないからな。知らなくて当然だ。
え? お前は何で知ってるかって? ふっふっふー! 俺には【天啓】がいるのだ! 困った時に質問すれば答えてくれるのだ!
《それは間違いです。私の能力でも見ていない物の理解、解析は不可能です》
こんな感じでな! もう困った時の【天啓】だ。まぁ、見てない物を理解しようとする時なんてほとんど無いから超有能スキルだ。
「……ライリー、大丈夫?」
マチルダは心配してくれたようだ。
だが俺は平気だ。むしろ一年後の戦いにワクワクしている。なにせ言うことを1つ聞かせられるんだ。今から楽しみでニヤニヤしている。
「俺は大丈夫だよ。心配ありがとな」
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夜中の部屋に1人の影があった。
私はまだ眠れなかった。日中の出来事のインパクトが大きすぎたからだ。
「は~ぁ、マチルダはぐっすり寝てて羨ましいわねぇ」
ケイリーはそう言ってため息をつく。今日あったことは印象的過ぎた。
まず、ライリーが聖と魔の魔力性質を持っていたり、教師から《決闘》を挑まれたり、極めつけはライリーが付喪神でレアちゃんがホブゴブリンだそうだ。
もう頭が真っ白になってレアちゃん可愛いしか言えなかった。
私は正直不安だわ。みんながどっか遠くへ行ってしまうのではないか? 皆から置いてかれるのでは無いか? みんなに限ってそれは無いと思うけど……
って! 何弱音を吐いてるのかしら! そんなの私が強くなればいい話だわ!
私はいずれライリー達の足でまといにならないように強くならなくては!
その夜私は誓をたてた。
あ、次の日寝不足で寝坊したのは内緒よ?