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59話 特訓開始

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 イザベルの出す糸を鑑定してたところ、やはり上質な虫糸であった。

 MP消費にて生成されるというのも確認。シンクレーンの放水と同じ扱いなのかもしれない。

 これで布関係のクラフトがかなり進む。次になにかあるとすれば染色ぐらいだ。


 なにしろ巨大ロボサイズなので出てくる量も多く、消費したMPに対するコストパフォーマンスも高い。

 素材としてだけではなく、糸とは名ばかりでワイヤー以上の強度を持っており、1本でイザベルスパイダーの重さを支えることができる。

 我が家が出現したあの巨木が繁る森ならかなり有効に使えるだろう。


「クモの巣を張れば飛行する敵への対策もできるな。網を作ることができれば相手の動きを封じることもできそうだ」


『編み物ならまかせて』


 クモ型をマキにゃんに選ばれるだけあるのか、イザベルスパイダーが脚4本を器用に使って糸を編んでいく。

 俺は詳しくないのだが、アヤトリなんかやったら強そうだ。


「イザベル糸はもういいだろ、あいつらを鍛えねえと」


「そうだった。グレーシャン頼む」


「はいはい。それじゃお前ら、軽く走るぞ。あの目印のとこをぐるっと3周だ」


 グレーシャンが指差した目印は、生徒たちが変形訓練であまり遠くに行かないように作ったものだ。

 現在はただのポールだが布増産の目安が立った今、より目立つように旗にしてもいいだろう。


「普通の形の時にどれぐらい動けるか知りたい。変形してあたしについてこい。マシンナリィ!」


 ポールの内側を目いっぱい使うようにグレーシャン先頭の巨大ロボット集団がランニングしている。うわ、巨大ロボがあの数で走るとけっこう揺れるな。

 グレーシャンは鈍い灰色のマシニーズだった。重装甲ながらけっこう高速で走っているな。


「ここからじゃ見えにくいな。塔に入ろう。中なら揺れないはずだ」


『わかったよ』


 ランニングに参加していないイザベルも変身解除してついてきた。この塔は大きく、耐震構造になっているようで揺れは全くない。

 修復が済んでいる2階へと上ると、窓から生徒たちの姿が見える。まだ低いが下よりは見やすい。


 キントリヒの上を逆さピラミッドが浮きながらついていくのはシュールだ。あれ、MP消費してるよな?

 あの上から指示を出すのもアリかもしれない。パラシュート必須になるが。

 実際に使った感じでは、すぐに開いて減速したので必要な高度も低くて済む3B仕様の高性能パラシュートだったからなんとか助かるだろう。


「いつの間にかグレーシャンが後ろで走っているな」


「あの子たちを見るためだよ。グレーシャンはああ見えて将軍だからね、指導には慣れているんじゃない?」


 ()将軍だとグレーシャンは言っていたけど、それにはツッコまないでおく。

 それよりも指導慣れしている人が味方についているのだから、それを喜ぼう。

 俺なんかよりもよほど8組の担任に向いていそうだ。

 特訓をほとんど任せられそうで一安心。


「これも女神の導きってやつなのかね?」


「さあ? でも8組が1組に試合で勝つなんてなったら、みんなはそう思うだろうね」


「勝つさ。そのためにイザベルも力を貸してやってくれ」


「任せてくれ。あの子たちには私の……出来損ないの未来がかかっているんだから」


 よし。ベテランのマシニーズ二人のコーチがいれば今日の特訓は問題ないだろう。

 これで安心してクラフトに移れる。


『コズミ、みんなの分の剣はないかい?』


 ランニングが終了して、生徒を並べてなにか指導していたグレーシャンから通信が入る。

 さっそくクラフトの依頼だ。


「ちょっと待ってくれ。すぐに用意する」


『わかった。じゃそれまでは……腕立てと腹筋だな。これはできないやつもいるから、無理はするなよ』


 グレーシャンの指示で腕立て伏せを始める生徒たち。デザイン上の関係でたしかにできない子もいそうだ。

 っと。見ている場合じゃなかった。さっさとマシニーズサイズの剣をクラフトしてしまおう。

 試合で使う剣のサイズがわからないから、アオイが使っている剣と同じ物でいいか?

 だが訓練で使うのだったら純鉄の方がいいかな。


 純鉄の巨大な剣が人数分クラフトできた頃、巨大ロボによる腹筋も終わっていた。

 腹筋運動の方ができる子が少ないようだ。

 これは、柔軟体操をやらせるのもいいかもしれないな。

 身体を柔らかくするというのではなく、自分の可動領域を把握するという目的で。


「できたぞ。生徒たちはアイテムボックスから出せるから受け取ってくれ。純鉄の剣(マシニーズ用)ってやつだ」


『わかった、これでいい?』


『そんなこともできるのか? ……ああ、これでいいよ。練習で使うにはちょっと立派すぎるけどね』


 シャイニーブルーから受け取った剣を軽く振るグレーシャンロボ。灰色の機体に銀色に輝く剣が映えるな。


『コズミ先生のスキルだからパートナーなら使えます』


『ああ、そういうことね。……マジで全員ちゃんとしたパートナーになってるとか、さすが伝説のスウィートハートってことかね』


『コズミはスゴイ』


「他に必要な物があったら言ってくれ。用意しておく」


 ないならば、生徒たちの着替えをクラフト……盾もなのね。それもいくつかバリエーションをつけて、か。

 四角いのと丸いの、笹カマボコみたいな形なの、思いつくままにクラフトしていく。材質は純鉄だ。鉄鉱石をシャイニーブルーで大量に採掘しておいてよかったよ。


 俺が盾をクラフトしている間は素振りでもしているのかと思ったら、もう戦っていた。

 破れてもいい服を指定していたから、こうすることは予想していたがこんなに早くか。

 それもシンクレーンとシラユリ相手にグレーシャンが一機(ひとり)でだ。

 ……いや、3年全員と戦っていたようだ。ワカナロボがいなくて、他のロボ生徒たちのそばに生身の姿があった。

 よく見れば肌色の面積が増えている。ボロボロのスカートから覗く脚が……あまり見てはいけないな。


 急いで着替えをクラフトすることにする。

 鎧を調整した時のデータを頼りに彼女たちのサイズに合わせるとして、どんな服を作るかだが。

 うーん。ジャージでいいか。これなら着やすいだろう。

 イザベル糸を素材粉にしてクラフトしていく。染色してないので色は白のみ。試作型らしくていいだろう。


 出来上がった頃にはシンクレーンも倒されていて、シラユリのみが戦っていた。

 ……シンクレーンの服も派手に破けていて手で隠しているけど、あの爆乳は全然隠しきれていない。


「シンクレーン、ワカナ、着替えを用意した! 近くの生徒は渡してやってくれ。ジャージだ。各自に合わせてクラフトしたから名前を確認して渡してくれ」


『わかりました!』


 と、着替えをアイテムボックスから出したのは1年のヒワだ。

 コーチのおかげでこんな特訓になったが、そうでなかったらヒワにも飛行を試させたかった。サベージュの謝罪もあったからすぐには無理かもしれないが、飛ぶ気になってもらいたい。


『こ、コズミ先生、これボタンがなくて、前が閉まらねえんだけど!』


 その場で着替え始めた二人の生徒を覗くわけにはいかないと、視線を逸らしていたらシンクレーンからそんなことを言われてしまった。

 見れば、ジャージのチャックが閉められなくて、見事な谷間を晒してしまっている。若いからか下着もないのに垂れることなくその存在を誇示するとは。

 ワカナの方もシンクレーンほどではないが……イカン。見蕩れている場合ではない!


「ジャージの上の下の方に金具があるだろ、それを組み合わせて上に持ち上げるんだ」


『上の下を……上に? わかんねえよ!』


「あ、ええとだな……わからなかったら塔にまで戻れ、俺が説明する。誰か運んでやってくれ」


 生徒のお色気シーンに気が動転した俺は上手く説明することができず、そう指示を出してしまった。

 クルミダが変形したブルドーザーのブレードに乗った二人を1階で待ち構えて、チャックの閉め方を説明する。


 よく考えればアオイにはチャックの閉め方も教えていたので彼女に説明してもらえばよかったのだが、この時はそれに気づかなかった。

 二人の谷間を至近で見たかったわけではない。断じてない!


 ……間近で見るとさらに大きいな。



読んでいただきありがとうございます

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