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26話 マイナスレベル

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 衝撃の事実に打ちひしがれるアオイちゃん。


「おいしいゴハンが作れると思ったのに」


「マイナス3くらいならすぐにマイナス分を外せるのではないかと思うのだが?」


「これはきっと私に料理をするなという神の意思」


 むう。

 3Bにはマイナスレベルのスキルなんて存在していなかったから、そう言われてしまってはどうフォローすればいいか迷う。


「だけど、将来結婚した時に旦那さんや子供に料理を作ってあげられないと困るだろう?」


「う……コズミは料理できるから問題なし」


「俺?」


「私はコズミのお嫁さんになる!」


 もしかして俺はプロポーズされてしまったのだろうか?

 しかも自分が料理できないからという理由で!

 ……いや、女学生の言うことを真に受けてどうする。からかわれただけだ。


「俺は結婚なんて夢は見ていない。もうちょっと長生きしたいだけだ」


 大型アップデートした3Bを堪能したい。

 新しいパーツで基地やロボを造りまくりたい。

 そのためにはまだまだ死ぬわけにはいかないのだ。


「わかった。エリクサーが手に入れば長生きできる。だから夢を見て」


 でも、お高いんでしょう?

 マキニャンが用意してくれるとは言ってたが。


◎◎◎◎◎◎

ゴっさん > ふん。エリクサーと引き換えにコズミんを嫁にするつもりか

ロっキー > コズミんはオレの嫁!

サったん > ワガハイのだ!

オーどん > 重婚MODが入っているのだ。揉める必要もあるまい

コズミ > なんでそうなんの?

◎◎◎◎◎◎


 3Bがアップデートされて結婚が実装された時を思い出すなあ。

 あの時はフリートのみんなが争い始めたのもあって、無難にNPCと結婚したんだ。

 俺の他にもフリートの男はいたけど、あまり顔を出さないやつだったから。あいつがいれば少しは楽だったろうに。


◎◎◎◎◎◎

コズミ > それよりもアオイちゃんの料理スキルがマイナスなんだけど?

MK-Inyan > それは元々アオイの持ってた数値。MK-Inyanがなにかしたわけじゃないの

ゴっさん > つまり天性のメシマズ

MK-Inyan > 今のだってコズミんが監督してなきゃもっと酷くなっていた

コズミ > たしかにどこがおかしいのか俺にはわからなかった

コズミ > メシマズというより呪いだな、まるで

ロっキー > 勇者スキルでポイント足りなくなって帳尻合わせたんじゃネ?

コズミ > そんなシステムなのか?

◎◎◎◎◎◎


 不利なマイナススキルを取ることでポイントをゲットできるってTRPGであったな。

 でもアオイちゃんはレベルアップで勝手に成長が振り分けられていたって言ってたから自分で選んだわけじゃないだろうに。


◎◎◎◎◎◎

コズミ > 俺がフリートにさそったせいじゃないならいいか

コズミ > 3Bのキャラじゃないのにフリートに入れた不具合かと思ったんだ

MK-Inyan > それはないわ。3Bにはないけど私の世界にはマイナススキルがあるの

MK-Inyan > アオイは別の世界の出身だけどね

コズミ > 日本?

MK-Inyan > 父親はね

ロっキー > 異世界召喚されやすい家系なんかネ

オーどん > 勇者の血筋であろう

◎◎◎◎◎◎


 そんな家系もあんのか。勇者ってのも大変そうだ。

 その上に勇者スキルのせいでメシマズにされているなんてあんまりじゃないか。


◎◎◎◎◎◎

コズミ > アオイちゃんの料理スキルのレベルを上げてもいいのか?

MK-Inyan > いいけれど、必要なポイントは通常時よりも大きいわ

サったん > ポイントはあるのだから余裕であろう

サったん > ワガハイほどの腕前にはいかぬだろうがな

コズミ > サったん料理できるんだ

サったん > うむ。いずれ馳走してやるのである。コズミんさえよければ毎日でも!

オーどん > やめておいた方がいい。サったんの料理は美味いが超激辛だ

コズミ > ゴメン、あまり刺激の強い料理は俺の内臓ツラいかも……

サったん > 残念なのである

◎◎◎◎◎◎


 辛口も嫌いじゃないけど、俺の軟弱な内臓ではダメージの方が大きい。

 もし本当にエリクサーが手に入るならその直前に激辛カレーを食べておきたいところだ。


「アオイちゃん、マイナススキルもスキルポイントを使えばマイナスをなくすことができるみたいだ」


「本当?」


「ちょっと消費するスキルポイントが大きいみたいだけど」


「うん。ちょっとだけ大きい。迷う」


 そうだよな。激ユル仕様とはいえ、ポイントは有限。いつ必要なスキルがでてくるかわからないから無駄使いは避けたい。


「10レベルで止めておくか、それとも20レベルまでいっちゃうかそれが問題」


「はい?」


「やはりここは30レベルぐらいないと……」


「いやいやいや、どんな凄腕料理人(シェフ)になるつもりだ!?」


 スキルレベルの最大値(カンスト)がいくつなのかもわからなくなっているけど、3Bなら〈料理〉スキルが5レベルもあれば料理時にプラス数値のついた料理が出現し始める。料理上手と言っていいはずだ。


「冗談」


「真面目な顔で冗談はやめてくれ」


 まさかアオイちゃんが冗談を言うとは思わなかった。それもあんなあんな真剣な表情で。


「でも、料理が上手ならみんなに美味しいゴハンを食べさせてあげられる」


「たしかに」


「それこそが勇者の使命」


 ……これも冗談なんだろうか?

 ツッコんだ方がいいのか迷うのだが。


「とにかく、ポイントはあまり無駄使いしない方がいい」


 いくらスキルポイントが余っていても、3B公式サーバーの頃の感覚が抜け切らなくて大胆に使えない貧乏性な俺。



 ◇ ◇



 レベルを上げた〈鑑定〉スキルでしっかり鑑定してもモンスター鳥肉に毒はないようだったので普通に焼いて食べた。

 チキンカレーも捨てがたかったが、カレール-の残りが少ないので諦める。

 カレーも3Bに料理レシピがあったから、それで作れるようになればいいのだが。


「やっぱりコズミの料理は美味しい」


「ありがと。これならから揚げも美味そうだな。油がとれるようになったらやってみよう」


 揚げ物は俺が胃もたれしやすいんで避けたけど、若いアオイちゃんなら絶対に喜んでくれるだろう。

 そうなったら確実にビールが欲しくなるが。


 3Bにはクラフトレシピにビール樽があるので、そっちも作りたい。

 MODによってワイン樽やウイスキー樽、日本酒樽他の各種酒樽。さらには醤油樽や味噌樽等も追加されているはずなのでそれらが完成すれば、手持ちの調味料がなくなっても異世界でも食の不満が少なくてすむかもしれない。

 うまくできれば、むこうでも売れる。


「それは楽しみ。もっとたくさん鳥を倒す」


「まだまだ鳥肉はたくさんあるぞ」


「早くみんなにも食べさせたい」


 そんなに食料事情が悪いんだろうか?

 8組の人数は十何人かだったと聞いた気がするけど、あの巨鳥も食えるようなら肉の貯蔵は十分だと思うのだが。

 ま、アイテムボックスにはまだまだ入るから公式サーバー時のように巨大冷蔵庫を作って保管する必要はないだろう。


 だけど、むこうで職が見つからなくても暫く食いつなげるようにもっと食材を貯めておくべきかもしれないな。

 そうなると肉以外の食料もほしくなってくる。

 醤油樽、味噌樽をクラフトしても大豆がなければ肝心の醤油と味噌はできない。


「あっちで土地を手に入れるのって大変かな?」


「土地?」


「基地も造りたいけど、農園もできたらやってみたい」


 3Bではもちろん農業もできる。

 畑と種があれば様々な植物を栽培できるのだ。米だけは水田じゃないと作れなかったが。


「寮の裏庭で畑を作っているけど、農業は難しい」


「そうなのか?」


「あまり大きく育たない」


 プロじゃないんで詳しいことは言えないが、それはたぶん土が悪いのではないだろうか?

 土作りは大事だ。

 が、3Bのクラフトレシピにはそのものズバリ“畑”があったりするのでそっちの苦労はないはず。

 問題があるとすれば作物の成長を良くするための肥料で、これもクラフトできるのだがその素材をどうしたものか……。



読んでいただきありがとうございます

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