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黒の無効無双師  作者: 秋 悠理
序章 とある悪との邂逅
2/4

とある悪の始動

時刻は午前10時。

太陽は空高く昇り気温をぐんぐんあげていた。

「少しは休むことを覚えてくれないもんかね・・・。

お前は働きすぎだな」

「はいはい〜、ご飯できたから座って〜あおくん〜」

太陽に向かって喋っている碧をいつも通りの対応でリビングの椅子に座らせる姫愛。

特に暑さが苦手なわけではないのだが、何故か太陽に愚痴を呟くことが多い。何か意味があるのかないのか、それは本人にしかわからないことのようだ。

目に少しかかった黒髪を鬱陶しそうに払いつつ席に座る。

最大4人まで対応できる長方形のテーブルには、姫愛特製の朝食が並べられている。

美味しそうなものを目にすると途端にお腹が減ってくる。

「今日も美味そうだな!また腕が上がったんじゃないか?」

テキパキと準備をしてから、碧の向かい側に座る姫愛。

「師匠から色々教わってるからね〜!」

「弟子に負けないように頑張らないとな!っていっても、もう負けてるかもな」

実のところ、姫愛の料理の師匠は碧だったりする。

碧の元々の家庭環境が自分で料理をするキッカケになっている。

2人で住みはじめた当初は碧がよく腕を振るっていたのだが、姫愛もやりたいと言いはじめ今に至っていた。

「そうだ、依頼何か来てないかな」

ポケットから携帯を取り出し、専用のサイトを開く。

様々な依頼から自分に合ったものを選びだしていく。

ランク毎に分かれている依頼は一日に数百件もあり、なかには命の危険があるものも少なくない。

「これでいいかな。ま、すぐに終わるだろ」

「お出かけならついていく!」

「よし、じゃあ行くか!」

姫愛を危険地帯に連れていきたくないのだが、自分と一緒に居ることが1番安全で落ち着くことに気づいてからは、依頼時は常に一緒にいる2人である。

まあ、依頼でなくともほぼ一緒にいるのだが。




「流石にガードが堅いですねぇ。予想以上に邪魔ができずじまいです」

感情や本心が見えづらく、どこか芝居掛かったような言葉を紡ぐ青年。

どうしたものか、とハット帽をかぶり直しながら嘆息する。

「俺にいかせてくれよ、ジョーカー?」

野太い声が響くと同時に、巨大な体躯の男が現れた。

ボディビルダーのように美しく鍛え上げられた体は見惚れるような美しさだけではない。

存在感の強さを表すかのような雰囲気をも纏っていた。

「王我さん、あなたでしたか・・・。まあ、いいでしょう。力量を測るには丁度いいかもしれませんし」

「俺はマジで殺しにいくぞ?いいな?」

「構いませんよ。どうぞお好きになさってくださいな」

ジョーカーと言われた青年は心で呟いた。

(いい感じのかませ犬になりそうな展開ですねぇ。少し修正しましょうか)

では、と大仰に両手を横に伸ばしながら喋りだすジョーカー。

「あ、そうだ!一つだけ条件、というか、とあるお願いがあるんですよ!」

「お願い?」

怪しげな顔をする王我の反応を無視し楽しげに続ける。

「ーーーーーー。これなら、天神碧の本気が見れることでしょう。微力ながらその為のお手伝いは致しますので」

実に愉快そうに話すジョーカー。

その様子を見た王我は、いつものやつか、と少し気を緩ませた。

「了解した。ただし、俺は俺の戦い方は曲げない。この信念の邪魔だけはするな」

邪魔をしたら誰であろうと殺すということを言外に含ませた。

「かしこまりました。では、よい戦いを」

凄まじいオーラをものともせずに飄々としている。

ジョーカーという青年は元々こういう人間だ。

全てを見透かしたような物言いと態度。全てを知っているかのような語り。

ジョーカーとは悪の権化的な存在である。

(さてさて、掌で踊っていただきましょうか。最低なワルツを・・・)

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