恐怖と諦念?鵬魔王の炎!
剛力魔王と怪力魔王がアンキロを!
蛟魔王がトリケラを倒した。
そして今、鵬魔王がプテラと戦っていた。
僕は鵬魔王!
大空を照らす美しき炎術師!天空の支配者さ!
僕は因縁のある妖恐プテラと交戦していた。
最初の戦いの時は不覚を取ったが、今度は手加減しないよ?
プテラは恐気を身に纏い空中を自在に浮遊し、恐竜変化でプテラノドンに変貌して、高スピードで襲って来る。
鵬魔王「チッ!」
僕もまた獣王変化…否!僕のは聖獣王変化にて鳳凰に変化した。
それは炎を纏った怪鳥だった。
僕の繰り出す業火がプテラに直撃するも、プテラを覆う恐気が炎を寄せ付けないでいた。
鵬魔王「さてと…どうするもんかね?このままでは埒があかないからな~」
僕は空中で変化を解くと、落下しながら印を結び直す。そして唱える!
『聖獣神変化唯我独尊!』
僕の身体に鳳凰のオーラが吸収されていくと、再び神々しい炎が覆い発光する。そして炎の中から鳳凰の翼を開き、深紅の鎧を纏った僕が姿を現す。
鵬魔王「僕の取って置きを早々に見せる事になるとはね~」
そう。
この戦いの前に僕達は美猴王に呼ばれた。
そこに呼ばれたのは僕と牛角魔王、金剛魔王と怪力魔王に六耳だった。
鵬魔王「で?僕達を呼んだ理由は何かい?」
僕の問いに美猴王は言った。
美猴王「お前達を呼んだのには理由がある。それはお前達に…」
『獣神変化を修得して貰いたいのだ!』
その発言に僕達は一瞬動揺するが、直ぐに頷いた。
美猴王「先の妖恐や金剛魔王との戦いで、俺様達は痛いほど実力不足を肌で感じた。だから俺様達の戦力アップが必要なのだ!」
獣神変化…
己の中にある獣の力を極限にまで高め、魂と分けて一度外に出す。そして再び自らの肉体に取り込み融合させる事で一時的に爆発的な力を解放させる。
その力は獣王変化よりも遥かに強力だけど、タイムリミットがあるのが弱点だ…
それに、この獣妖怪最高変化術は、修得に危険が伴う。
一度出した獣の魂に自らの理性を喰われれば、二度と自我を取り戻す事なく魂が尽きるまで暴れ消失に至る。だから、屈強な仲間達によって暴走を止め合わないといけない。
美猴王「と、そういう訳だけど辞退したい奴はいるか?一応、第一条件をクリアして才能あるお前達を選抜したつもりだが?」
第一条件とは獣王変化修得だった。これは正に獣神変化の入り口なのだから。他には蚩尤、炎狼、氷狼が獣王変化を修得しているようだけど、獣神変化修得には力及ばないと呼ばなかったらしい。
まぁ、あいつ達は雑魚だから僕もいらないと思うよ?
当然、この呼ばれた僕以外の連中も全員辞退はしなかった。
けど、それにしてもあの雑魚は何故いるんだ?
六耳「あの~俺ッチは獣王変化も出来ないのですけど?」
美猴王「六耳は先ず先に獣王変化を修得して貰わないとな?」
六耳「獣王変化ですか?」
美猴王「頑張れよ?お前にも期待してるんだぜ?」
六耳「はっ、はい!頑張るッチ!」
ムッ!
僕がいれば他の連中はいらないと思うけどな~?
美猴王「さて、そこで獣神変化修得のために良い先生をお呼びした。出て来いよ?」
美猴王によって呼ばれたのは蛟魔王だった。蛟魔王は既に竜神変化を修得しているのだそうだ…
蛟魔王「ビシバシいくよ?私は厳しいからね!」
その後は激しく過酷な修行が始まった。だけど時間には限りがあったんだ。直ぐに中央の地に進軍しないといけないのだから。
幾度と暴走と自我消失の危険に襲われた。
仲間達が押さえ付け、消えかける意識を呼び戻す。そんな事を繰り返しながら…
僕達は修得したのだ!
天才である僕が少し頑張ってしまったようだね?
だけど、このメンバーの中では一番早く修得出来たのは自慢かな?
次に牛角魔王、美猴王、そして金剛魔王が続き、最後に怪力魔王が遅れて修得した。因みに六耳は獣王変化までは修得したようだけど獣神変化は無理みたいだったね?
そして、僕は手に入れた新たな力でプテラを相手にする。
プテラ「何だ?あれは?あれは進化か?」
プテラは恐気を纏いながら僕に突っ込んで来たのだ。
鵬魔王「お前は一度、僕に屈辱を与えてくれたよね?僕は執念深い性格じゃないけど、地にその顔を擦り付けて、いたぶってやるからな!」
僕は接近したプテラの特攻を炎の翼を翻し方向転換させた。プテラは方向感覚を失い、地面に向かって落下し直撃する。
地面に埋もれたプテラは怒り狂い立ち上がると、恐気が更に膨れ上がる。
プテラ「カトンボ!カトンボ!カトンボ!カトンボ!カトンボ!カトンボ!カトンボ!カトンボ!」
鵬魔王「羽根付き蜥蜴の分際でお前、五月蝿いよ?今すぐに焼き蜥蜴にしてあげるから黙って待ってなよ?」
僕が落下したプテラにトドメを刺すために降りて来ると、突然地上から強力な力が解放され僕は弾き飛ばされてしまう。
鵬魔王「なぁ何が??」
僕は体勢を空中で立て直すと、地上にいるプテラを探し見る。
そこには…
プテラ『進化出来るのはお前だけじゃないんだよ?これが俺の恐竜進化だ!』
プテラは再び人型に戻っていたが、その姿はプテラノドンの鎧を纏ったプテラが立っていた。
まさか??
あれは獣神変化にそっくりじゃないか?
名こそ違うけど、正しく獣神変化だ!
鵬魔王「…まさか?本能だけで修得したのか?それを?」
正直、驚いた…
プテラ「アンキロとトリケラの奴は恐気が足りない弱者だから、この境地に達する事は出来なかった。恐竜進化が出来るのはボスのギガノとティラノ、スピノ…そして俺だけギャア!」
鵬魔王「………」
進化?
鵬魔王「また僕を虚仮にするつもりか?」
鳥肌が走った…
鳥だから?
違うよね?僕は目の前のプテラに対してプライドが許さなかった。
この僕を虚仮にした事は・・・
鵬魔王「万死に値する!」
僕は炎の翼を広げると上空に燃え盛る羽根が散らばり空を深紅に染まる。
プテラ「そんなもんで俺をどうするつもりだ?」
プテラが上昇して飛んで来ると、僕の心臓目掛けて貫いた!
が、それは炎分身?
プテラ「何処に消えた?」
『ここだよ!』
見るとプテラの周りに僕の分身が幾つも現れる。
プテラは恐気を拡散させて僕の分身を消し去っていく。全ての分身が消え去った時、プテラは残った僕の本体を見付ける。
鵬魔王「思ったよりゆっくりだったね?でもそれが命取りだったよ!」
僕の両手には二種類の炎が灯されていた。
右手に黒炎、左手に聖炎!
鵬魔王「この黒い炎は地獄の炎、それに左の炎は聖獣の炎!この二つの炎を融合させたらどうなるか解るかい?」
プテラ「!!」
その瞬間、プテラは身体中に寒気が走った?これは弱肉強食にて喰われる側が抱く感情…
『恐怖と諦念』
プテラは僕に怖じ気付き背中を見せて逃げ始める!
だが、僕の炎がプテラの逃げ場を囲んで塞ぐ。
「炎火の細道!」
そして僕の融合させた炎が忌々しい炎を噴き出していた。僕はこの炎を一点に凝縮させて…
鵬魔王『炎に喰われな!』
プテラに向かって放った!
黒炎と聖炎の融合した炎の玉が、プテラの身体に直撃し………
プテラ「あっぎぃ……」
跡形も無く消滅した。
はぁ…はぁ…
僕は上空より地上に着地すると、倒れる。
鵬魔王「ちょっと…頑張り過ぎたかな…」
僕の腕は黒焦げていた。
指先は既に消し炭状態…
暫く使い物にならないようだね?
黒炎は地獄界の炎で、これもまた禁忌の炎だ…
地獄の黒炎を使った呪術者は代わりに魂を炎に喰われてしまう。この不死の鵬魔一族である僕でも例外じゃなかった。
けど、天才である僕は肘から下を失っただけで済んだのだ。これも全て僕が天才で美しく、美猴王を崇高しているからに違いない!
美猴王のためなら、僕の腕くらい惜しくないさ…
僕はまだ蝕む炎に焦げている腕を、目から発する炎で付け根ごと焼き落とした。
落下した腕は黒炎に包まれ焼き消えた。
鵬魔王「プライドを傷付けられた事もあったけど、あの羽根つき蜥蜴はこうでもしないと倒せなかったからね…」
そこで僕は倒れる。
あれ?
思ったより力を使い果たしてしまったようだよ…
まぁ、良いか?
後は美猴王に任せ…て…おけ…ば…
妖恐三体目…撃破!
次回予告
残る妖恐は三体!
美猴王と六耳彌王が相手する!




