東西南北四魔王?俺様の挨拶に文句あるか?
美猴王は各地にいる魔王の中から選抜し、仲間にしようと試みるのだが・・・
俺は独角鬼王…
俺、帰っても良いっすか?
やっぱしダメっすよね?
俺は今、奈落の底への崖っぷちにいるんす。
四方を囲むように数千数万の怒り荒れ狂う妖怪達の軍勢が、地上はもちろん空をうめつくさんと俺の逃げ場を塞いでいた…
何故にこうなった?
何なんだ?この状況は?
それもこれも、全ては!
「あの猿[美猴王様]のせいだぁああああ!」
思い起こせば美猴王様が俺に見せたビジョンからであった。
美猴王様は俺の手を自分の肩に乗せ目を綴じるように指示すると、俺の視界には美猴王様が飛ばした分身の見ている光景が見えて来たのだ。
これは仙術!?
やはり、ただ者じゃねぇや!美猴王様は~!
と、尊敬したのは最初だけだったんだ…
あの方の仕出かした事は俺の常識を一瞬にしてぶち壊したのだから。
美猴王様の分身の一体が北の地へ、凄まじい勢いで飛んでいく。
そこは数千数万の鳥妖怪達により厳重に警護されていた。
地上より離れた宙に浮かぶ天空の城…
天空の城?
ここは間違いない!
鵬魔の天空城じゃん!?
鵬魔城とは数ある魔王軍の要塞でも難攻不落の城であった。
それは空中高くに浮かんだ居城であるためでもあった。
そこに主たる魔王が君臨している。
数々いる魔王の持つ軍団でも一・二を誇る兵力を持ち、更に君臨する魔王の眷属は不死の一族と噂されているのだ!
その名を鵬獄魔王!
鵬獄魔王は燃え盛る玉座に座して、自分の目の前で部下達に殺し合いをさせ余興としていた。
そんな中、美猴王様の分身は鳥妖怪達に気付かれずに天空城の中へと侵入して行く?
鵬獄魔王『つまらん!俺の城には骨のある部下はおらんのか?どうだ?俺の息子を殺せたら将軍にしてやるぞ?アハハハ!』
殺し合いをしていたのは鵬獄魔王の息子らしく、相手は腕自慢の鳥妖怪達。だが、鵬獄魔王の息子は楽しむように先程殺した鳥妖怪の頭を踏み潰した。
すると意を決した数匹の鳥妖怪達が武器を手にし、部屋の中心にて立っている鵬獄魔王の息子へと襲い掛かったのだ!
鵬獄魔王の息子の名前は麗鵬。まだ若い麗鵬は向かって来た部下達に怯むどころか楽しむような笑みを見せて…掌から放つ燃え盛る炎で瞬殺した!
麗鵬の炎に焼き尽くされて消滅する鳥妖怪達。
鵬獄魔王『さすが俺の息子だ!アハハハ!』
満足げの鵬獄魔王。だが、その直後だったんす!
鵬獄魔王『!!』
目の前に起きた現状に鵬獄魔王は目を丸くした後に、肩を震わせ激怒した。
一体何が?
それは?
いやいや!
同時刻、美猴王様の放った別の分身は遥か南の地へと着いていた。
そこは広大なる大海!
美猴王様の分身は海中へと飛び込んで行く…
どのくらい潜ったのか?その深海の奥には隠されし城があったんす!そこは間違いなく竜宮の城と呼ばれている魔王の隠れ家だったんです。
その主たる魔王は最強を誇る竜神族の裏切り者。だが竜神族も天界も、この魔王には手出しはならぬと噂されていたのだ。
その残虐かつ鉄壁の魔王には手をだすなと…
この城の魔王は蛟魔王と呼ばれている竜神族の女だった。
蛟魔王『うふふ…』
蛟魔王は豊満な胸元を恥ずかしがる事なく晒し、城の中を歩き自室へと向かっていた。
部下達はその姿を見ないように床に顔を擦り付けるように伏せていたのだ。
(見たら殺される!!)
そして蛟魔王は入浴後、鏡に写る己の姿を見て…
『鏡よ鏡?世界で一番美しく強い女は誰じゃ?』
その直後、蛟魔王の眉間にシワがより怒りが込み上げていく?
一体何が?
それは??
いやいや!
またまた同時刻、ここは北の地にて…
剣山の如くそびえ立つ険しい岩山が、一つ一つ轟音を立てて崩れ落ちていたんす!その原因は一体??
すると雲に乗って追い掛ける三匹の獣妖怪達の呼ぶ声が?
『獅駝王さまぁ~!お待ちくださ~い!』
獅駝王?
獅駝王ってまさか?
獅駝王とは俺の少し前に魔王に昇格したルーキー魔王と聞くが?
獅駝王と呼ばれる魔王は身体は人間、頭が獅子の半獣半人の妖怪なのだ!
その狂暴かつ恐ろしき破壊力は、現役の魔王達が脅威する程と聞くが…
更に獅駝王を追い掛けて来ていた妖怪は頭が獣の、仙術を操る三匹の妖仙であった。
名を鹿力大仙、羊力大仙、虎力大仙と言う。
獅駝王『俺俺!サイキョ~!サイキョ~伝説作るのだぞ~!でもどうやって?解らない…解らないから俺俺とにかく暴れるのだぞ~!ウゴラァア!ガゥ!』
無差別に暴れる獅駝王によって次々と崩れ落ちる岩山を雲上から見下ろす部下の妖仙達。
鹿力「全く獅駝王様はテンション上がると手がつけられませんよ~」
羊力「世界が壊れちまいます」
虎力「あ、また山が一つ崩れ落ちたぞ!」
その時だった…
鹿力「何だ?あれは?」
『えっ???あー!!』
『グゥギョオワタ~』
一体何が?
それは?
いやいや!
はたまた、ここは東の地にて、またまた同時刻…
ここは実質地上世界を支配した最古の魔神が住まう地であったと言う。
が、しかし…
その子孫の反乱により政権を奪われ、子孫は魔王としてこの地に君臨したのだ。
それは凄まじい戦争だったらしいのだが、それ以降は特別動く事もなく、無駄に暴れる訳でもなかった。
鎮まりし魔王…
だが、この地に侵入する者あらば、その魔王は荒ぶる破壊者として漆黒の鎧を纏い戦場へと赴くのだ!
その魔王は頭上に二本の黒い角が特徴的で、部下達もまた角を持つ荒くれ者達ばかりだと言う。
その地に君臨する魔王の名を牛角魔王と呼んだ。
牛角魔王『…………』
牛角魔王は黙って目の前の状況に苦笑いをしていた。
一体何が??
それは?
それはー!!!!
話は遡る事、美猴王様の分身が四魔王の城へと入り込んだ後へと戻りやす。
美猴王様の分身は狙いを定めると、何処から出したのか?例の馬鹿デカイ柱を抱えて投げ付けた!
あの柱は?
まさか俺の城の柱ぁー??
四本の柱は凄まじい勢いで飛んでいく!
最強最悪の四魔王達の元へと…
あゎわわわ!!
その四本の柱は魔王達の目の前に轟音を立て、直撃したのだった。
一本は鵬獄魔王の玉座を破壊し、一本は蛟魔王を映し出していた鏡を粉々にし、一本は飛んで来た柱に気付き振り向いた獅駝王の頭に直撃し、一本は牛角魔王の食していた飯をひっくり返したのだ…
更に、その柱には何やら文字が刻まれており、魔王達へのメッセージが記されていた?
『聖天大聖・美猴王様参上だぜぇ!文句があるなら、かかって来いや~』 と…
更にオマケとして個人達に一言メッセージを付けて…
美猴王「よし!こんなもんだろう!我ながらなんて素晴らしい文面~早く来ないかな~?奴ら!わくわくだぜ!」
…って、美猴王様?
話が違くないですか?
仲間にしたいのですよね?
喧嘩売ってどうすんですか~い!?
しかも各地に散らばる魔王の中でも曲者最強最悪の魔王の四人同時にって…
俺…
生きた心地しないっす。
次回予告
美猴王の挨拶にに東西南北いる魔王が動き出す!
一体、どうなるやら?