太古より蘇りし真の支配者？六体の妖恐！！
錬体魔王が最期の抵抗と目覚めさせたのは？
美猴王達に、
何かとんでもない脅威が迫る！！
それは突然の崩落。
錬体魔王の魂が美猴王達の前から消えたと同時に城が揺れたかと思うと、強烈な力の波動により崩壊したのだ。
瓦礫の下より起き上がり立ち上がったのは美猴王だった。そして次々と牛角魔王、玉面、鵬魔王、剛力、怪力、刀剣、六耳に蚩尤。
城の周りには牛角達が戻るのを待機して待っていた水廉洞闘賊団の仲間達。
だが、起き上がて来た美猴王の姿を見て喝采する仲間達に、青ざめた美猴王が叫んだのだ。
美猴王「お前らぁああ！今すぐこの場から待避するんだぁーー！！」
それは何事？？
現状が理解出来ずに狼狽える仲間達。そこに再び大地が揺れ始めたのだ？
すると、その場にいた全員が恐怖に身動き出来ずになる。
逃げる事はもう叶わなかったのだ。
崩壊した瓦礫から何かが地下深くから這い上がって来るのが解る。
それは感じた事のない凶悪な妖気…
いや？妖気よりも破壊的な恐気であった。
美猴王、牛角魔王達がその状況に青ざめながら、地上に現れる何かに警戒する。
剛力魔王「何？」
鵬魔王「あはは…何、これ？何が出てくるんだよ？」
刀剣魔王「解らぬ…ただ言える事は…」
怪力魔王「最悪だ！」
水廉洞闘賊団の猛者が恐れを抱くこの状況は？その直後、地下より放たれた覇気が瓦礫を粉々にし現れたのだ。その元凶が！！
美猴王「何が現れるかと思えば…奴ら何者だ？」
そこに現れたのは見た事のないような人型の獣？いや？竜神？爬虫類？そんな謎の化け物だったのだ。
「久しぶりに目覚めて出て来たら、下等なウジ虫が涌いて出ておるなぁ？」
「一匹、目覚められなかったようだぞ？」
「捨てておけ！足手まといは必要ない！」
「そうだな？オレ達がいれば、地上に沸いた連中を根絶やしにするのも容易いだろうよ？」
そいつ達は『恐竜』と呼ばれる太古の支配者！
その恐竜の骨に目を付けた錬体魔王によって長きに渡り妖気を注ぎ込まれ再生した化け物。
恐竜…
妖恐と呼ばれるこいつ達の目的は、地上を支配する魔王だけでなく天界の神々から人間、生きとし生ける全てだった。
世界をゼロに戻すために生み出された化け物！
これも全て、錬体魔王の置き土産だった。妖恐達は錬体魔王の意思を無意識に刷り込まれていたのだ。
しかも、その数は六体！
「でよ？その前にしなきゃならない事があるよな？」
奴等は美猴王達に視線を移すと美猴王達は慌てて構える。
妖恐達は欲した？
「そうだ！今やらねばならない事は…」
『名前が欲しい！』
その場にいた全員がズッコケタ。だが、妖恐達は真面目に互いに名前を付け始めたのだ。
身体のゴツい筋肉の分厚い奴が、アンキロ。
背中に翼のある奴がプテナ。
頭上に二本の角がある奴がトリケラ。
そして、残りの三体は更に強い力を持っていた。
『スピノ』『ティラノ』
そしてリーダーの…
『ギガノ』
ギガノ「名も決まった事だし…目の前の虫を蹴散らすとするか！」
辺りが静まり返った。
ギガノ「消えろ！」
瞬間、ギガノが降り払った腕から放たれた恐気が、見ていた水廉洞闘賊団の仲間達を一瞬にして消し去ったのだ！
辛うじて残ったのは、咄嗟に防御壁を張った連中だった。しかし、ギガノの放った恐気は防御壁をも打ち砕き、一撃で満身創痍となった。恐怖が生き残った仲間達を襲う。
ティラノ「ん？生き残った虫がいるようだぞ？」
スピノ「ならば直接潰してやるか？プチプチとな？」
するとギガノが俺様達に向かって叫んだのだ。
ギガノ「よく聞け！そこにいる下等種族よ！我らは太古より蘇りし真の支配者。そう言うわけだ！お前達は今より駆除してやろうぞ」
怯む生き残りの仲間達。
だが、妖恐達を前にして戦意を失わないでいる者がいた。
美猴王「とんでもねぇな…こんな連中がいたとは…こんなヤベェのは雷我以来だぜ…だけどよ？仲間達の落とし前は付けないとな？」
牛角魔王「当たり前だ！太古の支配者だか知らんが、今頃出て来てデカイ顔をさせとくほど今の若い連中は教育がなってない！」
美猴王「胸を張って自慢にする事でもないぞ？まぁ、間違ってはないけどよ！」
美猴王と牛角魔王の後ろにも、
玉面魔王「妾を砂ぼこりにしたケジメを払わせてやろう…」
剛力魔王「ムカ！」
怪力魔王「姉者が怒ってるぞ？俺もだ！」
刀剣魔王「怒った剛力さんも素敵だ！」
鵬魔王「とにかく…ヤられたらやり返す！それが僕の流儀だよ」
六耳「あんな化け物相手に…皆、心強いッチ！」
蚩尤「俺は逃げ出したい気分だぜ…全くよ！」
美猴王達は現れし妖恐達を相手に戦う体制になる。
ティラノ「ん？愚かにも逆らうつもりのようだぞ？」
スピノ「なら教えてやらんとな？寝起きには良い準備体操くらいにはなれよ？」
そしてリーダーのギガノが片手を上げて下ろす。
ギガノ「遊びの時間だ！」
妖恐の六体が同時に動いたのだ！
美猴王「お前らぁ？連戦続きで身体も温まっているよな？もう少し気合い入れろよ？戦闘開始だ！」
「おおおおおお！」
美猴王達もまた妖恐達に向かって駆け出した。
だが、先に動いたのはトリケラと呼ばれる妖恐だった。強烈な覇気を纏い突進して来たのだ！
美猴王「うっ…ぐぅわああ！」
美猴王だけでなく、その場にいた全員が弾き飛ばされた。そして、再びUターンして突進して来たのだ！
牛角魔王「野郎！止める！」
牛角魔王は剣を二本抜き盾にして受け止めたのだ。
トリケラ「ほぉ？オレの突進を受け止めるとは面白い奴もいるもんだ？だが…」
一歩、足を踏み出し更に力を込めて動き出すと、牛角魔王は力負けして弾かれたのだ。
牛角魔王「おのれぇ…」
更に上空より獲物を狙い急降下して来る者が？それはプテナと呼ばれる妖恐！
プテナ「オレは天の支配者！オレに狙われた獲物は決して逃がさんぞ」
その速度から起こる振動が仲間達の身動きを止め、鋭い爪が美猴王に迫る。
プテナ「先ずは一番でしゃばる奴を仕留めてやろう！」
が、プテナの背後に現れた影がプテナに向かって火炎放射を放ち視界を奪う。
プテナ「ウグゥウウ」
プテナは再び急上昇して邪魔した奴を見る。
「美猴王に手を出す奴は僕が容赦しないよ？それに誰が天の支配者だって？僕を差し置いてナ・マ・イ・キだ！」
それは同じく宙に浮かぶ鵬魔王であった。
プテナ「この小僧！」
プテナが襲い掛かろうとすると、地上より無数の剣が飛んできて道を塞ぐ。
それは宙に浮かぶ剣を操る刀剣魔王であった。
刀剣魔王「我、援護する！」
鵬魔王「チッ…」
だが、鵬魔王もプテナから放たれる力に、軽口を叩きつつも冷や汗をかいていた。
アンキロ「オレと遊んでくれるのはいるかぁ～？」
それは図体のデカイ妖恐だった。その前に出たのは、
剛力魔王と怪力魔王。
剛力魔王「最初、本気」
怪力魔王「手加減出来るような相手じゃないですからね？俺もいきます！」
二人の全身が黒く変色していく。
スピノ「待てぇー！この雑魚がぁー！」
恐ろしき覇気で大地を揺らし、その拳を放つと強烈な衝撃弾が大地を陥没させた。
蚩尤「マジか？」
六耳「飛んでもないっち！恐くて足が震えるっち…」
蚩尤「チッ…俺、今度こそヤバい…」
妖恐の猛威に苦戦中、唯一ティラノの覇気を受け流している者がいた。
玉面魔王「妾の水術を食らうが良い！」
『ふるえ～ゆらゆら…ゆらゆら…』
玉面魔王の周りに無数の水玉が浮かび上がる。
そして、目の前の妖恐ティラノに向かって飛ばした。
水玉は鋭い弾丸のようにティラノに直撃する。外れた水玉が後ろの瓦礫に当たると粉々になって消えた。それだけの威力なのだ！
にも関わらず、ティラノは笑みを見せながら向かって来る。
ティラノ「お前から強い力を感じるぞ？オレが当たりを引いたようだな？」
玉面魔王「！！」
玉面魔王はティラノの圧力に一歩足を後退させた。
そして、リーダーのギガノの前には美猴王が立ち塞がる。
美猴王「雷我の時に似た威圧感だぜ…だが、俺様はもう退き下がらない！俺様は負けねぇー！」
美猴王の身体から妖気を纏った覇気が噴き出す。
美猴王「不思議だ…」
美猴王は己の身に感じる違和感に逆に笑みを見せる。
それは錬体魔王に肉体を奪われた事により、今まで使われていなかった未知の潜在能力を強引に引き出されていたのだ。その事が結果、美猴王の力を底上げした結果になっていた。
美猴王「だがよ…」
それでも目の前のギガノの力は美猴王の力を上回っていたのだ。
美猴王「後は気合いと根性と運だな？うん」
美猴王はこの絶対絶命の状況にも関わらず、笑みを見せる。それは強者を前に己の神経が完全に研ぎ澄まされていたからである。
美猴王「俺様はどんな敵であろうと、負けねぇー！」
次回予告
六体の妖恐を相手に苦戦する美猴王達！
とんでもない窮地に生き残る事が出来るのか？
