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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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終わりし戦い?戸惑う美猴王?


仲間達は三妖石を倒した。


しかし、美猴王は連れ去られたままだった。



う~ん…


ぁああ…


頭、いてぇ~?


俺様は一体、どうなったんだ?確か…??


ハッ!


俺様は飛び起きた。


そこはベッドの上だった。


えっと?


俺様は美猴王。


俺様は目の前に現れた仇敵である錬体魔王を前にして飛び出したのだが、寸前の所で身体が石化したように動かなくなったのだ。


そこから後の記憶がない??


美猴王「くそぉー!」


「何?トイレ?」



…いや、くそー!で、あって糞の意味ではないぞ?


ん??すると、そこに女の声が?しかも聞いた事のある声?いや、聞き間違うなんて有り得ない!


お前は…


美猴王「蓮華!」


俺様の横で話しかけて来た女は死んだはずの蓮華だった。


蓮華「何?寝惚けてるわけ?朝からバカなの?」


美猴王「何ですと~?」


俺様は蓮華の髪をクシャクシャにしてやった。嫌がりながらも笑う蓮華を見て、間違いなく俺様の目の前にいる相手が蓮華なんだと…


生きて…


生きていたのか?


そして、強く抱き締めたのだ。


蓮華「何よ?痛いって?どうしたのよ?」


美猴王「わりぃ…」


つまり、何だ?今の今までが夢だったのか?



虎先鋒は?黄風魔王は?


金剛魔王は?


全てが夢だったのか?



んなわけないだろ!!


俺様は警戒した。これは罠で、俺様を油断させるために手のこんだ事をしているのだと?


俺様に幻覚を見せて洗脳でもして、配下にでもするつもりだろうが、そうはいくか!


俺様は自分の頬を強く引っ張った。


痛かった。


蓮華「変な顔…」


美猴王「………」


蓮華「あんたって、突然意味不明な事をするよね?私を笑わせようとしたかったのかな?はっきり言って、バカなの?としか思わないよ?」


美猴王「言い過ぎだろ!」


俺様は蓮華の頬を引っ張り悪態の仕返しした。


でも、痛覚はある?


ただの幻覚ではないのか?


それに目の前にいる蓮華は間違いなく蓮華に見える。


臭いも、感じる魂の気も?


全く、意味が解らない!



俺様は取り敢えず流れに任せて状況を掴もうと考えた。何か違和感があれば、それがこの幻覚の突破口になると考えたから…


それに…


夢の中とはいえ、蓮華ともう少し一緒に…


いたかった。



俺様は蓮華を誘い外に出掛ける事にした。少しでも状況を得るためだ。


が……!?


俺様はそこで驚かされたのだ??


だって、外には人間と妖怪達が共存した平和な世界だったからだ!


美猴王「どうなってやがる?妖怪と人間が共存だと?」


蓮華「何を言ってるのよ?当たり前じゃない?」


美猴王「当たり前?」


蓮華「あっ…!」


その時、蓮華が口をふさいで黙りこむ。


美猴王「お前、何を隠している?知ってる事を全部話せよ!」


蓮華「そうよね…あんた、目覚めてからの記憶がないからね…」


美猴王「へっ?」



目覚めてからの記憶?



そこで蓮華は俺様が知らないこの世界について話しを始める。


今から数年前、俺様率いる水蓮洞闘賊団が地上界に反乱を起こした。


そこで俺様は金剛魔王の領地にて交戦の最中、遂に戦乱を見かねた天界が動き出したと言うのだ。


天界は地上界に君臨している残りの全ての魔王と、配下の妖怪全てを捕らえる。

だが、天界の神は妖怪を殺す訳でもなく、全ての妖怪から能力を消し去ったと言うのだ。


力を失った妖怪達は人間と変わらず、やがて人間と妖怪は天界の支配の下で平和な共同世界を始める。


今では妖怪と人間のハーフも当たり前で、地上界は戦乱の無い世になったのだ。


そして話を戻すが、俺様もまた戦場にて金剛魔王の配下に硬直されて封印されていたが、その封印を解かれて能力を全て消された後に解放されたと言うのだ。


全ては天界の慈悲…


当然、俺様はその間の記憶も無く、時代の変化に混乱する事があった。


そこで、俺様の精神を保たせる救済措置のために、黄風魔王の城にて俺様と縁のあった人間の蓮華を傍に置かせたと言うのだ。


そんな俺様も目覚めて日が浅く、今のような記憶の混乱を起こす度に蓮華に同じ質問を繰り返していると…


だが、待てよ?


蓮華は死んだはずだ…


俺様が最期を見届けたから間違いない!


蓮華「私はね…」


蓮華は重い口を開いた。


蓮華「私は人間の蓮華の亡骸から造られた複製体なのよ…」


美猴王「複製体?」


それは錬体魔王の技術だと言うのだ。錬体魔王もまた天界の管理下で、その才能に目を付けられて死んだ者を再生させる…正確には複製体を造って蘇らせているのだと…


蓮華「私が…複製体じゃ…偽物じゃ…嫌かい?」


美猴王「………」


俺様は突然聞かされた世界の変化と、蓮華の告白に戸惑いつつも…


美猴王「少なくとも、今目の前にいるお前は俺様の知ってる蓮華だ…だから…」


蓮華「!!」


美猴王「だから、もう二度と俺様から離れるんじゃねぇぞ?」


と、抱き寄せたのだ。



世界は…変わった。



いやいやいやいや!


絶対に何か有る!


こんなに都合良いはずない!絶対に何か有る!俺様はこう見えて疑り深い猿なのだ!


俺様は蓮華に尋ねる。


美猴王「なぁ?俺様の仲間達がどうなったか知らないか?」


蓮華「美猴の仲間?昔の戦争仲間の事かい?」


美猴王「そうだ!」


あいつ達に会えば何か解るはずだ!


俺様は次の日、蓮華から聞いた情報をもとに、仲間達を探す事にした。


聞けば、数里離れた地を与えられた元水廉胴闘賊団のメンバー達は、そこを縄張りとしているとの事だ。


そこに行けば何かを掴めるに違いない!



俺様は蓮華を残して一人、向かった。


美猴王「ここか…」


俺様は辿り着いた領地に城を見つけると、中へと入っていく。門番はそんな俺様を発見するなり大騒ぎになった。


あの美猴王が戻って来た!


俺様は案内されるなり大人しく入っていくと、そこには見知った連中がいた。


六耳「美猴王様ぁ~」


六耳が俺様に抱き付いて来ると、その後ろには怪力魔王と刀剣魔王がいた。


怪力魔王「お前が目覚めたとは聞いていたが、お前の方から訪ねて来るとはな?」


刀剣魔王「なんにせよ無事で良かったな?」


美猴王「お前達…」



見間違う事なく仲間達だった。だが、俺様はここに来て驚かされたのだ…


この地を仕切っているのは牛角魔王らしい。


牛角魔王…


本当に、お前なのか?


変わったなぁ…


牛角魔王の傍らには左右に玉面魔王と剛力魔王が?


しかも!!


二人の腹は膨らみ、それはつまり…デキチャッテル?


牛角魔王「がっははは!」


聞くに、牛角魔王は二人を妻に迎えたのだと言う。そして既に子供が三人と四人いるとか…


牛角の後ろで騒がしいガキ達が、それか?


剛力魔王「私、負けない、子作り。勝ったら勝者」


玉面魔王「妾に勝てると思うな?小娘が!」


いがみ合うのは変わってはいないようだ。


そんで俺様は牛角魔王と酒を酌み交わして、これまであった話を聞いた。


俺様を失った後、牛角魔王達は三妖石を倒し、金剛魔王と戦争を続けたのだ。


それは激しく長い戦いだった。そこに突然天界からの軍隊が降りて来たと言うのだ。牛角魔王達は勿論、金剛魔王も一度は捕らえられたのだが、暫くして妖怪の持つ能力を全て消された後に解放されたのだと。


その間、戦う目的も今後の目的をも失った牛角は…


美猴王「子作りに励んだと言うのだな?」


牛角魔王「そう呆れるな?これはこれで、今の生活もまんざらじゃないのだぞ?あはははは!」


美猴王「!!」



少し、ショックを受けた。


戦う事を放棄した事で生きる目的を失った。だが、この平和な世界でも、新たな幸せと生き甲斐を掴めたのだから…


それはそれで良いのかも…


例え、与えられた幸せだったとしても、今の幸せは間違いなく本物なのだから。


因みに鵬魔王は俺様のいない集まりに群れる意味がないと立ち去り、蛟魔王はあのまま戻っては来ず、獅駝王も目覚めないまま別の地で眠ったままだと聞いた。


牛角魔王「正直、俺も戸惑ったさ…お前がいなくなった世界で、戦い続け、天界の圧倒的な力に敗北した俺達には何も残ってはいなかった…無力と絶望。何のために戦って来たのかと自問自答した」


美猴王「牛角…?」


牛角魔王「いや?残っていた。あの戦いの中で共に戦って来た仲間達との出会い。それが俺にとって唯一残された生きる目的になったのだ」


俺様は何も言えなかった。


牛角魔王「俺は残った仲間達を家族と思い、この命をかけて守り抜くと!死んだ仲間達に誓ったのだ!」



俺様は…


牛角魔王が大きく見えた。


だが、


だが!俺様はここに何をしに来たのだ?


この世界が偽りだと証明したくて、手掛かりを掴みに来たはず?


なのに、何も掴めないどころか、この世界が本当なのではないかと思い始めていた…



マジに…



良く出来た幻術だぜ!


あはははは!


どんだけ、それらしく作ろうが、どんだけ俺様を騙そうが、こんな事で俺様が信じるわけないだろ?



この世界は全て偽りだ!!


ありえねぇー!


ありえねぇー!


ありえねぇーんだよ!!



俺様は牛角魔王が一緒に暮らそうと誘うのを断り、出て行こうとすると、



牛角魔王「美猴王?最後にお前に会わせたい奴がいるのだが…」


美猴王「俺様に会わせたい奴?誰だよ?」


牛角魔王「それが、少し…う~ん…」


美猴王「誰だよ?」


牛角魔王が合図すると奥の扉が開いて、誰かが入って来た?


俺様は、そいつを見て鳥肌が立ち怒りがこみ上げる。


そして殴りかかろうとした時、慌てて牛角と怪力が俺様を押さえ込んだのだ。


そいつは…



美猴王「てんめぇー!この野郎ぉー!!」



ソイツは、憎き敵の錬体魔王だった。


次回予告


目覚めたそこは未来の戦争のない世界?


心、取り残された美猴王はそこで憎き錬体魔王を前にする。

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