再生と再生負荷?そして破滅の日?
浦島の覚醒した力とは?
浦島の大出世が始まる。
俺は浦島…
俺は今、乙姫様直属の将軍になっていた。
えっ?突然の大出世?
そうなんだよ。俺は例の闘技場での戦いで、自らの秘められた才能?そんなんで覚醒したんだ!
あの後は青竜王が乱入し戦いを納めた事で、死傷者は出なかった。もし俺が相手を殺していたら、今頃檻の中だっだもんな?
けど、竜神界てのは力さえあれば出世出来る。あの日、俺が目覚めた後に何かしらお咎めがあると覚悟していたが、代わりに竜神界での確かな地位と称号を与えられたのだよ…
俺の称号は「守護竜」と呼ばれる、乙姫様直属の正式な守護者になったのだ。
浦島「乙姫様?やはり次は囲みを使いますか?」
乙姫「そうだな」
囲みとは罠にかけた敵を誘き寄せ、後方から仲間が囲むように逃げ場を塞ぐ戦術です。
そして俺達が今戦っている相手とは、神…そう天界の神の軍なのだ!
まさか神様を敵に回すとは思わなかった…
けど、立場上俺も竜神族として戦わないわけにいかないし、俺には守りたい方がいるのだ…
乙姫様…
俺が貴女を守ります!
乙姫「しかしお前が私と共に戦場に出る事になるとはな?考えてもみなかったよ」
浦島「俺もですよ?実際、戦わないで乙姫様を柱の影からストーカーしていたいですから?マジに?」
乙姫「変わらないな?お前は?」
浦島「変わる?俺は変わりませんよ?いつまでも乙姫様の傍で貴女を守りますから!」
乙姫「恥ずかし気もなくよく言えるな?」
浦島「あはは」
戦場は竜神軍の優勢だった。神軍は竜神軍に囲まれて指揮が低下していた。
浦島「後は俺が行きますね?」
そう言って俺は神軍達の前に飛び降りたのだ。神軍は俺を見た途端にざわめき始める。
神軍「あいつはまさか?」
俺は既に有名だった。
戦場に現れた竜神軍の化け物。俺が触れた者は塵となって消えていく。
付けられた異名は破滅の死神!
向かって来た神兵達は俺に攻撃を仕掛けるなり、塵と化して一瞬にして消える。
再生の力は破壊の力…
極度の再生力は肉体に異常な負荷を与え、逆に滅ぼす力となるのだ。
それが俺の持つ力!
俺はこの力でのし上がる事を、いつしか考えるようになっていた。
別に悪い事を考えてる訳じゃないぞ?
俺はただ…
乙姫様を守る俺から、乙姫様に相応しい俺になりたいと欲が出てきたのだ。
無理じゃない…
この力があれば出来る!
俺はのし上がるんだ!
そして、乙姫様とあんな事やこんな事をして、もう~ブチュとなんかしたりして、お~何か意欲わいてきたぁ~!!
俺はそれからも竜神軍のために働いた。過酷な進軍に自ら出願し成果をあげていく。
そして…
俺は新たな称号を与えられたのだ。
それは今まで空席だった四海竜王の座!
ついに俺は…乙姫様と同列の地位まで昇りつめた。
四海竜王は今、青竜様と乙姫様に、更に俺と同じく新たな四海竜王となった玄竜だった。
浦島「そういえば玄竜とは顔を一度と合わせた事がないな~?どのような者だろう?まぁ、俺は乙姫様だけ見てれば良いのだけどよ」
俺達四海竜王は定期的に中央竜宮殿に呼ばれる。そこには八大竜王に、我ら竜神達を率いる応竜様がおられる。そして更に竜神の神の王・最高君主黄竜様が君臨しているのだ。
あはは…
乙姫「浦島?お前、礼儀は忘れるなよ?」
浦島「作法とか苦手なんですよね?俺は底辺出身の成り上がりですからね?」
乙姫「はぁ~全く、何故にお前が私と同じ四海竜王になれたのか未だに不思議だよ?」
浦島「それは俺が頑張ったからですよ?乙姫様に相応しい男になるために!」
乙姫「おまっ?」
浦島「俺は乙姫様に恋してますから!」
俺は照れ真面目に言った。
乙姫「本当に馬鹿だね?だけど私は安くないよ?簡単に靡くと思うな?」
浦島「乙姫様は俺にとってのマドンナ!だけど俺は馬鹿だから、追い掛けて、追い掛けて、いつか隣に歩ける男になってみせ…」
言い終える前に、俺は言葉が発せられなくなった。
あれ?
何がどうなって?
俺の口は塞がれていた。
乙姫様の柔らかな唇で?
唇が離れた時、乙姫様は顔を背けながら言った。
乙姫「少なくともお前は私の隣に既に歩いているよ?今のはお前の努力に対しての滞貨だ!」
浦島「あ…ありがとう…ございます」
その後、嬉しくて嬉しくて駆け回って、太陽に向かって叫んだんだった。
あはは…
それからの俺は四海竜王としての務めに励んだ。
娑伽羅「なぁ?浦島?お前の戦い方は力に頼り過ぎてるぞ?気をつけなよ?」
浦島「は…はぁ~」
それは八大竜王の一人の紅一点娑伽羅さんだった。
新人の俺は八大竜王の方々と同行する事があった。
娑伽羅さんとは既に顔馴染みになっていた。
俺は娑伽羅様とお茶を飲みながら話をする。
娑伽羅「で?どうなのよ?乙姫ちゃんとはさ?」
浦島「乙姫様ですか?」
娑伽羅「忙しいのは解るけど、たまには一緒の時間を過ごさないとダメよ?」
浦島「そうですよね…」
因みに娑伽羅様は子持ちのお姉さんなんで、しょっちゅう俺に恋愛のイロハを教えてくれる。半ぶんは楽しんでいるだけみたいな?
そこに別の八大竜王様がやって来た。その方々は俺の師匠の和修吉様と徳叉迦様。和修吉様は俺の剣術や格闘を教えてくれて、徳叉迦様は俺の再生の力の使い方を教えてくれた。それも徳叉迦様も俺に似た破壊の力を持っていらっしゃるのだ。
和修吉様の剣が俺の逃げ場を奪っていく。俺は剣を弾かれて座り込む。
和修吉「終わりか?」
浦島「完敗です…はぁ~」
すると和修吉様は俺に向かって立派な槍を目の前に突き刺す。
浦島「これは?」
和修吉「お前には剣より槍のが向いてると思ってな?特注品だ!お前にやろう!」
浦島「俺にですか?ありがとうございます!」
俺は頂いた槍を手にすると、馴染むように振り回した。
浦島「まるで身体の一部のようだ?」
和修吉「そりゃそうだ?それはお前の身体の一部から造ったのだからな?」
へっ?
それは初めて和修吉様と剣術の修行をした時に、勢い余って俺の右腕を斬り落とされてしまったのだ。
俺は直ぐに再生を試みて何とか出血多量で死ぬ間際で、ギリギリ辛うじて助かったのを思い出した。
そして和修吉様が余った?俺の斬り落とされた右腕を手にして
和修吉「これはいらないのか?」
浦島「えっ?あ、はい!捨てちゃってくださいよ?そんなキショイもん!」
和修吉「なら俺が頂くとしよう」
浦島「あの~?」
和修吉「何だ?」
浦島「もしかして食べるのですか?」
和修吉「食べるかぁ!バカモン!」
和修吉様はあの時の俺の右腕を使って、この槍を造ってくれたのか?
何か複雑な気分だなぁ~
でも、強くなるためなら俺は頑張ります!
浦島「俺…!もっと力を付けて、必ず乙姫様と祝宴致します!」
俺は殴られた。
和修吉「竜神界のためだろが?」
浦島「は…はい…」
そんな訳で、俺は人間止めた後は順風満帆に生きていた。
あの出来事が起きるまでは…
あの日、俺の領地である城に乙姫様からの使いの者が現れたのだ。
乙姫様が危機だと?
乙姫様の城が天界の神軍に囲まれていると言うのだ!
俺は自軍を率いて乙姫様の城に向かった。
俺が着いた時、そこでは乙姫様が神軍に捕らえられていたのだ?
まさか?
乙姫様もまた、屈強の戦士!実は未だに俺は乙姫様に勝てた事がなかった。そんな乙姫様が何故?
そこにまた信じがたい電報が入った。
それは俺の城が、俺が出兵した後に神軍に占拠されたとの通達だった。
浦島「どういう事だ?」
だが、馬鹿な俺に考える事が出来るのは、乙姫様を救う事だけだった。
俺は飛び出して、乙姫様を救うべく神軍に向かって突入したのだ。
流石に無謀だった。
俺は傷付き、体力が限界の中で乙姫様を救いだした。
はぁ…はぁ…
俺は満身創痍だった。
その時、乙姫様が言った。
「裏切られた」
えっ?誰に?
俺は理由を話さず黙る乙姫様を残し、再び自分の城に戻った。だが、俺の城は既に全滅していた。
しかも俺の城に攻め混んだ軍は神軍ではなく、
同じ竜神軍によってだったのだ!
浦島「何がどうなって?」
すると、俺の前に敵軍の将が姿を現したのだ。
そいつは玄竜だった…
四海竜王の玄竜が裏切ったのだ!!
だが、俺は…
更なる真実に気付いてしまったのだ。
乙姫様の城が攻めこまれ、俺が飛び出して城を空ける事を知る者…
そして何より乙姫様のあの動揺…
俺は玄竜に向かって叫んだのだ!
浦島「あんた?もしかしたら…いや?絶対にそうだ!あんたは亀老人なんだろー!?」
すると玄竜は静かに俺に言った。
「いつかこんな日が来ると思っていたぞ?浦島殿!」
次回予告
まさか四海竜王・玄竜の裏切り?
しかもその正体は昔助けた乙姫の側近の亀老人だった。
浦島の取る行動は?




