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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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潜入!黄風魔王の城!!


三大仙の活躍で難を逃れた危機


そして、美猴王は一人、錬体魔王を追って黄風魔王の居城へと侵入していた。


だが?


俺様は美猴王。


俺様は逃げた錬体魔王を追っていた。崖下の魔王の城を抜けた先に、崖から抜け出せる長い階段があった。俺様は階段を駈け上がる。


決して錬体魔王の野郎を許しはしねぇ!必ず俺様の手で冥土送りにしてやるぜ!


階段を登り終えると、そこは黄風魔王の城と繋がっていた。俺様は城の中へと入り込む。


恐らく敵の配下がわんさか現れるに違いない…


が、一向に敵が現れなかった?もぬけの殻?廃墟?


美猴王「どうなってやがる?ここからは何の妖気も感じねぇぞ?マジに誰もいないのか?それとも気配を隠してるのか?」



その時、俺様は城の最上階にて何者かの妖気を感じたのだ?


俺様は急ぎ駈け上がった。


この妖気は間違いない!


俺様は最上階の扉を開けると、そこには…



美猴王「お前らぁ!」



仲間達がいたのだ。仲間とは六耳、怪力魔王と剛力魔王…それに?


俺様はもう一人の見慣れない野郎に向かって殴りかかったのだ!そいつからは並外れた妖気を感じたからだ!恐らく、六耳達はそいつと交戦中なのに違いない。


俺様が拳を奮うと、敵は背中に背負った刀剣を抜いて俺様の拳を受け止める。


俺様の拳を受け止めるとは手強そうだな?だが!


俺様の拳は妖気を纏い、更なる破壊力で相手の刀剣を弾く。


そして…


美猴王「俺様の本気を見せて…」


が、


六耳「待ってくださ~い!美猴王様ぁ~!」



俺様を六耳が止めたのだ?六耳は刀剣を持った野郎に剣を降ろすように言うと、そいつは素直に剣をしまう。ん?はて?


刀剣魔王「突然の攻撃のために我も仕方なく刀剣を抜いた事を許して貰おう。ゆえあって水廉洞闘賊団に加入した刀剣魔王だ。宜しく願う美猴王殿?」



はて?何?えっ?


状況を掴めない俺様に六耳が説明する。


つまり…


そういう事なのだな?



六耳達は城の内部に詳しい刀剣魔王に案内され少数精鋭でここまで来たらしいのだが?


刀剣魔王「この城には男爵魔王と呼ばれる魔王とその配下が二万いるはずなのだが…忽然と消えておる?何処に行ったのだろうか?我と木霊魔王、妖仙魔王が出陣した時には城にいたはずなのだが?」


怪力魔王「お前嘘じゃないだろうな?二万の兵が忽然と消えるはずないだろ?」


刀剣魔王「我が刀剣にかけて嘘は言わん!ここの男爵魔王は我とは窮地の仲だ。我が説得すれば黄風魔王からこちらに寝返ると思い案内したのだが…全く状況が解らん!」



嘘は言ってないようだな?


だが、この城からは何やら異様な気を感じる。


この気配は…まさか?


少しずつ何かの足音が近付いて来たのだ?


それは、涎を垂れ流し、牙を剥いて入り口から入って来た。


美猴王「!!」


額に角が生えた三つの頭を持つ獣が現れたのだ!しかも五体??


六耳「何だ?こいつは?妖気を感じないきゃ?妖怪じゃないのきゃ??」


美猴王「こいつらは…」



コイツらはキメラ!


人間を使った人体実験の他にも、獣から化け物を造り上げる実験もしていたようだな?


あの廉体魔王!!


人工の化け物からは妖気は感じないが、驚異的な力を持っている。



美猴王「お前達!用意は良いか?」


六耳「ウッキ!」


怪力魔王「力で負ける俺じゃない!」


剛力魔王「………」


刀剣魔王「承知!」



襲い掛かるキメラ獣に俺様達が迎え撃つ!


強力な爪を持ち襲い掛かるキメラ獣の攻撃を身軽に躱す六尾、更に受け止める怪力魔王。刀剣魔王は刀剣にて受け流し、斬りかかる!


剛力魔王「………」


剛力魔王の背後から迫るキメラ獣に、剛力魔王は手にした大斧を振り回すとキメラ獣は真っ二つに両断したのだ。同時に!!


怪力魔王「ふんぬ!」


刀剣魔王「斬!!」


怪力魔王は受け止めたキメラ獣の腕を掴み上げると、刀剣魔王が戦っているキメラ獣に衝突する。その隙に刀剣魔王が刀剣を振り払うと、キメラ獣の二体が一刀両断になった。



六耳「スッゲ!俺ッチもやらいでかぁ!」


六耳の両手から雷の爪が伸びて、投げるとキメラ獣の目に突き刺さる。悲鳴をあげるキメラ獣に六耳が間合いに入って心臓に向けて雷の爪を突き刺したのだ。


美猴王「最後は俺様!」


俺様は拳が発火すると向かって来るキメラ獣の額に向かって殴る!木っ端微塵になる頭に、他の頭にも妖気の弾玉を放つ。


俺様達五人は圧倒的強さを見せてキメラ獣五体を撃破したのだ。


美猴王「ふぅ~」


怪力魔王「今のキメラ獣が暴れて男爵魔王の配下を全て始末したのか?」


刀剣魔王「いや?配下なら解るが、男爵魔王は我と変わらぬ強者だ!キメラ獣如きに易々と負けるはずない」


六耳「なら、俺ッチ達に恐れをなしたか?」


刀剣魔王「男爵魔王が城を残して逃げるはずはない!アイツは男気ある奴だ!」


なら、このもぬけの城で何が起きたと言うのだ?


その時、


六耳「?」


美猴王「どうした?」


六耳「ちょっと待ってくださぃ?うーん」


六尾が耳を澄ますと、この城から俺様達以外の生き物の存在に気付く。


六耳「奥に誰かいます!」


美猴王「マジか?何処だ?取り敢えず行ってみる。何か知っているかもしれないしな?」


六耳「案内します!」


それにしても六耳の耳は役に立つよな?六耳を先頭に向かった場所は行き止まり?ん?いや?何か違和感があるぞ?


六耳「この壁の向こうから音がしますです!」


美猴王「どうやら隠し通路のようだな?」


すると刀剣魔王が刀剣を手に念を籠める。


刀剣魔王「斬り裂く!」


刀剣魔王が気合いで振り降ろした刀剣が前方の壁を粉々にし、その先に新たな道が開かれたのだ。


怪力魔王「知っていたのか?」


刀剣魔王「否!このような場所に隠し通路があったとは…我にも聞かされてなかったぞ?」


美猴王「どうやら仲間内に何かあるのか?」


刀剣魔王「うむむ…」


美猴王「お前が仕えていた黄風魔王とはどんな奴なんだ?」


刀剣魔王「我の知る黄風魔王様は…」



刀剣魔王の口より黄風魔王について語られる。


黄風魔王は寿命の短い老妖怪であった。かつてはこの地を支配し、縄張りとする事で他の魔王の侵略を阻止していた。魔王としては温厚で配下からだけでなく人間達にも慕われていた。


しかし…


寿命より己の死を悟った黄風魔王は、生への執着から変貌し始める。不老不死を求め、他の地の不老不死に関する魔王の秘宝を奪うように命じたのだ。


かつて黄風魔王に仕えていた魔王には刀剣魔王、男爵魔王、妖仙魔王に木霊魔王のみであったが、そこに不老不死の実験をしていると噂の錬体魔王を率いれたのだ。


黄風魔王は錬体魔王の不老不死の研究に多大な信頼を得た。失われていたかつての力を取り戻しただけでなく、その老いを食い止め、みるみる若返っていく。まさに全盛期の力を取り戻した黄風魔王は目的を果たし満足し、褒美として錬体魔王に己の全権を与えたのだ。錬体魔王は己の研究欲求にのみにしか興味を示さなかった。だが、その研究には獣や人間。それに配下の妖怪を使う。まさに悪魔の所業であったのだ。


美猴王「………」


刀剣魔王「実質、黄風魔王様の軍は錬体魔王の支配下だ。だから錬体魔王さえ始末すれば戦争は終わるだろう」


怪力魔王「やけに簡単にこっち側に寝返ったと思えば、そんな思惑があったとはな?」


刀剣魔王「我が主君は黄風魔王様のみ!憎きは錬体魔王のみ!そのためにお前達に手を貸しているのだ!」


怪力魔王「俺はてっきり姉様に横恋慕したかと思って心配していた」


刀剣魔王「それとこれとは別だ!剛力様は我が愛しのマドンナだ!」


怪力魔王「何だと?お前なんかに姉様はやらん!」


と、互いの顔を引っ張りあっていた。


何か複雑な事になってるようだな?


そこに六耳が呼ぶ声が?


六耳「美猴王様!こっちに来てくださいよ~!」


美猴王「どうした?」



俺様達が六耳の呼ぶ先に向かった先に、柱に縄で腕を縛られた人間のガキがいたのだ。


美猴王「こいつも錬体魔王の実験に使われるために連れて来られたのだろうな」


六耳「どうします?置いて行きますか?それとも食いますか?」


するとガキは奮えて怯えていた。


美猴王「助けてやれ?」


六耳「えっ?人間をですか?足手まといですよ!」


美猴王「助けてやれ?」


六耳「は…はい」



六耳は俺様に言われて承諾すると、人間のガキを縛っていた縄を爪で切る。そして怪力魔王がガキを背負う。


美猴王「お前、運が良かったな?」


ガキは奮えて黙っていた。


確かに足手まといだが、こんな場所に残すわけにも、安全な場所まで誰か一人を戦線離脱させる余裕も暇もない。


一緒に連れて行くしかないかな?やっぱ?


俺様達は見付けたガキを連れながら先を進んだ。



先は真っ暗な道が続いた。


敵が待ち構えるわけでもなく、罠がある訳でもなかった。


美猴王「この先には?」


刀剣魔王「恐らく黄風魔王様の部屋へ続くと思う」


暗闇の通路を出た先には確かに部屋があった。


美猴王「どうやら最終決戦のようだな?」




場所は変わる。


ここは黄風魔王の城の中。


黄風魔王は黙して外を見ていた。そこに慌てて錬体魔王が扉を開けて入って来たのだ。



錬体魔王「はぁ…はぁ…奴等が来る!私のキメラはもういないのか?役立たずが!」


錬体魔王はゆっくりと黄風魔王に近付く。


錬体魔王「黄風魔王!敵が城に入って来る!後はお前が何とかしろ?」


黄風魔王は黙っていた。


錬体魔王「何を黙っている?早く向かえ?」


黄風魔王「………」


錬体魔王「お前?私に逆らうつもりか?お前は私に恩があるだろ?」


すると黙っていた錬体魔王が口を開く。


黄風魔王「村を捨てたのか?」


錬体魔王「村?ち…違う!村は私のせいじゃないぞ?奴等が村を滅ぼしたのだ!あの美猴王と呼ばれる魔王によって!」


黄風魔王「そうか…」


錬体魔王「村は残念な事をしたと思う。だからお前は村を滅ぼした憎き美猴王を始末すれば良い?だろ?」


すると黄風魔王が錬体魔王の胸を、その手刀で突き刺したのだ!


錬体魔王「な…何を?」


黄風魔王「私が何も知らぬと思っていたのか?お前が村の人間達を実験に使っていた事はお見通しだ!」


錬体魔王「馬鹿な…人間如きのために…お前は…恩人である私に…逆ら…」



錬体魔王の突き刺された身体が見る見る黒くどす黒く変色していく?


そして全身に広がると、粉々になって消滅したのだ。



黄風魔王「お前に恩だと?私をこのような穢らわしい身体にして…だが、この呪われた力を持って…」



『この地上に生きる全ての妖怪を消し去ってやろう!』


次回予告


宿敵である錬体魔王を殺した黄風魔王。


その事を知らない美猴王の前に現れたのは?

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