番外編陀~大蛇王生誕祭!
天上天下・美猴王伝説 邪神編最終話!
遂に完結
那我羅の運命は?
そして大蛇の王は本当に出現するのだろうか?
天界最高層西部にある隠し神殿がある。
そこでは今、天界の命運をかけた戦いが繰り広げられていた。
蛇神と武神!
予言にて現れる蛇神の王の復活に、武神の中の長たる五人の将軍達は隠密にて殲滅を試みていた。
三体の蛇神に三人の将軍が城の外で戦っている。
更に城内にて一人侵入していた那我羅と戦う将軍。
そして捕らえた蛇神を使い、呪われし儀式にて蛇神を誘き寄せる神石造りを行っていた。
全ては大蛇の王の復活を阻止するために!
那我羅「面白い!面白いぞぉー!!」
俺の大剣が叉刀将軍の剣を弾き返す!叉刀将軍は痺れる手に、俺を睨む。
叉刀将軍「クッ!剣を交わす度に奴の剣が重く速くなっていくようだ?お前は本当に何者なのだ?蛇神の手の者なのか!」
那我羅「俺は俺だ!俺はお前のような強き者と立ち合えればそれで良い!」
「意味の解らぬ!ならば宝貝・斬刃!」
叉刀将軍を中心に刃が枝分かれしながら俺に向かって来る。逃げ場がない状況で俺は…
竜巻の如く全ての斬撃を弾き返していった!
那我羅「ウォオオオ!」
俺の渾身の一撃が叉刀将軍の宝貝・斬刃を粉々に粉砕し、その斬撃が叉刀将軍の身体を斬り裂いたのだ!
吐血しながら崩れるように倒れる叉刀将軍に向かって、
那我羅「俺の勝ちだな?」
叉刀将軍「馬鹿な…まさか俺を…倒すなんて…」
俺は大剣に付いた血を払い落とし、動けぬ叉刀将軍を残して先に向かった。
その頃、外の門で蛇神と戦っていた三将軍達にも動きがあった。既に戦いは乱闘になっていた。士桜将軍、須将軍、将遊将軍は巨大化した三体の蛇神を相手に戦っていた。
蛇神が放った無数の牙を剣で弾き返していた士桜将軍の背後から?
須将軍「士桜将軍!上だぁああ!」
士桜将軍「えっ?」
気付いた時には遅かった。別の蛇神が士桜将軍を頭から丸飲みにしたのだ!
須将軍「おのれぇ!」
須将軍は両手に持つ大型の盾に神気を籠めて投げると、それは炎を吹き出させて飛んで行き、士桜将軍を飲み込んだ蛇神の首を跳ねて落とした。
須将軍「これで…仇は…」
だが、武器を手放した須将軍はもう一匹の蛇神の口から噴き出す無数の牙に身体を貫かれ息絶えた。
浮遊将軍「クッ!二人共…最期までよく戦った。後は私が!」
だが、浮遊将軍の行く手を蛇神が阻み、残る一匹が戦場から離脱し、城内へと侵入してしまったのだ。
今、城内では蒼手将軍が儀式の真っ只中であった。拘束されている蛇神が魔法陣の中で苦しみもがいていた。そこに!
蒼手将軍「!!」
突如、床が闇に飲まれて魔方陣の光が消え、蛇神の身体を拘束していた力が弱まる。それは侵入した蛇神の持つ能力であった。
蛇神「王よ、目覚めよ!」
影を使う蛇神の術で魔方陣が全て消された直後、城全体が一瞬にせて妖気に覆われ揺れ出したのだ!それは拘束されていた蛇神の抑えられて妖気が解放されたためであった。
蒼手将軍「将軍達は足止め出来なかったのか?」
そして結界が破られていき、弱まりかけていた蛇神が目を覚ました!
「ウゴオオオオオ!!」
その蛇神は他の蛇神とは比べ物にならないくらい巨大で、凄まじい妖気を発して城を崩壊させていく。
崩壊する城から蒼手将軍は神気を盾にして外へと抜け出て来た。すると目の前には将遊将軍と蛇神が力尽きた状態で石化していた。
蒼手将軍「残されたのは俺だけか…」
蒼手将軍が見上げ先には巨大で邪悪な姿の蛇神が起き上がっていた。更に失った力を補給するかのように、助けに来た影を使う蛇神を丸飲みしたのだ!
更に将軍達に倒された蛇神の躯や死んだ将軍達をも吸収しながら更に力を増していく。
蛇神の妖気が大地を、天を覆い包んでいく。
見上げる蒼手将軍は剣を抜き、覚悟を決める。
この蛇神は本来、天界の武神の貴族であり、一国を任されていた王であった。
王・・・
まさにその桁違いの力を持つ蛇神の王!!
蒼手将軍「どうやら…とんでもない化け物を生み出してしまったようだ…こうなれば私の命を賭けて!」
そこに、
「俺も及ばずながら戦おう…」
それは傷付きながら剣を杖にして立ち上がった叉刀将軍であった。蒼手将軍は頷くと、叉刀将軍と共に神気を高める。
極限にまで神気を高めた二人は、目の前の蛇神に向かって特攻[自爆]をかけようとしているのだ。
『究極奥義・爆将紋大!』
※バクショウモンダイ
二人の将軍は強力な神気の塊となって、蛇神へと突進した!しかし蛇神は口をゆっくり広げると、特攻して来た二人に向かって妖気の覇気を放ったのだ。衝突した力は北の大地を震撼させ崩壊させていく。そして、墜落するように蒼手将軍と叉刀将軍は大地に落下し、指一つ動かせずに倒れた。
もう、力は残っていない。
そこに、近付く蛇神の王。
しかし、二人の将軍は笑みを見せたのだ?
蛇神の王「?」
その時、突如上空が光輝いたのだ!!
一体、何が?
突如上空より照らされた光の方角に向かって蛇神が見上げた時、上空は巨大な雷の塊が浮いていたのだ??いつの間に?
だが、気付いた蛇神が状況を把握する間もなく、その雷の塊は蛇神に向かって落ちて来たのだ!
蛇神「ウギャアアアア!」
雷の塊を全身に浴びて悲鳴をあげる蛇神。しかし、上空には新たな雷の塊が膨れ上がり出来上がろうとしていた。そして、その中心に見える人影があった?
蒼手将軍「どうやら…我々の命懸けの時間稼ぎが…意味を持ったようだな…」
叉刀将軍「あぁ…」
雷の中心の人物を見て、二人は己に課せられていた使命を達成出来たと安堵した。将軍達は蛇神を誘き寄せ、この地から逃さぬように食い止める時間稼ぎだったのだ。それは、その者が到着するまでの!!
その者とは、将軍の更に上の称号を持つ最高の力を持つ武神…
元帥!!
そして現れし元帥の称号を持つ武神の姿は?
まだ幼い少年であり、女性と見間違う容貌の凛たる眼差しの美少年であった。
その名は?
『中壇元帥ナタク』
ナタク「これが蛇神か…俺は中央の戦場に戻らねばならん。早々に片付けさせて貰うぞ」
ナタクが抜いた剣先に雷の塊が見る見る巨大化していき、再び真下にいる蛇神目掛けて振り落とした。
『落雷』
それは二撃!三撃!と、続けて振り落とされた。さしもの蛇神も落雷の連続攻撃にその場から身動きすら出来ずに直撃をくらう。
蛇神の王「こ…これは?ただの雷ではない…雷に神気を練り混ぜているのか?」
蛇神がナタクの雷を受けている時、俺、那我羅もまた意識を取り戻した。
俺は確か?
蛇神の王が目覚めた時、確か妖気の波が押し寄せ飲み込まれてしまったのだ。
そして今、俺は蛇神の体内にいた。
身体は拘束されたように動かせねぇ?
それに、力が吸い出されているようだ?
「うぐぅおお!」
だが、ビクともしない。
このまま力を吸い出されて力尽き死ぬのか?
このまま…
嫌だ!!
俺には悔いがある!まだ諦めてたまるかぁ!まだまだ戦いたい!この俺の荒魂は満足しちゃいねぇ!
地上界の六大魔王…
天界の猛者達…
それに、誰か解らないが、この化け物の外より感じた事のない強き力を感じるのだ?
まだ終われねぇ…
俺は、俺は!!
こんなもんじゃねぇー!!
俺の激情が魂を荒ぶらせ失いかけていた力が再び沸いてきた?何処に残っていたのだろうか?その力は溢れ出すように高まっていく!
その力を蛇神の王は感じ取った。俺から吸収する力を再生力へと変換し、ナタクの放つ雷で消耗した身体が見る見る再生していく。
ナタク「ほぉ?」
ナタクは蛇神の王に感心した。もう消滅間際だった蛇神の王が再び息を吹き返したからだ。
ナタク「蛇神…少しは足掻くか?なら、俺も少し本気を出させて貰うぞ?」
ナタクが剣を鞘に収め構えながら瞼を綴じると、神気が異常な高まりを見せて雷が神々しく光輝いた。
『神雷・消雷刹刑!』
※シンライ・ショウライセツケイ
ナタクが再び剣を鞘より上段抜刀した!
剣先より神雷が刃となって巨大な蛇神の王を頭上から斬りかかる。
同時に蛇神の体内より、
那我羅「俺からは誰も奪えねぇ…誰も縛れねぇ…俺は…俺は!」
『最強になるんだぁー!』
その直後、強烈な覇気が那我羅から発せられて、身体を拘束していた蛇神の体内の肉が消滅し、そのまま体内から荒ぶる覇気が暴発したのだ!
蛇神の王「なぁ…?何ぎゃあ、ぁァアアアアア!」
それは外からナタクの神雷、内から那我羅の覇気が同時に蛇神の王の身体を襲ったのだ。強烈な閃光が北の神殿を覆い、大地が揺れ、天を震撼させた。
収まり残ったのは粉々に身体が崩壊した蛇神の王の骸であった。
ナタクは蛇神の王の骸の上に音もなく着地すると、その後ろに大柄の武神が付き従えるように着地する。
「ナタク様、これでお父上様よりのお役目は済みましたね?」
その者はナタクの側近の巨霊神であった。
ナタク「他愛もない…」
元帥の称号を持つナタクにとって、蛇神の王ですら討伐は容易であった。
そこに蒼手将軍と叉刀将軍が互いに肩を支え合いながらナタクに近付く。
蒼手将軍「中壇元帥ナタク殿、巨霊神殿、蛇神討伐の任務お疲れ様でした」
巨霊神「生き残ったのは二人だけか?」
叉刀将軍「残念ながら…」
巨霊神「うむ。しかし蛇神の王を相手によくぞ我らが来るまで食い止めた」
その時、巨霊神は気付く。
ナタクから闘気が消えていない事に?
巨霊神「どうなさいました?もしや蛇神の王がまだ?」
ナタク「そうではない。気付かないか?この何者かが発している荒魂の気を?」
巨霊神「!!」
その時、灰と化した蛇神の王の骸から、人影が立ち上がったのだ?
その者は…
叉刀将軍「まさか?あの者は?」
巨霊神「知った者か?」
叉刀将軍「いや、この城に忍び込んだ曲者でございます。私と立ち合いましたが…敗れ、逃してしまいました」
蒼手将軍「まさか?なら、あの場にいて、あの蛇神の王の体内にいたというのか?取り込まれもせずに生き残ったというのか?信じられん…」
だが、目の前に確かに那我羅は立っていた。
しかし!
ナタク「蛇神の障気に魂が感染されたようだな」
「!!」
那我羅の肉体に鱗が浮かび上がっていたのだ?それはまるで蛇の鱗のように?
那我羅の身体は蛇神へと変貌しようとしていたのだ。
巨霊神「何者か知らぬが手遅れのようだな」
巨霊神が神気を高めると大地が震え始める。
だが、そこに?
ナタク「俺が仕留める」
ナタクが前に出たのだ。
ナタク「蛇神は一匹足りとも逃さぬ。お前を討伐する!」
ナタクが鞘に手をかけたと同時に、その殺気に本能が感じ取ったのか?那我羅は飛びかかって来たのだ!
だが、その手には武器は無く自滅行為に見えた。
ナタク「!!」
飛びかかる那我羅の振り上げた掌に蛇気が集中すると、小さな蛇達が蛇気から現れて伸びていく。それは形となって大剣と化した!
降り下ろした蛇神の大剣をナタクは受け止める。足元が大地に埋もれるが、ナタクは微動だにしない。
ナタク「少しは遊ばせて見せろ?蛇神」
ナタクが一閃!那我羅を弾き返すと、着地と同時に再び那我羅が斬りかかる。
半蛇神化した那我羅がナタクに向かって襲い掛かる。まるで獣と化した那我羅は本能で強者に向かって攻撃を仕掛けていた。その斬撃は重く、ナタクは受け流しながら笑みを見せる。
ナタク「魂が籠った良い一撃だ…殺すには惜しい」
那我羅「!!」
瞬間、那我羅はナタクから距離を取るように後方へと飛び退いた。
ナタク「俺の一瞬の殺気に本能が察知したのか?」
するとナタクは雷の一刀を那我羅に向けて放った。
那我羅「グォッ!」
那我羅は大剣に蛇気を籠めて受け止める。しかし飛び散った神雷が身体を斬り裂いたのだ。このままでは消耗していくだけ?その時、那我羅から強力な力が高まり、ナタクの雷撃を打ち消したのである。
覇気!
那我羅の覇気が一瞬にしてナタクの神雷を消した。
ナタク「本当に殺すには惜しい奴だ。しかし俺もこれ以上遊んでいる暇もないんでな?」
…瞬間、ナタクが視界から消えた?
那我羅「ガッ!」
ナタクが現れたのは那我羅の眼前であった。一瞬で間合いに入り、一刀が振り払われると、那我羅の胸が裂かれて血が噴き出すように飛び散った。
更に追撃の刃が放たれた時、那我羅は後方へと飛び退き、再び距離を取ろうとしたが?そこにはもう足場がなかったのだ。
浮遊する天界の大地が先程のナタクの神雷の一閃で削られるように消滅していたのである。逃げ場を失った那我羅の前に再びナタクが迫る。
ナタク「終りだ!」
ナタクの刃が五つの閃光を放ち振り払われた。
那我羅「グゥオオオ!」
それは一瞬であった。
ナタクの剣は那我羅の五体を一瞬で両断した。
両腕が!両足が!!
そして最後の一閃が那我羅の首を落とし…
浮遊する天界の大地より落下していった。
巨霊神「何者だったのでしょう?しかしナタク様にかかれば呆気ない最期でしたな?」
ナタク「そう見えたか?」
巨霊神「それはどういう意味でしょうか?」
それは那我羅の首を落とす最後の一閃が放たれた時、那我羅は足掻いたのだ!口を開き、ナタクの剣を歯で受け止め首を落とされずに逃れたのである。
巨霊神「何と?あの一瞬でナタク様の剣を見切ったと?そんな馬鹿な?」
ナタク「………」
巨霊神「追いますか?」
だが、ナタクは振り返ると巨霊神に、
ナタク「捨てておけ?どうせ助からぬだろう」
両腕、両足を切断され、浮遊する天界の大地から落とされて無事でいられる訳がない。落下中に死すか、落下直撃で絶命するか?
ナタク「それに俺は、急ぎ中央の地へ向かい、愚かにも天界に刃向かう地上界から魔王を討伐せねばならないからな」
するとナタクの足元から炎の車輪が出現し宙に浮かぶと、巨霊神と共に六大魔王達が襲撃している中央神殿に向かって飛び立ったのだった。
これで、全てが終わった。
誰もがそう思う。
しかし…
天界の下級層の森の中の道を、両腕両足を失いながらも血だらけの那我羅が身体を引き摺りながら移動していたのである。
那我羅は生きていた。
だが、それは生への執着のみ、ただ、生きる目的のために命をとりとめたのだ。
強者と戦いたいという願望のために…
だが、その行く手に?
那我羅の前方に何者かの足が見え、声がした。
「まさか本当に生きていたとはな…」
「化け物染みた生命力…いや?正真正銘の化け物だ」
それは蒼手将軍と叉刀将軍であった。二人はもしや?と疑心暗鬼であったが、那我羅の消息を確かめに来たのである。
そして万が一は己達の手で息の根を止めるために…
そして驚く二人の目の前に那我羅は驚異的な生命力で生き長らえていた。
蒼手将軍「苦しかろう?ここで終わらせてやろう!」
蒼手将軍が剣を抜いたその時、突如?叉刀将軍が叫んだのだ!?振り向く蒼手将軍の目の前には?
蒼手将軍「馬鹿な…」
蒼手将軍の目の前で叉刀将軍がぶら下がっていた?その下半身は大地に転がって、血が溢れるように噴き出していた。
蒼手将軍が見上げた先に新たな蛇神が出現した?
蒼手将軍「まさか…蛇神の生き残りがまだ?だが、蛇神の王なき今、残党ごとき我が手で始末してやろう!」
すると笑い声が響き渡る?
「蛇神の王とな?それはあの下級の蛇神の事か?あの小者が王とは笑わせおる。お前ら天界の者はめでたいのぅ?」
それは下半身が蛇の尾を持つ、白髪の女の蛇神であった。
白蛇の巫女!!
蒼手将軍「それはどういう意味だ?」
白蛇の巫女「答える義理はない。今、死ぬ虫けらにはな?」
瞬間、白蛇の巫女の尾が音もなく風を切った。同時に蒼手将軍の頭部が地面に転がり、首から血を噴き出した身体が崩れるように倒れた。
白蛇の巫女「さて…虫は払った。後はお前だよ?那我羅?」
動けぬ那我羅に近付く白蛇の巫女は、
白蛇の巫女「お前は大蛇の王を呼び覚ます贄なのだよ。お前の荒魂は暗黒世界に封じられた王の魂をこの世界へと導き繋ぎ、お前の身体を依代として王が目覚めるのだ!」
白蛇の巫女が印を結ぶと蒼手将軍と叉刀将軍の血溜まりが障気を臭わせ那我羅の身体を包んでいく。
那我羅「オ…オ…レ…ウグゥオオオ!!」
那我羅の心臓に白蛇の巫女が投げた短剣が突き刺さる。
「ガッ!」
抵抗出来ずに命を絶たれ、胸から血が噴き出しながら荒魂が浮かび上がり妖しく光り出す。すると空間が歪み、亀裂が入る。その亀裂の穴から溢れる程の蛇が抜け出て来たのである。瞬く間にそこは数千?数万?数億の無数の蛇が埋めつくした。
白蛇の巫女「オホホホホ!今より大蛇の王がお目覚めになられる!我らが蛇神の王が目覚めるのよ!」
すると白蛇の巫女の周りに今まで姿を見せていなかった強力な力を持つ蛇神達が姿を現し平伏し始める。
その数は数千以上の蛇神達…
そして溢れる蛇達は動かなくなった那我羅の躯の中へと吸い込まれるように吸収されていったのだ。
鼓動が鳴る?
死んだと思われた那我羅の鼓動が動き出し、失った腕や足が蛇達の肉や血が形となって再生させていく。
そして瞼が見開いたのだ!
立ち上がった那我羅だった者の身体を蛇が巻きつきながら固まっていき、蛇神の鎧と化していく。
白蛇の巫女と、残った蛇神達は皆揃って平伏する。
今、まさに大蛇の王が目覚めたのである。
白蛇の巫女「大蛇王様…貴方様のお目覚め、永きよりお待ちしておりました」
だが、大蛇の王は、
「…………」
我が身の変化を見て唇を笑まして呟く。
「俺が大蛇の王だと?」
その言葉の意味が理解出来ない白蛇の巫女は、
白蛇の巫女「大蛇王様?」
すると王は言った。
「俺は那我羅!大蛇の王の魂を我が物とした真の強者!大蛇王那我羅だぁ!」
その言葉に白蛇の巫女は絶句する。
白蛇の巫女「まさか!大蛇王様の魂を…逆に支配したと言うのか?そんな馬鹿な事が…」
狼狽する白蛇の巫女に那我羅は言った。
那我羅「白蛇の巫女よ?お前達の王の仇と俺を討つか?」
だが、白蛇の巫女は再び平伏し答える。
白蛇の巫女「私達は那我羅様を真の王と仰ぎ貴方様に仕えさせていただきます」
那我羅「そうか…」
白蛇の巫女だけでなく他の蛇神達も平伏する。それだけ今の那我羅には逆らえない圧倒的な圧力があった。蛇神達の本能が目の前の那我羅を真の王と直感したのである。
那我羅はマントを翻すと、
「今より俺は再び眠りにつく。
そして再度目覚めた時、
この暗黒世界の王が天地全ての世界を破壊し支配する!!
それまで、
少しでも足掻く力を備えておくが良い…
俺を楽しませるためにな?」
そして蛇神達を従え引き連れた那我羅は、闇の空間へと姿を消した。
この物語は序曲に過ぎない…
後に世界を暗雲に陥れる真の蛇神の王の生誕祭であった。
完結!!
最後までお読みいただき、有難うございました。
遂に完結致しました。
第一部 転生記
第二部 神を導きし救世主
第三部 唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~
第四部 天上天下・美猴王伝説
過去編四部作の全てが完結致しました。
そして、全ての物語の残された伏線を回収する新章が始まります!
新たな主人公が今までのキャラ達や新キャラ達との出会いの中で悩み、成長し、更に激しくなる戦いに挑む!
『隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~』
それは世界神話を覆し、神々を巻き込む物語。




