新たな戦いの幕開け?伝説の始まりの序章!!
美猴王を失った仲間達の決断。
そして美猴王が再び甦るのに300年。
その間、地上界は変わっていく?
美猴王が起こした地上界征服と天界大戦は終わった。
天界より戻った牛角魔王、蛟魔王、獅駝王、鵬魔王は天界より地上界を与えられ支配する事になる。
その後は地上界の反乱軍とのいざこざはあったが、地上界に牛角魔王達に敵う者は居らず、完全に地上界全土を支配する事となった。
地上界は安定する。
だが、反乱分子は決して消えたりはしない。
地上界にて天界を憎悪し再び戦乱の世に変えようと計画している者がいた。
その者は天界大戦より生き残りし残党であった。
名を蚩尤!
蚩尤は二人の妖怪を連れて洞窟の中へと入って行く。
この洞窟は地下深くまで続き地獄へと繋がると言われていた。その地下迷宮には奥に進むと凶悪な強さを持つ妖怪が門番している。
「兄貴?マジにこの先に進むのかよ?」
「確かに、これ以上は異常だぜ?」
二人は氷狼と炎狼。蚩尤と同じく水廉洞闘賊団の生き残りであった。今は名を改めて銅角と獄狼と名乗っていた。
銅角「確かに兄貴は以前に比べたら滅茶苦茶強くなったよ?でもよ?この迷宮の化け物は異常だよ!」
獄狼「そりゃそうさ…かつて魔王に逆らいし化け物連中が投獄され、戦乱の最中にこの洞窟に逃げた話だぜ?」
つまり最下層に降りるに連れて、一桁魔王並みの化け物がいるのだ。
蚩尤「………」
蚩尤は何のために?
蚩尤と銅角、獄狼の後には強力な妖気を持つ化け物達が付き従えていた。
こいつ達は蚩尤がこの洞窟で倒し従えた連中だった。
蚩尤「足りねぇ…」
蚩尤に恐怖はなかった。
否?
既に恐怖が麻痺していたのだ。
天界で味わった恐怖を拭いさるために蚩尤はこんな荒行をやっているのだ。
そして、最下層…
そこには他の化け物とは格段に強い妖気を持つ妖怪がいた。
その姿は馬頭に人体の化け物であった。
『お前か?この迷宮洞窟を荒らす輩は?』
その化け物の名は、
『馬頭』
蚩尤「お前が最後か?ならば味わせて貰うぞ?恐怖を!俺の恐怖を塗り潰してみせろぉおおお!」
蚩尤と馬頭の激しい戦いが繰り広げられる!馬頭は強かった。巨大な長刀を片手で振り回し、蚩尤は身体中を斬り裂かれる。
にも関わらず蚩尤は笑っていた!?
蚩尤「足らねぇよ…俺をもっともっと熱くさせやがれぇー!」
蚩尤の身体が真っ赤に変色し、傷口から熔岩が噴き出し垂れ流れる。
蚩尤「ギャハハハハ!」
二人の覇気が洞窟を揺らし崩し始める。堪らずに蚩尤の配下達は洞窟から逃げるように脱出する。
暫くした後、蚩尤は馬頭の亡骸を担ぎ上げて出て来たのだ。
そして馬頭の亡骸を魔方陣の描かれた岩の祭壇に乗せて自分も横たわると、配下の呪術師達に命じる。
呪術師達は印を結び蚩尤に向かって術をかけたのだ!
『解脱印』
それは魂の離脱術。
蚩尤の身体から妖気に包まれて魂が抜け出すと、魂の光りは馬頭の中へと入っていく?そして術が消えたと同時に蚩尤が立ち上がると、
蚩尤「これで満足か?」
すると死んだはずの馬頭が起き上がり返答する。
「お~満足だぜ?兄弟!あはは~こりゃ強い力を持った肉体だぜ!」
それは蚩尤の魂に寄生していた魂喰魔王であった。魂喰魔王は新たな肉体を手に入れて満足していた。
九頭馬「よし!今より俺は九頭馬と名乗ろうぞ!」
蚩尤「まぁ、これで俺も落ち着けるぜ?」
九頭馬「そんな邪険にするなよ?今まで付き合ってた仲だろ?」
それを見ていた銅角と獄狼は目を丸くしていた。
誰??
蚩尤「…これで邪魔されずに玉面に告白出来る」
そう。
玉面魔王もまた戦場より蚩尤に救われ生き延びたのだ。しかし…玉面魔王は結界で閉ざされた城から出ようとはしなかった。それは天界で殺されかけた恐怖のトラウマからであった。
蚩尤「いずれ俺と牛角兄貴が再び天界を血の海にして滅ぼしてやるからな!」
充分な力を付けた蚩尤は仲間の兵を連れて、牛角魔王に会いに向かう。
だが、この再会が新たな因縁と悲しみ、波乱を呼ぶとは知らずに…
その時、牛角魔王に驚異が迫っていた。
魔神の世界より新たな魔神が地上界に進軍して来て、あの南の大地を支配する蛟魔王の城を破壊した後、東の大地を支配している牛角魔王の城に迫っていたのだ。
その者…
女帝・羅刹女が率いる女妖怪の軍隊であった。
牛角魔王と羅刹天の一騎討ちが地上界を騒がしたが、この事件は予想だにしない結末を迎えた。
牛角魔王と羅刹女の…
結婚??
二人は夫婦となり、この出来事が蚩尤と玉面魔王の運命を狂わせ、それが牛角魔王を地獄の底に落とす悲しみを与える事になる。
牛角魔王の東の地は荒れていく。同時に獅駝王が支配する西の大地にも異変が起きていた。
獅駝王が失踪したのだ?
後に西の大地は支配する者を失い、抑制を失った凶悪な妖怪が跋扈していく。
地上界は正に戦乱の世へと戻っていく。
地上界は新たな世代の妖怪達が己を魔王、大王と名乗り支配し始める!
その中でも名高く悪名高いのが双子の盗賊妖怪であった。二匹の妖怪は幼き日に天界より落ちて来た天界の双子の赤子を食らい、その力を自らのものにした。しかも難攻不落の天界へと侵入し、毘沙門天の宝物庫から五つの宝具を盗み出したのだ。
名を金角大王と銀角大王!
その凶暴かつ残虐ぶりは地上界に広まり、妖怪達ですら恐怖する。
だが、表に出て来ない暗躍する者達もいた。
その者は顔をマントで隠した魔術師の姿だった。杖を使い老人のように歩くその者の目は、潰れていた。
盲目の男は約束していた相手を前にして立ち止まると、
「例のモノは手に入ったのか?」
その者の前には踊り子のような肌の見える美しくも妖しい褐色の女がいた。
「条件は解っているね?」
その女もまた妖怪であった。手にした生々しい玉を男に手渡す。それは眼球であった。男は眼球を己の瞼に押し込めると、見開いたのだ!直後、男の身体がみるみると若返る。
「ふふふ…ようやく魔眼を手に入れたぞ?占い師の女よ?礼を言う。力が漲ってきた!」
「約束さえ果たして貰えれば私はそれで結構さ」
「しかし人探しに私の魔眼が必要とはな?」
「それだけ厳重な結解に身を隠しているのさ!あんたに渡した魔眼でなくては探せないほどのな?」
男は魔眼を発動させると、遠く離れた目的の者の姿をとらえ、その位置を把握した。男は女にその位置を伝えると、その場から立ち去って行く。残された女妖怪の方も意味深な言葉を呟く。
「姉様…姉様の仇は必ず始末する。憎き玉面!お前は私達の妹、鉄扇が必ず!」
この女妖怪、名を蝎子精と言う。
そして立ち去った男は呟く。
「この私を惨めに貶めた美猴王よ…キサマは私がこの手で、死ぬよりも苦しみ殺してやるからな…」
美猴王に恨みを抱くこの男は、かつて魔王であった者であった。
しかも一桁の力を持つ最強級の妖魔王…
名を眼力魔王!
再び蘇りし魔王が転生を待つ美猴王の命を狙う。
更に、美猴王に恨みを抱く魔王が他にも暗躍していた。
「ハァー!!」
幼い少年は拳に妖気を籠めると、目の前の滝が真っ二つに裂ける!しかも滝は蒸発して消え去ったのだ。
「お見事です!」
少年を見守る男は虎の衣を惑い、鍛え上げた肉体が見える。
その者は…
虎先鋒!
かつて一桁魔王の側近であった半妖だ。
そして、虎先鋒が見守る少年は、あの黄風魔王の忘れ形見の黄風大王であった。
二人は誓う!
その拳に悲しみを乗せ、この世界に跋扈する全ての妖怪を消し去ると…
そして別の場所でも?
ここは洞窟。
そこには黄色い眉の老人が印を結び術を行っていた。
この老人の名は黄眉大王。
かつて美猴王と戦った錬体魔王の相方であった。
黄眉大王「今、甦らせてやるぞ?念には念を入れて時間をかけて封印を解くのじゃ!錬体魔王のように暴走はさせんじゃ!」
黄眉大王の前には氷結された凶悪な化け物が封じ込められていた。
それはかつて美猴王達を苦しめた妖恐の生き残りであり、唯一目覚めなかった化け物であった。
また妖恐の恐怖が地上に現れると言うのか?
様々な因縁を含み、地上界に再び転生する美猴王の復活を待つ。
そして300年が過ぎようとしていた。
そこに一人の高僧が美猴王が封じられている五行山に立ちよった。
高僧「ふぅ~どうやら噂の猿妖怪が封じられている山ってのはここらしいな?」
高僧が見上げる頂きには、祠の中央に妖気を纏う岩石が置かれていた。
そして山を登り近付いて来る僧に反応するかのように、妖気を纏う岩石は強く揺れ動かされた。
今…
新たな伝説が始まる!
天上天下・美猴王伝説! 完
次回予告
天上天下・美猴王伝説の完結
この物語の続きは既に完結している
『転生記』にて!
誰しもが一度は耳にした事のある物語
しかし何かが違う?
謎の高僧三蔵と、かつて地上のみならず天上界にまで攻め込んだ恐怖の大魔王孫悟空との出会いが世界の命運をかけた戦いへの序章となる。
転生に導かれし仲間たち、凶悪な敵達とのバトル、その伏線は全て一つと繋がった時、新たな神話の伝説が幕を開けるのだ。
※次話から外伝が始まります。
大蛇王外伝 全七話




