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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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残されし水簾洞闘賊団の決断!


天界に渦巻く暗躍?


これから先、天界に何が起きようとしているのか?


そして美猴王を失った水廉洞闘賊団の決断は?


リーダーである美猴王の死に、残された水廉洞闘賊団達はどうなったのか?



牛角魔王は?蛟魔王は?


獅駝王は?


鵬魔王は?六耳彌王は?



あの爆発の後、傷付いた牛角魔王達は天界の者達により拘束された。


だが、それは想像していたよりも手厚い対応であったのだ?贅沢な食事の上、治療も受けたのである。



牛角魔王「天界の連中は俺達をどうするつもりなのだ?」


蛟魔王「少なくとも私はただでは済まないだろうね?」


蛟魔王は天界が喉から手が出る程欲する忌眼を体内に持ち、天界の王であった玉皇大帝の命を奪った竜神軍と同族なのだ。


牛角魔王「安心しろ?お前は絶対に俺達が守る!もうこれ以上義兄弟も仲間も失ってたまるかぁ!」


蛟魔王「お前…」


獅駝王「俺俺も戦うぞ?皆の弔い合戦だぁああ!」


鵬魔王「許さない…滅ぼしてやるぞ…天界!」


だが、一人青ざめた顔でぶつぶつと何かを呟いている者がいた。


六耳彌王「………」



その後、残った水廉洞五兄弟は天界より、この戦争を起こした罰を与えられた。


それは…


地上界を守護する魔王として君臨する事であった。


しかも心配であった蛟魔王すらも天界に囚われる事もなく、地上へと放たれると言うのだ。


地上は今、美猴王の統一により天界への反乱意識が根強く広まっていた。


それを力で制するためだった。


代わりに天界はむやみやたらに地上界の妖怪を討伐はしない。魔王達に全て任せると約束した。


それは妖怪の天界からの支配からの解放とも言えた。


が、地上界に残った者達から見れば、天界に地位を約束され、天界に歯向かう牙を抜かれて、尻尾を振る裏切者に思われるだろう。


牛角魔王達は、天界より下された条件を…



飲んだ!


後に地上界は四つに分けられた。


北を鵬魔王、西を獅駝王、東を牛角魔王、南を蛟魔王が支配する。



これで戦争は完全に終幕した事になる。


ただ、一人を除いて…



六耳彌王は一人向かっていた。雷の如き速さで門を守護する武神達の目を掻い潜り、目指すは…



帝釈天の座す善見城の最上階であった。



帝釈天「ふっ…恩情をかけたつもりだったのだがな?」


六耳彌王は帝釈天を前にして叫ぶ。


六耳彌王「恩情ダッチか?フザケルナっち!俺ッチは全て知っているんだ!」



『この耳で全てを聞いたんダッチ!!』




それは…


美猴王が偶獣王を救うために飛び込んだ時…


妖気も気配も完全に閉ざされた闇へ、六耳彌王は意識を集中させていた。


六耳彌王の聴覚は闇の中より聞こえる僅かな声を拾おうとしたが、遠く離れた別の者の声を拾ったのだ?


天界を浸食しながら膨れ上がる闇の球体の、更に上空より聞こえた声は?


帝釈天の声であった!!



『魔眼を持ちし選ばれざる者達よ!運命に従い、その魂を我が手で消去せん』



帝釈天の上空より神気の雷の玉が膨れ上がり巨大化すると、今度は帝釈天の振り上げた掌の中に凝縮されながら一滴の玉となった。


『雷滴』


帝釈天の掌より落とされた『雷滴』は落下していく。誰にも悟られずに。『雷滴』は偶獣王[阿修羅]の『闇喰』により膨れ上がる漆黒の球体を貫き、その中心にいる美猴王と偶獣王に向かって行く……



美猴王「もう二度とお前を手離さないぞ!偶獣王ぉおおお!」


阿修羅「ボクは…ボクは…」


美猴王が和解した阿修羅[偶獣王]を抱き締めたその時、二人は同時に吐血した??



美猴王「な…なぁ?」


偶獣王「アッアア…」



二人は雷の矛により共に心臓を貫かれたのだ!!


『雷滴』は落下しながら二人の間際で雷の矛へと形を変えたのだ。


雷は二人を貫いた後、閃光を放ち闇を消し飛ばす勢いで爆発した。


美猴王と阿修羅を飲み込みながら…



その一部始終を何も出来ぬまま聞いているしか出来なかった六耳彌王は…


他の義兄弟には何も告げずに一人、帝釈天を討ちに来たのだ。


六耳彌王「お前だけは絶対に許さないッチィイイ!」


『五鬼華猿変化唯我独尊!』


帝釈天「ほぉ~?」


無謀にも帝釈天に戦いを挑んだ六耳彌王。


雷が衝突し、善見城上空で幾つもの雷鳴が響いた。


後、天界の村人が山中に猿の妖怪の亡骸を見たと報告された。



そして天界に平和が再び訪れたのだ…


偽りの平和が!



それから数年先の地上界へと話を戻そう。


地上界に戻った牛角魔王達は地上を分けて支配した。


当然、地上界の妖怪達は反感を抱く。自分達を巻き添えにして戦争を起こした挙げ句、自分達は天界の犬となり、地上界を手に入れたのだから!


やがて反乱分子達は集い、力を磨きながら軍を作り、裏切者である牛角魔王達と戦争を繰り広げた。


だが、牛角魔王達の力は地上界の妖怪達の手に負えるレベルではなかった。強制的に、力付くで反乱分子を弾圧した。


完全に残りし水廉洞四兄弟によって地上界は統治され掌握された。



牛角魔王達は何も語らない。何故、天界の条件を飲んだのか?


首領である美猴王を失った今、戦う理由を失ったからか?


それとも天界の最高神の力を目の当たりにして、肌身に恐怖を感じたからか?


天界には勝てないと、思い知ったのか?


中には天界より洗脳されたと言う者もいた…


真実は?



牛角魔王、蛟魔王、獅駝王、鵬魔王は黙したまま何も語らない。



語らない…



あの日、彼等に何が起きたのか?



再び、時を戻す。


牛角魔王達は一ヶ所に集められていた。そこで天界からの条件を言い渡された。


当然、


牛角魔王「ふざけた事を抜かしやがって!例えこの命が尽きようと、死に際まで牙を剥き、戦おうぞ!」


蛟魔王「死んで逝った仲間達の無念もあるしな」


獅駝王「俺俺、戦うぞ!」


鵬魔王「あぁ…美猴王兄貴を僕から奪った天界の虫けらは全て根絶やしにしてやるからなぁあああ!」


六耳彌王「兄貴…」



その時、彼等の前に一人の天界の者が姿を現した。


その者は、その場にいた全員が知っている者…


敵として戦った英雄神の一人、太白金星であった。



怒りから戦う事を決意した牛角魔王達は構えると、太白金星は杖を上げると部屋全体に結界を張る。



牛角魔王「俺達全員を相手にするつもりか?」



だが、太白金星は杖を置き伝えたのだ。


太白金星「儂にお主らと戦う意思はない…少々外に漏れては困るゆえに結界を張らせて貰ったまでじゃ」


牛角魔王「?」


太白金星「お主らに少々話があるのじゃ」


牛角魔王「話だと?俺達の意思は変わらん!俺達は仲間達の無念のために、この命尽きるまで戦うぞ!」


抜刀する牛角魔王に、


太白金星「頭を冷やせ!時期を見ろと言うのじゃ!」


蛟魔王「それは、どういう意味だ?」


太白金星「儂の話を聞くが良い?お主達の判断はそれから聞こう」



太白金星の話は牛角魔王達を頷かせた。


これが牛角魔王達が天界に従った苦渋の判断。



太白金星は告げたのだ!



「美猴王は死んではおらん…」



それは衝撃的な言葉だった。何故なら、牛角魔王達は見たのだ!炭と化した美猴王と偶獣王の亡骸を!


だが、


あの爆発の寸前、一人単独行動をしていた者がいた。


偶獣王[阿修羅]の闇喰の中を、二人の気配に向かって瞬間移動を繰り返している者が?



「全く儂様使いの荒い連中じゃよ…太白も美猴も!」


それは老仙人?


その者は美猴王の育ての親である須菩提仙人であった。暗闇の中を身体が消滅する前に空間移動を繰り返しながら美猴王と偶獣王[阿修羅]へと近付いて行く。



須菩提仙人「後、三回が限度じゃのう…」


既に身体中に火傷や痣が蝕んでいた。須菩提仙人も命懸けであった。


一回、二回、三回…


須菩提仙人「げ…限界ぃ」


『!!』


だが、そこで見付けたのだ!美猴王と偶獣王[阿修羅]を!!



須菩提仙人「な…投げ出しの四回じゃあああ!」


須菩提仙人は最後の力を振り絞り空間転移をした時、美猴王と偶獣王は心臓に雷の矛を貫いた瞬間だった!



須菩提仙人「間に合うのじゃあああ!!」



そして天界の大部分を巻き込む爆発が起きた。




太白金星「お見事!」


須菩提仙人「だまらっしゃい!」


須菩提仙人の素手は火傷で包帯巻きにされていた。


須菩提仙人「暫く一人で飯も食えんぞぃ!」


太白金星「儂が食わせてやろうか?」


須菩提仙人「余計なお世話じゃよ!可愛い娘さんなら別じゃがな?ふぉっふぉっふぉっ」



須菩提仙人は太白金星に小石を渡すと、ぶつぶつと文句を言っていた。


あの瞬間、


須菩提仙人は突き刺さった雷の矛を素手で引き抜き、爆発する間際に術を施し合図する。


「今じゃああああ!」


その合図と同時に身体に縛られた神気の紐で外界へと引っ張られたのだ。


外では太白金星が紐の手綱を握っていた。



太白金星「まさに危機一髪じゃな?」


須菩提仙人「ふん!」



須菩提仙人が太白金星に手渡した小石は?


それは須菩提仙人が爆発する寸前に、消え行く美猴王と偶獣王[阿修羅]の魂を消滅寸前に小石へと転移させたのだ。


そう。


須菩提仙人が持ち帰った小石には美猴王と偶獣王の魂が入っているのだ!!



須菩提仙人「じゃが、美猴王と阿修羅王の魂は固く離れん?まるで融合でもしたかのようじゃ…」


太白金星「これがどう未来を左右するかは…蟹の味噌汁じゃな?」


須菩提仙人「ほぇ?」


太白金星『神のみぞ知るじゃったわい』



ズコォーー!!


引っくり返る須菩提仙人。


この事実は太白金星と須菩提仙人の二人のみ知る事であった。


そして美猴王と偶獣王の魂が入った小石は地上界の花果山の頂きに埋められた。



太白金星「300年待つのじゃ!」



300年後、美猴王は再び目覚める。甦るのだ!


『転生』



それを聞かされた牛角魔王達は黙って天界に従った。


美猴王が戻って来るのだ??



牛角魔王「良かろう…それまで俺達は敢えて苦渋を飲もう。それも時が経つまでだ!」



これは新たな戦争への序曲なのか?


美猴王が転生した時、この戦争が再び繰り返されるのか?


全ての謎が解き明かされると言うのか?



牛角魔王「だが、天界の英雄が何故俺達に加担する?」


太白金星「この世界を真に守るためじゃよ」



そして、時は流れる…



新たな時代へと!



そこでは美猴王が消えた後の世界に新たな因縁と、災いが動き出す。


次回予告


美猴王が消えた世界は変わり始めていた。


そこには美猴王に因縁のある者達も?



余談。


今回の物語の直ぐ後が、既に完結している


『唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~』


と、続くのです。


興味あれば、是非に続けてお読み下さるとお願い致します。

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