表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
161/170

突然の終戦!?その時、何が起きたのか?


美猴王は偶獣王[阿修羅]と和解した?


そう思われた時・・・


光が闇を消し去った。



美猴王率いる水廉洞闘賊団の天界進行は終わった。


あの第二次天界大戦より幾時が経ったのだろうか?


ここは天界のある城。


その最上階の部屋には二郎神君と楊善が二人、あの日の出来事を振り返っていた。



暴走した偶獣王[阿修羅]を止めに、美猴王が漆黒の闇の中へと飛び込んだ。


中で二人の覇気が交わり、鎮まりかえった後?


突如、暗闇を消し飛ばす光りが内部より爆発したのだ!その光りは飛び込んだ美猴王を見守っていた仲間達や武神達をも飲み込んだ。


力無き者や、負傷していた者、弱っていた者は一瞬で存在が消滅した。



二郎神君「突然、何が起きたと言うのだ!?」


楊善「二郎神君!!」


二人は結界の壁を作り身を守る。仲間達の身を案じる余裕もなかった。


それは牛角魔王達も同じだった。


牛角魔王「くぅ!美猴王の奴はどうなったのだ?」


蛟魔王「解らない!あの力が邪魔して、美猴王の気を感知出来ん!」


六耳彌王「兄貴…」


鵬魔王「美猴王兄貴が死ぬ訳ない!必ず!!」


獅駝王「ぐるルル!」



六大妖魔王達も妖気の壁で身を守る事で精一杯だった。気を抜けば消滅するような光熱は、その後天界の大半を崩壊させたのだった。


中にいる美猴王と偶獣王は!?



間もなく光が消えて落ち着いた時、美猴王率いる水廉洞闘賊団の天界進行は終わりを告げたのだ。



二郎神君「ふぅ~」


楊善「ため息ですか?」


二郎神君「天界復興に落ち着いて来たと言えど、まだまだ先は長い…それに…」


楊善「失った犠牲が余りにも多かった…」



戦場で数多くの名のある天界の将軍達は命を失い、従う武人神達は数百万以上…


二人の見知りの者達も戦死の報告を聞いて涙した。


だが、二人にとって最も大きな犠牲があったのだ。



天上界を支配する二本柱であった玉皇大帝が竜神軍との戦いで戦死したのだ。


それは天界を揺るがす大事件であった。


二本柱の玉皇大帝を失った今、これにより天界は帝釈天が実質上唯一の支配者となったからだ。


奇しくも天界は帝釈天により統一される事になる。


そして玉皇大帝は二郎神君の叔父であり、楊善にとっても義理ある恩神であった。



二郎神君「クッ…」


楊善「それにしても…」


二郎神君「?」


二郎神君は楊善の言葉の意味を理解し、頷く。


あの爆発の後、傷付きながらも生き残った二郎神君が目覚めた時、



「どうやら命は引き留めたようだな?」


その声の主は?


二郎神君「太白金星殿?太白金星殿が俺達を救ってくれたのですか?」


太白金星「うむ」


二郎神君の周りには他にも傷付いた仲間達が眠っていたのだ。そこには楊善もナタクもいた。


そこで太白金星は二郎神君を人気のない部屋へと連れて行った。


念入りに結界で外界と遮断して?


そこで太白金星は二郎神君に言った。



太白金星「今よりお前に私と同じく隠密として働いて貰いたい」


二郎神君「隠密ですと?それは、どういう?」


太白金星「これは天に叛く行為になるだろう。それでもお主には力を借りたいと思っている」


そこに、他の者が入って来たのだ?


太白金星「聞いておったか?お主にも頼みたいと思っていたんだ」


その者は目覚めていた楊善であった。


楊善「話を聞いてからでも宜しいでしょうか?」


太白金星「ふむ」



そこで二人は太白金星により恐るべき真実を聞かされる事になる。


それは竜神軍と玉皇大帝率いる天界軍の全面戦争で起きた知られざる事件。


あちらの戦争はどうなった?


竜神軍と天界軍は、竜神軍の神王であった黄竜王が傷を負い、竜神軍は竜神界へと撤退したと報告があった。しかし、そのために玉皇大帝は戦死、討伐に出た天界軍は全滅…


唯一、塔托李天王率いる四天王を除く。


あの激戦の中、せめて四天王が帰還した事に天界は大いに喜んだが、しかし…


あの激戦で起きた真実は誰も知らないでいた。



話は竜神軍との戦争時に戻そう。


全軍の中心で黄竜王と玉皇大帝が剣を交わせる!激しい剣圧に鋭い斬撃が天界の空を震わせた。


黄竜王は竜神族の三種の神器である聖魔神剣を振るう!その威力は天界の大地を斬り裂き、空を割る!


に対して、玉皇大帝は天界の最高神器・七星剣で受けたつ!その一振りは星をも砕くと言われていた。


互いに、


黄竜王「よく受けていられるな?そのようなナマクラで!」


玉皇大帝「我が手で貴殿を倒し天界に平和を取り戻そう!」


だが、次第に玉皇大帝は押され始める。剣の力は聖魔神剣のが上であり、玉皇大帝は七星剣に己の神気を注ぎ、その防御力を補っていたのだ。


玉皇大帝「クッ!…長期戦は不利だ…一気に押し通さねば!!」


玉皇大帝は黄竜王の斬撃に弾き飛ばされると、神気を高め気合いを籠める。



玉皇大帝『七星剣よ!銀河の煌めきを解き放て!』



玉皇大帝の七星剣より放たれた斬撃は閃光する流星の如く黄竜王に向かう!


黄竜王「そのような花火でボクは斬れん!!」


黄竜王もまた聖魔神剣に竜気を籠めると、眩く光り、その一振りは膨大な覇気を刃と成して迫る七星剣の斬撃と衝突した!


拮抗する力は空間をねじ曲げる程であった。


このままでは、衝突の余波で天界が真っ二つに成りかねない…


そう思われた時、突如異変が起きた?


「ぐはぁ!」


黄竜王が吐血したのだ!?


だが、膝をつきしも


「ウォオオオオ!」


黄竜王は力の衝突の余波を上空へと受け流したのだ!息を切らし、膝をつく黄竜王は青ざめていた?



黄竜王「な…何が起きたと言うのだ?ボクの身に?」


黄竜王の力がどんどん弱まっていく。それに先に気付いたのは、竜神族の副王であり、側近の応竜であった。


応竜「黄竜様っ!」


応竜は今、毘沙門天[塔托李天王]を相手にしていた。助けに向かいたいが、目の前の毘沙門天に背を向ければ一瞬で斬られる。


毘沙門天「どうやら風向きが変わったようだな?」


すると毘沙門天が先に応竜の前から背を向け離れたのだ?応竜は毘沙門天に攻撃はせずに、急ぎ黄竜王の傍へと駆け寄る。


応竜「いかがなさりましたか?黄竜様!」


黄竜王「解らぬ…解らぬが、このボクが天界のモノに負けるわけにはいかん!」


黄竜王が再び竜気を高める!それは次第に身体を蝕み、障気が痣を作り、沸騰するかのように皮膚を膨らませ破裂させる。


激痛!!


それでも黄竜王は気高く痛みの表情を出さずに、玉皇大帝に向けて構える。


黄竜王「これで終わらせてやるぞー!」


だが、玉皇大帝も同じく七星剣に神気を籠めていた。



玉皇大帝「貴殿に何が起きたか知らぬが、その本気に我も全力でこたえよう!」


二人の覇気が渦を巻き拮抗する中で、同等の新たな力がとてつもない覇気を発っせられたのだ!


それは?


毘沙門天[塔托李天王]であった。その差し出した手には、光り輝く小塔が出現し、その形が金色に光り輝く刀へと変わっていく。


『如意黄金宝刀!』


それは玉皇大帝の七星剣や黄竜王の持つ聖魔神剣に引けを取らない剣であった。


その神々しい刀を構えた毘沙門天は狙いを定めた!


毘沙門天「長年の宿願!今よりこの手で仕留めん!」


玉皇大帝「毘沙門天!この一騎討ちは私と黄竜王との戦い!助太刀は許さん!」


毘沙門天「そうは、いきません!」



毘沙門天が動いた!


黄竜王はもう限界だった。


黄竜王「小癪な!」


黄竜王を庇おうと自ら盾になる応竜だったが、


『!!』


この戦場にいる全ての者が、この今の状況を見ていた者の全てが固まった…


毘沙門天の突き出した剣は、背後から玉皇大帝の心臓目掛けて貫いたのだ!!


玉皇大帝「ぐはぁ!」


吐血し、驚きながらも自分を刺した毘沙門天を睨む。


玉皇大帝「お…お前、何を?」


毘沙門天「もう貴方の時代は終わったのですよ?玉皇大帝!これからは私達が世界を作り上げましょう。貴方はもう不要なのだ!」



それは天界の軍達にも動揺が走った。


毘沙門天の反乱?逆賊と化したのか?


武神達は毘沙門天に向かって来たが、そこに他の四天王が道を塞いだ。


多聞天「今、見し全ての者達はこれより粛清する!」


三天王は覇気を放ち、仲間である天界の軍を攻撃し始めたのだ。


その騒動の隙に、


応竜「黄竜王様!撤退致しますぞ!」


黄竜王「何を?」


直後、黄竜王は衝撃を受けて意識を失う。応竜が首筋に当て身を与えたのだ。


応竜「竜神軍撤退じゃー!」


引き返す竜神軍に毘沙門天は玉皇大帝に突き刺した如意黄金宝刀を抜くと、撤退する竜神軍に向けて放ったのだ!


「させるかぁー!!」


そこに八大竜王達が防御の盾を作り防ぐ。


「何としても黄竜王様を生かしたまま返すのだ!」


…その後は混戦となったと言う。




その話を太白金星から聞いた二郎神君と楊善は信じられない顔だった。


当然の反応だ・・・


まさか毘沙門天が玉皇大帝に謀反?


手にかけた張本人だとは・・・



二郎神君「そんな馬鹿な事があるはず!!」



太白金星より話を聞いた二郎神君は肩を震わせていた。


納得しようも出来ぬ話…


馬鹿げた話だった。



楊善「そのような話を信じろと?そもそも生き残りがいないのですよね?」


すると、太白金星は老人の姿へと変化する。


太白金星「あの戦いに潜入し、姿を変えて帰還した者がおるんじゃよ?」


二郎神君「信じられる者か?」


すると、そこにもう一人姿を現したのだ。


「信じてくれるかは私の人柄で充分でしょ?」



二郎神君「お前は!!」



その者は、二郎神君と楊善の友であり神友[しんゆう]、唯一この戦争に参加していなかった武神。名を倦廉大将・倦廉と言った。



太白金星「儂と倦廉大将はあるお方の下で動いておるのじゃ」


楊善「あるお方?」


倦廉「私達の任務は釈迦様よりの隠密なのです」


二郎神君「!!」


楊善「!!」


二人は顔を見合せると、


二郎神君「俺達は何をしたら良いのだ?」



これより先、もう引き返せない事を理解し、二人は決意する。


この天界に起きる災いを突き止め、暴く事。そして天界を正すために!





場所は変わる。


そこには一人、友を探す者がいた。


「何処に行ったのじゃ」


その者は英雄神・太公望!


太公望は戦場で消えた仲間を探していた。


その仲間とは、太公望と同じく英雄神であり、最高神の太上老君であった。


太上老君は玄武門を守護するために出向いた後、獅駝王との一騎討ちの途中から姿が消えたと言うのだ。


生き残った武神の話では何処ぞに飛ばされたとか?しかし、その後戻る事も姿を見た者もいないと?



太公望「太上老君ほどの者が、まさかな…」



再び話を戻す。


それは太上老君が獅駝王に殴り飛ばされ、塔托李天王[毘沙門天]の隠し財宝の倉庫へと忍び込んだ時へと…


そこで太上老君は倉庫の中で見付けたのだ?結界により閉ざされた隠し部屋の存在に?太上老君はその場所で信じられぬモノを目撃してしまったのだ!



太上老君「これは何じゃ?」


それは結界により閉ざされた空間に浮かぶ魔方陣。その魔方陣上に浮かぶ金色に輝く巨大な時計盤?


これは一体何なのか?


太上老君「これが何なのか解らん…じゃが、このまま残していてはならぬ事は解る…破壊せねば!」


太上老君が神気を高め金色の時計盤を破壊しようとした直後、背後より気配を感じたのだ?


気配の相手に振り向く太上老君は、



太上老君「お…お主が何故、ここに?」


その者は太上老君が知る者であった。


その直後、時計盤が神々しく光り輝き、魔方陣の上空から無数の光が吸い込まれるように時計盤へと吸収されていく。そして羅針の中心に見知った姿が浮かび上がったのだ?


太上老君「ぎょ…玉皇大帝?」


それは同時期、竜神軍との戦いの最中、毘沙門天の反乱により討たれた直後だった。


太上老君「あの光は魂?魂なのか?」


魂を使い何かを発動させる禁忌の外法がこの場所で行われようとしていたのだ。


そして気付く。


太上老君「まさか主が?これほどの大掛かりな魔方陣を完成させれる者は他にはいまい…何のために?」


その瞬間、殺気を感じた太上老君は印を結び、陽炎の如く姿を消す。この真実を天界に知らせ、阻止するためだった。


太上老君は階段を登りながら外を目指す。自分を追う影が近付き迫る中で、外へ出る扉を開けたのだ!


太上老君は念波を天界全土に飛ばそうとした。今、自分自身が見た恐ろしき計画を阻止するため。


だが、


「うごおぉおお!」


外へと脱出し念波を送る瞬間、太上老君は背後に迫る者により頭上から一刀両断に真っ二つにされたのだ。


太上老君は天界の地下に向かって落下していく…


それが最期…


太上老君が見たのは何だったのか?


塔托李天王の隠し倉庫にあった時計盤は何に使うものなのか?


そして太上老君を始末した者の正体は?


その真実は暴かれぬまま時は過ぎていく。





…そして最後に生き残った水廉洞闘賊団の仲間達はどうなったのか?


美猴王と偶獣王[阿修羅]の死の真実は?



次回予告


美猴王を失った牛角魔王達が選んだのは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ