闘・戦・勝・仏!!曼陀羅変化唯我独尊!
偶獣王[阿修羅]の暴走に天界を徐々に滅び初めていた。
牛角魔王や英雄神と戦う破壊神と化した偶獣王[阿修羅]。
そんな彼らを止めるべく美猴王が再び立ち上がる。
俺様は牛角魔王達と武神が偶獣王と戦っている戦場に到着するなり、
『五行獣神曼陀羅陣』
それは?
俺様の言葉に牛角魔王と蛟魔王、鵬魔王に獅駝王が並び立つ。
そして互いに頷くと、
牛角魔王「任せて良いのだな?」
美猴王「自分の尻くらいは自分で拭く!そんで偶獣王の尻は世話係りの俺様が拭く!」
蛟魔王「まさか最高神に対抗するための奥の手を出す事になろうとは…仕方ないね」
鵬魔王「お前達は僕の足手まといになるなよ?」
獅駝王「俺俺、やるぞ!」
四人は印を結び妖気を高め始める。妖気が魔方陣となり四人を結び始めていく。
二郎神君「あれは?」
鵬魔王の身体が発火し、獅駝王の身体から雷が発する。更に蛟魔王からは水気が高まり牛角魔王から暴風が巻き起こる。暴れ狂う四人の力は次第に中心にいる俺様へと注がれていく。
そして四人が叫ぶ!
「半魂の術!」
五行の力と四人の半魂が俺様に集中した時、俺様から膨大な妖気が異常な高まりを見せる。
俺様の身体が変化していく?
『曼陀羅変化唯我独尊!』
俺様を中心に炸裂した妖気の爆発力で牛角魔王、蛟魔王、鵬魔王、獅駝王が弾き飛ばされる。
その中心で残った俺様から感じる力を見た二郎神君は、
二郎神君「何て力だ?あれでは最高神級じゃないか!?」
そこに力を全て使いきった牛角魔王が答える。
牛角魔王「何故、美猴王が俺達のリーダーか解るか?」
二郎神君「?」
牛角魔王「正直、美猴王の奴は力だけなら俺や蛟魔王、獅駝王よりも弱い…それでも奴が俺達のリーダーなのは、奴が俺達を導き支える力があるからだ!その象徴があの力なんだよ!」
それは一体?
俺様も印を結び集中しながら思い出していた…
この天界に来て間も無く現れた三神の将軍。その者達の合体術を見て俺様は思い描いた新術を牛角魔王達を集めて話し合った。
そして俺様達は新術のための修行を始めたのだ。
当然、その間城を空けとくわけにいかないので六耳彌王には要となる城の守護を任せ、天界進軍には風雲魔王率いる主戦力陣に任せていたのだ。
この新術はまさに最高神を倒すための取って置き!
正に奥の手なのだ。
あの三神は己の半魂を仲間に送り、融合にも似た力を極限的に引き上げた。
それを応用しただけでなく五行の力をも上乗せさせ爆発的な力を引き出そうとしたのだ。
蛟魔王「馬鹿な?そんな事をしたら身体が耐えられずに壊れるよ?」
美猴王「そうかなぁ?何かイメージ的に…出来そうな感じだったんだけどな~?」
悩む俺様に、牛角魔王は言った。
牛角魔王「確かに無謀かもしれんが、何かしらのキッカケになるかもしれん。試してみてはどうだ?」
牛角魔王もまた、天界で戦った三将軍に刺激を受けたのだろう。
蛟魔王「仕方ないね。理論上は可能だが…後は相性と耐性だね…」
力を集める相手は牛角魔王に決めていた。最初は妖気を一人に集中させるだけだった。しかし?牛角魔王は途中で力尽き意識を失ったのだ?俺様に蛟魔王、鵬魔王に獅駝王の力を一身に受け止める耐久力と精神力に、更に四人の力を安定させる集中力が必要なのだ。さしもの牛角魔王も全員の力を安定させ支える容量をオーバーしたのだ。
次に蛟魔王も試したが同じく断念、鵬魔王は安定力は申し分なかったが全員の妖気量を支え耐える事は叶わず。獅駝王は…不器用だから問題外だった。
そして最後に持ち掛けた俺様が試したが、やはり身体が引き裂かれるような痛みに意識が飛びそうになっ…
が、
美猴王「アレ?」
徐々に慣れて来たのだ?
それには牛角魔王と蛟魔王も驚いていた。そこでテンションを上げた獅駝王から雷を発する?
鵬魔王「チョッ?獅駝王!雷が痛いだろ?お前はもう少し周りと妖気を同調させろよ!」
獅駝王「ムカッ!俺俺、頑張ってるし!お前が弱いからいけないんだぞ?」
鵬魔王「何だと?」
鵬魔王はキレて炎が迸ると、牛角魔王や蛟魔王に飛び火する。
ちょっと?ちょっと?
何を喧嘩してるの?
お前ら?
炎が雷が突風が水流が巻き起こり、俺様は安定が保てずに…ついに?
美猴王「いい加減にしやがぁれぇええええ!!」
その直後、全員から放たれた五行の力が一気に俺様へと吸収されていき、身体が膨張しながら姿が変わり始め飛躍的に力が膨れ上がったのだ??
これが成果…
その後、俺様達はこの最終奥義の完成させるべき修行をしたのだ。
美猴王「フゥーー!!」
『闘・戦・勝・仏!!』
俺様の姿が変わっていく?
仲間達の半魂と五行の力を吸収し、その姿は?
腕が六本…
顔の横に更に二つの猿面が現れる!
身体中から溢れ出る覇気は天界を震撼させた。
闘戦勝仏とは、決して負けない力の象徴!
この姿の美猴王は絶対に負けない。
例え、如何なるモノを相手にしようとも!
牛角魔王「美猴王の奴は俺達の誰にもない特殊な能力を持っていた」
蛟魔王「異常なほど無尽蔵媒体体質でもあるんだよ」
二郎神君「!!」
俺様は偶獣王の向かった先を感知し、追うように飛び立ったのだ!それは一瞬?その場にいた者の視界から消えた!!
偶獣王[阿修羅王]は今、闇の球体の中にいる。球体を中心に破壊の蝕喰の力が徐々に大きく膨れ上がり、天界の空を!大地を削るように消滅させていく。
俺様は見上げる程の闇の球体に視線を向けると、
美猴王「今、行くからな!待っていろよ?偶獣王!」
俺様は全身に覇気を纏い漆黒の球体に向かって飛び込み突き進む。闇は俺様を蝕みながら押し潰そうとする。纏う覇気が切れたら俺様は一瞬で消滅しちまうだろうな?
だが、俺様は止まらない…
この暗闇の中に偶獣王がいるのだから!
だが、俺様は不意に思った?
どうして俺様はこんなに偶獣王を求めているのかと?
まだ出会って間もない?
特に話すらしてないし、大した思い出もない?
何故?
どうして?
答えは出ない…
だけど俺様の魂の中で疼くんだ?
偶獣王をここで手放したら、もう二度と…
二度と?
二度と取り戻せない!!
何か?意味解らないけど、俺様自身、どうしてこんなに拘るのか?
でも胸が熱くて、苦しくなるんだ…
失いたく…な…ぃ…
俺様は暗闇の閉ざされた空間の中で、強い力を感じ、俺様はついに見付けた!
美猴王「見付けたぞ!偶獣王!」
阿修羅「!!」
偶獣王[阿修羅]の顔は虚ろで、でも狂気と殺意、怒りが痛い程伝わって来た…
だが、一番強く胸に突き刺さる感情は…
激しい悲しみだった。
美猴王「お前のその悲しみ…俺様が受け止めてやる!俺様が一緒になって…」
その瞬間、
阿修羅「キサマにナニがワカル!何が出来るものかぁー!!」
攻撃的な覇気が俺様を弾き飛ばそうと放たれたのだ!
俺様も同じく覇気で堪えるが、
阿修羅「邪魔だ…キエロ!」
偶獣王[阿修羅]から放たれた地獄の黒炎が俺様の身体を覆い、燃やし尽くそうとした。
美猴王「うぉおおお!」
俺様は纏いつく地獄の炎を気合いの覇気で消し去ったのだ!
阿修羅「!!」
そして俺様は偶獣王[阿修羅]に向かって近付いて行く。
阿修羅「クルナ…近付くな!ボクの…傍に、来ルナァアアアア」
俺様と偶獣王[阿修羅]の覇気がぶつかり、俺様は偶獣王の覇気を受け流しつつ、更に一歩、一歩…近付く。
美猴王「俺様を信じろ!受け入れろ!俺様がお前の怒りも悲しみも受け止めてやる!俺様がお前を、今度こそ助けてやるぞ!」
阿修羅「ヨケイナ…セワ!ボクの前からキエロ!近付くな!」
美猴王「却下だぁ!お前は俺様の所有物で、俺様にはお前の責任がある!」
阿修羅「キエロ!キエロ!キエロ!キエロ!」
偶獣王[阿修羅]から黒炎玉が幾つも飛ばされる。俺様は覇気で防ぐが少しずつ身体を焦がしていく。
それでも俺様は偶獣王[阿修羅]に腕を伸ばした…
美猴王「今度は…決して手離したりしねぇーぞ!!」
偶獣王「!!」
俺様は飛び掛かるように偶獣王[阿修羅]の頬を殴ったのだ!
その瞬間、俺様と偶獣王[阿修羅]の脳裏に記憶にない映像が過ったのだ?
これは何だ?
知らぬ記憶の情報が流れ込み、渦を巻くように頭の中をかき混ぜる?記憶の中の体験を実感したような感触、渦巻く溢れんばかりの感情が俺様と偶獣王[阿修羅]を襲った!
俺様と偶獣王[阿修羅]は頭を抱えながら苦しみもがく。
別の誰かの記憶が頭の中に入って来て、自分が何者なのか?誰なのか?変な感じだった。
洗脳?
違う?何かソレとも違う?
確かに苦しく痛く辛かった。しかし、それ以上に…
懐かしい…
そんな感じだった…
涙が溢れ出す?
美猴王「あっ…」
俺様の正面に立つ偶獣王[阿修羅]もまた涙していた。
しかも、その瞳は金色に光り輝き、俺様の瞳も同調するかのように同じく光り輝いていたのだ。
もう、大丈夫だ…
もう心配しなくて良い…
もう離したりはしない…
俺様は偶獣王[阿修羅]を強く抱きしめた。
そして、全てを理解した…
俺様が何故?
この偶獣王[阿修羅]に対して拘り、執着していたのかを…
俺様と偶獣王[阿修羅]は…
その瞬間、闇の空間に光りが刺した!!
それは天高くから降り落ちた一滴の光り?
直後、光りは闇の球体の中で炸裂し、闇を消し去り、爆発したのだ!!
それは外にいた者達をも巻き込む、強烈な破壊力であった。
天界が、消滅の光りに飲み込まれた。
次回予告
何が起きたのか?
美猴王は?偶獣王[阿修羅]は?
天界はどうなったのか?




