観世音菩薩乱入??言霊の力??
帝釈天と阿修羅王の戦いを止めたのは?
新たな最高神?
仏神と呼ばれる神であった。
一体、何が起きた?
俺様は美猴王!
帝釈天と偶獣王との一騎討ちは天界を消滅させかねない激闘と発展し、二人が衝突した直後!
二人の間に割って入る者が現れたのだ?
最高神二人の争いを抑え込んだ者は…
太白金星「あの方は…」
『観世音菩薩様』
後光で姿ははっきり見えないが、間違いなかった。
観世音菩薩とは?
この天界は帝釈天と玉皇大帝の支配する神界とは別にもう一つ!
菩薩が住まう仏界が存在するのだ。
その仏界を支配するのが仏神・菩薩である。
仏界は今、釈迦如来と呼ばれる仏神が存在し、観世音菩薩は釈迦如来の弟子であった。本来、戦いや政治には直接関与しないが、その力は最高神に匹敵する。
その観世音菩薩が帝釈天と偶獣王[阿修羅王]の戦いを止めたのだ。
観世音菩薩は帝釈天と対峙すると、何やら説得していたように見えた?
そして、偶獣王は観世音菩薩により、何処ぞへと墜落してしまったのだ。
捜さねば?
その時、帝釈天が天界全土に響く声[念波]で、全ての天界の武神へと指示をしたのだ!
帝釈天『阿修羅王は今、手負いの獣!だが、案ずる事はない?その力の半分は観世音菩薩殿が封じた!今より全勢力を持って阿修羅王を討伐せよ!』
何だって?
観世音菩薩殿が偶獣王の力を封じただと?
全勢力で討伐?
そんな事は俺様がさせん!
が、残った天界の武神軍は直ちに偶獣王討伐に動き出す。
二郎神君「全軍!帝釈天様の指示に従い、阿修羅王討伐に出兵せよ!」
二郎神君、楊善、ナタクが飛び立つ。
美猴王「行かせるか!」
だが、俺様は気付く。
牛角魔王、蛟魔王、獅駝王、鵬魔王に六耳彌王まで討伐に動き出したのだ??
何か変だ?
義兄弟達は俺様が止める言葉が聞こえてないかのように、討伐に飛び立った。
何か変だ?変だ?変だ?
「お主も大丈夫のようだな?」
その声に振り向くと、そこには息をきらした白髪の青年神[太白金星]と、俺様と同じく平然としている太公望がいた?
美猴王「おぃ?何がどうなったと言うのだ?俺様の仲間達はどうなっちまったんだよ?」
太白金星「言霊だよ…」
言霊?
それは帝釈天の放った言霊の力であった。その絶対なるカリスマ性は言葉に籠められ、その意志が、全ての者を瞬間的に支配?洗脳したのだ?
美猴王「そんな馬鹿な事が出来るものなのか?でも、どうして俺様やお前達は大丈夫なんだよ?」
太白金星「私は精神力で言霊を制したが、お主達は耐性力のようだな?」
太公望「耐性じゃと?」
美猴王「意味不明だぞ?」
太白金星「つまりお主達も帝釈天殿に匹敵するカリスマ性と言霊の力を持っているのだよ!」
何と?何と?何と?
俺様は太公望と顔を見合せる。
地上界の妖怪軍を統一させた俺様に、かつての仙界大戦で天界軍を率いた英雄神・太公望。
太白金星「両者ともに覇王の言霊の持ち主」
美猴王「覇王の言霊?」
太公望「そうなのか?でっ?残った我らはどうする?」
太白金星「どうもこうも天界軍と妖怪軍を止める事は不可能だ。後は流れを見るしかない」
そんな事…
美猴王「このまま黙っていられねぇだろ!仲間達が操られ?偶獣王が討伐?そんなん茶飲んで待っていられるかってんだよ!」
太白金星「茶はないがな?」
美猴王「俺様は一人でも偶獣王を救いだす!仲間達は殴って元に戻す!偶獣王も何回か殴って元に戻す!茶は最後に落ち着いたら飲む!」
太白金星「そんな無茶な~」
俺様は目を反らし、
美猴王「無茶でも…やらなきゃならねぇ…あいつ達は俺様の義兄弟だからな…」
兄弟同士で殺し合いなんて、させられるか!
太白金星「!!」
そう言うと、俺様は金斗雲に飛び乗り、偶獣王を追って行った。
飛び立つ俺様を見届ける太白金星は笑んでいた。
太公望「ど~した?」
太白金星「いや、な?変わるに変わるもんだと思ってな…成長とは本当に見ていて飽きないよ」
太公望「…?」
太白金星「ウチらも出来る事をせんとな」
太公望「うむ」
俺様は偶獣王と仲間達の妖気を辿り、急ぎ向かう!
その先では?
命じられた事を全うするために恐怖も感じずに命を投げ出し戦う武神と妖怪軍…
まるで女王蜂に従う蜂のようだった。
手負いの偶獣王に向かって武神軍が武器を手に襲い掛かる!偶獣王は両手に漆黒の闘気を纏い、一人一人素手で引き裂いていく。
その動きは獣の如く!
突き出された槍を躱し、一瞬で向かって来た者の身体に風穴が開く。同時に漆黒の炎に焼かれて一人一人消滅していく。更にもぎ取った武神の頭部を投げつけると向かって来た武神の足が吹き飛ぶ。
更に妖怪軍も左右から攻撃を仕掛ける。が、鋭い爪を突き出すと、肘からもぎ取られ血が噴き出す!それが逆から向かって来た妖怪の視界を奪う。その瞬間、偶獣王を見失った途端上半身が下半身から滑るように落ちた。気付くと偶獣王の周りは湖のような血溜まりと死者の山が積まれていた。
二郎神君「何てことだ…」
惨劇…
これが闘神と呼ばれる阿修羅王の力なのか?
そこにナタクが剣を構えると偶獣王に向かって斬りかかる!ナタクもまた闘神と呼ばれる猛者!その一太刀は雷を帯び、雷鳴が偶獣王を直撃する。
だが、雷に直撃されながらも偶獣王はナタクに拳を向けた!
ナタク「!!」
ナタクは辛うじて剣で拳を受け止めるが、一瞬で剣は粉砕した。その瞬間、ナタクは身体に巻き付いた弦によって偶獣王から引き離され、更に偶獣王の身体に巻き付き身動きを拘束する。
ナタク「余計なお世話だ」
それは楊善の持つ琵琶から伸びた弦だった。
楊善「まだ油断大敵ですよ~」
偶獣王の身体に巻き付いた弦は真っ黒に焼かれると楊善とナタクに向かって来る。その二人の前に二郎神君が庇うように構える。
二郎神君「来るぞー!」
偶獣王が二郎神君に飛び掛かるその時、左右から牛角魔王と蛟魔王、上空から鵬魔王に六耳彌王が攻撃を仕掛けたのだ。
牛角魔王「美猴王の奴は情で状況を見謝っている!」
蛟魔王「私達がリーダーの尻を拭いてやらないとな」
二人の攻撃に合わせて、
鵬魔王「関係なく偶獣王には恨み妬みがあるんだよ」
六耳彌王「俺ッチが美猴王兄貴の分を!」
四人が一斉に偶獣王に同時攻撃をする。偶獣王は四人の攻撃を躱し、牛角魔王に拳を向けるが蛟魔王が蛟の盾で受け止める。
蛟魔王「今だぁー!」
蛟魔王の合図で妖気を高めていた獅駝王が偶獣王に向かって飛び込んで来る。
偶獣王「ミンナミンナ…ジャマだぁー!!ボクのジャマする敵は…スベテ、ケシサル!!」
偶獣王の拳と獅駝王の拳が激突した!
凄まじい衝撃が大地を揺らし、その場にいる全員が吹き飛ばされた。
二郎神君「あれで力が半減されている状態だとは…」
ナタク「違う。奴は戦いの中で、更に強くなっている」
楊善「なら、早いうちに決着をつけないとですね~」
三神は神気を同調させながら高め始める。
偶獣王が牛角魔王達を薙ぎ倒した、その時!
二郎神君「行くぞ!合体奥義!」
『一輝無双!』
それは二郎神君、楊善、ナタクの合体奥義。
三神の力をナタクに集中させ、一時的に力を飛躍的に上げるのだ!
ナタク「ウォオオオ!」
ナタクは偶獣王に向かって突っ込むと、偶獣王の拳を受け獅駝王が床に倒れ、トドメを刺される瞬間!
『抜刀!』
三神分の力を受け止めるナタクの剣が偶獣王の喉元に迫った!
偶獣王「!!」
偶獣王は寸前で身を引いて躱すと、ナタクは追い討ちをかけて攻撃する。
二郎神君「クゥ…長くはもたんぞ?ナタク!」
二郎神君と楊善は印を結びナタクに神気を送っている。この合体奥義は受け止めるナタクの身体に計り知れない負荷がかかるのだ。
だが、ナタクは顔色一つ変えずに偶獣王に斬りかかる!その一撃一撃が渾身の斬激!一撃を振るうナタクの筋繊維が一本一本切れる。激しい痛みに耐えながらナタクは偶獣王に攻撃する。
僅かに膝が崩れた瞬間、ナタクの顔面に偶獣王の指が掴んだ!?
ナタク「クゥ…」
だが、指に力を入れる瞬間、倒れていた獅駝王が立ち上がり偶獣王の腕に頭突きする。指が離れた直後、偶獣王は二人に向かって覇気で吹き飛ばしたのだ。
ナタク「ぐわぁー!」
獅駝王「うぎゃああ!」
転げ倒れる二人を庇うように牛角魔王と二郎神君が構える。
牛角魔王「まさか天界の武神と手を組むとはな…」
二郎神君「確かにな…」
そこに蛟魔王、楊善、鵬魔王、六耳彌王も構える。
二郎神君「同じ目的の前に敵味方はないと言うわけか…」
妖怪に対し、二郎神君に新たな感情が芽生える?
とにかく偶獣王を倒さねば、話は進まない!!
天界の英雄神と牛角魔王達は一度戦った相手と手を組み、戦おうとしている…
協力?
だが、偶獣王は邪魔する武神と牛角魔王達妖怪軍に対して苛立ちを感じる。
早く帝釈天を追い、再び決着を付けねばならないのに…
偶獣王「ジャマモノ…スベテ…ケシサル…」
偶獣王の身体から再び漆黒の闇が覆っていく?それは大地を喰らうように削り、大気が淀み始める?
『蝕闇』
偶獣王を中心に闇が広がり光が吸い込まれる?天界が次第に闇に覆われていく。それは牛角魔王達の妖気だけでなく二郎神君達の神気まで吸い込み始める?
ナタク「力が…吸い出されていく!?」
蛟魔王「私達の力を奪い、破壊の力へと変換しているのか?」
楊善「失った力を私達から奪うつもりですね?」
力を吸い出されて一人一人膝をつき始めた。
その直後!?
上空より別の何者かが降りて来たのだ!
それは?
俺様!!!!
俺様は牛角魔王達の前に着地すると、
美猴王「偶獣王は俺様の所有物だ!誰も手を出させねぇー!」
牛角魔王「まだ…そんな事を?この馬鹿野郎!」
反感を抱く仲間達に俺様は叫ぶ!
『俺様が何とかする!!』
その言葉を聞いた時、何故か全員の殺気が消える?それは俺様の『言霊』が帝釈天の『言霊』を上書きしたのだ。俺様の言葉は仲間達に安心と信頼を与えた…
こいつなら…
何とかする!
根拠も確信もないが、そう信じさせてくれたのだ!
それも言霊の力なのか?
今は考えてる暇はないな?
そして俺様は牛角魔王達に頼む。
美猴王「お前達の力を貸して欲しい…やるぞ?」
『五行獣神曼陀羅陣!』
「!!」
五行獣神曼陀羅陣とは?
この状況をひっくり返す奥の手なのだろうか?
次回予告
美猴王の奥の手、最後の手段?
それが、五行獣神曼陀羅陣だ!
って、何?




