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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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帝釈天と阿修羅王!?


偶獣王の正体は阿修羅王であった。


帝釈天と阿修羅王の登場に、


天界を破壊する程の戦いが始まる!



阿修羅王!


かつてアスラ神族を統べる異天界の最高神の王!


だが、それは別の最高神との対立により崩壊した。


相手の最高神とは今現在、天界を統べる王…


帝釈天!!


この最高神両者は長きに渡り激しい戦いを幾度と繰り返していた。


理由?


伝説によれば帝釈天が阿修羅王の『女』を奪ったからだとか?それが母だったのか?妻だったのか?それとも娘だったのか?定かとされてはいない…


帝釈天率いるディーバ神族に対し、阿修羅王率いるアスラ神族は戦闘神族であった。数でこそ劣るアスラ神族であったが、アスラ神族は一騎当千!一体でもディーバ神族の軍を圧倒していた。


だが、ディーバ神族を率いる帝釈天自ら先頭に立ちアスラ神族を殲滅する。帝釈天の武勇にディーバ神族達も指揮が高まり、再び戦場は激しくなった。


そして、ついに両者は互いを前にした。


帝釈天と阿修羅王!


の、一騎打ち!!


神族の王同士の戦いは百年戦争へと勃発した。


長く激しい戦い…


共に傷付き、死力の限り戦う二人の余波に刺激され、従う神族の戦乱も激しくなっていく。



帝釈天『決着を付けようぞ!』


阿修羅王『望む所!お前は決して許さん!!』



黒炎と神雷が激突した!


力の渦が閃光となって世界を覆い、その中を一滴の黒い光が墜落した。


敗者は阿修羅王であった。


それを期に、天界は帝釈天が支配する。


そして王を失ったアスラ神族は闇の中へと幽閉された。



それが帝釈天と阿修羅王の結末…



が、この目の前に現れし偶獣王が、その阿修羅の王だって?


美猴王「意味が解らねぇ!あいつは阿修羅なんかじゃなくて、俺様の義兄弟の偶獣王だぜ!」



だが、俺様は勿論…


その場にいる全員が金縛りに合ったかのように動けないでいた。


この帝釈天と偶獣王[阿修羅王]から放たれる覇気の圧迫によって…



獅駝王「俺俺、戦う!」


唯一、獅駝王が飛び出したが、帝釈天と偶獣王の神圧に弾き飛ばされてしまう。


牛角魔王「これが最高神の力なのか?桁違いではないか!」


さしもの牛角魔王も最高神から放たれる桁違いの力を目の当たりにして、


牛角魔王「これが俺達が相手にしようとしていた…敵だと言うのか?」


蛟魔王「そうだよ…あれが私達が相手にしている敵の親玉だ!」


鵬魔王「何もかもムカつく!腹が立つ!」


六耳彌王「でも…ヤるしかないんダッチ!」



そして俺様は、


太白金星によって呪縛印で金縛りに合っていた。


美猴王「離せ!俺様を自由にしろ!呪縛解け!」


太白金星「だまらっしゃい!お前はいつもいつも騒がし過ぎる!」


美猴王「何を俺様の事を知ったかぶってやがる!」


太白金星「状況を見て判断して、チャンスを窺えと言ってるのだ!」


美猴王「何?」


…まるで、爺ちゃんのような事を言う奴だな?


俺様は期を待つ。


すると、偶獣王から漆黒の覇気が荒々しく乱れ始める。


それは怒りの感情に同調し、爆発したのだ!


まるで竜巻が起きたかのように、その場にいる全員が吹き飛ばされないように神気の壁を張り堪える。



ナタク「これが最高神か…」


ナタクは拳を握る。


それは、まだ自らとの差が余りにもあったから…


二郎神君「まさか帝釈天殿が自ら出るとはな…」


楊善「それほどの相手なんでしょう…」


英雄神達が見守る中、


偶獣王が先に動いた!


五本の指に漆黒の炎が灯る!


鵬魔王「あれは地獄の黒炎だ!!」


地獄の黒炎はその名の如く地獄から発する黒き炎!呪術者が地獄から炎を召喚させ対象の肉体だけでなく魂をも消滅させる禁忌の術なのだが、地獄の炎は呪術者の魂をも喰らう諸刃の炎であった。


偶獣王の黒き炎が帝釈天に迫ると、帝釈天もまた雷を纏った剣で受け止める!



六耳彌王「あの雷?何か俺ッチのと違うッチ?」


獅駝王「そうか?」


太公望「あれは雷に神気を融合させた神雷!滅神浄化の力を持つ」



帝釈天の剣が偶獣王の黒炎の爪を弾き寄せ付けない。



帝釈天『どうやら仮初めの器では本来の力は出しきれぬみたいだな?』



えっ?今、何と?


仮初めの器?


太白金星「恐らく過去、阿修羅王は帝釈天との戦いで一度死に、肉体の器は滅びた。だが、その魂は浮かばれずに別の器を手に入れて転生したのであろうな?」


別の器を手に入れて?


ん?


そこで俺様は何か忘れていた事を思い出す?


確か…


俺様が初めて偶獣王を見付けた時の話?


あれは俺様が川で洗濯をしていた時だった。


川上から大きな桃がドンブラコ?ドンブラコ?と流れて来て、俺様はラッキーと拾い上げたのだ!


で?


俺様は食い意地悪く独り占めしようと、桃にかぶり付いた。


その後は…


あれ?記憶が曖昧だぞ?


思い出せ?


確か~


俺様は桃を食った直後、突然腹が痛くなって苦しんだのだ。


そこで俺様は学んだ。


拾い食いは良くないと!



俺様が一人もがいていると、突然何者かの声が聞こえて来たのだ?


『お前の身体をヨコセ!』


えっ?


俺様は身体の自由が効かなくなり、意識を奪われ始める??


ちょっと待てぇ~!


俺様身体を奪われちゃうの??拾い食いした桃のせい?


こんな…


美猴王「こんな終わり方は嫌だぁああああ!!」



その瞬間、俺様の身体から分身が一体抜け出したのだ?


そして俺様の腹から光が飛び出して分身の中に吸い込まれていく。


すると俺様の目の前で分かれた分身が姿を変えたのだ!肌が褐色に変わり、金色の髪が銀色に?


そして俺様の目の前に偶獣王が現れたのだ…



つまり、偶獣王は?


俺様が腹を下して産んだようなもんなのだ!


違うか?


しかも俺様は身体の半分[分身]を奪われ頭に来て襲い掛かるが、偶獣王には手も足も出なく、仕方なく仲間のいる場所に連れて行ったのだ。


それからは俺様は偶獣王の世話をしていた。また暴れ出したら俺様にも責任あるからな?


それが、まさか…


太白金星「この馬鹿たれ!それは肉体が消滅間際に桃に魂を移した阿修羅王だったのだ!」


美猴王「マジか…ん?って、勝手に俺様の心を読むな!」


太白金星「それで美猴に似ているのか?しかし…分身に寄生したからと言っても、あれほど魂が馴染むなんてのは稀であろうに?しかも阿修羅王の魂の器になるなんて、美猴…お主も大したもんだよ?」


美猴王「ん?俺様褒められたのか?エヘン!」


太白金星「大した疫病神だよ?お前は…」


美猴王「何か?お前とは初めてじゃないような?」


太白金星「ギク!…そんな事より二人の戦いはどうなった?」


美猴王「そうだった!」



俺様は見上げると、帝釈天と偶獣王は宙に浮いた状態で戦っていた。


あの二人?飛行雲無しで飛べるのか?


最高神同士の戦いの衝撃の余波は凄まじく、飛び散る雷や炎が辺り一帯に浮かぶ小島を貫き破壊する。



二郎神君「このままでは被害が広まるばかりだ!」


二郎神君の指示で梅山六兄弟達を近隣に住む神族の民の避難に向かわせた。


ナタク「このまま手をこまねいているなんて…」


太公望「そろそろだな!」


蛟魔王「?」


太公望「決着が付くぞ!」


牛角魔王「どういう意味だ?」


太公望「帝釈天殿も天界が滅びる事は望んではおるまい?一気に決着をつけに来るはずだ!幸い阿修羅王の転生は不十分であるなら、勝機はある!」


どうやら太公望は阿修羅王の魂が別の器[実は俺様の分身]に転生し、それが不完全であると見抜いたらしい。だが、


それでも偶獣王の力は底が知れない…


偶獣王『お前、コロ…コロス!消し去る!』



偶獣王の身体から何かヤバい力を感じた?


それは全てを消滅させる破壊の力!!


漆黒の闇が偶獣王を中心に膨れ上がっていく。


その闇は大地を削りながら侵食し、塵と化しながら蝕んでいく!



太公望「あれはマズイ!二郎神君!」


太公望の指示に二郎神君も我にかえり、仲間達に向かって命令する。


二郎神君「全軍!直ちにこの地より離脱せよ!!」


それは瞬間テレパシーとなって仲間達へと伝わっていく。そして遅れずに牛角魔王もまた仲間達に撤退を命じたのだ!


太公望「前言撤回じゃ…美猴王の分身の身体が徐々に阿修羅王の魂と完全に適合し始めている?あれでは直ぐに本来の力を取り戻すぞ?」


太白金星「その前に帝釈天殿は阿修羅王を討つつもりだな?」


太公望「この天界の三割を巻き添えと引き換えに…」


美猴王「何だと!?」


なら、この一帯が今より消え去るって事か?


即、逃げるか?


それとも…


美猴王「当然!偶獣王を救い出す!」


俺様が飛び出そうとすると、左右から腕を握られ止められたのだ?


美猴王「牛角?蛟?」


俺様を止めたのは牛角魔王と蛟魔王だった。それに鵬魔王と六耳彌王まで俺様の行動に意を唱えるような表情で見ていたのだ?


美猴王「お前達?」


牛角魔王「頭を冷やせ?偶獣王はヤバい!奴は俺達の手に負える奴ではない!」


蛟魔王「お前も気付いているんだろ?意地になっていたら偶獣王一人を救うために他の仲間全てを犠牲にする事になるぞ?」


美猴王「!!」


その言葉は…


俺様を躊躇させた。


俺様は直ちに仲間達に向かって叫ぶ。



美猴王「水廉洞闘賊団総員、直ちにこの場より撤退だぁー!」


全ての神軍と水廉洞闘賊団は戦いを止め、その場から離れ始める。


しかし、


帝釈天と偶獣王の一騎討ちは俺様達の逃避を待つ事なく結末を迎えようとしていた。


偶獣王を中心に漆黒の闇が規模を増やし、世界を浸食しながら消滅させていく。


世界が闇に包まれていく中で、今度は帝釈天を中心に光が闇と世界を二分するかのように膨らみ始める!




帝釈天『世界を闇に沈める亡霊め!この帝釈天がお前に引導を与えてやろう!』


偶獣王『オマエ、コロス!ユルサナイ!ショウメツ!』



光と闇が衝突する。


誰も止められぬ戦い…


止められぬ?



が、二人が交わる寸前、何処からともなく飛び込んだ者がいたのだ!?


誰??


その者は帝釈天の剣と偶獣王の拳を二本の錫杖で受け止める。



『互いに退け!この戦いは誰も望まぬ。お前達は戦ってはならぬ!』



その者は後光が差し、


二人の最高神の攻撃を受け止めし者とは?



帝釈天『どういうつもりだ?邪魔立ては許さんぞ!観世音菩薩!』



観世音菩薩?


観世音菩薩『この阿修羅王の身柄は私が引き受けます!』


偶獣王『ジャマ…スルナァー!』


聖観音菩薩『鎮まれ!』



『オン・アロリキャ・ソワカ・ サーー!!』



聖観音菩薩から放たれた閃光は帝釈天と偶獣王を引き離した。


帝釈天はマントを翻し上空へと消え、偶獣王は黒い光となって大地へと落下して行ったのだった。


次回予告


帝釈天と阿修羅王の戦いの結末は?


そして、戦いを止めた聖観音菩薩?

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