天界の王降臨!偶獣王の正体?
偶獣王の目覚めは天界を滅ぼすのか?
偶獣王とは、一体何者なのか?
戦争真っ只中、偶獣王が目覚める。
それは、破壊神の目覚め!!
偶獣王「オマエ達はジャマだ!邪魔だ!」
偶獣王は拳に漆黒の闘気を籠めて空に翳す。
その瞬間、その場にいた全員に寒気が走り、皆が本能的に神気の壁を張った。
直後、偶獣王を中心に漆黒の破壊波が全方位全域に放たれたのだ!
その場に待機していた防御壁を張る武神達は漆黒の破壊波に飲み込んでいく。それは神軍だけでなく仲間である水廉洞闘賊団をも消し去っていく。まさに破壊の拡散!
仲間も敵もない!!
まさに虐殺!
この偶獣王は一人で天界と水廉洞闘賊団を滅ぼすつもりなのか?
その虐殺を止めようと太公望、揚善、太白金星が偶獣王に向かって攻撃を仕掛けた。
太公望「打神鞭!」
太白金星「操縦甲羅!」
揚善「宝貝・火竜金票」
※カリュウヒョウ
三英雄神の必殺武器が炸裂するが、偶獣王は全ての攻撃を漆黒の覇気を纏った拳で弾く。
そこに!!
牛角魔王と蛟魔王が偶獣王に向かって飛びかかったのだ!
それは攻撃?
蛟魔王「偶獣王!悪いけど手足折っても止めさせて貰うよ!」
牛角魔王「仲間達まで命を奪う所業!お前はやり過ぎた!」
二人は抜刀し偶獣王に襲い掛かる。その様子を見た英雄神達も動揺し理解する。
この偶獣王の殺戮は水廉洞闘賊団にとっても予測不能で有り、今の状況はそれだけ危険なのだと!
だが、偶獣王の漆黒の覇気は向かって来た蛟魔王と牛角魔王に伸びて蛇のように絡み付き、空中で身動きを止めたのだ。偶獣王はその指を握る…
『掌握』
漆黒の覇気が二人を締め付ける寸前、漆黒の覇気を炎の剣で斬り裂く者が?
鵬魔王「この借りは返してよね?」
鵬魔王が偶獣王の漆黒の覇気を斬った瞬間、足に漆黒の覇気が絡み付き引っ張られたのだ。
鵬魔王「うっ…わぁ!」
鵬魔王は身体を拘束されながら地面に激突する瞬間、
太白金星「宝貝・水布団!」
太白金星は鵬魔王に激突する寸前、水気のクッションで守ったのだ。
鵬魔王「何故、僕を?」
太白金星「何故も何も今は助け合わねばマズイと思わんか?」
鵬魔王「何を馬鹿な!お前も僕の敵だ!!」
が、更に状況は悪化していく。偶獣王の力が更に高まっているのだ?
その力の根源は憎悪?
その矛先は、この天界にいる全ての生者に向けられたのだ。
牛角魔王と蛟魔王は互いに頷くと、天界の英雄神達に同意する。
鵬魔王「チッ!何だよ?意味解んない!」
が、鵬魔王も気付いていた。今の危機を乗り切るためには、それが最善であり、やる事やったら背後からでも騙し討ちすれば良いと…
そこに上空から別の力を感じる?
ナタクと獅駝王だった。
ナタクが合流すると同時に、獅駝王がナタクに襲い掛かる。
ナタク「状況を読めないのか?この馬鹿者が!」
ナタクは獅駝王の攻撃を剣で受け止めると、雷の気を放つ。
獅駝王「お前、俺俺倒すぞー!」
獅駝王がナタクに向かおうとした時、両腕が何者かによって抑えられる。
獅駝王「ウガッ?」
それは牛角魔王と蛟魔王であった。
牛角魔王「休戦だ!今は先にやるべき事が出来た!」
蛟魔王「お前も一緒に偶獣王を止めるぞ!」
獅駝王「なぁ?でも?えっ?俺俺、意味解らん?つまり何だ?偶獣王を先に黙らせてから、アイツを倒せば良いのか?」
蛟魔王「お前のわりに理解力があって助かった。その通りだよ?」
獅駝王「そっか?じゃあ、偶獣王を…」
が、改めて偶獣王を見た獅駝王の身体に震えが走ったのだ?
そして身体が硬直したように動かない?
恐怖?
野生の本能が偶獣王に対して攻撃を止めたのだ?
獅駝王「何か…面白い!アイツ…最強のド最強じゃないか?」
それはナタクも感じていた。偶獣王なる銀髪の少年に対して身体が硬直した。
ナタク「何者だ?あんな化け物がまだいたのか?」
そこに揚善と太白金星、太公望が傍に寄る。
揚善「状況的には大ピンチですよ?ナタク君?」
ナタク「奴は何者だ?」
すると揚善が蛟魔王に問いかける。
揚善「貴方達の仲間ですよね?」
蛟魔王「正直、詳しい事は知らないんだよ。この天界で、うちのリーダーが拾って連れて来たまでだ」
揚善「天界で拾ったのですか?」
信じられない話だった。こんな力を持つ者が天界にいれば、今まで気付かないはずはない。しかし蛟魔王達が嘘をついているようにもみえなかった。
太公望「天界で拾った少年か…ただ、解っている事が一つある」
この世界の神族とは違う異界の容貌。銀髪の髪に褐色の肌…それは魔神が住まう天界と連なる別世界の天界の神族の民であった。
魔神族の少年!
魔神族の民は戦闘神族であり、その力はこの世界の武神と比べ桁違いの力を持っていた。
しかし、魔神族が住まう世界と、こちらの神族世界は強力な結界で道を塞がれているのだ。世界を行き来出来るのは、かつて異世界よりこの天界を救いし天と呼ばれる最高神のみであった。
が…
太公望「魔神族とはな…あの若さで、これ程の力を持っていようとは…噂以上だ…」
太白金星「もしや…」
太公望「何か心当たりがあるのか?太白?」
太白金星「………」
今、偶獣王にはナタクと獅駝王が攻撃を仕掛けていた。
更に牛角魔王、蛟魔王、揚善、鵬魔王が援護する。
ナタクの剣術に、獅駝王の野性的な攻撃が相互に繰り出される。しかし偶獣王は全ての攻撃を払い、黒気功[コッキコウ]を放つと二人を弾き飛ばした。すかさず牛角魔王と蛟魔王が仕掛けるが時間の問題であった。つい先程まで命の駆け引きをしていた相手だけに、力量は痛いほど知っている。
驚くほどの連携が取れていた。
太公望「まさかの共同政戦とはな?だけど…力の差がかけ離れ過ぎておる」
太公望もまた印を結ぶと雷が地面を伝って、偶獣王の足下に結界を張る。
太公望「先ずは封じる!」
偶獣王が地面の結界の中に引きずりこまれていく。
が、
結界は直ぐに盛り上がり、中から再び偶獣王が結界を破って出て来たのだ!
太公望「何てこった?結解を力任せに破壊しただと?理解を越えておるぞ!?」
結界は相手の力を無力化させ拘束する。その為には相手の力を分析し、力の発動を止めなければならない。
太公望「魔神族の神気は学んでいた。奴の気穴からのチャクラの流れは完全に止めたはずだ?他の別の力が儂の結界を内側から消したのか?」
牛角魔王、蛟魔王、鵬魔王、獅駝王、太公望、太白金星、揚善、ナタクを同時に相手にしながら偶獣王は何かを探していたのだ?
牛角魔王「心ここに在らずか?」
蛟魔王「あれば私らはとっくに瞬殺されるてるだろうな…」
獅駝王「アイツ強いぞ!」
鵬魔王「馬鹿!そんなの最初から解っていただろ!」
『!!』
その時、全員が気付く。同時に上空から新たな力を感じたのだ!?
上空から遅れて降りて来たのは二郎神君と梅山六兄弟だった。
二郎神君は到着するなり揚善に状況を聞くと、
二郎神君「一難去る前にまた一難か…今日は厄日だな?だが、止めねばならんな!」
二郎神君は三尖両刃刀を構えると、梅山六兄弟も従うように偶獣王に立ち向かう。そこに別の力が更に遅れて上空から向かって来ていた。
六耳彌王と…
美猴王が現れたのだ!
美猴王は起きている状況に叫ぶ!
『お前らぁー!何故、偶獣王と戦ってるんだぁー!』
美猴王は着地するなり牛角魔王の肩を掴む。
美猴王「どういうつもりだ?牛角!どうして天界の連中と組んで偶獣王と戦ってやがる?」
牛角魔王「美猴王!状況を見ろ!今、どんな状況なのかを!」
一帯は荒野となっていた。
つい先程まで戦っていた数万の軍神と、仲間達の魂が一瞬で消えたのは感じ取り、状況的に理解し知っていた。それが、偶獣王から発する気だって事も…
でも、何かの間違いだって信じたい!
美猴王はナタクと獅駝王が偶獣王に攻撃を仕掛ける瞬間、飛び出して如意棒で受け止める。
美猴王「退けぇー!!」
美猴王は覇気を放ちナタクと獅駝王を威圧する。
ナタク「何者だ?」
美猴王「俺様は美猴王!水廉洞闘賊団の首領だ!!」
ナタク「そうか…なら、お前も斬る!」
ナタクは剣を美猴王に向けると、二郎神君が止める。
ナタク「どういうつもりだ?二郎神君!裏切るつもりか?」
二郎神君「さてな?ただ、試したくなっただけだ!」
二郎神君は美猴王に三尖両刃刀を向けると、
二郎神君「美猴王?お前が奴を止めるのか?」
美猴王「当たり前だ!アイツは俺様の義弟だ!」
二郎神君「そうか…」
二郎神君は振り向くと仲間達に向かって叫ぶ!
二郎神君「今より俺達はこの場にて待機する!目前の魔神鎮圧は美猴王に任せるとする!」
ナタク「ナッ!」
納得いかないナタクだったが、他の英雄神も牛角魔王達も交戦を止める。
美猴王「どういうつもりだ?」
二郎神君「お前とはまだ一騎打ちが終わっていないからな?こっちに意識が向いているお前とは本気の戦いが出来ないだろ?」
美猴王「礼は言わん!偶獣王が落ち着いたら、再びお前とは決着をつけるぜ?」
二郎神君「当たり前だ!」
美猴王は一人で偶獣王に向かって近づいて行く。
美猴王「おぃ!偶獣王?何やってんだよ?冗談が過ぎるだろ?」
だが、偶獣王は美猴王を無視している。そして、誰かを探しているようだった。
美猴王は両手を無防備に挙げて偶獣王に近付く。
美猴王「俺様は何もお前に危害はないぞ?だから、先ずは話を聞け?」
美猴王が偶獣王の正面に立った時、
「!!」
仲間達の目の前で美猴王が殴られたのだ!
助けに出ようとした牛角魔王達を美猴王は制止して、再び偶獣王に呼び掛ける?
が、偶獣王の視界には美猴王は映ってはいなかった。
ただ邪魔な物を払うかのように美猴王を払い除ける!それは防御した美猴王の腕を痺れさせ、骨を砕いた。
美猴王「ガッ!」
それでも前を塞ぐ美猴王は偶獣王に抱き付く。
美猴王「…あんまり無茶させないでくれよ?この後、まだ戦う相手がいるんだからよ?なぁ?」
が、無慈悲に偶獣王の手刀が美猴王の腹部を貫いた。
膝から崩れる美猴王に偶獣王は見下ろし、脳天目掛けて拳を降り下ろした!
仲間達が見守る中で、偶獣王の手刀は二郎神君によって掴まれ止められた。
二郎神君「残念だ。これ以上は見てはおれん!」
美猴王「ま…まだ」
が、美猴王は何者かによって引き離れたのだ。
「美猴!これ以上は無理だ!後は我々に任せよ?」
美猴王を担ぎ、引き離したのは白髪の青年であった。
太白金星である。
美猴王「うるせー!って、誰だよ?お前!」
太白金星「ホッ?」
(そうだった…この姿で美猴の前に現れたのは初めてだったのう…)
太白金星は美猴王を牛角魔王に引き渡すと、
太白金星「奴は誰にも止められぬ。唯一、止められるのは!」
太白金星が上空を見上げると同時に全員が空を見上げる。この地、この場所にとてつもない力が接近して来ていたのだ!
偶獣王「ヤツが来た…コロス!」
雷が偶獣王の前に落ちた!
そこには一人の武神が立っていた。
偶獣王の前に現れし者を見た英雄神達は、その場に膝をつく。
この者は一体?
その者から感じる威圧的な覇気を感じ茫然と見ているしか出来ない牛角魔王達は、太白金星の言葉に唾を飲み込んだ。
太白金星「あのお方こそ、この天界を統べる最高神・帝釈天殿だよ!」
帝釈天!!
美猴王達が倒すべき最高神!
その存在と神圧に誰しもが指一つ動かせなかった。
だが、次の太白金星の口から語られる言葉に、その場にいた全てが凍り付いた。
最高神帝釈天が降臨したのだ!
太白金星「そして美猴よ?お主達が連れて来た、あの魔神の少年こそ…」
美猴王「何か知っているのか?偶獣王の事?」
太白金星「帝釈天殿に向けられるあの憎悪と殺気、間違いなかろう。恐らく…帝釈天殿と天界にて数百年にかけて、唯一無二渡り合えた魔神!」
『阿修羅王!!』
次回予告
それは、因縁の対決!
その戦いは天界を破壊しかねなかった。




