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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
156/170

破壊神?偶獣王の目覚め??


二郎神君と美猴王の一騎打ちの最中、


それは起こったのだ・・・


それは偶然?


それとも…


起こるべき出来事だったのだろうか?



水廉洞闘賊団の美猴王、牛角魔王、蛟魔王、獅駝王、鵬魔王、六耳彌王が筆頭となって天界の英雄神率いる神軍と聖獣門攻防戦をしていた時…


後より現れ参戦したナタクによって全滅させられた水廉洞闘賊団の本拠地進行軍の中で、一人立ち上がる者がいた。


身体中から血を流し、足下は血溜まりになりながら立ち上がる者は、薄れゆく意識と魂を振り絞り、南の方角を見ていた…


そちらの方角には玄武の塔が聳え立ち、塔破壊のために牛角魔王と、守護する太公望が戦っていた。


一人立ち上がった者は牛角魔王の気を感じて笑みを見せる。


そして、


「牛角…お前、戦う今…私、共に、闘う…この、最期…魂、籠める…」



その者は宝具から『剛』と印された大斧を握ると、牛角魔王が戦っている南方角に向かって狙いを付ける。


その者はナタクにより殺されたと思われていた剛力魔王であった。


仲間達の屍の中で、



剛力魔王「おおおお!」



大斧を南方角に向けて投げたのだ!それは残された魂を振り絞った最期の力。


そこで、


剛力魔王からは生気は尽き、仲間達の血溜まりに崩れ倒れた。



剛力魔王が投げた大斧は覇気を纏い、遠く離れた南方角へと、真っ直ぐ玄武の塔へと飛んで行く!



玄武門の近くでは牛角魔王と太公望が戦っていた。


二人は同時に気付く?


何処から飛んで来たのか?一直線に玄武の塔へと飛んで行く大斧。


太公望「ナヌ?あれは何だ!?」


牛角魔王「あれは剛力魔王の大斧?」



予想外の大斧に太公望は慌てて軌道を変えようと打神鞭の雷を放とうとしたが、牛角魔王が打神鞭を掴み止める。


太公望「あな?あな?あな?あわわ?」


牛角魔王「邪魔させて貰うぞ?」


太公望「離すが良い!」



流石に太公望も慌てるが、時は既に遅く、剛力魔王の魂が籠められた大斧は玄武門に直撃した。



沈黙が?


息を飲み込む二人。


すると徐々に塔に亀裂が入り、崩れ始めたのだ。



太公望「やりおった…」


青ざめる太公望に、牛角魔王は大斧が飛んで来た方角に剛力魔王の妖気が何処からも感じない事に気付く。


牛角魔王「剛力魔王、お前に何があったのだ?」



まだ知らない…


悲しみの事実…



そして玄武の塔が崩壊した事により、天界を覆う結界に綻びが生じたのだ。


それは同時期に二郎神君と戦っていた美猴王の瞳が金色に輝いた時でもあった。


美猴王の魔眼発動の余波が結界を越えて、中央神殿善見城に座する天界の王に気付かせる事になったのだ。



帝釈天『救世の魔眼は破滅の力…決して覚醒させてはならない』



帝釈天は立ち上がると水晶に写る美猴王に対し、自らが討伐せんと立ち上がったのだ!!


今の今まで帝釈天の神気は善見城から漏れ出す事はなかった。聖獣結界が内部から発する帝釈天の神気をも抑えていたのだ。


だが、結界の一柱である玄武の塔が崩壊した事で、帝釈天の神気が天界に漏れ出して行く…


その神気に反応するかのように、それは戦場から離れた水廉洞闘賊団の一部隊のいる小島にまで漂う。


そこには美猴王に眠って起きない偶獣王を任された妖蛾子率いる五百程度の部隊がいた。


偶獣王とは美猴王の義兄弟にて唯一戦場に出ていない銀髪、褐色の少年だった。


妖蛾子「それにしても美猴王様は何だって、こんな使えないガキを飼っているんだろうな?」


部下「でも前線に出ていたら命が幾つあっても足りないですし、結界的に安全な場所で保護していれば良いのだから簡単な任務じゃないですか?」


部下「全く、そうだな?それにもう俺達みたいな天界弱小妖怪じゃ地上界から来た美猴王様達の足手まといになっちまうし…」



偶獣王は食べたら眠って、起きたら食べる。そんなぐうたら生活していたら丸くなっちゃうよ?って言いたくなるけど、ついつい甘やかしてしまう美猴王なのだ。そんな甘やかされた偶獣王を美猴王は戦争には連れて行かずに妖蛾子に世話係りを任せ安全な地に残して来たのである。


そもそも食べる事以外、全く起きないのだから…


そんな偶獣王が突然、飯の時間でもないのに一人で起きたのだ!


何かを感じ、瞼が開くと同時に、その身体が漆黒の神気に覆われたのだ。


一帯が突然揺れ出し、重い神気がのし掛かる。その異変に気付いた水廉洞闘賊団の待機部隊は…


妖蛾子「一体、何が!?」


が、その場にいた妖蛾子率いる全員が膨れ上がる闇に飲み込まれ、一瞬で消滅した?


その場に残ったのは偶獣王のみであった。


偶獣王初めて口を開く。



偶獣王「奴がいる…」



奴とは?


偶獣王は上空を見上げると、何を目指してか?


その場より一瞬で消えたのだ!



太公望「!?」


牛角魔王「お前?」



ここは玄武の塔があった玄武門の広場。そこでは太公望と牛角魔王は未だ戦いを繰り広げていたのだが、そこに突如、現れたのだ!


偶獣王が!!


突然現れた来訪者に牛角魔王も太公望も身動き取れないでいた。


太公望「何やら…とんでもない化け物を仲間にしているようだな?だが…」


牛角魔王も偶獣王に対して震えが止まらないでいた。先程まで最強級の英雄神である太公望と戦っていてもこんな震えは来なかった。


恐怖なる震えが!?


太公望「ふむ。仕方ないの~このまま放置も出来んだろうし、やっぱり止めるしかないないだろうなぁ?」


太公望は手にした打神鞭に神気を籠めると、その神気が膨れ上がる!



太公望「ビリビリ感じさせてあげるよ?打神鞭!」


雷の鞭が中央に立ち尽くしている偶獣王に絡み付く。


太公望「なぁぬ!?」


が、太公望の雷の鞭が偶獣王の覇気で弾けて消えたのだ!


太公望「こ…こりゃ…本気でやらなけりゃ…何が起きるか解ったもんじゃないぞ?」


太公望は更に神気を高める。が、偶獣王は邪魔する太公望に視線を移すと、一瞬で太公望の首もとを掴み絞め上げる。


太公望「うぬぅくっく」


太公望は偶獣王の絞める腕を掴み引き離そうとするが、びくともしない。


偶獣王の絞める指に力が入ったその時、偶獣王の腕を掴む者が?



「その者の相手は俺だ!手出しは無用!」



それは牛角魔王。


牛角魔王「どのような理由であるか知らぬが、お前は美猴王に言われた通り離れた場所で待っているがよい?」


が、偶獣王の殺気は牛角魔王にまで向けられたのだ。


牛角魔王「!!」


偶獣王は掴んだ太公望事、牛角魔王に叩き付けたのだ!牛角魔王は太公望と共に吹っ飛ばされるが、体勢を戻し着地する。


だが、偶獣王からの攻撃はそれだけではなかった。


漆黒の覇気が玄武門一帯を消し飛ばしたのである。


その破壊の震動余波は、他の聖獣門で戦っていた者達にも気付く事になる。


青竜門の蛟魔王に揚善、朱雀門の鵬魔王に太白金星、白虎門のナタクに獅駝王、それと中央で戦っている六耳彌王、美猴王に二郎神君が!


揚善「何が起きているのでしょうね?」


蛟魔王「ただ事じゃなさそうだ」


鵬魔王「この覇気はまさか?奴か??」


太白金星「うむむ…」


ナタク「!!」


獅駝王「俺俺から余所見するなぁー!」


二郎神君「玄武の方角からか?これは何だ?感じた事のない力を感じるぞ?」


美猴王「まさか…偶獣王なのか?」



全員、戦いが止まった。


天界が揺れ始めたのだ!



身体中を震わす異端な力を感じ、力弱き者達は意識を失い落下していく。


その状況を見た二郎神君は我に返り、意識を保てた仲間に念を送り、落下していく者達を救出しろと!


それは美猴王も同時に指示をしていた。



この状況変動?


戦場が一人の少年の出現によって一転したのだ!



荒野と化した戦場に一人残るは偶獣王だった。


だが、この現況が偶獣王が原因だと直ぐに解る。


その破壊的な漆黒の覇気が更に天界の大地を削り、魔神闘気の暗雲が天界を覆っていく。だが偶獣王は自らの力が思うように使えない事、更に目的であった者の感知が出来ない事に苛立ちを感じる。


偶獣王「アレが邪魔しているのか?」


偶獣王は覇気を籠めると空高くに向けて放ったのだ!漆黒の覇気は空中で弾けると、隕石の如く目的の塔を貫き破壊したのだ。


それは朱雀門!白虎門に青竜門であった!


同時に天界を覆っていた結界がガラスが割れたかのように、砕け散って消えてしまったのである。


塔が崩れ落ちていく中で、守る塔を失った英雄神達と、破壊目的に来た美猴王達は……


偶獣王のいる場所に向かって移動する!


ナタク「!!」


移動するナタクを獅駝王が道を塞ぐ。


ナタク「退け!今は最優先事項を片付ける事が先だ!」


獅駝王「逃がさない、お前は俺俺が倒す!」



飛び立つナタクを追う獅駝王に、既に現地に着いていた蛟魔王と揚善、遅れて鵬魔王と太白金星がいた。


蛟魔王「これは?」


その状況に誰もが言葉を失った。


偶獣王の足下には傷付いた牛角魔王と太公望が倒れていたのである。


生きているのか?


蛟魔王は飛び込むように偶獣王の足下に倒れている牛角魔王を抱き抱えると、一瞬で空間転移する。


蛟魔王「早期治癒術!」


蛟魔王は治癒の札を牛角魔王に貼り付けると、口から息吹きを吹き込む。


牛角魔王「グハァ!」


辛うじて息を吹き返した牛角魔王は、


牛角魔王「どうやら俺は地獄から天国に舞い戻って来たようだな?」


蛟魔王「また直ぐに戻るかもしれんがな」


鵬魔王「あいつ何だよ?寝起き悪過ぎやしないか?」



倒れていた太公望には太白金星が治癒をしていた。


太白金星「大丈夫か?」


太公望「とんでもない奴がいたもんだ…ウッ!」


太白金星「黙って!直ぐに治癒を終わらせる。終わったら…」


太公望「再帰戦じゃな?」


太公金星「当然。休ませとかないぞ?」


太公望「この状況ではな…」


偶獣王の前には揚善が一人行く手を塞いでいた。神気の壁を幾重にも張るが、全て紙切れを破るかのように脆く消える。


揚善「あはは…これはこれは…」


そこに治癒を終えた太公望と太白金星が新たな結界の壁を張る。



鵬魔王「僕達はどうするさ?奴らを邪魔する?それとも…」


牛角魔王「それとも…」



牛角魔王達は決断に悩む。


肌身に感じ解る。


偶獣王は危険だと!



偶獣王から感じるのだ…



表面上からは解らないが、


怒り?破壊衝動?


荒ぶる程の負の激情が?


まるで嵐のように一帯を覆って、まるで刃で肌を刺されている感覚なのだ。



偶獣王…


目の前にいる少年はこのまま天界を一人で破壊してもおかしくないだろうと…


次回予告


暴走する偶獣王?


美猴王が連れて来た謎の少年?



その正体が今!!

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