追いかけっこ?美猴王と二郎神君の変化バトル!
梅山六兄弟と六耳彌王のバトルも白熱し、
主人公も負けてられない?
何処もかしこも激しい戦いが繰り広げられている中で、今一番危機的な状況にいたのは美猴王であった。
美猴王「ヤベェ…そろそろ獣神変化の時間制限になっちまう…」
美猴王と戦っているのは顕聖二郎神君なる英雄神であった。二郎神君は美猴王の奇策な攻撃を全て破り、追い詰めていたのだ。
美猴王「マジにムカつえ~」
美猴王から繰り出される如意棒の一撃を全て三尖両刃刀で受け流し、更に攻撃を仕掛けて来る。先程も百体の分身を使い一斉に攻撃したが、無双の如き刀捌きで蹴散らされたばかりなのだ。
このまま変化が解けたら勝ち目はない。一方的に攻撃をされて討伐されるしかない…
美猴王「こうなったら…」
美猴王の奥の手!
美猴王は印を結ぶと口を膨らませ、二郎神君に向かって煙を吹き出したのだ。
更に美猴王の分身が何体か現れると、二郎神君にしがみつく?
二郎神君「これは!?」
二郎神君が分身達を払いのけ、煙が消えると…
そこには美猴王の本体が消えていたのだ?
美猴王は何処に?
美猴王は今、
美猴王「戦略的撤退~!」
猛スピードで逃げ出していたのだ!
美猴王「あっ?いや、これは戦略的な撤退なんだからな?逃げたとは違うんだぞ?そこは解って欲しいぞ?うん!」
誰に弁解しているのか?美猴王はブツブツと弁解していた。
残された二郎神君はと言うと、慌てる事なく瞼を綴じて集中していた。
二郎神君「右前方に一キロくらいか…」
そう呟くと二郎神君は飛行雲に乗り、美猴王が逃げた方に向かって的確に追いかけ始めたのだ。
形勢不利になった美猴王は二郎神君が追って来ている事に気付き、妖気を消して雀に変化し戦場を離れる。
美猴王「取り敢えず獣神変化出来る妖気が回復するまで身を隠すしかねぇ!」
だが、雀になった美猴王を狙うように上空から鷹が襲って来たのだ??
美猴王「なぁ?俺様は餌じゃねぇぞ?」
美猴王は慌てて鷹から逃げると鷹は言った。
鷹「お前は獲物だよ?逃がしはしないぞ!」
美猴王は襲って来る鷹から二郎神君の気を感じたのだ!間違いなく襲って来た鷹は二郎神君が変化した姿だったのだ。
美猴王「し・つ・こ・い!」
美猴王は雀から大・老(大鵜)に変化し逃げると二郎神君も鷹から大海鶴となって追いかけて来る。
美猴王「何故俺様が解るんだ?妖気を消しても確実に俺様を見つけて来る?あっ…そっか!」
理由は犬獣と聖獣変化した事で嗅覚が犬並みになっているのだ。しかも空は標的にされると感じた美猴王は水の中に飛び込むと魚に変化した。
二郎神君は魚鷹となって追い詰める。美猴王もまた水蛇となり陸に戻り身を潜めると、今度は丹頂鶴に変化した二郎神君が迫って来た。
美猴王「くそっ!」
美猴王は水蛇から花鴇になると二郎神君は元の姿で矢を射る
美猴王「のわ~!」
慌て逃げた先は森の中であった。そこで美猴王は自らを石化させ土地神の祠に変化した。口は門、歯は扉、舌は菩薩の像、目は窓として、尻尾は困ったあげくに祠の後ろに立つ旗に変えた。そこに追って来た二郎神君は祠の近くをうろうろし始めたのだ。
祠・美猴王(早く向こうに行け!馬鹿やろう!)
すると二郎神君は見失った美猴王に対し、
二郎神君「こうなったら憂さ晴らしに目の前にある祠をぶっ壊すか?ストレス発散だ!」
祠美猴王「んな?何て罰当たりな!!」
つい言葉を発した美猴王に二郎神君は答える。
二郎神君「バカめ!旗竿の立った祠などあるものか!」
流石に身動き出来ない状態で破壊されたら無抵抗で泣くしかないので美猴王は変化を解く。
美猴王「お前、気付いていたのか?性格悪い奴め!」
二郎神君「何を言う?俺はこれでも天界性格が良いランキングで毎年一位を取っているんだぞ?」
美猴王「知るかぁー!」
再び美猴王は煙玉を地面に叩きつけ、その隙に逃げた場所は元の戦場だった。
そこで美猴王が変化したのは敵である二郎神君であった!
二郎神君に変化した美猴王は戦っている武神達に向かって叫ぶ。
二郎神君「同志達よ!予想以上に敵の総大将の美猴王は強い!俺では敵わぬ。しかも俺に化けてもうすぐこっちに向かって来るはずだ!そこを全員で総攻撃してくれ!」
戸惑う武神達に、本物の二郎神君が来ると、太上老君より預かりし「金剛琢」という腕輪を自分に化けている美猴王に向かって投げつけたのだ。見事に金剛琢は美猴王の脳天を直撃し変化が解けて元の姿となって落下していく!
落下して行く美猴王に二郎神君は追い討ちをかける!
『犬煌神弾!』
二郎神君の三尖両刃刀から放たれた闘気が犬形のオーラとなって、落下していく美猴王を押さえつき噛み付く。
美猴王「うぎゃああ!」
落下の遠心力とオーラの犬獣に押さえ付けながら身動き取れずに落下する美猴王に、二郎神君が三尖両刃刀で突きかかって来ていた!
二郎神君「これで終わりだ!地上界の魔王、覚悟!!」
だが、美猴王も足掻く!
寸前で躱しきれないと思った美猴王は拳を石化させ、二郎神君の三尖両刃刀の先端の側面に向かって、
『華王石拳!!』
殴り付けたのだ。しかし二郎神君の三尖両刃刀は僅かに軌道を反らして美猴王の鎖骨を刀で貫いた!!
美猴王「くっそぉおお!」
二郎神君「今の一瞬で命をとりとめたみたいだが、悪足掻きだ!次で仕留めるだけだ!」
だが、
二郎神君「!!」
美猴王「やらせねぇ!」
美猴王は三尖両刃刀を掴み、貫かれたまま抜けさせない。
二郎神君「往生際悪いぞ!」
美猴王「悪くて結構!俺様の性分だ!」
二人は凄まじい勢いで落下していく。
二郎神君「このまま地面に叩きつけられれば、それで終わりだ!」
美猴王「くっ!」
確かに、このまま落下すれば美猴王の身体はバラバラになるかもしれない!
だが、美猴王は決して諦めなかった。
これまで幾度と絶体絶命の危機に陥りながらも、美猴王は乗り越え、生き抜いて来た。諦めなければ…
何とか!!
今も仲間達が戦っていると言うのに、俺様が一番に脱落してたまるか!!
俺様は決して…
その時、
「あっ…」
掴んでいた二郎神君の三尖両刃刀を掴む手が滑り、抜けてしまったのだ。
しかも、俺様の鎖骨は折れ腕が上がらない?
二郎神君「終わりだ」
二郎神君の三尖両刃刀が再び俺様の眼前に突き出される。
二郎神君の三尖両刃刀の先端が俺様の瞼に触れ、眼球に触れようと接近する…
まるでスローで見ているようだった…
にも関わらず、俺様はこのスローの時の中で身体が石になっているように動かなかった。精神のみが研ぎ澄まされた世界…
死の秒読み…
「!!」
だが、変だ?
何か二郎神君の三尖両刃刀の先端が徐々に俺様から離れているようだぞ?
アレレ?
それ所か、二郎神君の身体まで俺様から離れていく?
その瞬間、
時が動き出したかのように状況が解った!
二郎神君は突如放たれた俺様の力に弾き飛ばされたのだ!しかも、俺様に金色のオーラが纏われ、折れた鎖骨が完治し、出血も止まっていく?
二郎神君「これは?まさか、こんな奥の手を隠し持っていたとは!?」
二郎神君も体勢を整え浮遊雲に乗り、俺様を警戒していた。
そして俺様の変化に気付いたのだ。
二郎神君「お前の…その瞳は魔眼か!?」
瞳?
俺様の瞳は今、金色に光輝いていたのだ。それは幾度と俺様の危機に無意識に開眼して助けた金色に光輝く魔眼であった。
しかも、この魔眼が発動した時の俺様は、チーとばかりチートだった。
俺様はみなぎる力で落下する身体を翻し、空中を蹴って飛び上がると二郎神君に向かって襲い掛かる!
二郎神君「ぬぅおお!」
俺様の桁違いに膨れ上がった力を受け止める二郎神君。
やはり、こいつ強いぜ!
だが、藁にもすがるつもりで、この力に頼るしかねぇ!この戦いは絶対に負けられねぇーんだ!
だが、この時、
この戦争を覆す異変が起きる事になる。
突如、牛角魔王のいる玄武門にある玄武の塔が破壊されたのだ??
しかも?
太公望「んなっ?何ですと??」
玄武の塔を守っていた太公望は驚くが、玄武の塔を破壊するために太公望と戦っていた牛角魔王が一番驚いていたのだ。
牛角魔王「一体、誰が?」
玄武の塔を失い、天界を覆う結界の均衡バランスが崩れ始める。
その時だった。
俺様から発する金色の魔眼の発動は!
天界の中央神殿にある善見城に座する者に気付かせる事になった。
その者は立ち上がると、
『救世と破滅の魔眼の覚醒者が近くにいるのか?』
その者は雷を纏った銀色の鎧姿の最高神であった。
その覇気は天界全てに、その存在を知らしめる。
その者…
善見城の主にして最高権力の象徴・天の称号を持ち、天界を二分する最高神の帝王!
帝釈天であった!
だが、帝釈天の覇気が玄武の塔破壊により天界に漏れ出た時、もう一人の存在が目を覚ましたのだ!?
それは、
水廉洞闘賊団の隠れアジトであった。
そこには…
まるで、呼び起こされたかのように立ち上がる者がいた?
その者は・・・
偶獣王の姿であった!
次回予告
玄武門崩落と美猴王の魔眼の発動により、美猴王達をも巻き込む新たな戦いが??




