六対六の六体六?
獅駝王とナタクの最強対決は?
そして、仲間達も離れていても戦っている!
玄武門!
ここでは牛角魔王と太公望が戦っていた。
魔神化した牛角魔王だったが、太公望の持つ宝貝・打神鞭は近付く事も困難であった。
牛角魔王「グゥオ!」
牛角魔王は四方八方から向かって来る雷の鞭を剣で弾き返していた。
受け止め、弾くだけで雷の衝撃が牛角魔王を襲う。
神気が籠められた雷は鋭利な刃であり、重量級の打撃にも感じた。しかも衝撃が走る度に体力も削られる。
太公望「うむ。やるの?」
太公望もまた余裕はなかった。
牛角魔王を近付けさせずに攻撃を仕掛けながら感じていたのだ。
牛角魔王から放たれる殺気を!
僅かな隙があれば、一瞬で間合いに入り込まれ、首を落とされるに違いない。
しかも太公望の打神鞭は宝貝の中でも、持ち主の神気を急激に奪い破壊力とする諸刃の不器であったのだ。
互いに緊張が走る精神力と耐久力の勝負だった。
場所は変わる。
青龍門!
蛟魔王と楊善は閉ざされた空間の中で戦っていた。
散らばった術札から空間を通り移動する蛟魔王。全方向に意識を集中させる楊善は上空に指を指すと羽が飛び散らせる。
蛟魔王「!!」
術札から抜け出る蛟魔王を羽根が感知し、楊善は翼を羽ばたかせ紅色の閃光が蛟魔王に向けて放たれる!
蛟魔王の姿は高熱に焼かれて消えるが、それは分身。
再び現れた蛟魔王は距離を取るしかなかった。
蛟魔王「紅色の鷹?聞いた事がない…」
楊善は紅色の鷹・華多加鷹と呼ばれる聖獣が変化した姿だった。
だが、蛟魔王は聖獣の頂点に位置する竜神族の巫女であったため、全ての聖獣を把握していた。
蛟魔王「お前、本当に聖獣なのか?」
楊善「ふふっ…それは秘密です」
謎の楊善に苦戦する蛟魔王であったが、楊善に異質の何かを感じていたのだ。
場所は朱雀門。
太白金星の亀甲羅ヨーヨーをかわす鵬魔王は身体中に傷を負っていた。躱したはずの甲羅が空間を転移して襲ってくるのだ。
鵬魔王「蛟魔王と同じ空間転移呪術者か?厄介だな…」
太白金星「そのわりには楽しそうじゃないか?」
鵬魔王「だって負けるつもりないもん!それに一度やり合いたかったんだ…空間転移呪術者にはね?打倒!蛟魔王対策のためにさ!」
太白金星「ほぇ?お前の仲間だろ?」
鵬魔王「僕にとって大切なのは美猴王だけさ!後はオマケ!いずれ美猴王は僕だけの愛人にするんだ!」
太白金星「何か頭のネジが曲がった愛情だが…そこまで愛される美猴も幸せだな?」
遠くの戦場で美猴王がクシャミした。
だが戦っている義兄弟は他にまだいる。
六耳彌王だ!
俺様に軍を任された六耳彌王の前には梅山六兄弟がいた。この者達は二郎神君の義兄弟であり、その実力は全員将軍級であった。六人の将軍級を相手に六耳彌王も苦戦していた。
六耳彌王「何だ?コイツら?強いッチ!」
康・張・姚・李・郭申・直健の六兄弟!
梅山六兄弟は六人の連携が不器であった。剣術の二人に体術が一人、感知能力者に、呪縛師が一人。五行術使いが一人。しかも全員が犬獣の聖獣変化をしているのだ。
六耳彌王「さぁ!猿は犬畜生なんかに負けるもんかッチ!」
六耳彌王もまた獣神変化で対抗していた。しかし時間制限のない聖獣変化使いを六神相手は分が悪かった。六耳彌王は雷の気を纏い、身体能力を極限にまで高めた動きで翻弄するが、まるで動きを読まれているかの如く攻撃を止められ、先回りされて逆に攻撃を受ける。
先ほど連携と言ったが、これはもう同調に近かった。梅山六兄弟は互いの意識を同調させているのだ。つまり六耳彌王の対処手段の閃きが全員に伝わり、攻撃を仕掛ける。しかも傷を負えば仲間の誰かの治癒術が同調されるのだ。無論体力もである。六人を相手にしながら六倍の化け物を相手にしているのだ!
『奥義・同調最納意の術』
※ドウチョウモナイ
六耳彌王は前方から攻撃を仕掛けて来た康・姚に意識を奪われた隙を頭上より落下して来た李に後頭部を踵落としで落下する。
六耳彌王「くぅわああ!」
落下しながら六耳彌王は、
(俺ッチが美猴王兄貴から任されたッチ!絶対に負けられないんだッチ!)
六耳彌王は落下しながら体勢を戻し、呼び寄せた飛行雲をクッションにしようとしたが、追い討ちをかけて向かって来た直健の放った神気弾で飛行雲が破壊された。
六耳彌王「なぁ?」
更に身体が神気の拘束術で身動きが取れない?
郭申が離れた位置から金縛りの術をかけていた。
六耳彌王は身動き出来ないまま浮遊する小島に落下し直撃した!
全身に強烈な痛みと衝撃に獣神変化が解けたのだ!六耳彌王は血を吐き、痙攣を起こしていた。全身の骨が折れて内臓を突き刺したに違いない。そこに梅山六兄弟が降りて来たのだ。確実に六耳彌王を仕留めるためである。
直健「地上界の魔王とて油断は出来ぬ。決して天界を好きなようにさせんぞ!」
梅山六兄弟は二郎神君と義兄弟の契りを結びし直属の戦闘部隊。
その仕事[討伐]は確実無比!
六耳彌王は薄れゆく意識の中で、目の前に立つ梅山六兄弟に嫉妬していた…
兄弟か…
一人で絆の深い梅山六兄弟を相手にする事、美猴王に託された仕事も果たせぬまま、こんな場所でたった一人で…
たった一人…
その時、六耳彌王に声が聞こえたのだ?それは声といっても魂に響く声だった?
誰ッチ?
「何を弱気になってるんだ?らしくないぞ?」
「お前が一人だって?いつ一人になったんだよ?」
「お前にはずっと俺達がついているじゃないか!」
「お前は一人じゃない!」
それは懐かしくも温かい声だった。そして胸が締め付けられるが、逆に力が湧いてくる?
その声の主は?
六耳彌王「兄さん達?」
それは一度死んだ六耳彌王を甦らせるために自らの魂を与えてくれた兄弟…
岩猿、水猿、それに本来二つの魂を持っていた気火猿[気猿と火猿]の四猿だった。
六耳彌王「そうだよな…俺ッチは兄達の分まで戦わないとな?俺ッチは負けられない!勝つまでは!」
だが、その時…
別の声が聞こえる?
「奴らが六人いるなら、こちらも六人で相手すれば良い!俺がいるんだから足りなくないだろ?」
六耳彌王「!!」
六耳彌王は涙した。
その声の主は…
戦場で散り、美猴王を六耳彌王に託して死んだ…
一本角の魔王!
独角鬼王だった!
六耳彌王「そうだっちな?お前も俺ッチの中にいてくれたんだっちな…」
六耳彌王に再び闘志が!
倒れている六耳彌王に向かって梅山六兄弟が突き刺した剣が空を切り、その場から六耳彌王が消えたのだ!
「!!」
その直後、上空より凄まじい妖気を感じる?
見上げた先に六耳彌王はいた!しかも、その姿は五猿の顔が模された鎧、その額には一本の角があった。
『五鬼華猿変化唯我独尊』
※ゴキケンヘンゲ
雷が右半身、炎が左半身を輪になって覆い、足下は気流の渦が巻いて宙を浮かせていた。
六耳彌王「俺ッチは負けられない…友と兄弟のために!そして今も激しい戦いをしている義兄弟に誇れる自分であるために!俺ッチは負けられないんだぁーち!」
先程までとは格段に力を増した六耳彌王を相手に梅山六兄弟もまた互いに目を合わす。
直健「俺達は天界の平和を守る…それが武神として生きて来た定め!例えこの命が散ろうともあの凶悪な魔物だけは倒さねばならない!」
梅山六兄弟は互いに頷くと上空の六耳彌王に向かって飛び立ったのだ!
互いの負けられぬ強き思いは互いを認められない…
この戦いはそういう戦いなのだ…
そして勝者のみが後に語るであろう。
この戦いは…
善か?悪だったのか?
と…
次回予告
仲間達が戦っている中だ、今、一番危機に陥っている者は?




