獅駝王に芽生えた感情?
蚩尤達は襲来したナタクと巨霊神によって全滅させられた。
そして、ナタクの矛先は・・・
討伐より戻って来た…
ナタク!
ナタクは待機していた水廉洞闘賊団の仲間達を壊滅させた。
そして再び現れた場所は獅駝王のいる玄武門であった!!
今、底の見えない天界と地上界最強の化け物同士の戦いが始まろうとしていた。
獅駝王「なぁ?お前から俺俺の仲間達連中の臭いがするぞ?何でだ?」
ナタク「………」
ナタクは獅駝王の問いを無視して剣を抜くと、その場から消える!?
次に現れた場所は獅駝王の頭上だった。
抜いた剣を降り下ろし、獅駝王の脳天を一刀両断にする直後!
次は獅駝王の姿が消えてナタクの降り下ろした先の真横に現れ裏拳を放つ!
ナタク「!!」
ナタクは咄嗟に剣を盾にするが剣は脆く砕け散る。
その僅かな瞬間、ナタクは再び移動した。
ナタク「ほぉ?俺の剣を躱すとは?今のは見えていたのか?」
獅駝王「お前、答えろ?何でお前から俺俺の仲間達の臭いするんだ?」
ナタクは獅駝王に興味を抱き初める。それは久しぶりに感じる強者の臭いを獅駝王に感じたからだ。
ナタク「臭いだと?あぁ…恐らく、さっき斬った連中の血の臭いだろうな?」
獅駝王「斬っただと?」
ナタク「そんな事よりお前も討伐する!」
ナタクが再び剣を抜く構えを取ると、手にした宝貝が光輝き剣が現れる。
『宝貝・斬妖剣!』
ナタク「一刀で両断する」
ナタクが再び消える?
その動きは神速!
ナタクの速度は天界では最高神級。その動きを捉えられずに仲間達は皆殺しにされた。
その一刀が迫っ…
ナタク「ウガッ!」
攻撃を仕掛けたナタクは眼前に拳が迫り、躱せずに顔面に直撃したのだ!!
ナタクは殴り飛ばされ門の柱に激突し、崩れ落ちる瓦礫に埋もれた。
ナタクを殴り飛ばした獅駝王は、ゆっくりとナタクの元に向かう。
獅駝王「あ~うん。何だ?何かモヤモヤするな…うん。この感情は嫌な感じだ…俺俺。そうか…もう、あいつ達と会えないのか?一緒に飯食って、酒飲めないのか?そっか…」
獅駝王は自らに抱く感情に戸惑っていた。今まで強い奴と戦う事だけが目的だった。美猴王達と義兄弟になったのもそれが理由だった。その望み通り強い奴達と戦えた。それはそれで満足だった。
だが、
初戦からいた連中は義兄弟以外残ってはいない。
酒を飲み交わした連中が一人一人いなくなる。
あまり考えないようにしていた。
そんな時、
ある時から美猴王の様子が変わった事に気付く?
最初の頃、美猴王は自分と似た何かを感じていた。
仲間仲間と言いながら、実は自分の欲のみで戦っている。
そんな似た感じだ…
だが、美猴王は変わった。
真夜中に酒の樽を持って一人で出掛けたと思うと、戦場のあった場所で一人呟きながら涙し、酒を撒いていたのだ。
意味が解らなかった。
弔い?
能天気馬鹿な獅駝王はその時の美猴王の頬に零れ落ちた涙を見て、何故らか頭から離れなくなった。
何度頭を叩いても忘れられない?
何なのだ?
あの涙は?
だが、その涙と同じモノが、今…自分自身の目から流れているのだ?
胸が苦しく痛かった?
殴られたわけでも攻撃されたわけでもなかった…
獅駝王は気付く。
あの時の美猴王は今の自分と同じ痛みを感じて涙していたのかと?
あんな前から、こんな痛みを堪えながら、今まで戦って来たのかと!
獅駝王は押し潰される今の痛みに発狂し、押し潰されそうになっていた。
どんな強者から与えられる攻撃も耐えられる自信はあるが、この痛みだけは耐えられる自信がなかった。
そんな痛みを抱く美猴王に対して、いや?
もしかしたら他の義兄弟達も似た痛みを抱きながら戦っていたのかと思うと…
「そうか…もう俺俺の傍にいたんだな?最強と呼べる奴らが…俺俺、まだまだだ…」
初めて義兄弟達に敬意と嬉しさを感じた。
こんな義兄弟がいる自分は恵まれている。
だから自分は今、ここで負けられない!
義兄弟達に胸を張って、対等でありたいと!
そして、義兄弟達と同じく共に戦って来た…
仲間達!
その仲間達を手にかけた目の前の神を絶対に許せない!
獅駝王は生まれ初めて自分自身の欲求以外で戦う決意をした。
獅駝王「お前、俺俺、絶対に倒す!ぶっ倒す!」
目の前から瓦礫が神気で弾け飛び、中からナタクが起き上がり立ち上がる。
ナタク「久しいな?俺に触れるとは。面白い。獣よ?お前の首は俺が獲る!」
瞬間、ナタクと獅駝王は同時に消えた!!
衝撃音が玄武門に響き渡り、天井が破壊されると同時に二人は玄武神殿の屋根上に立っていた。
獅駝王「ウグルル!」
ナタク「あはは!かかって来い!化け物よ!」
ナタクの身体は神気の雷を帯び、獅駝王もまた聖獣変化により獅子と大虎の鎧を纏っていた。
互いの雷が玄武門に降り荒れる!
その様子を一人見ていた巨霊神は驚いていた。
巨霊神「な…ナタク様が本気を出しておられる?あの、ナタク様が!?」
巨霊神もまたナタクの本気は知らない。
だが、今見るナタクは確かに今まで見た中で最強の姿であった。
ナタク「俺の本気に付いて来れる奴がいるとはな?」
獅駝王「俺俺、最強!お前、泣いても許さないぞ!」
ナタクの斬妖剣を獅駝王は雷の爪で弾き返し、蹴り出す!ナタクは残像で躱すと獅駝王の左右から斬りかかる!だが、獅駝王もまた残像であった。
まさに互角!
だが、恐ろしくは互いに交える度に、速く!力強く!
更に神気と妖気が増していっているのだ??
巨霊神「何なのだ?あの二人は?限界がないのか?」
巨霊神は既に二人の戦いには付いていけないと感じていた。
万が一近付けば、その戦いに巻き込まれ一たまりもないと…
そこにまさかの獅駝王が新たな必殺技を繰り出したのだ?
獅駝王「俺俺奥義!」
『王手!』
※オウテ!
それは雷の衝打!
ナタクは雷の衝打を上空に飛びかわすと、更に真上から現れた獅駝王が、
『王加割!』
※オウカワリ
雷のチョップを降り下ろして来た。
ナタク「クッ!」
ナタクは斬妖剣で受け止めるが、その勢いに急降下で地面に落ちる。
ナタクは着地と同時に見上げると、
獅駝王「まだまだだぁ!」
『俺俺奥義・立衝吽尾獅虎!』
※タショウウンオシコ!
両手から獅子と大虎の形をした雷の衝撃波を放ったのである。
雷の衝撃波はナタクを飲み込み消滅させた…
更にその威力は玄武門を破壊し、浮遊する島を貫通したのだ!
静まり返った崩壊した跡地に獅駝王が着地すると、
そこに…
巨霊神を庇いながら立っているナタクがいたのだ。
あの攻撃を耐えきったと言うのか?
その手には魔方陣のような光の盾が?
『無効化の盾!』
ナタク「ギリギリで体得出来たようだ。倦廉大将の奥義」
それはナタクに術を伝授している二郎神君の友人、倦廉大将が使う不思議な術であった。
無効化の盾…
何もない場所から不思議な法陣を張り、光の盾を造り出す。それは五行の奥義・雷、風、水、炎の力を中和させて無効化させるのだ。
獅駝王「………」
それには獅駝王も驚いたが、直ぐに頭の中を切り換える?
獅駝王「なら、直接ぶん殴れば良いんだな?俺俺、ぶん殴るぞー!!」
獅駝王は休む暇なくナタクへと襲い掛かる!
ナタク「!!」
獅駝王の拳を剣で受け止めるナタクは獅駝王を蹴り、距離を取りながら斬撃を放つ。獅駝王もまた斬撃を邪魔な物を退かすように弾き返した。
巨霊神「あの二人の力は無尽蔵なのか…??」
次元の違う戦いに巨霊神は何も出来ずに見ているしか出来なかった。
ナタクと獅駝王の最強対決はどちらが勝つのか?
互いを知る者であれば直ぐに勝者を決められるだろうが、その相手の名を知れば誰も答えられなくなる。
そんな戦いだった。
そして再び戦いの場所は変わる。
そこは中央神殿で二郎神君を相手に戦う美猴王であった。
美猴王は焦っていた。
自分と戦っている武神・顕聖二郎神君の余りの強さに!
どれだけ本気で攻撃を仕掛けても受け流し、攻撃を仕掛けて来る。
まさに互角!
手加減も余裕もない程に互角なのだ!
それは美猴王にとって完全に計算外であった。
獣神変化で一気に片付けるつもりが、まさか二郎神君が聖獣変化で対抗して来るなんて?
時間制限のあれ獣神変化では長期戦は不利!聖獣変化は時間制限が倍以上あるのだから…
美猴王「兄弟達が頑張ってるんだ…俺様が弱味を見せるわけにいかねぇぜ!」
そして同じく牛角魔王、蛟魔王、鵬魔王もまた戦っていた。
次回予告
美猴王に任され戦うのは六耳彌王!
その相手は、二郎神君の義兄弟達であった。




