その先の読み合い合戦?蛟魔王と楊善!!
玄武門での牛角魔王と太公望の一騎打ちの戦い、
そして青龍門でもこの二人が?
牛角魔王と太公望の戦いがヒートアップしている最中、他の地でも戦っていた。
そこは青龍門
そこでは蛟魔王が菓子を食し、お茶を飲んでいた。
お茶を?
何やってんのさ?
蛟魔王「なかなかの美味だな?天界の菓子と茶も」
すると同じく茶を啜るのは髪の長い女性のような若者であった。
その者もまた青龍門を守るために蛟魔王を待ち構えていた英雄神であった。
名を楊善!
楊善「喜んでくださり嬉しいです。せっかくいらっしゃったお客にお茶も出さないなんて言ったら、後々天界の者は持て成しも出来ないのか?と語り継がれてしまいますからね~」
蛟魔王「満足だよ?お前が宝貝造りの一任者の楊善か?噂は竜神界にまで広まっているぞ?」
楊善「あら?嬉しい!私の造った宝貝って竜神界にまで流れていたのですね?」
蛟魔王「使える物は有り難く使わせて貰ってるさ」
楊善「では、せっかくなので私の持つ宝貝を少々お見せ致しましょうか?」
そして茶を飲み終えると蛟魔王と楊善は椅子より立ち上がる。
蛟魔王「では、そろそろ」
楊善「始めますか?」
同時に二人を中心に妖気と神気の渦が竜巻を起こす。
楊善は懐より幾つかの宝貝を手に取り神気を籠めると、光輝く。
蛟魔王「!!」
本来宝貝は持ち主を選び一人に一つが基本だが、稀に幾つも宝貝を使える者がいるが、楊善は数千個ある全ての宝貝を自由に使えるのだ。
楊善「先ずは、コレさ?」
『宝貝・火竜金票』
※カリュウヒョウ
楊善の手から棒手裏剣のような武器が出現すると、煙を噴き出させて蛟魔王に向かって飛んで行く!
蛟魔王「クッ!」
蛟魔王は躱すと、その宝貝は軌道を変えて来た。
蛟魔王「追尾型の武器か?」
しかも噴き出す煙が視界を奪っていく。ついに蛟魔王は腕を伸ばした距離すら先が見えなくなったのだ。
蛟魔王「!!」
脇腹に突き刺さる感触がした。それに気付いたと同時に神光が発光して爆発したのだ!
楊善「あら~」
楊善はニヤリと笑むと背後に向かって話し掛ける。
楊善「分身でしたか?宝貝・火竜金票は分身をも見分けて追尾する宝貝なのですが、皮膚が触れたと同時に分身を残して瞬間移動したのですね?」
蛟魔王「良く見抜いたね?背後から襲う手筈が台無しだよ?」
楊善の説明通りだった。蛟魔王は寸前で空間転移で移動したのだ。
蛟魔王は術札を使った空間転移を得意としていた。
蛟魔王は火竜金票が皮膚に触れた瞬間に分身と入れ代わり空間転移の術をしたのだ。
一瞬でも遅れたら身体を貫かれていたに違いない。
楊善「空間転移とは厄介ですね?だったら…これは如何ですかね?」
楊善がマントを開くと七つの宝貝・火竜金票が煙を出しながら蛟魔王に向かって飛ばされたのだ。
蛟魔王「ふん!手品かい?だったら私も!」
蛟魔王は懐から同じく宝貝を取り出すと竜気を籠める。すると蛟魔王の手に鞭が握られたのだ。
『宝貝・蛟竜金鞭!』
蛟魔王は竜鞭を振り回し、飛んで来る七つの火竜金票を次々と打ち落としながら軌道を変えて衝突させると爆発する。
楊善「あら~お見事な鞭捌きですね~?火竜金票の破り方を見て判断して実行に移し完璧に対処…驚きです。でももう少し足下には注意した方が良いですよ?」
蛟魔王「足下だって?」
楊善の言葉に蛟魔王が足下に視線を移した僅かな隙に、上空から光が落ちて来たのだ!光は絡むように蛟魔王を拘束すると身動きを取れなくした。
『宝貝・混元金斗』
※コンゲンキント
相手を拘束する宝貝である。
蛟魔王「騙された!」
楊善「えっ?騙してはいませんよ?私は?」
蛟魔王「!!」
蛟魔王は上空から放たれた宝貝・混元金斗を解除しようと印を結び脱出をする直前だった。楊善の言葉に緊張が走った。この混元金斗すらも蛟魔王の隙を作るための陽動だと気付いたのだ。
そして本命は楊善の言葉通りに…
蛟魔王「本命は下か!?」
蛟魔王の足下に魔方陣が浮かび上がり、発動したのだ!蛟魔王は宝貝・混元金斗でまだ身動きが出来ない上、二重の結解拘束で完全に罠にかかったのだ。
しかも!!
蛟魔王「い…いつの間に?ち…力が…抜けていく…ようだ…」
楊善は蛟魔王の様子を見て勝利を確信した。何故ならこの最後の魔王陣の名は?
『宝貝・九曲黄河陣』
※キュウキョクコウガジン
この宝貝は拘束した者の能力を消し去る能力なのだ。
ぐったりと座り込む蛟魔王を見る楊善は、
楊善「私は殺生は好みません。しばらく力を使えなくして拘束させて貰います」
これは蛟魔王を上回る楊善の戦術的な策。完全に蛟魔王は術中にはまったのだ。
蛟魔王は今、人間程度の力しかなかった。その上、身動きを縛られてどうする事も出来なかった。
蛟魔王にも策はなかった。
だが、
楊善「馬鹿な…!?」
楊善の目の前で蛟魔王の力が再び戻って来たのだ?
その理由は…
蛟魔王「あはは…どうやら力を全て失っても、私に身体を蝕む呪いは消してはくれなかったようだ…」
蛟魔王の瞳から血が流れ落ちると、足下の魔方陣をも消し去ったのだ!!
忌眼体蝕者
蛟魔王は竜神族の三種の神器であり、天界の隠し通していた呪われし負の遺産。魔眼に似た力を持つ神を殺す忌眼を、その身に宿していたのだ。宝貝・九曲黄河陣によって力を消されてもなお、その呪いの力は消えずに魔方陣を消し去ったのだ!
蛟魔王は忌眼が発動する前に意識を左腕に集中させると、蛟の盾が出現する。蛟の盾は竜神族最強の盾であり、この忌眼を封ずる力をも持っていた。
そして立ち上がる蛟魔王は竜神の力をも再び蘇ったのである。そして印を結び唱えたのだ。
『竜神変化唯我独尊!』
蛟魔王は蛟の竜神の鎧を纏った勇姿で楊善の前に現れた。
楊善「驚きましたね~これはこれは~」
楊善は蛟魔王の力に対してその瞳の色が変わる?
『どうやら私も本気を見せないといけないですね…』
楊善は再び宝貝を手にすると、上空に向けて投げたのだ?それは上空で煙を噴き出させてドーム状になって蛟魔王と楊善のいる空間を外界から閉ざした。
『宝貝・白煙陣』
※ハクエンジン
だが、閉ざしただけで何も起きない?
この宝貝の能力とは?
蛟魔王「今度は何が?」
その問いに楊善が答える。
楊善「安心して下さい?これは外界から私の姿を見させないためですから」
蛟魔王「?」
そして楊善は印を結び唱えたのである。
『獣神変化唯我独尊!』
えっ?
楊善が獣神変化?
楊善の身体は紅色のオーラに包まれ、その姿が変化していく?その姿は!?
紅色の鷹の鎧を纏っていたのだ!
蛟魔王「まさか…お前?聖獣だったのか?」
楊善「訳ありで秘密なので、少し狭い空間で我慢してくださいね?」
蛟魔王「好都合だよ!」
蛟魔王もまた忌眼体蝕者である事が公には出来なかったからだ。
楊善「では?気を取り直して…」
蛟魔王「仕切り直すとしよう!」
二人は飛び上がると激突する。
その衝撃に互いに相手の力量が伝わる。
互いに冷静さを保ってはいたが、この戦いは絶対に負けられない戦い…
しかも曲者相手に身体が熱くなって来ていた。
楊善は鎧の翼から紅色の羽根を飛ばすと、蛟魔王は術札を投げて防御する。
二人の中心で爆発と爆風が起こる中、蛟魔王は投げた別の種類の術札から飛び出して楊善の背後に移動し竜鞭を振るう。
楊善は竜鞭を躱しながら宝貝・火竜金票を投げる。
互いに埒があかない事は解っていた。二人は大技の隙を作る事に集中する。
互いに隠し持っていたのだ!
相手を倒す最大奥義を!
しかし、それは相手が同じ隙を作ろうとしている事は見抜いていた。
油断をしたら…
喰われる!!
蛟魔王と楊善の一騎討ちの勝敗は?
次回予告
更に別の戦いが?
そこは朱雀門。
そこで戦うのは?




