一触即発?水廉洞闘賊団と竜神軍!?
第一天界大戦の真実。
その時、竜神界も動き出していた。
動く!
今、天界が揺れる。
最下層より様々な聖獣が天界に進軍して来たのだ!既に美猴王[俺様]率いる水廉洞闘賊団が転送装置を開いていたために、軽々と上層界まで登って来る。
そして、俺様美猴王率いる水廉洞闘賊団もついに天界の最上層に辿り着いていた。見渡す限り、金、銀、瑠璃で出来た山々に囲まれ眩しい。正に光の世界のようだった。
美猴王「ここが最上層か?神気の圧がスゲェ~身体が締め付けられそうだぜ」
締め付け…
鵬魔王「美猴王~」
見ると背中から鵬魔王が抱き締めていたのだ。
美猴王「止めろ!」
鵬魔王「ケチ!」
俺様が殴ろうとすると鵬魔王はするりと躱して隠れる。
相変わらず身軽な奴だ…
仕方なく俺様達は霊薬を口に放り込み飲み込むと、少し楽になった。
美猴王「ふぅ~」
霊薬は定期的に飲まないと身体が重くなって動けなくなるのだ。
美猴王「で?最上層まで来たが、この後は?確か天界のボスは二人いるんだよな?確か…」
牛角魔王「天帝・玉皇大帝と、武神の王・帝釈天だったな?」
美猴王「どちらを先に攻める予定だ?」
蛟魔王「私達が目指すのは帝釈天が待つ須弥山頂上中央にある忉利天の善見城さ!」
美猴王「即決だな?理由はあるのか?」
蛟魔王「後で解るさ」
美猴王「?」
蛟魔王は何かを企んでいるようだったが、それ以上は教えてはくれなかった。
おいおい?仲間だろ?
だが、その後に本当に直ぐに解る事になるのだった。
俺様達は飛行雲に乗り善見城を目指した。
だが、その時…
後方を飛んでいる仲間達が騒ぎ始めたのだ?
前方を飛んでいた俺様達は急停止して、その騒ぎの原因を調べに後方に戻る。
そこで俺様達は後方より迫る軍隊を目にしたのだ!
それは竜神の軍隊!
数は水廉洞闘賊団の三分の一程度だが、竜神族の戦士は全員竜王変化を[竜化]する事が出来る。つまり一体一体が桁違いな実力を持った軍なのだ。
翼のある竜が何千、何万匹も見える。
俺様と義兄弟、更に主要メンバーが竜の軍を前にして対峙する。因みに蛟魔王は竜族の裏切者のために姿は出さなかった。
美猴王「さて?竜族の皆さんは何を望んでいるのかな?協定か?それとも?」
すると数体の竜が飛んできて襲い掛かって来たのだ。
美猴王「あら?やっぱり喧嘩かよ?だったら!」
俺様の合図に六耳彌王と鵬魔王、更に獅駝王が迎え撃つ。
獅駝王「おぅおぅ!俺俺、ガチにやって良いんだな?」
六耳彌王「俺ッチも腕がなるッチ!」
鵬魔王「やれやれ…同じ聖獣族だけど、僕には関係ないからね~君ら焼き蜥蜴にするよ?」
口を広げ強力な爪で襲い掛かる竜に対して、血気盛んな三人が飛行雲で飛び出す!
獅駝王は腕を振り回し拳を竜の背に向けて殴ったのだ!強力な衝撃を受けて落下して行く竜だったが、直ぐに翻して戻って来た。
獅駝王の拳を受けて、なんて頑丈な身体だ?
それに六耳彌王が雷を上空に集め、向かった来た竜に直撃させたのだ!
更に鵬魔王が火炎放射で竜を覆うが、直ぐに抜け出して来たのである。
効いてないのか?
竜族の鱗は頑丈なだけでなく五行の炎、水、雷、風といった力に抵抗力があるのだ。
鵬魔王「あ~ムカつく!」
六耳彌王「確かに…」
獅駝王「あいつら一発で倒れないぞ?なぁ?なぁ?」
だが、あの連中は余計に目の色を変えたのだ。竜は最強の血統!その竜と戦えるのは強さの証明なのだ!
あ、蛟魔王は…ちょっと相手にするには、うん。
義兄弟だし、本気は出せないからな?
何より恐いし…
そんな訳で、三人は血沸き肉躍っていた。
全くもって戦闘馬鹿だよな?
俺様までウズウズする。
俺様も行こうかな?
そんな俺様を風雨魔王が行かせないように止める。
やれやれ…
大将って案外つまらんな?
と、竜と戦っている三人の様子は?
鵬魔王「炎が効かない訳じゃないよ?少なくとも僕の炎はね?」
それは妖気を凝縮した炎の塊だった。
鵬魔王「さ~て?本当に炎が効かないか試してみ・よ・う・か・な?」
鵬魔王の掌から放たれた火炎弾は竜に向かって飛んでいく!竜は受け止めるつもりだった。
が、
「愚か者!その炎の力も見極められんのか!」
突如、向かって来た竜族の戦士が仲間の竜を拳一つで弾き飛ばし、鵬魔王の放った火炎弾を自ら放った火炎弾で相殺したのだ!
鵬魔王「!!」
そして六耳彌王もまた竜を圧倒しようとした時、飛び出して来た竜族の戦士の放った黒雷によって道を塞がれる。そして獅駝王の前にも竜族の戦士が現れて獅駝王の拳の威力を風の防御で反らしたのだ。
一体、何者!?
すると竜族の戦士は、最後に現れた戦士のいる場所に移動し揃い踏みした。
四人の竜族の戦士?
それを見た時、俺様の後ろで見ていた蛟魔王が口を開いた。
蛟魔王「あれが噂で聞いた新世代の…」
『四海竜王』
美猴王「四海竜王だと?」
蛟魔王もまた元四海竜王であった。しかし、元四海竜王は過去最高の四海竜王だと噂されていた。
だが、噂は本当かもしれないな?
だって、あの三人の本気の攻撃を受け流すなんてよ?
すると四海竜王の一人、白い竜衣を纏った若い男が前に出る。
白竜「僕は西海竜王・白竜。君達が水廉洞闘賊団の皆さんですね?」
何か真面目そうな奴だな?
しかも話し合いか?
ちょっと頭に血が上っている三人を宥めた後、仕方なく俺様は風雨魔王を側近として前に出る。
美猴王「俺様がここの大将だ!お前がリーダーか?やけに若いな?」
白竜「いえ、僕は主の代理です。そして僕と同じく四海竜王の…」
『北海竜王の黒竜』
『南海竜王の炎竜』
『東海竜王の青竜』
美猴王「代理かよ!だったら話にならねぇ!リーダー出せよ?話にならねぇよ!」
俺様の軽口に黒竜が声を荒げ言った。
黒竜「ふざけるなよ?お前みたいな奴に我が主が直接出て来るはずないだろう!」
美猴王「あっそ?なら、総力戦で喧嘩して、嫌でも面を見てやろうか?」
炎竜「出来るのか?お前に?」
美猴王「試して見るか?」
一触即発の中、
白竜「お待ちください!皆も少し冷静になりなさい?これは交渉です」
美猴王「交渉だと?」
白竜「はい」
美猴王「だからよ?頭が顔を出さないで交渉なんか出来ないっつ…」
すると遠くから石が飛んで来て俺様の後頭部に当たった。
なぁ…何?
投げたのは蛟魔王だった。
そして念波[テレパシー]で俺様に『喧嘩しないで話を聞け!』と怒鳴って来たのだ。
仕方なく俺様は…
美猴王「何かうちの軍師様がよ?話を聞いた方が良いと言ってきたから聞いてやるよ?」
白竜「軍師?」
あっ…蛟魔王の事は隠さないとな?
俺様は風雲魔王を傍に置いて、「こいつが軍師様だ!」と誤魔化した。
白竜「で、本題に入ります」
美猴王「何だよ?言ってみろよ?」
白竜は言った。
白竜「私達の敵は共通です。そこで竜族と貴方達で共同戦線を願いたいのです」
美猴王「共同戦線だと?待てよ?俺様はお前達の下につくつもりはないぜ?お前達が俺様の下につけ!」
俺様の言葉に竜族の全員から俺様に向かって殺気が放たれたのだ。だが、同時に俺様の仲間達も殺気を返して、更に衝突寸前になった時に再び白竜が答える。
白竜「お互い損失すれば漁夫の利で天界の者達に一網打尽にされるのは必至!」
美猴王「だからよ?お前達が俺様の下につけば良いと言ってるだろ?」
白竜「ふふっ…そこで提案があるのですが?」
美猴王「提案?」
白竜の提案とは互いに代表を一人選抜し、一騎討ちの勝敗で主従関係決めようと言うのだ?
マジか?
俺様達は話し合いをする。取り敢えず代表の一騎討ちは了承出来た。消耗する事が一番の問題だからな?
後は誰が代表となるか?
俺様が出たいのだが、そこはリーダーはダメだと蛟魔王に諭される。
因みに蛟魔王は顔を出せないし、皆の絶対的な信用があって代表に出せる奴?
獅駝王は確かに強いし一騎討ちにはもってこいだが、仲間達から信用ないし馬鹿だし?何より空中戦が苦手だから飛行雲から落下して負けるオチが待っているだろうな?
なら鵬魔王に六耳彌王は?
う~ん…
悩む?悩む?悩む?
とか、悩む必要はなかったのだ。
俺様の肩に腕を置き、俺様の髪をくしゃくしゃしながら、
「当然、俺だよな?」
と、ニカッと笑い強迫して来たのは、コイツ。
美猴王「よし!お前に任せたぜ?」
『牛角魔王!』
牛角魔王が水廉洞闘賊団の代表に決まった時、竜族の方も代表が決まっていた。
ソイツは…
四海竜王の一人!
『東海竜王の青竜』
青竜王は唯一蛟魔王が四海竜王であった時から現在に至るまで四海竜王を勤め、その実力は他の三竜王を遥かに上回ると言うのだ?
更に…
蛟魔王「やはり青竜王が相手か…」
美猴王「強いのか?」
蛟魔王「私が現役の時は一度も勝てた事がなかったな?」
美猴王「なるほど…」
…えっ?
えぇええええええええ??
蛟魔王が一度と勝てなかった青竜王に牛角魔王が勝てるのだろうか?
次回予告
牛角魔王と東海竜王・青竜の一騎打ち!
牛角魔王は勝つ事が出来るのか?




