地上界一桁魔王の真の強さ?
天界の四将軍によって剛力魔王が捕らわれた。
助けに出た怪力魔王と刀剣魔王は剛力魔王を助け出せるのか?
俺様は美猴王…
剛力魔王が捕らわれた。
敵は蒼刃将軍、雨鈍将軍、羽子咤将軍、それにリーダーの羅黄将軍であった。
この四将軍は聖獣変化を使う天界の貴族だった。潔癖なほど妖怪を嫌い、身動きの出来ない状態の剛力魔王を拷問にかけた。
そんな状況に見ていられなく飛び出したのは、怪力魔王と刀剣魔王であった。
怪力魔王「風雲魔王が美猴王達を呼ぶまでの辛抱だと思ってはいないだろうな?」
刀剣魔王「当然、我の手で奴等を斬るつもりだ!」
怪力魔王「なら、良い!そして全開で行くぞ!」
刀剣魔王「おぅ!」
怪力魔王と刀剣魔王が磔にされている剛力魔王に向かって駆け出すと、前方を塞ぐように一万の武神の軍が姿を現したのだ。
刀剣魔王「抜刀!」
刀剣魔王が剣を抜くと、背後から千本の剣が飛び出して宙に浮かぶ。そして剣を自在に操りながら武神達に向けると千本の剣が飛んで行く!
怪力魔王「俺も!潰してしまえ神具・超重量!」
怪力魔王が大型の剣を振り回すと、大地が沈み、目の前の武神達が足場を崩して落下する。これは天界の武神の神具・超重量の重力を操る力であった。一振り事に重力が加算されていくのだが、怪力魔王はその重力の剣を使いこなしていた。
蒼刃将軍「力任せの野蛮な戦い方だな?」
雨鈍将軍「うちらが直接狩ろうか?」
羅黄将軍「いや?待て?狩りは追い詰めた後が絶好のチャンス!完全に逃げ場を塞いでからだ!」
羽子咤将軍「相変わらずの完璧主義だね?」
この層一万の武神軍は腕が立つ。無双を誇る怪力魔王と刀剣魔王ですら、直に追い詰められていく。
怪力魔王「こうなれば…仕方あるまい!」
怪力魔王は印を結びながら叫んだのだ。
『獣神変化唯我独尊!』
ゴリラの鎧を纏った怪力魔王が近寄る全ての武神軍を殴り飛ばして行く!
刀剣魔王「貫け!」
刀剣魔王が操る剣が四将軍に向かって飛んで行く!
雨鈍将軍が前に出て空気を吸い込むと身体が膨らみ、飛んで来た刀剣魔王の剣が全て飲み込まれていく。
雨鈍将軍「ん?」
そこに怪力魔王が突っ込んで来て雨鈍将軍に渾身の力で殴りかかる。
怪力魔王「何?」
が、怪力魔王の腕に糸が絡まり身動き取れない?それは剛力魔王をも捕らえた羅黄将軍の糸であった。
刀剣魔王「フリャー!」
刀剣魔王が糸を断ち切ろうと剣を降り下ろしたが、火花を散らして止まった。
刀剣魔王「何て強度だ?我が剣でも斬れないなんて!」
すると同じく糸が絡まって来て、刀剣魔王もまた囚われてしまったのだ。
羅黄将軍「ミイラ取りがミイラか?呆気なかったな?」
羽子咤将軍「でも、これで新しい大物を釣れるんじゃないかな?」
蒼刃将軍「でもよ?このメスゴリラはもう虫の息だぜ?餌は二匹あれば良いし始末しても良いんじゃないか?」
雨鈍将軍「なら俺が殺るよ?一気にグサッと始末してやるさ!」
羅黄将軍「好きにすれば良い!俺は狩りが楽しめれば良いんだけだ!」
雨鈍将軍「おぅ!承諾得たから殺してしまうか!」
雨鈍将軍は剛力魔王の前に近付くと、
刀剣魔王「待て!殺るなら我からやれ!剛力さんに手を出すなー!」
蒼刃将軍「うるせーよ!お前に自由に死ぬ権限なんてないんだよ!」
蒼刃将軍は糸に絡まれ身動き取れない刀剣魔王の顔を踏みつける。
怪力魔王「姉じゃー!!」
怪力もまた身動き取れない状態で、ただ叫ぶしか出来なかったのだ。
雨鈍将軍「なら、このメスゴリラを始末といきますか?」
雨鈍将軍は部下に持って来させた大槍を手にすると、剛力魔王の眼前に槍先を向ける。
雨鈍将軍「何か言い残した事はないか?泣いて命乞いをすれば、痛くなく殺してやるぞ?あはは」
だが、消耗した剛力魔王は無言で、睨み付けるだけだった。その目は…
「必ず仕返す!」
と、闘志を込めた殺気が雨鈍将軍を怯ませたのだ。
雨鈍将軍「こぅのー!死に損ないがぁー!」
雨鈍将軍は大槍を剛力魔王に向けて投げ付けたのだ!
万事休す!!
大槍は剛力魔王の身体を貫き、そして液状になって消えたのだった。
液状に?
雨鈍将軍「何だって??」
見ると捕まっていた刀剣魔王と怪力魔王も液状かして姿が消える??
四将軍は気配を探す。
一体、何が起きたのか?
と、そこに羅黄将軍が妖気を感知したのだ。
羅黄将軍「どうやら最初の二人は陽動だったようだな?で、本命が人質を助ける手筈だったわけだ?」
が、
返答が戻って来たのだ。
「何を言ってるんじゃ?妾が誰と手を組むと?妾が手を繋ぎたいのは牛角様だけじゃ?」
助けられた怪力魔王も刀剣魔王も驚いていた。
自分達を助けたのが、軍で唯一自由気儘に行動し、武神軍との戦闘でも参加せず、更に寝て、食べて、水晶を見ては牛角魔王を覗き見ている女妖怪であり、魔王。
しかも…
地上で唯一残った一桁ナンバーであった。
『玉面魔王』
玉面魔王「はぁ~ぁ…本当に情けないのぉ?みすみす敵に捕らわれるなんて不様じゃよ?」
剛力魔王「誰が、助け、求めた?」
剛力魔王も玉面魔王が自分達を助けた事に驚きを感じていたが、この玉面魔王に対しては恋敵!
悔しさのが勝っていた。
玉面魔王「全く~そんなんで妾と競うなんて数千、数万年は早いわ!」
羅黄将軍の命令で待機していた武神達が玉面魔王を囲みだす。
すると玉面魔王の周辺に水玉が浮かび上がる。
「ふるえ~ふるえ~ゆらゆらと~ふるえ~」
瞬間、水玉は拡散して向かって来た武神軍を貫いて消し去ったのだ。
一瞬!!
だが、四将軍は新たに現れた玉面魔王の登場を歓迎していた。
新しい狩りが出来る事を楽しんでいたのだ。
玉面魔王「天界の武神は昔から好きになれん…特にお前達のような輩は特にな?」
玉面魔王はゆっくりと進むと、剛力魔王が止める。
剛力魔王「待て!奴達、強い!私、行く!」
が、剛力魔王の身体は地面より噴き出した水に飲み込まれると、水玉の中に閉じ込められる。
玉面魔王「世話のかかる小娘だ。お前は少しそこで黙っておれ?」
剛力魔王「!!」
その水玉の中は不思議と呼吸が出来、しかも傷付いた身体に染み込んで傷を治癒し始める。
玉面魔王「さて…」
『一桁ナンバーの魔王の力を見せてやるかえ?』
玉面魔王に向かって蒼刃将軍と雨鈍将軍が剣を持って向かって来た!
が、噴き出した水流の壁によって道を塞がれ、しかも飛んで来た水玉が直撃する。二人は転げて体勢を立て直すが、その形相は怒りに満ちていた!
玉面魔王「うつけ共が良い形相になったのぅ?」
蒼刃将軍「下等な妖怪風情が図に乗るなよ!」
雨鈍将軍「こいつソッコー狩る!」
二人の将軍は印を結ぶと唱える。
『聖獣変化唯我独尊!』
赤い狐の聖獣と合神し鎧を身に纏う蒼刃将軍と、緑の狸の聖獣と合神し鎧を纏った雨鈍将軍。その力は獣神変化と同等の力の増加に、しかも制限時間が長い!
蒼刃将軍「俺から行くぞ!」
蒼刃将軍の周りに煙が噴き出し分身が何体も現れる。しかも完全に視界を奪ったのだ。
玉面魔王は瞼を綴じると、
玉面魔王「臭いのぉ?」
玉面魔王の足下に水が噴き出して、シャボン玉が上っていく?しかも触れた蒼刃将軍の分身を次々と消して逆に玉面魔王の姿へと変えた。
蒼刃将軍「妖気が俺の神気を浸食し、逆に術を奪っただと?」
玉面魔王に姿を変えた分身が蒼刃将軍に襲い掛かると、
雨鈍将軍「分身は邪魔だ!消してやるよ?」
雨鈍将軍は息を吸い込み、分身達に向かって噴き出す!すると視界を奪っていた煙も分身も消えていた。
そこに蒼刃将軍がリングを指で回転させて、玉面魔王に向けて投げる!
玉面魔王「!!」
リングの一つが玉面魔王の頬を掠り、血が垂れる。
蒼刃将軍「やった…」
が、その傷は瞬時に消えて塞がったのだ。
水術で己の体液をも活性化させ治癒促進させる瞬間再生であった。
玉面魔王「水掌倍」
※ミズショウバイ
玉面魔王の掌から浮かび上がる水玉が空へと昇っていくと、玉面魔王の頭上に巨大な池が宙に浮く。
蒼刃将軍「何だ?あれ?」
雨鈍将軍「ただの水玉だよ?たかが水玉問題ないさ!」
玉面魔王「されど水さ!」
空中に浮く池から水が降って来て、それは水の槍となって大地を貫きながら将軍に向かって行く!
蒼刃将軍「うわっ!たまらん!」
蒼刃将軍は雨鈍将軍の背中に隠れると、雨鈍将軍は息を吸い込み巨大化する。
雨鈍将軍「そんなんで俺の身体は貫けないよ~」
玉面魔王「貫くじゃと?端からそんなつもりはないぞ?」
降って来た水の槍は雨鈍将軍の目の前に来て軌道修正し、その先端が雨鈍将軍の口や鼻へと入り込んでいく?
蒼刃将軍「お、おぃ?」
宙に浮く池が小さくなるに連れて、雨鈍将軍の身体がどんどん膨れ上がっていく。吸い込んだ空気の上に、更に大量の水を飲み込ませられて限界を超え…
雨鈍将軍「ぐはぁ!」
雨鈍将軍は身体が裂けて体内より水を噴き出させて爆発したのだ。
蒼刃将軍「う…雨鈍?」
蒼刃将軍は雨鈍将軍とはライバルであり、競い互いを認めあう仲だった。それが目の前で殺されて怒りに玉面魔王に向かって駆け出したのだ。
玉面魔王「頭に来て冷静さを失ったようじゃな?クールにいかねば他愛ないものじゃえ?」
向かって来る蒼刃将軍の足下から水が噴き出し、体勢を崩した瞬間……
凝縮した水玉が飛んで来て額を貫通したのだ。
崩れ倒れ、顔面から地面に倒れた。
玉面魔王「ふぅ~これが一桁ナンバーの魔王の力じゃ」
次回予告
剛力魔王を助けたのは恋のライバル玉面魔王であった。
圧倒的の力を見せる玉面魔王の前に強敵、羅黄将軍が!?




