天界の聖獣変化使い?剛力魔王の危機!?
実は猫舌だった偶獣王の秘密が解った前回も話より、
今回の話は?
俺様は美猴王…
天界を舞台に繰り広げられているこの大戦争。
水廉洞闘賊団は天界の上界層にまで来ていた。
そこに来て…
怪力魔王と刀剣魔王が敵の将軍に倒れ、戦線離脱していた。
二人は横になりながら剛力魔王に謝罪する。
刀剣魔王「忝ない…」
怪力魔王「すまない姉者」
この二人が重症を負う相手とは?しかも剛力魔王も怪我を負っていた。
剛力魔王「………」
剛力魔王は戦場での出来事を思い出し振り返る。
戦況は有利だった…
だが、武神達の中より新たに現れた四将軍によって敗れたのだ。
敵の将軍は印を結び唱えたのである。
『聖獣変化唯我独尊!』
聖獣変化とは?
それは天界の武神と聖獣族と合身する事で計り知れない力を発揮する変化。
俺様美猴王と鵬魔王や、獅駝王と雷獣王・雷我との聖獣変化がある。
剛力魔王と怪力魔王は獣神変化で対抗するが、時間制限が短い獣神変化では長期戦では不利であった。
高貴な天界の武神は聖獣と契約し手に入れた者が数多くいると言う。
風雲魔王「あのような武神を全て相手にする事は困難だ…何か策はないか?」
蚩尤「やはり本陣から兄者達を呼ぶか?」
風雲魔王「いや、転送装置のある城を守る例の四将軍のみ倒せれば良い。無駄な戦いは消耗戦となって、それこそ数に不利な我々に勝ち目が無くなる」
蚩尤「なら、どうすれば?」
と、その時?
仲間内よりこの状況を見て笑んでいる者がいたのだ?
その者は優雅に横になりながら、手にした果物を口に入れた。
そして、策もない状況
突如、陣取っていた城が武神の軍に襲撃されたのだ?
まさかの敵軍の襲撃に隊は乱れる。
現在、指揮を取るのは風雲魔王と、剛力魔王に蚩尤のみ。敵の神軍はこのリーダーを狙って来たのだ。
これは相手にも優れた軍師がいるのだろう。
次第に城は壊滅し、傷を負った仲間達を引き連れ逃亡する事になった。
剛力魔王「グゥ…」
剛力魔王は仲間達を守りながら戦い、後退していた。
『聖獣変化唯我独尊』
赤い狐の聖獣変化をした目付きの細い武神・蒼刃将軍に、緑色の狸の聖獣変化をしたふくよかな雨鈍将軍。この二人の武神は天界でも高貴な家柄で、日々競い合っていた。そして今狙うは敵軍の首をどちらが先に獲るかであった。
逃げ切れないと感じた水廉洞闘賊団は、風雲魔王をリーダーとして仲間達を逃がすために…
剛力魔王が一人残ったのだ!!
剛力魔王は湖の真ん中にある岩の上に立っていた。
剛力魔王「ふぅー」
剛力魔王は呼吸を吐き出すと、集中力を高める。
既に二人の武神の気配を感じていた。自分の首を狙うために息を潜めている。
すると、武神達が動いた!
剛力魔王の背後から蒼刃将軍が飛び出して来て剣を降り下ろして来た!が、剛力魔王は背後を見ずに紙一重で躱す。すると蒼刃将軍の姿は幻影のように消えて、再び現れた時は水面に立った状態で数体も現れた。
全て幻覚!
剛力魔王「本体、何処?」
剛力魔王は幻覚の分身の中から本体を探す。すると分身達は一斉にリングのような刃を投げて来た。
だが、剛力魔王は四方八方から飛んで来るリングを躱さずに、真上から飛んで来たリングのみを手にした大斧で弾き返したのだ!
するとリングは真上にいた蒼刃将軍に弾き返され、蒼刃将軍は向かって来たリングを掴み取り、空中から消え陸へと着地し、再び姿を消す。
蒼刃将軍は幻覚分身の達人であった。
そして雨鈍将軍は?
突如、剛力魔王が立っていた足場の岩が揺れて持ち上がったのだ?剛力魔王は飛び降りて、別の足場に着地すると敵の姿を見る。
雨鈍将軍!
雨鈍将軍は巨大化していた。それは空気を体内に吸い込み口から空気弾を放つのだ!
雨鈍将軍の口から放たれる空気弾を躱しつつ、剛力魔王は足場を変えながら近付いて行く。そして大斧で斬りつけるが、雨鈍将軍の膨らんだ身体に弾んで返される。
剛力魔王「デブ!」
剛力魔王は雨鈍将軍の顔面を足場にして後方へと移動する。
雨鈍将軍「ぐぉ!俺の顔を足場にしやがった??許さん!」
剛力魔王は着地すると同時に印を結ぶ。
『獣神変化唯我独尊!』
ゴリラの鎧を纏った剛力魔王が、着地から加速して再び雨鈍将軍に向かって行き覇気を籠めた渾身の拳で殴ったのだ!
剛力魔王「!!」
が、剛力魔王の拳は雨鈍将軍の身体に埋もれた状態で止まってしまったのだ!?
しかも、
剛力魔王「抜け、ない?」
身動き取れない状態の剛力魔王の背後から蒼刃将軍が剣を抜いて迫っていた。
剛力魔王「なら、斬る!」
剛力魔王は已む無く自らの腕を斬り落として脱出を試みる。
その時!?
身体中を見えない糸で縛られたのだ?その糸は剛力魔王の力でも切断する事が出来なかった。
羅黄将軍「その糸は特別な神気が混ぜこんでいる。切る事も逃げる事は出来ないよ?」
剛力魔王を完全に拘束させたのは羅黄将軍[ラオウ]と呼ばれる武神であった。
蒼刃将軍と雨鈍将軍は獲物を横取りされて不機嫌な顔で羅黄将軍の前に着地する。
蒼刃将軍「羅黄?どういうつもりさ?」
雨鈍将軍「僕が掴まえていたのに横取りなんて酷いよ?」
羅黄将軍「お前達、遊び過ぎだ!それに、その女は囮にする。敵達を誘き寄せるためのな!」
二人は仕方無く羅黄将軍に従う。羅黄将軍はこの階層では由緒ある貴族の出身で、その実力は名家に相応しく他の将軍よりも桁違いの力を持っていた。噂だと三体の聖獣を手にし、三体同時融合変化を可能にした天才だと言われていた。
そして、
もう一人の将軍が三人を呼びに来たのだ。
白き烏賊の聖獣変化の羽子咤将軍[パスタ]である。
羽子咤将軍「皆さん?お楽しみの所悪いのですが、自分を忘れないでくださいね?」
この羅黄将軍、羽子咤将軍、蒼刃将軍、雨鈍将軍の四将軍こそ、この階層を守護し仕切る最強の四将軍であった。
羅黄将軍「で?頼んでいた事は?」
羽子咤将軍「任しといてよ?奴等のアジトにちゃんと書状を届けたよ!」
その頃、
負け戦で撤退中の風雲魔王の一軍に、こんな書状が送り付けられていたのだ。
『女妖怪はこちらの術中に有り。取り返したければ明朝に中央神殿に来るべし』
と、書かれていた。
間違いなく罠であった。
罠と知りつつも、止める風雲魔王を無視し、怪力魔王と刀剣魔王は剛力魔王を救うべく引き返したのだ。
だが、二人でどうにか出来るとは思えない…
相手は四将軍だけでなく数万の神軍が待ち構えているのだから!
怪力魔王「だが、どうする?何か策はあるか?」
刀剣魔王「剛力さんを助ける!それのみ!」
怪力魔王「だな?」
二人は決心した。
例え己が死のうが、必ず剛力魔王を救うと!
そして剛力魔王は、今…
城の前に広がる処刑場に十字の柱に磔にされていた。
剛力魔王「殺、せ」
柱には妖気を封じ込める力が有り、剛力魔王は完全に無力化されていた。
蒼刃将軍「はぁ?殺せだと?何を戯けた事を?心配しなくても、直ぐに殺してやるよ!お前の仲間も纏めてな?」
雨鈍将軍「でも、本当に来るのか?」
蒼刃将軍「来なければそれだけの連中だったわけだよ?下等な地上の民なんてな!」
雨鈍将軍「だが、もう少しいたぶれるよな?」
蒼刃将軍が見上げる剛力魔王の姿は、身体中を傷付けられていた。拷問に合ったのだろう。
蒼刃将軍「全く、頑丈なメスゴリラだよ!殴り付けた棍棒が全部使い物にならなくなった」
雨鈍将軍「死んだ天界の連中の苦しみを少しでも味わえよ!」
身動き出来ない剛力魔王を棍棒で殴り付ける二人だったが、剛力魔王の鍛え抜かれた強固な肉体の前に命を奪うまでには至らなかったのである。
そんな二人の拷問を羅黄将軍が止める。
羅黄将軍「あんまり無駄な事をするのは止めておけ?」
羅黄将軍に言われて蒼刃将軍と雨鈍将軍は拷問を止めると、
剛力魔王「!!」
羅黄将軍は手にした短刀で剛力魔王の腹部を突き刺したのだ。
羅黄将軍「血を全て失う前に助けが来なければお前に運がなかっただけだ!恨むなら天界を汚した自らの愚かさを恨むのだな?」
剛力魔王は、
剛力魔王「殺…」
が、羅黄将軍は更に短刀を押し込む手に力を込めると剛力魔王は吐血し気を失った。
羅黄将軍「さぁ!どうした?仲間を見殺しにするつもりかぁー!」
羅黄将軍が叫ぶと、隠れて見ていた怪力魔王と刀剣魔王が姿を現したのだ。
怪力魔王「許せねぇ…」
刀剣魔王「これが天界の連中の本性か…」
二人の姿を見て、手配書を見る羽子咤将軍が羅黄将軍に説明する。
羽子咤将軍「あの二人の首は大物だよ?」
羅黄将軍「見れば解る。奴等が雑魚じゃないのはな?だからこそ…」
『狩りは楽しいんじゃないか?』
囚われた剛力魔王の命運は?怪力魔王と刀剣魔王は剛力魔王を助け出せるのか?
次回予告
剛力魔王の危機に立ち上がったのは?
まさかの??




