苦戦?宝貝[パオペエ]使いと風雲魔王の策!
刀剣魔王の戦いはまだ始まったばかり?
剛力魔王と恋の行方は?
さておき・・・
俺様は美猴王
天界軍との激戦は続く。
だが、上層に上がるに連れて武神達の強さも上がっていく。隊長クラスや将軍にもなると持ち手の力を強化させる神具と呼ばれる強力な武器を持つ。
そして今はもう中階層にまで来ていた。
この階層の武神は不思議な武器を持っていた。
『宝具・宝貝![パオペエ]』
普段は貝殻として耳輪や指輪として装飾品に嵌め込んでいるが、一度宝貝に神気を籠めると強力な武器として形を変えるのだ。
だが、宝貝は強力な武器であるがために、その反動は激しいものであった。力無き者が手にすれば、第一解放[武器へと形を変える]だけで力を全て奪われて意識を失うか、下手をすれば命を落とす場合もあるのだ。
よって持ち手は将軍級でいて、宝貝を操る事が出来る強者のみ与えられていた。
その宝貝使いが水廉洞闘賊団を苦しめているのだ。
宝貝・火仙喰[カセンジキ]を持つ武神・伴呉反[バンゴハン]
宝貝・水溜毬[ミズタマリ]を持つ武神・蛭目師[ヒルメシ]
宝貝・棍厄破木[コンヤクハキ]を持つ武神・超触[チョウショク]
の三武神だった。
伴呉反将軍の使う宝貝・火仙喰は、お香の武具であり、その香から出る煙は生きた蛇のように襲い掛かっては敵兵を喰らいまくる。
蛭目師将軍の使う宝貝・水溜毬は大地を湖に変えて、落ちた者は二度と浮かんで来れずに溺れ死ぬ。
最後に超触将軍の使う宝貝・棍厄破木は触れた者の妖気を吸収し、干からびさせるのだ。
宝貝の恐ろしさは特殊な妖術に近い能力を秘めているのである。それは使い方次第で万の敵を一網打尽に出来るのだ。
「このぉ!」
兵士の一人が伴呉反将軍に斬りかかるが煙のようにすり抜け、その煙が巨大な口を広げて飲み込むと血が噴き出して絶命した。
更に超触将軍を数十人で囲むも、超触将軍が振り回す棍棒[宝貝・棍厄破木]に触れた者は跡形もなく消滅し、それは剣で受け止めても同じ事であった。
最後に蛭目師将軍の使う宝貝・水溜毬が波紋を起こし、大地が湖になると足場を無くした仲間達はそのまま湖の中へと消えていく。
湖の中には巨大な大魚の影が沈んで来た兵士達を餌のように飲み込んでいったのだ。
まさかの武神による奇怪な戦法に、さしもの水廉洞闘賊団の猛者達も攻めあぐねていた。
怪力魔王「不気味な能力だ…近接戦闘が出来ねば手も足も出ないではないか?」
刀剣魔王「我の操る刀剣も、あの煙に全て喰われてしまう」
蚩尤「近寄ればあの妖気を奪う棍で干からびちまうしな…」
剛力魔王「………」
煙の蛇が上空を覆い近付く者を喰らい、大地は死の湖で攻め混む隙もない。また大軍で押し寄せ近付けても触れるだけで命を奪われる。どれだけ作戦を立てようと近付く事も出来ない上に、近付けば命を奪われしまえば答えが出せない。
軍を全滅させる訳にはいかないのだから…
そこに風雲魔王が策を与えた。万聖竜王の配下にて一角鯨竜王が矛なら、風雲魔王は軍を守る盾!その実力は策を持って大軍を喰らう魔術師と呼ばれる程。
風雲魔王「さて…」
風雲魔王より策は伝えられた。その策とは?
戦いを明朝に開始と決め、軍は休養を取っていた。
炎狼「俺…明日、死ぬかもなぁ~」
氷狼「お前、何を言ってるんだよ?俺達は生きて地上に戻るんだよ!」
炎狼「前向きだな?」
氷狼「そりゃそうよ!俺は地上に必ず帰って、妻とガキ達に俺の武勲を話聞かせるんだ!あはは!」
炎狼「そういや、お前?修行中に女と交尾したんだよな?で、ガキが出来たと聞いたぞ?」
氷狼「双子だ!俺に似て勇ましく美形で、素質あるんだぜ?」
炎狼「はいはい!何度も聞いたよ!で、名前は何て言ったっけ?」
氷狼「金角と銀角だよ!」
その横で寝た振りをして聞いている蚩尤だった。
さて?
何かの伏線のように思えるこの会話はさておき…
水廉洞闘賊団は宝貝使いである三将軍の城を大軍で囲む。
だが、下手に近寄れぬのだ。
伴呉反将軍「どうやら懲りずにまた来たようだな?まぁ、良い…事」
伴呉反はお香の宝貝に神気を籠めると、煙がもくもくと上がって行くと城を煙で覆い隠す。
この煙に近付けば煙の蛇に飲み込まれて喰われてしまうのだ。
炎狼「さて、俺達の出番だな?」
氷狼「おぅさ!」
『獣王変化唯我独尊!』
炎狼と氷狼は燃える大狼と冷気の氷狼に変化すると、煙の外をぐるぐると回り出したのだ?
炎狼から発する熱気と氷狼の発する冷気がぶつかり合い、空気が上昇しながら巻き起こったのだ!
すると、城を覆っていた煙が舞い上がって薄くなっていく。
伴呉反「何と!?」
そのタイミングを見計らい、軍が動いた!
だが、今度は蛭目師将軍の宝貝・水溜毬を地面に弾ませ、地面に波紋が起きて湖へと変えた。
向かって来た仲間達は素早く飛行雲に乗って突っ込む!今までは煙が邪魔をして飛行が出来なかったのだ。だが、湖の中から水の大魚が口を開いて襲い掛かって来たのだ。
刀剣魔王「いざ、調理致す!」
刀剣魔王は大魚を剣で捌き、千の剣で湖を一列に一直線に城への道を作った。そして剣の道の上を駆けると、蛭目師に向かって一閃!
刀剣魔王「先ずは一人!」
だが、蛭目師の身体は水になって消える。
刀剣魔王「分身か!?」
そこに超触が宝貝・棍厄破木、棍棒を突き出す!
あの棍棒に触れたら身体が一瞬にして消滅してしまうのだ!
が、続けて怪力魔王が上空から飛び下りて来て、手にした大剣を一振り、二振り、三振りと振るう。
それは武勇将軍より手に入れた神具の剣だった。
これは重力の剣!降れば降るほど重力がのし掛かるのだ。
超触「ぐぉおお!」
超触は重さに耐えかね手にした宝貝・棍厄破木を落としてしまった。
そこに蚩尤が向かって来て、
蚩尤「討ち取った!」
手にした剣で超触将軍を一刀両断にしたのだった。
刀剣魔王「見事!」
だが、
伴呉反「よくも超触を!許さん!」
だが、伴呉反の宝貝から出る煙は全て上空へと上昇してしまい役に立たない。
剛力魔王「無力、無理!終わり、お前!」
剛力魔王は大斧を振り上げると、目の前の伴呉反を斬り裂いた。
消えていく伴呉反を見て、一人残ったのは蛭目師将軍だった。
蛭目師「まさかこんな手段で二人を倒すとは?だが、私はそうはいかな…」
が、蛭目師の宝貝・水溜毬は地面に弾ませ、波紋を作る事で大地を池にする能力。怪力魔王の剣の重力はこれにも作用して弾ませる事が出来なかった。
蛭目師「くっ…だが、お前達の手で私は死なん!」
蛭目師将軍は自らの短剣で自害して消えて逝った。
これにて苦戦した宝貝使いの将軍達を撃破したのだった。
それも全て風雲魔王の策による勝利であった。
風雲魔王「ふぅ~どうやら上手くいったようだ…」
風雲魔王は感じていた。
頼りになる仲間達がいれば出来ない事はないと!
追伸…
手に入れた宝貝は触った途端に砕け散りました。
えっ?
宝貝は神具以上に持ち手を選び、他の者が手にすれば砕けて消滅してしまうのだ。
次回予告
剛力魔王達が頑張っているその時、
美猴王達も戦っていた・・・




