刀剣魔王の負けられぬ戦い!
剛力魔王の活躍で転送装置のある城を奪い、
更に上の層へに向かう仲間達!
そこでは?
俺様は美猴王
剛力魔王の活躍で神の城を制覇し、転送装置から上の層へと登った。
この層の神軍は剣技を得意とした武神が多かった。
刀剣魔王「我の剣が天界の剣に通用するか願ってもない機会!」
刀剣魔王は天界の城に道場破りの如く攻め混んだ。
数々の武神との一騎討ちに勝ち続ける中で、刀剣魔王は途中から人が変わったかのようになったのだ。
剛力魔王「変、何、あった?」
刀剣魔王「何でもないですよ?剛力さん…」
が、その目には憧れの剛力魔王も映っていなかった。
その目の奥には…
殺気?復讐の光が!
その後の刀剣魔王は更に神軍の城を制覇していった。これはこれで軍としては心強いのだが、危なげで仕方なかった。
剛力魔王「………」
刀剣魔王は軍を率いて既に七つの城を崩し、まるで全ての城を制覇する勢いだった。
怪力魔王「無理に全ての城を落とさなくとも良いのだぞ?」
刀剣魔王「解っている・・・」
だが、刀剣魔王は更に神の城を落としていく。
刀剣魔王に何が?
それは最初の城での出来事だった。刀剣魔王は最初の城の長である武神と一騎討ちをしたのだ。
その最中、敵の武神が出した神具を見た時に刀剣魔王の目の色が変わった。
刀剣魔王「そ…それは!まさか?」
敵の武神の剣は妖気に満ちていた。天界の武神が妖気を持つ魔剣とは?しかも、その剣に刀剣魔王は心当たりがあったのだ!
刀剣魔王「うおおおおお!」
その後、刀剣魔王は目の前の武神を倒し、その魔剣を奪った。
それ以降も城を制覇しては城を守る武神が持つ魔剣を奪っていく。
手下の仲間が軽々しく
「俺にもその魔剣を分けてくださいよ~?刀剣魔王様だけズルいですよ~」
その直後、仲間の妖怪の首を掴み締め付けられたのだ。その時の刀剣魔王の目は殺意に満ち、仲間をも殺す勢いであった。その時!
剛力魔王「離す、止せ!」
剛力魔王が刀剣魔王の腕を掴み止めたのだった。
そして剛力魔王は刀剣魔王の首根っこを掴み強引に連れて行った。
そして湖に放り込むと、
剛力魔王「頭、冷やす」
暫くして湖から出て来た刀剣魔王は剛力魔王に身の上話をした。
かつて刀剣一族の長で有り、自らが修行に出ている間に城が落とされた事。
その目的が刀剣魔王一族は死すると、その魂は魔剣と変貌する。侵略者はその魔剣を手に入れるがために城にいる兵士だけでなく戦う事も知らない女子供達をも全て殺戮したのだ。
刀剣魔王はその仇を探し回った。しかし、地上界を探し回ったが見付からず、まさか天界にその首謀者が見付かるなんて…
この天界層にいる力の有る武神が、刀剣一族の魔剣を持っていたから!
刀剣魔王「我、一族の仇を必ず討つ!」
剛力魔王「うむ。男!」
剛力魔王もまた復讐者として生きて来た身、刀剣魔王の気持ちが痛いほど理解出来たのだ。
そして刀剣魔王率いる先陣隊はついに、最後の城を前にしたのだ。この最後の城は転送装置のある城でもあった。
これまで落とした城は九城。この城の主は…
剣巧将軍!
剣巧将軍「まさか剣狩りをしている噂の魔物が、魔剣の一族の生き残りとはな?結構!お前を倒して俺の剣に加えてやろう!」
刀剣魔王「我、刀剣魔王!我が一族の仇を討たせて貰う!」
刀剣魔王の振り払う一閃を剣巧将軍の魔剣が受け止める。
その魔剣を見た時、刀剣魔王は震えが出た。
その魔剣からは刀剣魔王の父の妖気が発せられていたのだ!
間違いない…
刀剣魔王「我が父の仇!」
刀剣魔王の剣捌きを剣巧将軍が払い流す。互いの剣技は互角だった。
剣巧将軍「魔物の分際で素晴らしき剣技!お前を倒せば良き魔剣になるだろうて?」
刀剣魔王「お前は絶対に許さん!決して!」
刀剣魔王は頭に血がのぼる。その僅かな乱れをつき、
剣巧将軍の魔剣が刀剣魔王を斬り裂いた!
刀剣魔王「ウガァア!」
だが、怒りに任せ突き進む刀剣魔王の眼前に、剣巧将軍の魔剣が向けられていた。
剣巧将軍「終わりだ!」
降り下ろされる魔剣が迫った瞬間、
剛力魔王「頭、冷やす!」
剛力魔王の声に刀剣魔王が我に返る。
刀剣魔王「忝ない!剛力殿!」
刀剣魔王は剣巧将軍の魔剣を弾き返すと、背後に千本の刀剣を出現させて剣巧将軍に向かって放つ!
剣巧将軍「数で勝負か?全て打ち落としてやろう!」
剣巧将軍は刀剣魔王の操る千本の剣を全て落としきると、刀剣魔王に向かって駆け出す。
剣巧将軍「俺の勝ちだ!その首、貰ったぞー!!」
その時、刀剣魔王は残った一本の剣に全ての力を籠めていた。
その剣!
己の意思を力にする刀剣魔王の実弟の形見…
『知我意宝剣!』
意志の強さを力とする剣!
刀剣魔王は向かって来た剣巧将軍の魔剣ごと、一刀両断にしたのだった。
剣巧将軍「お…見事…」
光となって消える剣巧将軍の手から落ちる魔剣が刀剣魔王の身体に吸い込まれていく。
刀剣魔王「これで…我の戦いは…」
が、刀剣魔王は思い出す。
刀剣魔王「まだだ!」
刀剣魔王は首を振り過去の記憶を思い出す。
その過去の記憶には、忘れたくても忘れられない宿敵がいた…
あの日、
たった一人の少年が刀剣魔王の城にいた一族を皆殺しにした惨殺の光景…
金色の髪に、舞いのような剣技、そして惨殺に剣を振るう少年は、笑んでいた。
刀剣魔王「奴を必ず我の手で倒す!一族の仇を!奴は必ずこの天界にいる!」
と、取り敢えず刀剣魔王の戦いは一段落したかに思えた。
が、新たな試練が直ぐに待ち構えていた。
刀剣魔王「必ず勝ち取る!」
刀剣魔王は夜分遅くに剛力魔王を呼び出した。
刀剣魔王「お呼びして申し訳ありませぬ…」
剛力魔王「何、眠い、直ぐ、話せ?」
刀剣魔王「う~ん…」
この緊張感は剣巧将軍との一騎打ちの百倍以上だった。
そして刀剣魔王は意を決して剛力魔王に告ったのだ!
刀剣魔王「我とお付き合いください!剛力さん!」
剛力魔王「駄目」
刀剣魔王の膝が崩れ落ち涙目になる。
が、堪える!
刀剣魔王「解っている!剛力さんが牛角魔王の事を好いている事を!」
その時、剛力魔王は顔を赤らめて照れる。
刀剣魔王「はぁ~やっぱり可愛いなぁ~チクショ!」
再び刀剣魔王は真面目な顔をして剛力魔王に言う。
刀剣魔王「今は我は牛角魔王にも剛力さんにも力及ばぬ。だけど必ず剛力さんを守れる男になる!この戦争が終わった時、我と勝負してください!その時に我が勝てたなら…我は剛力さんを貰い受ける!」
剛力魔王「………」
刀剣魔王「嫌とか言われても我は諦めん!諦めんからな~」
すると剛力魔王は言った。
「私、強い、簡単、努力、無理!良い?」
刀剣魔王「へっ?」
剛力魔王の片言の言葉は理解が困難だったが、それは努力次第でと考えても良いって事では?
剛力魔王が戻る姿を見送る刀剣魔王は、拳を握り、
「頑張るぞぉおおおお!」
と、夜中に叫ぶ迷惑な男であった。
次回予告
更に強い武神達が襲いかかる。
彼等の持つ武器の名は。




