どんぶらこ?新たな義兄弟登場?
強敵、三武将軍を倒した牛角魔王!
そして転送装置を使い美猿王達は新たな階層へと登ってきたのだ。
俺様は美猴王…
水廉洞闘賊団は最下層の転送装置を使い、上の層へと来ていた。見た感じ最下層とあんまり変わらないように思えたが、そこを守護する武神達のレベルは最下層より高く感じられた。
取り敢えず食糧や武器の調達なんかで、天界の城を幾つも制圧していく。
天界の城を奪えば休養も取れる。連戦続けだと身がもたないからな?それに怪我した連中の治癒も必要だしな?まぁ、その間に武神の軍が攻めて来たが、そこは防衛の剛力魔王と怪力魔王が守ってくれていた。
そんな訳で俺様は一人川に洗濯に来ていた。
美猴王「たまには気晴らしも必要だからなぁ~」
俺様は頑張ってる仲間達のために、六耳彌王が止めるのを無視して臭い洗濯雑用をしているのだ。
美猴王「天界も地上界も変わらない所は変わらないな~?山もあれば川もあるし、さっきは湖もあったよな?空には浮いてる大地が無ければ雲もあるし、太陽らしき物はあるから朝と夜がある。不思議な世界だなぁ~」
俺様は洗濯をし終えると籠に洗濯物を入れる。
ひと段落すると肩を回し、伸びをする。
美猴王「あ~労働の後の清々しい一時」
俺様は城に戻ろうとすると川の上から何かが流れて来るのに気付いた。
美猴王「あれ?何だ?」
それは、
どんぶらこ~
どんぶらこ~
流れて来た。
俺様は流れて来た物体を川から引き上げる。
そして驚いたのだ!
美猴王「こ…これは!?」
その後、俺様は拾った物体を城に持ち帰り、義兄弟達に見せびらかしたのだ。
六耳彌王「兄貴?これって?」
蛟魔王「何かと思えば…これは…全く…」
獅駝王「これ食って良いのか?」
美猴王「馬鹿!駄目だろ!これは俺様の所有物だ!」
獅駝王「う~」
と、俺様が拾って来た物体が何かと言うと?気になると思うから見せようか?
それはドザエモン…
じゃなくて、川から流れて来た人間…天界人?じゃないな?妖怪なのか?
そいつは褐色の少年だった。歳は15、16歳くらいか?とにかく水死体だ!
六耳彌王「て、死んでないみたいですよ?心音聴こえるッチから?」
美猴王「生きてるわな…うん」
…と、何故に俺様が生きてる水死体を持ち帰ったかと言えば?
六耳彌王「それにしても似ているッチね?」
似てる…
そう。
この流れて来た生きてる水死体は似ているのだよ!
この俺様に??
ただ、
六耳彌王「見た目は兄貴より若いですね?昔の兄貴にそっくりです!違う点と言えば?銀髪で褐色の肌で尻尾がない事、後は猿毛が無い人間って感じッチかな?」
美猴王「だろ?」
六耳彌王「で、やっぱり天界の神人ですかね?まさか地上界の人間が天界にいるわけではないッチよね?」
その時、殺気が??
それは鵬魔王だった。
鵬魔王「コイツ…美猴王兄貴に似ているだけでムカつくのに、拾われて早々所有物になれるなんて…マジにムカ殺したい!」
鵬魔王が俺様の制止を無視して水死体に襲い掛かったのだ??
鵬魔王「死んでるなら、また殺しても恨まれないよね?死ねぇええええ!!」
いや、だから矛盾してるから!死ねぇええええ!って殺す気満々じゃね?てか、そいつは生きてるし!
だが、それ以前に…
美猴王「止めろー!!」
俺様の制止を無視し、殺気の籠った鵬魔王の突き刺す爪が触れる瞬間、
『!!』
突如、俺様達のいる部屋を中心に爆発したのだ!?
俺様達は床が崩れ着地と同時に様子を見ると、鵬魔王が意識を失って倒れていた。
一体、何が??
それは鵬魔王の爪が触れる瞬間、寝たきりの少年の身体からどす黒いオーラが噴き出して鵬魔王と城を破壊させたのだ!
美猴王「言わんこっちゃねぇ~」
そうなのだ。
俺様も川から拾った時に自分に似ている事に驚き、パニクり投げ捨てようとした時に同じくふっ飛ばされたのだ。
俺様達は取り敢えず無事な部屋に場所を変えた後、
美猴王「それにしても何者なんだろうな?コイツ?」
蛟魔王「今ので人間ではない事が解ったが…やはり」
その時、口をつぐんでいた牛角魔王が答えた。
『魔神族だよ?』
美猴王「魔神族だと?」
皆が驚きながら牛角魔王を見る。
魔神族とは旧神族の種族で、牛角魔王も同じく魔神族なのだ。
牛角魔王「しかも、ソイツの銀の髪に褐色の肌、今の黒い神気は魔神族の高位種族アスラ神族だろう」
美猴王「アスラ神族?」
牛角魔王「アスラ神族は本来、こちらの神族とは敵対していると聞く。それが何故こんな場所に?」
美猴王「まぁ~敵じゃないんだろ?それにこちらの神族と敵対しているなら、俺様達の味方じゃね?」
すると眠っていたアスラ神族の少年が目を覚ましたのだ。
俺様は少年に近付くと皆に聞こえるように言った。
美猴王「気にいったぜ?今日の今よりお前は俺様の義兄弟になれ!」
皆の唖然とする顔を他所に、更に言った。
美猴王「お前、名前は何て言うんだ?」
だが、返事は返って来なかった。ただ俺様をジッと見ているだけだった?
もしかして声が出せないのか?それとも言葉が解らないからか?照れ屋さんなのか?
美猴王「まぁ~名前ないと今後呼ぶのが大変だしな?名前を考えるか?」
六耳彌王「何か急展開で驚きッチですよ?」
美猴王「こういうのは勢いが大事なんだぜ?」
六耳彌王「流石、兄貴ッチ!」
で、本題に戻そうか?
俺様は皆に名前を考えさせる。そして、一人ずつ発表させた。
鵬魔王「カス!」
美猴王「却下!お前、どれだけ嫌いなんだよ?」
鵬魔王「フン!」
次に、六耳彌王が挙手して発表する。
六耳彌王「黒肌銀髪!」
美猴王「マンマやんけ?」
六耳彌王「駄目ですか…」
泣きそうな顔の六耳彌王だったが、
美猴王「残念だが…次!」
獅駝王「餌!」
美猴王「じゃねーよ!食うなって!」
こうなれば、やはり頭脳に定評がある蛟魔王に頼むしかないな?
蛟魔王「偽美猴王!」
美猴王「う~ん」
牛角魔王「魔人少年A」
美猴王「Aって何だよ!」
牛角魔王「いや、何となく…」
美猴王「何となくじゃねぇーから!意味解んないから!」
駄目だ…
こいつ達は使えない…
駄目な奴らだ…
美猴王「仕方ない…」
俺様は考える。
こういう名前ってのは出会いからヒントが有るもんだよな?
川からどんぶらこ?
桃…
は、色々駄目だろうな?
ドザエモン?
は、やはり人道的に可哀想だと俺様でも思うし…
う~ん…
こういうのは、突然の閃きと偶然で決まったり、決まらなかったり?
ん?
偶然に?
その時、閃いたのだ!
美猴王「決まったぁー!」
義兄弟達が見守る中で俺様が決めた名前とは?
『偶獣王だぁああ!』
そう。
偶然出会い、偶然拾って、偶然義兄弟にして、偶然名前が決まったから!
そして、何より…
さっきから腹が減って腹の虫が、
『ぐ~う~』
って鳴っていたからだ!
うん!
決定!文句は却下!
何せ俺様の所有物だしな?
てな訳で、新たに俺様に義兄弟が増えたのだった。
これにて、
念願だった七義兄弟が揃ったのである!
チャンチャン
次回予告
まさかの展開で偶獣王の登場。
しかし何者なのだ?




