覚醒!魂から繋げられた力!?
托塔李天王の圧倒的な力に美猴王達の策が潰える。
しかし、諦めてはいない!
諦めたら、そこで!!
俺様は美猴王…
地上界を支配する塔多留天の正体が?
天界を支配する王…
托塔李天王だと??
牛角魔王の魔神闘気を一点に集中させた一撃が、托塔李天王の前に現れた掌サイズの金色に光輝く宝塔が止めた。
牛角魔王「グヌヌ…何だ?この宝塔は?ビクともせんぞ?」
托塔李天王「流石は旧支配者の末裔と言うべきか?まさか私に奥の手を出させるとはな?」
すると如意黄金宝塔が発光し牛角魔王を弾き飛ばしたのだ!
牛角魔王「グオオオ!」
そして托塔李天王は如意黄金宝塔を手に取り掴むと、更に激しく光輝きながら形が変化していく。
それは金色に輝く神剣へと変わったのだ!
『如意黄金宝刀!』
托塔李天王は如意黄金宝刀を手に一周振り回すと、
托塔李天王「これより先は手加減はせん。死にたい者からかかって来るが良い!」
手加減だと?
今までが手加減だと?
だが、俺様だけでなく他の誰もが身動き出来ないでいた。それだけの圧迫感が確信となって俺様達を怯ませているのだ。
托塔李天王「来ぬか?怖じ気付いたのであれば、俺から断ってやろう!」
托塔李天王が如意黄金宝刀を一降りした!
閃光が俺様と獅駝王を通りすぎると、俺様は鵬魔王との合体が解け、更に獅駝王の聖獣変化も解けてしまったのだ!?
美猴王「なぁ?変化が解けちまったぞ?」
鵬魔王「わからない…どういう事さ?」
托塔李天王「俺の一刀がお前達の変化を解いたのだ!」
美猴王「そんな馬鹿な事が出来るのかよ?何でも有りって反則だろうが!」
…クッ?どうしたら?どうしたら良い?
この状況で何が出来る?
俺様、鵬魔王は警戒しながら構え、あの獅駝王ですら無防備に突っ走る事もしなかった。
恐らく一歩でも動いた瞬間に…
殺られる!
そう野生の勘が働いているのだ。
冷たい汗が流れる。
それは恐怖?
だが、先に動いたのは牛角魔王だった。
牛角魔王「このままでは勝機は見えん!俺が活路を切り開く!」
牛角魔王は漆黒の魔神刀を手に托塔李天王に斬りかかる!
牛角!まさか死ぬ気か?
牛角魔王から繰り広げられる斬激を軽々と弾き返す托塔李天王は、一瞬の隙に牛角魔王の首筋に如意黄金宝刀が迫った!
牛角魔王「ウッ!」
が、寸前で割り込む蛟魔王が万聖の槍で受け止める。
蛟魔王「私はまだ心は折れてはいない!」
牛角魔王と蛟魔王から交互に繰り出される剣技は托塔李天王を一歩退かせたが、その直後!托塔李天王の如意黄金宝刀が一閃振り払われた!
それは牛角魔王の魔神刀と蛟魔王の万聖の槍を砕いたのだ!!
牛角魔王が体勢を崩した所に更に追撃が迫る。
そこに蛟魔王の蛟の盾が受け止めたのだ!
最高硬度の蛟の盾!
竜神族が誇る三種の神器…
が、蛟魔王の目の前で砕け散った。
蛟魔王「そんなぁ…」
托塔李天王の一刀は牛角魔王と蛟魔王を共に斬り裂いたのだ!
血を噴き出し倒れる二人に迫る托塔李天王。
托塔李天王「蛟魔王?まだ寝るのは早いぞ?お前の首を斬り落とし、天界に持ち帰らねばな?」
振り上げる宝刀に蛟魔王は身動き出来ない。
が、降り下ろされた先には獅駝王の姿が!
獅駝王は蛟魔王を庇い胸を斬られ血を噴き出す。にも関わらず托塔李天王に向かって襲い掛かる。
獅駝王「ウガアァアア!」
だが、托塔李天王は手刀を獅駝王の腹部に突き刺すと、体内から神気の放電を放ったのである。獅駝王の体内から雷が肉や皮膚を突き破り、黒焦げになって倒れ動かなくなった。
蛟魔王「しだぁー!!」
俺様は鵬魔王と目配せすると蛟魔王を助けに駆け出す!
このままじゃ…
背後から飛びかかる俺様と鵬魔王に、上空から雷が降り身体を貫通した。
美猴王「うぎゃああ!」
鵬魔王は身体を翻しながら雷の雨を躱し、炎の刃を造り上げる。
『鵬魔炎術・黒刀亜魔刀!』
※コクトウアマトウ
それは地獄の炎を剣状に構成した奥義だった。
鵬魔王「地獄の炎は魂すら焼き消すよ?」
鵬魔王は漆黒の炎の剣で托塔李天王に斬りかかるが、如意黄金宝刀で受け止める。すると黒炎の刀が次第に力を弱め、消滅したのだ。
鵬魔王「そんな馬鹿な??」
だが、気付くと同時に身体に痛みが生じる?今の一瞬で身体を斬られていたのだ。しかも不死の一族である鵬魔王の身体が再生出来ないのだ?
鵬魔王「あっ…あぁ…」
崩れるように倒れる鵬魔王に、
鵬魔王「クソッタレー!」
托塔李天王が宝刀を背中に突き刺し、鵬魔王は動かなくなった。
全滅…なのか?
敗北…なのか?
美猴王「俺様が…俺様が…行かなきゃ…」
だが、身体が動かない…
まるで、身体が石にでもなったかのようだ…
石猿だけど…
指一つ動かない…
このままでは…
托塔李天王は蛟魔王のみに標的を絞る。
托塔李天王「観念するのだな?」
蛟魔王「!!」
既に仲間は誰一人残ってはいない。生きてるのか?それとも?確かめるすべもない…
だが、
蛟魔王「お願いだ…私の首は差し出そう…その代わり、仲間は…義兄弟だけは…助けてくれないか?」
托塔李天王「良かろう。虫けらにも慈悲は与えてやろう。ただ、そこに転がっている連中が生きているかは知らんがな?」
蛟魔王「有難い…信じるぞ…」
すると蛟魔王は瞼を綴じて、俺様達を救うために命を差し出したのだ。
蛟魔王(…お前達と生きた時間…楽しかったぞ…)
托塔李天王が如意黄金宝刀をゆっくりと振り上げる。
托塔李天王「!!」
が、気付いたのだ!
托塔李天王の背後に立ち上がる者達の姿を!傷付きながらも、精魂尽きているにも関わらず…
牛角魔王が!獅駝王が!鵬魔王が!六耳彌王が!!
既に戦える状態ではなかった。動ける状態ではなかった。
なのにも義兄弟[蛟魔王]を死なせぬために立ち上がったのだ!
托塔李天王「抗うならお前に救われた連中も命も狩るが?」
蛟魔王「お前達!もう良い!もう退いてくれ!」
托塔李天王「ふっ…」
だが、それまでだった。
既に意識無く、それでも立ち上がり、強力な覇気を放ち牽制していたのである。
托塔李天王「驚く執念だな?だが、所詮はそこまでだったわけだ?」
托塔李天王は再び蛟魔王の首を落とすために如意黄金宝刀を振り上げ、
托塔李天王「覚悟!」
一切の迷いなく蛟魔王の首目掛け降り下ろした。
托塔李天王「んっ!?」
その状況に蛟魔王はゆっくりと瞼を開き見たのだ?
自分を庇うために身を呈して飛び出し、代わりに斬られた者がいる事を!
それは?
蛟魔王「び…美猴?」
そう…
俺様もまた立ち上がっていたのだ。
蛟魔王を救うために!
もう俺様の目の前で誰一人死なせたくない…
まだ戦場で仲間達が戦っているだろう…
どれだけの仲間が、俺様が始めた戦いで命を落としたのか?
独角鬼王…
砂塵魔王…
六耳彌王を蘇らすために命を与えた三猿達…
相反する考えから敵として戦って散った者達…
そして…
蓮華!
全ては俺様に力が無かったがために消えていった。
だから、もう誰一人死なせたくないんだぁー!
俺様は飛び出した…
身体は代わらずに重く、全身が痛みで悲鳴をあげた。
けど、だけど!
俺様が始めた戦争は俺様が終止符を付けなければならないんだぁー!
俺様は蛟魔王の前に飛び出して托塔李天王の降り下ろされる如意黄金宝刀の前に身を呈した。
まるで、時が止まったかのように刀が俺様に迫る。
ダメだ…
ここで死んでしまったらもともこうもない…
強くなりたい!
この一瞬だけでも…
仲間を義兄弟を救える強さを!強さをぉおおお!
その時、声がした?
男は言った。
「お前に渡すつもりではなかったのだな?お前の強き魂の叫びに再び呼び覚まされちまったぜ…」
それは過去に夢の中で見た異国の不思議な人間の男?
「良いだろう…認めてやろう」
「認める?何を?」
「力を与えてやろうと言うのだ?だから俺から繋げて見せよ?この魂の力を!」
繋げるだと?
何を??
その瞬間、俺様の中で何かが弾ける感じがした…
再び、時は今へと戻る。
托塔李天王の降り下ろされた如意黄金宝刀は止められていた。
それは俺様の掴む腕に!
そして身体から沸き上がるような強い力が漲って来た。
この力は?
それは眼力魔王を?金剛魔王をも打ち砕いた力!
托塔李天王「馬鹿な?俺の如意黄金宝刀を止めただと?そんな馬鹿な…」
その時、托塔李天王は気付く。
自らが掴む如意黄金宝刀が震えている事に?
托塔李天王「まさか?共鳴していると言うのか?」
托塔李天王はゆっくりと俺様を見る…
その視線の先は?
眼!?
その俺様の瞳は金色に光輝いていたのだ!
托塔李天王「それはまさか金色の魔眼なのか?有り得ぬ…キサマが…運命に導かれし転生者だと言うのか!?」
俺様はゆっくりと顔を上げて托塔李天王に叫ぶ。
美猴王『誰も奪わせぬ!友も仲間も義兄弟も俺様が守ってみせる!本当の戦いはこれからだぁー!!』
次回予告
美猴王の覚醒した力とは?
その力・・・
金色に光り輝く魔眼の力!!
※魔眼の力とは?興味ある方は、
前作、
神を導きし救世主!
を、お読みくださいませませ?




