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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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最期の一撃、魂の咆哮!


今、凍結魔人と一角鯨竜王との決着が!


その戦いの末には意味があるのか?


戦場は更にエスカレートし、その中でも因縁深い二人!


凍結魔人と一角鯨竜王の二人がいた。


そして一角鯨竜王の突き出した槍が凍結魔人を貫いたのだ。



凍結魔人「ぐはぁ!」


(身体の中を槍が貫通していくのが解る…


目の前の敵は俺を仇と恨みと怒り、そして様々な想いを乗せて俺を突き刺した!


だが、くだらん!


そのような思いが何になると言うのだ?


この世界は最初から悲しみと怒りに満ち溢れていると言うのに…)



凍結魔人「グォオオ!」


凍結魔人の凍気がトドメを刺そうと追撃して来た目の前の敵・一角鯨竜王を吹き飛ばし、更に傷付いた身体を冷気により塞ぐ。



凍結魔人「この世界から悲しみを無くすために俺は世界から生きとし生けるモノを皆殺しにしなければならない…それが俺の定め!」


一角鯨竜王「ウググ…」


一角鯨竜王は立てずにいた。先程の攻撃で右足の骨が折れたのだ。


一角鯨竜王「…これでは戦う事が叶わぬ」


すると目の前に凍結魔人が迫って来ていた。そして掌を翳すと、鋭利な氷柱が一角鯨竜王の身体を貫いた。


一角鯨竜王「アガガ!」


だが、痛みを堪え身体を突き刺した氷柱を槍で砕き、片足を踏ん張り凍結魔人に振り回しながら槍を突く!


凍結魔人「終わりだ!」


一角鯨竜王の槍は凍結魔人の前に現れた氷壁の前に止まり、そのまま盛り上がって来た氷の棺の中に一角鯨竜王は閉じ込められた。凍結魔人の氷の棺は肉体のみならず魂をも凍結する。次第に一角鯨竜王の目から生気が消えて動かなくなった。



凍結魔人「…虚しい」



あの日と同じだ…


どれだけ足掻こうが、どれだけ想いが強かろうが、何者であろうと運命の破局には抗えない。



「この俺がそうだったように…」



俺は妖怪は勿論、人間にすら絶望を感じ、人である事を捨て、自ら何者でもない化け物、破壊者となった。後の事は何も考えなくても良かった…


目に見える動くモノを手当たり次第凍らせ、命を奪っていく。


ただ、それだけだった。



人も妖怪も、動物も…


そんな俺を地上界の魔王達が討伐に来た。


金剛魔王、熔岩魔王、雷獣魔王、地上界を統べる最強の魔王陣だった。



雷我「グゥウウ!俺一人で良かったのによー!」


雷我を中心に強烈な雷が全方向に放たれる。俺は冷気の氷柱を上空より落下させるも、熔岩魔王の熔剣が灼熱の壁を作り蒸発させた。そこに地上から巨大な腕が現れ、俺を掴む。


金剛魔王「このまま潰してやりましょうか?」


だが、金剛魔王の腕は凍り付きながら粉々になる。


金剛魔王「私の腕を何て事でしょうか…」


が、金剛石の身体を持つ金剛魔王の本体は何事もなく俺の前に現れる。


『金剛掌打!』


金剛魔王の衝撃破が俺の氷壁を破壊する。そこに上空より熔岩魔王が降りて来て熔剣を振り下し業火が俺の凍気を斬り裂く。


熔岩魔王「俺の業火を耐え凌ぐ冷気を使うとは驚きだ!」



そうか…


この者達が現在地上界を支配している魔王のトップか?


邪悪の元凶!!


なら、お前達もまた消し去ってやろう!


だが、最強の一桁三大妖魔王を相手に、俺は敗れる…


その後は投獄された。


中央の地下深くにある牢獄。地獄の一丁目と呼ばれるその牢獄は地上界で天界から睨まれた上級魔王の幽閉の場所。何故俺を生かして置くのか?


その地下牢獄では地上界の反乱分子を幽閉し、その後に選別される。


選別者は…


現、地上界を統べる魔王の筆頭・塔多留天のボス!


そもそも塔多留天は選別をするために牢獄の見張りをする下級妖怪だったのだが、その特殊な才に目を付けられ熔岩魔王が金剛魔王を押し退け首領にした。


塔多流天は数年に一度選別を実行する。


その側近に闇影魔王を付けながら。


幽閉された魔王クラスの妖怪達を一人一人選別しながら、気にいった者を地下牢獄で働かせる。



『その選定は天界に従うか否か?』



従うなら地下牢獄にて働く隠の部隊として。


逆らう者は…



地下牢獄の中心にある地獄へと落とされる。落とされた者は根刮ぎ妖気を吸収され、魂ごと魔方陣の中に吸い込まれていく。


既に数十万?


俺が幽閉される前から行われているなら数百万は吸収されているだろう。


その魂と妖気は…


今、地上界で戦っている不死の者達へと注ぎ込まれ何度でも甦らせ戦わせているのだ。


また、従った者達も俺と同じく戦場に駆り出された。


逆らう事は出来ない。


もし逃げれば魂に刻まれた呪印が発動し、地獄の底へと転送されるのだ。


だが、何故?


この世界に絶望した俺が従うと返答したのか?


それは…


塔多留天と交わした約束のため!



だから、俺は戦う!



凍結魔人「先程逃げた者を追うとするか」



その時、背後から強力な力を感じて振り向く。


そこには氷の棺に閉じ込められ命が消えたかと思われた一角鯨竜王が竜気を高め、その氷の棺を粉々にして抜け出したのだ。



一角鯨竜王「はぁ…はぁ…」


凍結魔人「まさか?どうやって?」


驚きだった。


確かに一角鯨竜王の生存が停止したのを確かめた後だったから。


だが、確かに一角鯨竜王は甦り、しかも?今までよりも強力な力を全身より発していたのだ。



一角鯨竜王「勝負には負けたが…お前には消えて貰うぞ…そうでなければ…儂の生きて来た意味がない…」


凍結魔人「!!」


その時、一角鯨竜王の姿が変わっている事に気付く。


その姿は若々しく、若返っていたのだ?



一角鯨竜王「一時の命を燃えさせて貰おう。それも、この日のため…に…」


一角鯨竜王は奥歯に仕込んでいた薬を凍結された瞬間に飲み込んでいた。それは過去に万聖竜王により貰った霊薬。万聖竜王の再生の力を籠めた血であった。


再生の血は一角鯨竜王の肉体を若返らせたのだ。


しかし、この血には副作用があった。なので万聖竜王はこの薬を渡す際に「出来る事なら使わないで欲しい」と念押ししていた。



副作用とは…


この薬は急激に肉体を活性再生させ全盛期にと若返らせる代わりに、その魂を削り、肉体を崩壊させる。



一角鯨竜王「俺の限られた時間でお前を倒そう」


凍結魔人「無駄な事を…それもまた消し去ってやろう!」



一角鯨竜王の槍が再び俺の氷結の剣と交差する。激しい冷気と竜気のぶつかり合い!


凍結魔人「その力、悪魔に魂を売ったようだな?」


一角鯨竜王「毒を持って毒を制す!お前もまた何らかの力で若さを保っているようだからな?」



半人半妖である凍結魔人は純血の妖怪よりも力が高い代わりに、その寿命は人間の寿命の二倍程度。が、凍結魔人はその身こそ氷の化け物へと変わり果てたが、今も若々しい力を発していた。



凍結魔人「若さをも凍結させていると言いたいが、そういう訳ではないのは確かだ…」



それは地下深くにある地獄の牢獄から流れ込む力より、大量の妖気が流れ込み若さを保っているからであった。



凍結魔人「直ぐに終わらせてやろう!」


一角鯨竜王「それは俺の台詞だ!」



それは大地を揺るがし天候をも変える。雹が降り荒れ、大地が凍り付き陥没し、粉々になって消し飛ぶ!


一角鯨竜王「これを喰らうが良い!」



『鯨乃王海加殺!』

※ゲイノウカイカサツ



凍結魔人「消えて止まれ!」


『放手流凍殺!』

※ホテルトウサツ



二人の必殺技が衝突した!


互いの力が中間で止まったまま渦巻いている。


少しでも力を抜けば二人分の力の余波に飲み込まれてしまうだろう。



一角鯨竜王「どうしても解せぬ!」


凍結魔人「?」


一角鯨竜王「お前は確かに強い…しかし、サクヤ竜王はもっと強かったはずだ!決してお前に敗れたとは信じられん!」


凍結魔人「サクヤ?」


その時、凍結魔人の脳裏に過ったのは、過去に戦った竜神の女戦士だった。


何故、記憶にあるのか?


やみくもに殺戮を繰り返す魔人と化していた凍結魔人。


生者は全て凍結させた。


そんな時、神の軍と竜神族が戦争している場所に現れたのだ。


「愚かな…」


凍結魔人は神族も竜王神族も凍り付かせていった。


そして最後に自分の前に立っていたのが、竜神族の女戦士だった。


竜神族の女戦士は強かった。凍結魔人の氷結の剣を弾き、その細い腕から繰り出される覇気を籠めた剣技は凍結魔人の冷気をも寄せ付けなかった。


サクヤ「貴方の目的は何?どうしてこのような無駄な殺生をしているの?」



凍結魔人は答えなかった。



(戦争と言う無駄な殺戮をしている者が何を言う?殺戮の後、勝者は弱者を虐げ、虐げられた者達は再び反旗を翻し新たな殺生が始まる。


まるで無限地獄だ…


ならばこそ、自分がその地獄に終止符を付ける


誰かがやらねばならないのだ!)



凍結魔人「!!」


が、その時、凍結魔人は目の前のサクヤ竜王が涙を流している事に気付いた。


サクヤ竜王「貴方の悲しみは…何て深いの…」


凍結魔人「お前、俺の心を読んだのか?」



サクヤ竜王は相手の魂に同調させ、心を読む能力を持っていたのだ。



凍結魔人「どういうつもりだ?」


サクヤ竜王は手にした剣をその場に落とし無防備になったのである。


凍結魔人「例え女子供であろうと、お前が戦う意志が無くとも俺は容赦はしない。いずれ欲を持ちし者は新たな悲しみを作り上げる。俺の目的はこの世界から一切の悲しみを終わらせるためだ!」



凍結魔人の冷気が無防備のサクヤ竜王を凍らせていく。


そして氷の棺に閉じ込めたのだ。


身動きは勿論、サクヤ竜王の命も一瞬で止まった…


サクヤ竜王は凍り付く瞬間、凍結魔人に向けて悲しい笑顔を見せたのだ。


凍結魔人は棺を破壊する事はしなかった。


それは自分に向けて見せた涙への唯一の情けだったのかもしれない…



凍結魔人「あの竜神の女の関係者か?」


一角鯨竜王「俺の命を捧げられる唯一の…俺が愛した女だ!」


凍結魔人「そうか…ならばお前も俺の冷気で、あの女と同じく葬ってやろう!」


一角鯨竜王「ただでは死なん!この生き長らえた命を使う意味を見せよう!」



一角鯨竜王の命を糧に更に覇気が高まっていく。それは最後の魂を籠めた一撃だった!


互いの冷気と覇気がぶつかり合う中、一角鯨竜王は一歩、一歩と凍結魔人に向かって、駆け出す!


そして、


一角鯨竜王「今こそ、念願の…我が思いを遂げる時が来た!」



その思いは戦う力!


その一撃は魂の叫び!


念願は打ち砕く刃!!



一角鯨竜王の鋭い覇気の槍が一直線に凍結魔人に向かっていく!


凍結魔人「!!」


凍結魔人は躱せないでいた。一角鯨竜王の迫力に一瞬怯んだのだ。


だが、


凍結魔人「!?」


一角鯨竜王の槍は凍結魔人に当たる直前で止まったのだ?その直後、凍結魔人の冷気が一角鯨竜王の身体を凍てつかせ…ていく。


凍結した氷の棺に閉じ込められた一角鯨竜王は…


凍結魔人の目の前で木端微塵に砕け散ったのだった。


一体、何が一角鯨竜王にあったのか?


直前で力尽きたのか?


それとも他の理由が?



ただ、その場に残った凍結魔人は動けずにいた。



その一角鯨竜王の最期に…


次回予告


一角鯨竜王の死


そして、物語は更なる危機に?

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